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第二章 似すぎている敵
なぜここに……!?
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「え……? 結衣サン!? どうして……」
カスミが目を見開いて、驚いたような声をあげる。
結衣はそんなカスミに、目を閉じて淡々と言う。
「……ガーネットから色々聞いたよ。カスミちゃんが、本当は味方じゃないことも」
「っ――! あ、アレは……っ!」
「おやぁ? 言い逃れでもするつもりですかぁ?」
ガーネットは、カスミと魔王のやり取りを見ていたのだ。
それを結衣に伝え、結衣は全てを知ったということで。
だからこそ、ここに来ることができたわけである。
「……そ、それより、ココ……外からは入れないはずなんデスガ……」
だが、それより、と。
自分の秘密がバレていたことはどうでもいいように言い放った。
そして、今起こっていることにこそ驚く。
それもそのはず。
何せこの林は――白石緋依の力――神の光で覆われているのだから!
「……ああ、そういうことか。神の光――人間の近くにあてると黒く濁るってやつだな」
やはり、結衣に似ているだけはある。
魔王は頭の回転がはやい。
結衣に負けず劣らずの、頭の良さ。
「……もしかして、緋依さんの力もコピーしたの……?」
「そうみたいだな。あと、他にもあったぞ? 矢とか黒いモヤとか」
「真菜ちゃんの力まで!?」
結衣が驚愕に染まった声で訊くと、カスミではなく、魔王がそれに答えた。
カスミは夏音の力だけでなく、緋依や真菜の力まで吸収したのだという。
つまりそれは、結衣だけではとても対処しきれないほどの力を蓄えているということである。
「……そうデス。ユーの……いや、魔王サンの願いはとても強烈デス。だから……こんなに黒くすることができたんデスヨ」
人間にあてると黒く濁る神の光。
それも、人間の強烈な願いによりどす黒くなるのだとか。
そして、そんなどす黒くなった光がどうなるのか。
それは――
「願いを魔法に変える力を持つ魔法少女には――とても有害なものとなる……デスヨ」
有害、具体的にどうなるのかはわからない。
だが、とても悲惨なこととなるのは間違いないだろう。
それほどまでに、カスミは怒っているのかもしれない。
自分の提案を受け入れなかったことに対する、怒りを……
カスミが目を見開いて、驚いたような声をあげる。
結衣はそんなカスミに、目を閉じて淡々と言う。
「……ガーネットから色々聞いたよ。カスミちゃんが、本当は味方じゃないことも」
「っ――! あ、アレは……っ!」
「おやぁ? 言い逃れでもするつもりですかぁ?」
ガーネットは、カスミと魔王のやり取りを見ていたのだ。
それを結衣に伝え、結衣は全てを知ったということで。
だからこそ、ここに来ることができたわけである。
「……そ、それより、ココ……外からは入れないはずなんデスガ……」
だが、それより、と。
自分の秘密がバレていたことはどうでもいいように言い放った。
そして、今起こっていることにこそ驚く。
それもそのはず。
何せこの林は――白石緋依の力――神の光で覆われているのだから!
「……ああ、そういうことか。神の光――人間の近くにあてると黒く濁るってやつだな」
やはり、結衣に似ているだけはある。
魔王は頭の回転がはやい。
結衣に負けず劣らずの、頭の良さ。
「……もしかして、緋依さんの力もコピーしたの……?」
「そうみたいだな。あと、他にもあったぞ? 矢とか黒いモヤとか」
「真菜ちゃんの力まで!?」
結衣が驚愕に染まった声で訊くと、カスミではなく、魔王がそれに答えた。
カスミは夏音の力だけでなく、緋依や真菜の力まで吸収したのだという。
つまりそれは、結衣だけではとても対処しきれないほどの力を蓄えているということである。
「……そうデス。ユーの……いや、魔王サンの願いはとても強烈デス。だから……こんなに黒くすることができたんデスヨ」
人間にあてると黒く濁る神の光。
それも、人間の強烈な願いによりどす黒くなるのだとか。
そして、そんなどす黒くなった光がどうなるのか。
それは――
「願いを魔法に変える力を持つ魔法少女には――とても有害なものとなる……デスヨ」
有害、具体的にどうなるのかはわからない。
だが、とても悲惨なこととなるのは間違いないだろう。
それほどまでに、カスミは怒っているのかもしれない。
自分の提案を受け入れなかったことに対する、怒りを……
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