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第二章 似すぎている敵
魅力的なトーチトワリング
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そんな、赤毛の少女とカスミのやり取りは遠く。
結衣たち野外学習組は、夜のイベント――トーチトワリングを楽しんでいた。
「おおお……! え、すごっ! 同じ小五とは思えない……!」
「綺麗やねぇ~……迫力もあるし……」
「すっ、ごい……! あれ、怖く……ない……のかな……」
結衣たちは口々に、思ったことを零す。
バトンの両先端についた炎が、踊るように燃え盛る。
赤くて力強い炎が、夜の闇をかき消していく。
どこか幻想的なその光景に、結衣たちは酔いしれていた。
「トーチ出来るようになりたいな~。出来たら絶対かっこいいよね!」
「確かになぁ。けど、うちは怖くて無理やわ……」
「うん……炎って、怖い……もん……ね」
火のついたバトンを手にするだけならともかく。
それを振り回して、投げたりしなくてはならないのだ。
だから、怖いと思うのは当然のことである。
だが、結衣は意外と度胸があるようで。
「やってみたい……」
と、目を輝かせて呟いたのだった。
☆ ☆ ☆
「は~、疲れたぁ……」
「疲れたねぇ……うちもそろそろしんどいわ……」
トーチトワリングのあと。
ちょっとしたレクリエーションをし、結衣たちの体力は限界を迎えていた。
その体力を癒すのに不可欠なのが――そう、お風呂だ。
「あ~……あったか~い……」
結衣はあまりの幸福感に、顔を緩めて言う。
この言葉を言わずにはいられなかったのだ。
明葉も結衣につられて、顔を緩める。
木製の湯船に身を委ね、日々の疲れを取る。
「あ、いた! 結衣ちゃん! 明葉ちゃん!」
「え? ど、どうしたの?」
「何かあったん?」
つるっと滑ってしまうのではないか。
そんな感じのスピードで近づいてくる、グループの一人。
その子が、テンション高く告げた。
「あのね、この後自由時間でしょ? その時にこのグループで『肝試し』しようって話してて――」
「き、肝試し……!?」
結衣は、驚愕とも歓喜ともつかぬ顔で叫んだ。
その隣で明葉が、小さく肩を震わせていることに気づかずに。
結衣たち野外学習組は、夜のイベント――トーチトワリングを楽しんでいた。
「おおお……! え、すごっ! 同じ小五とは思えない……!」
「綺麗やねぇ~……迫力もあるし……」
「すっ、ごい……! あれ、怖く……ない……のかな……」
結衣たちは口々に、思ったことを零す。
バトンの両先端についた炎が、踊るように燃え盛る。
赤くて力強い炎が、夜の闇をかき消していく。
どこか幻想的なその光景に、結衣たちは酔いしれていた。
「トーチ出来るようになりたいな~。出来たら絶対かっこいいよね!」
「確かになぁ。けど、うちは怖くて無理やわ……」
「うん……炎って、怖い……もん……ね」
火のついたバトンを手にするだけならともかく。
それを振り回して、投げたりしなくてはならないのだ。
だから、怖いと思うのは当然のことである。
だが、結衣は意外と度胸があるようで。
「やってみたい……」
と、目を輝かせて呟いたのだった。
☆ ☆ ☆
「は~、疲れたぁ……」
「疲れたねぇ……うちもそろそろしんどいわ……」
トーチトワリングのあと。
ちょっとしたレクリエーションをし、結衣たちの体力は限界を迎えていた。
その体力を癒すのに不可欠なのが――そう、お風呂だ。
「あ~……あったか~い……」
結衣はあまりの幸福感に、顔を緩めて言う。
この言葉を言わずにはいられなかったのだ。
明葉も結衣につられて、顔を緩める。
木製の湯船に身を委ね、日々の疲れを取る。
「あ、いた! 結衣ちゃん! 明葉ちゃん!」
「え? ど、どうしたの?」
「何かあったん?」
つるっと滑ってしまうのではないか。
そんな感じのスピードで近づいてくる、グループの一人。
その子が、テンション高く告げた。
「あのね、この後自由時間でしょ? その時にこのグループで『肝試し』しようって話してて――」
「き、肝試し……!?」
結衣は、驚愕とも歓喜ともつかぬ顔で叫んだ。
その隣で明葉が、小さく肩を震わせていることに気づかずに。
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