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第二章 似すぎている敵
カスミの目的は何……?
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「ムフフ。ミーと手を組みますか? 組みマスヨネ! ネッ!?」
心底楽しそうに、カスミは笑う。
姿勢を低くして、少女の顔を覗き込むように見る。
少女の困惑気味な顔を見て、さらに笑みを深める。
「ンフフフ。やっぱりイイデスネ~♪」
「……お前、あいつの味方じゃないのか?」
少女が知りたいのはそこだった。
少女は結衣のことを嫌っているが、カスミは結衣のことを好いているのでは……?
そう思った少女は、なぜカスミが自分に協力するなんて言ったのか分からない。
「ん~、ミーが結衣サンの味方? ――有り得まセンネ」
「――はぁ?」
「だって、あんなことで味方になるわけないじゃないデスカ」
――ああ、そういう事か。
カスミは、結衣の味方になったフリをしているだけらしい。
それなら話は簡単だ。
何せ――赤毛の少女は、そういうのが大嫌いなのだから。
「……そうか、お前の気持ちはよーく分かった」
「お~! サンキューデス! やっとその気になってくれまシタカ」
少女が小さく呟くと、カスミはそれを耳ざとく拾った。
カスミは少女が承諾したと思ったのだろう。
すごく嬉しそうに微笑んでいる。
「デハ、さっそく作戦会議を――」
「わりぃ、俺――お前と一緒につるむ気はねぇ」
「……はい?」
有頂天だったカスミのテンションが、少女の一言で奈落の底まで急降下した。
カスミは、何を言っているのか分からないという顔をする。
「な、なんで……ミーとユーは、同じ――」
「いや、同じじゃねぇよ。それに、もし同じだったとしても――フリとかする卑怯なやつと一緒にいたくねぇ」
威圧感のある鋭い目を向け、少女はカスミを突き放す。
カスミは予想だにしない少女の態度に、驚いた顔のままフリーズする。
少女はそんなカスミを一人置いて、空へ舞う。
――結衣をどうしてやろうか。
空を泳ぎながら、少女はそのことだけを考えていた。
心底楽しそうに、カスミは笑う。
姿勢を低くして、少女の顔を覗き込むように見る。
少女の困惑気味な顔を見て、さらに笑みを深める。
「ンフフフ。やっぱりイイデスネ~♪」
「……お前、あいつの味方じゃないのか?」
少女が知りたいのはそこだった。
少女は結衣のことを嫌っているが、カスミは結衣のことを好いているのでは……?
そう思った少女は、なぜカスミが自分に協力するなんて言ったのか分からない。
「ん~、ミーが結衣サンの味方? ――有り得まセンネ」
「――はぁ?」
「だって、あんなことで味方になるわけないじゃないデスカ」
――ああ、そういう事か。
カスミは、結衣の味方になったフリをしているだけらしい。
それなら話は簡単だ。
何せ――赤毛の少女は、そういうのが大嫌いなのだから。
「……そうか、お前の気持ちはよーく分かった」
「お~! サンキューデス! やっとその気になってくれまシタカ」
少女が小さく呟くと、カスミはそれを耳ざとく拾った。
カスミは少女が承諾したと思ったのだろう。
すごく嬉しそうに微笑んでいる。
「デハ、さっそく作戦会議を――」
「わりぃ、俺――お前と一緒につるむ気はねぇ」
「……はい?」
有頂天だったカスミのテンションが、少女の一言で奈落の底まで急降下した。
カスミは、何を言っているのか分からないという顔をする。
「な、なんで……ミーとユーは、同じ――」
「いや、同じじゃねぇよ。それに、もし同じだったとしても――フリとかする卑怯なやつと一緒にいたくねぇ」
威圧感のある鋭い目を向け、少女はカスミを突き放す。
カスミは予想だにしない少女の態度に、驚いた顔のままフリーズする。
少女はそんなカスミを一人置いて、空へ舞う。
――結衣をどうしてやろうか。
空を泳ぎながら、少女はそのことだけを考えていた。
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