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第二章 似すぎている敵
久しぶり!
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飯盒にお米を入れ、火をつけて炊く。
その間に、野菜を洗って切っていく。
「おー……明葉ちゃん上手いね……!」
「そ、そう? いつも自分でご飯作ってるしなぁ……その成果が出たんかねぇ」
明葉のこなれた包丁さばきに、結衣が目を輝かせて拍手する。
褒められた明葉は、満更でもなさそうにその手を速めた。
それでも正確に――均等に切られていく様を見て、結衣は「おぉ~」と声を零す。
「……いつもああなのか? あいつら……」
「……う、うーん……まあ、そう……だね……」
そんな二人から少し離れたところで、結衣に似た少女と真菜が話している。
訝しげに問う少女に、真菜が苦笑いしながら答える。
まだお互いのことをよく知らない二人だが、妙な友情が芽生えはじめていた。
「……ところ、で……あなたは……何者、なの?」
真菜はちらりと少女を見やり、訊きたかったことを訊く。
ストレートにそう問われた少女は、小さく身体を震わせた。
「……なんでんなこと――あー、まあ当然だよな……」
睨むように真菜を見たが、次の瞬間には不機嫌そうに頭をかいた。
そして少女は、その姿を徐々に変えていく。
頭からは大きな角が生え、頬には傷のような縞模様が浮かび上がる。
身体はローブが脱ぎ捨てられ、それが蝙蝠のようなマントに変わる。
そして――
「……え……っ」
申し訳程度の……というか、ほとんど下着姿同然の服を纏う。
その様は、結衣の魔王モードそのもので。
真菜は目を見開いて、唖然とした。
「久しぶりだな。――“真菜ちゃん”♡」
少女は声を躍らせ、笑顔を浮かべる。
真菜はなんの事だか分からず、ただ、その少女が放つ不思議な魅力に目を奪われた。
その間に、野菜を洗って切っていく。
「おー……明葉ちゃん上手いね……!」
「そ、そう? いつも自分でご飯作ってるしなぁ……その成果が出たんかねぇ」
明葉のこなれた包丁さばきに、結衣が目を輝かせて拍手する。
褒められた明葉は、満更でもなさそうにその手を速めた。
それでも正確に――均等に切られていく様を見て、結衣は「おぉ~」と声を零す。
「……いつもああなのか? あいつら……」
「……う、うーん……まあ、そう……だね……」
そんな二人から少し離れたところで、結衣に似た少女と真菜が話している。
訝しげに問う少女に、真菜が苦笑いしながら答える。
まだお互いのことをよく知らない二人だが、妙な友情が芽生えはじめていた。
「……ところ、で……あなたは……何者、なの?」
真菜はちらりと少女を見やり、訊きたかったことを訊く。
ストレートにそう問われた少女は、小さく身体を震わせた。
「……なんでんなこと――あー、まあ当然だよな……」
睨むように真菜を見たが、次の瞬間には不機嫌そうに頭をかいた。
そして少女は、その姿を徐々に変えていく。
頭からは大きな角が生え、頬には傷のような縞模様が浮かび上がる。
身体はローブが脱ぎ捨てられ、それが蝙蝠のようなマントに変わる。
そして――
「……え……っ」
申し訳程度の……というか、ほとんど下着姿同然の服を纏う。
その様は、結衣の魔王モードそのもので。
真菜は目を見開いて、唖然とした。
「久しぶりだな。――“真菜ちゃん”♡」
少女は声を躍らせ、笑顔を浮かべる。
真菜はなんの事だか分からず、ただ、その少女が放つ不思議な魅力に目を奪われた。
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