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第二章 似すぎている敵

野外学習の準備

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 ガーネットの意外な一面を見た翌日。
 野外学習に向かうため、しおりを見ながらいるものを用意している。

「ん? え、これあったかな……お母さーん」

 ギリギリまで準備を怠っていたせいで慌ただしく、忙しなく動き回っている。
 なんでギリギリまで放っておいたのだろう、と。
 結衣は己の怠惰を恨んだ。

「ううう……終わらないよぉ~……」
「自業自得ですよぉ? ちゃんとやっておかないとぉ」
「うう……ガーネットに説教されてる……なんか屈辱……」
「酷すぎませんか!?」

 なんだか久しぶりに自分たちらしいやり取りができて、結衣は薄く笑う。
 こんな何気ない会話を嬉しく思う日が来るなんて、結衣は想像もしなかった。

 なぜか元気をもらった結衣は、気合を入れてもうひと頑張りしようと踏ん張る。

「よーし、明日までに終わらせるぞー!」
「おー! その意気ですよ、結衣様!」

 そんなふうに二人で盛り上がっていると、ノックの音が聞こえてきた。
 そして、ガーネットは慌ててその音から逃げるようにして隠れる。

「結衣ー? 入るわよ?」
「あ、うん……! いいよ!」

 ガーネットが隠れられたことを確認し、結衣はドアを開ける。
 その開けたドアの先には、大荷物を抱えたお母さんがいた。
 結衣は戸惑い、目を点にする。

「……え? この大荷物……何??」
「え? 何って――野外学習に必要なものを持ってきたのよ」
「――え?」

 この大荷物が、全部野外学習に必要なものなのだろうか。
 結衣がたじろいでいると、お母さんが結衣の部屋の中へ入ってくる。

 そして、ゆっくりと抱えていた大荷物をおろす。
 妙に大きなバッグのチャックを開けると――

「わぁ……」

 結衣は思わず感嘆の声を零した。
 バッグの中には――寝巻きパジャマや着替え、歯ブラシやお菓子やアナログゲーム(トランプ)など。
 野外学習に必要なものがたくさん入っている。

「お母さん……ありがとう……」

 結衣は、嬉しすぎて泣きそうになった。
 ここまでしてくれる人は、そういない。
 感謝を伝えるだけでは到底足りない。

「いいのよ。野外学習、楽しんできてね」
「……うんっ!」

 お母さんの優しい声に、結衣は笑顔でこたえた。
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