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第二章 似すぎている敵

いつも通りのガーネット

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「野外学習?」
「そうや。来週にあるやろ? 楽しみやわ~」

 結衣は今学校で、明葉とおしゃべりしている。
 朝のHRが始まるまでの短い時間。
 今までの――魔法少女になる前の結衣は、一人で本を読んでいた。

 だが、今は後ろの席に明葉ともだちがいる。
 結衣は幸せを噛み締めながら、明葉の話を聞く。

 野外学習とは、その名の通り野外で学習する学校行事である。
 学校ではない別の場所で、色々なことを学ぶのだ。
 ……まあ、“学ぶ”と言っても、学生にとっては“遊び”がメインだが。

「ええよなぁ……カレーとか自分らで作るんやろ?」
「あー、そうだね。上手く作れるかわかんないけど……楽しみ!」

 野外学習の場所は、『少年少女自然の家』。
 “自然の家”とつくのだから、自然の多いところなのは間違いないだろう。

 咲姫小学校にも裏山のような場所があり、自然に囲まれてはいるが。
『少年少女自然の家』より劣っているのは自明である。

 だから結衣と明葉は、胸を躍らせながらその時を待った。

 ☆ ☆ ☆

「おー、いいですねぇ! 旅行ですか!」
「え、うーん……旅行とはちょっと違う気がするけど……」

 家に帰り、結衣は宿題をしている。
 ガーネットは結衣の話を聞いて、何だか興奮している。
 なぜ興奮しているのかは分からないが。

「私ももちのろん! ついて行きますよぉ!」
「……あ、うん。他の人には見つからないようにしなよ?」

 いくらガーネットに優秀なスキルにんしきそがいがあっても、当の本人がこんなでは不安になる。
 だが、ガーネットは何を思ったのか……

「おやぁ? 結衣様、私のこと心配してくれてるんですかぁ?」

 そう言い、嬉しそうに結衣の顔面に近づく。
 結衣はそんなガーネットに辟易し、宿題の続きをしようとペンを取った。

「えええ!? 無視ですかぁ!?」

 何だかいつもよりテンションが鬱陶しい。
 そんなのガーネットに違和感を覚え、結衣は訊きたかったことを訊いた。

「……ねぇ、カスミちゃんと話した後にどっか行っちゃったじゃん?  あれって――」
「――結衣様」

 ――“なんだったの?”と紡ごうとした声を遮られ、結衣は目を剥く。
 結衣の知らない、圧のある声。
 そんな声に硬直し、ペンが床に落ちた。

「――はっ! すみません、結衣様! つい……」
「……え、あ、うん……大丈夫……」

 よほど知られたくなかったのか。
 ガーネットは結衣の問いには答えず、謝るだけだった。
 結衣はそれを察し、それ以上何も訊かないようにした。
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