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第一章 少女たちの願い(後編)
怒気MAXなせーちゃん
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「……で、何がしたかったのかしら?」
ゴゴゴという音を携え、せーちゃんは仁王立ちしていた。
はっきり言うと、せーちゃんは怒っているのだ。
一方、結衣はと言うと。
「あ、あはは……ここまで怒られるとは思わなかったよ……」
苦笑いしながら、自分の行動を反省している。
正座をさせられながら。
だが、その態度が気に食わないのか、せーちゃんは蛇のように結衣を睨む。
「全く反省してないみたいね?」
「――え。ひっ! す、すみませんでしたっ!!」
どこから取り出したのか。
竹刀を掲げ、結衣を見おろすように威圧感を放つせーちゃんは、一昔前のヤンキーのようだ。
そんなせーちゃんを見て、結衣は本能的に震え上がった。
下手なことを言えば殺される。
それほどの殺気が、せーちゃんにはあった。
だが、結衣が相当反省していることに気づいたのか。
「……もういいや。反省しているようだから――許すわ」
「……せーちゃん」
せーちゃんは殺気を収め、照れ隠しをするようにそっぽを向いた。
素直じゃないながらも、優しさが垣間見えるせーちゃん。
そんなせーちゃんに、結衣は好感を持っている。
「許してくれてありがとー!」
「きゃー!?」
結衣は嬉しさのあまり、勢いよくせーちゃんに飛びついた。
結衣に抱きしめられたせーちゃんは、驚きのあまり叫んだ。
そんな二人を、結衣のショルダーバッグからちらりと覗くガーネット。
どういう状況なのか、言うまでもないだろう。
一言で言うと、混沌だ。
もう少し詳しく言うと、女子小学生二人のイチャイチャを幸せそうに眺める無機物がいる……という状況だ。
「むふふ……とても素晴らしい供給をありがとうございますぅ!」
そんな無機物は、結衣のカバンの中で悶えていた。
ところで。
せーちゃんが手に持っていた本は、少女マンガである。
その本を結衣に見せたくなかった理由は、自分が少女マンガを読んでいることを知られたくなかったのだ。
だが。
二人ともそんな事はどうでもよくなっていた。
……というか、忘れていた。
なので、しばらくじゃれあった後。
何事も無かったかのように、それぞれ家に帰った。
結衣とせーちゃんがその事を思い出すのは、随分後になる。
ゴゴゴという音を携え、せーちゃんは仁王立ちしていた。
はっきり言うと、せーちゃんは怒っているのだ。
一方、結衣はと言うと。
「あ、あはは……ここまで怒られるとは思わなかったよ……」
苦笑いしながら、自分の行動を反省している。
正座をさせられながら。
だが、その態度が気に食わないのか、せーちゃんは蛇のように結衣を睨む。
「全く反省してないみたいね?」
「――え。ひっ! す、すみませんでしたっ!!」
どこから取り出したのか。
竹刀を掲げ、結衣を見おろすように威圧感を放つせーちゃんは、一昔前のヤンキーのようだ。
そんなせーちゃんを見て、結衣は本能的に震え上がった。
下手なことを言えば殺される。
それほどの殺気が、せーちゃんにはあった。
だが、結衣が相当反省していることに気づいたのか。
「……もういいや。反省しているようだから――許すわ」
「……せーちゃん」
せーちゃんは殺気を収め、照れ隠しをするようにそっぽを向いた。
素直じゃないながらも、優しさが垣間見えるせーちゃん。
そんなせーちゃんに、結衣は好感を持っている。
「許してくれてありがとー!」
「きゃー!?」
結衣は嬉しさのあまり、勢いよくせーちゃんに飛びついた。
結衣に抱きしめられたせーちゃんは、驚きのあまり叫んだ。
そんな二人を、結衣のショルダーバッグからちらりと覗くガーネット。
どういう状況なのか、言うまでもないだろう。
一言で言うと、混沌だ。
もう少し詳しく言うと、女子小学生二人のイチャイチャを幸せそうに眺める無機物がいる……という状況だ。
「むふふ……とても素晴らしい供給をありがとうございますぅ!」
そんな無機物は、結衣のカバンの中で悶えていた。
ところで。
せーちゃんが手に持っていた本は、少女マンガである。
その本を結衣に見せたくなかった理由は、自分が少女マンガを読んでいることを知られたくなかったのだ。
だが。
二人ともそんな事はどうでもよくなっていた。
……というか、忘れていた。
なので、しばらくじゃれあった後。
何事も無かったかのように、それぞれ家に帰った。
結衣とせーちゃんがその事を思い出すのは、随分後になる。
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