121 / 262
第一章 少女たちの願い(後編)
お昼ご飯
しおりを挟む
――そして、時間が経ち。
「おー! 美味しそう……!」
ちょうどお昼時なのである。
近くにあったお店で、結衣たちは休憩していた。
丸いテーブルの上には、ホカホカのハンバーガーが乗っている。
フィレオフィッシュやチーズバーガー、ベーコンレタスバーガーなどなど。
贅沢すぎるにも程があるだろう。
「ハンバーガーっていいよね~! すごく美味しいもん!」
「その通りですにゃ! ハンバーガーの魅力には逆らえないですにゃ!」
もぐもぐと、ハンバーガーを貪りながら喋る結衣と夏音。
その頬には、食べカスがついている。
「あははっ。君たちは本当に見てて飽きないよ」
その様子を、美波が笑いながら眺めている。
そんな美波も、食べカスをつけているということを知らずに。
「……あなたたち、そういうのどうにかならないの……?」
せーちゃんの冷ややかな眼差しが、結衣たちに注がれる。
せーちゃんは、別に怒ってはいない。呆れているのだ。
だが、そんなせーちゃんを、「まあまあ」と宥める声が響く。
「ええやないの。微笑ましくて」
「そういう問題かしら……?」
そう言いつつも、せーちゃんは自分の食事に戻った。
せーちゃんを宥めてくれた者――明葉に、結衣は目配せする。
結衣が目線で「ありがとう」と言うと、明葉も目線で「どういたしまして」と言う。
そのやり取りを、少し遠くから見ていた緋依と真菜が笑う。
「やっぱり結衣ちゃんたちを見ていると楽しいですね」
「……うん。そう、だね……」
そう零した二人は、一緒にお茶を啜った。
☆ ☆ ☆
「次はどこ行くんですにゃ?」
夏音が目を輝かせて訊く。
その姿は、まさにワンコのようで、すごく可愛らしい。
遊園地は、人を変える力があるんだな。と結衣は苦笑する。
「そうだなぁ……ゴーカートとかどう?」
「おー! いいんじゃないですか? 楽しそうな響きです!」
結衣の言った言葉に、緋依が賛同する。
ゴーカート、わかっているのだろうか。
結衣は不安になるが、胸を躍らせている緋依に、余計なことは何も言えなかった。
「じゃあ、そうするか……!」
みんなで楽しもう!
そう言い捨てて、結衣は走った。
「おー! 美味しそう……!」
ちょうどお昼時なのである。
近くにあったお店で、結衣たちは休憩していた。
丸いテーブルの上には、ホカホカのハンバーガーが乗っている。
フィレオフィッシュやチーズバーガー、ベーコンレタスバーガーなどなど。
贅沢すぎるにも程があるだろう。
「ハンバーガーっていいよね~! すごく美味しいもん!」
「その通りですにゃ! ハンバーガーの魅力には逆らえないですにゃ!」
もぐもぐと、ハンバーガーを貪りながら喋る結衣と夏音。
その頬には、食べカスがついている。
「あははっ。君たちは本当に見てて飽きないよ」
その様子を、美波が笑いながら眺めている。
そんな美波も、食べカスをつけているということを知らずに。
「……あなたたち、そういうのどうにかならないの……?」
せーちゃんの冷ややかな眼差しが、結衣たちに注がれる。
せーちゃんは、別に怒ってはいない。呆れているのだ。
だが、そんなせーちゃんを、「まあまあ」と宥める声が響く。
「ええやないの。微笑ましくて」
「そういう問題かしら……?」
そう言いつつも、せーちゃんは自分の食事に戻った。
せーちゃんを宥めてくれた者――明葉に、結衣は目配せする。
結衣が目線で「ありがとう」と言うと、明葉も目線で「どういたしまして」と言う。
そのやり取りを、少し遠くから見ていた緋依と真菜が笑う。
「やっぱり結衣ちゃんたちを見ていると楽しいですね」
「……うん。そう、だね……」
そう零した二人は、一緒にお茶を啜った。
☆ ☆ ☆
「次はどこ行くんですにゃ?」
夏音が目を輝かせて訊く。
その姿は、まさにワンコのようで、すごく可愛らしい。
遊園地は、人を変える力があるんだな。と結衣は苦笑する。
「そうだなぁ……ゴーカートとかどう?」
「おー! いいんじゃないですか? 楽しそうな響きです!」
結衣の言った言葉に、緋依が賛同する。
ゴーカート、わかっているのだろうか。
結衣は不安になるが、胸を躍らせている緋依に、余計なことは何も言えなかった。
「じゃあ、そうするか……!」
みんなで楽しもう!
そう言い捨てて、結衣は走った。
0
お気に入りに追加
19
あなたにおすすめの小説
精霊王女になった僕はチートクラスに強い仲間と世界を旅します
カオリグサ
ファンタジー
病で幼いころから病室から出たことがなかった少年
生きるため懸命にあがいてきたものの、進行が恐ろしく速い癌によって体が蝕まれ
手術の甲斐もむなしく死んでしまった
そんな生を全うできなかった少年に女神が手を差し伸べた
女神は少年に幸せになってほしいと願う
そして目覚めると、少年は少女になっていた
今生は精霊王女として生きることとなった少女の
チートクラスに強い仲間と共に歩む旅物語
セカンドライフは寮母さん 魔王を討伐した冒険者は魔法学園女子寮の管理人になりました
今卓&
ファンタジー
その日、魔法学園女子寮に新しい寮母さんが就任しました、彼女は二人の養女を連れており、学園講師と共に女子寮を訪れます、その日からかしましい新たな女子寮の日常が紡がれ始めました。
二人分働いてたのに、「聖女はもう時代遅れ。これからはヒーラーの時代」と言われてクビにされました。でも、ヒーラーは防御魔法を使えませんよ?
小平ニコ
ファンタジー
「ディーナ。お前には今日で、俺たちのパーティーを抜けてもらう。異論は受け付けない」
勇者ラジアスはそう言い、私をパーティーから追放した。……異論がないわけではなかったが、もうずっと前に僧侶と戦士がパーティーを離脱し、必死になって彼らの抜けた穴を埋めていた私としては、自分から頭を下げてまでパーティーに残りたいとは思わなかった。
ほとんど喧嘩別れのような形で勇者パーティーを脱退した私は、故郷には帰らず、戦闘もこなせる武闘派聖女としての力を活かし、賞金首狩りをして生活費を稼いでいた。
そんなある日のこと。
何気なく見た新聞の一面に、驚くべき記事が載っていた。
『勇者パーティー、またも敗走! 魔王軍四天王の前に、なすすべなし!』
どうやら、私がいなくなった後の勇者パーティーは、うまく機能していないらしい。最新の回復職である『ヒーラー』を仲間に加えるって言ってたから、心配ないと思ってたのに。
……あれ、もしかして『ヒーラー』って、完全に回復に特化した職業で、聖女みたいに、防御の結界を張ることはできないのかしら?
私がその可能性に思い至った頃。
勇者ラジアスもまた、自分の判断が間違っていたことに気がついた。
そして勇者ラジアスは、再び私の前に姿を現したのだった……
異世界でのんびり暮らしたい!?
日向墨虎
ファンタジー
前世は孫もいるおばちゃんが剣と魔法の異世界に転生した。しかも男の子。侯爵家の三男として成長していく。家族や周りの人たちが大好きでとても大切に思っている。家族も彼を溺愛している。なんにでも興味を持ち、改造したり創造したり、貴族社会の陰謀や事件に巻き込まれたりとやたらと忙しい。学校で仲間ができたり、冒険したりと本人はゆっくり暮らしたいのに・・・無理なのかなぁ?
一番モテないヒロインに転生しましたが、なぜかモテてます
Teko
ファンタジー
ある日私は、男の子4人、女の子4人の幼なじみ達が出てくる乙女ゲームを買った。
魔法の世界が舞台のファンタジーゲームで、プレーヤーは4人の女の子の中から1人好きなヒロインを選ぶ事ができる。
・可愛くて女の子らしい、守ってあげたくなるようなヒロイン「マイヤ」
・スポーツ、勉強と何でもできるオールマイティーなヒロイン「セレス」
・クールでキレイな顔立ち、笑顔でまわりを虜にしてしまうヒロイン「ルナ」
・顔立ちは悪くないけど、他の3人が飛び抜けている所為か平凡に見られがちなヒロイン「アリア」
4人目のヒロイン「アリア」を選択する事はないな……と思っていたら、いつの間にか乙女ゲームの世界に転生していた!
しかも、よりにもよって一番モテないヒロインの「アリア」に!!
モテないキャラらしく恋愛なんて諦めて、魔法を使い楽しく生きよう! と割り切っていたら……?
本編の話が長くなってきました。
1話から読むのが大変……という方は、「子どもの頃(入学前)」編 、「中等部」編をすっと飛ばして「第1部まとめ」、「登場人物紹介」、「第2部まとめ」、「第3部まとめ」からどうぞ!
※「登場人物紹介」はイメージ画像ありがございます。
※自分の中のイメージを大切にしたい方は、通常の「登場人物紹介」の主要キャラ、サブキャラのみご覧ください。
※長期連載作品になります。
異世界でタロと一緒に冒険者生活を始めました
ももがぶ
ファンタジー
俺「佐々木光太」二十六歳はある日気付けばタロに導かれ異世界へ来てしまった。
会社から帰宅してタロと一緒に散歩していたハズが気が付けば異世界で魔法をぶっ放していた。
タロは喋るし、俺は十二歳になりましたと言われるし、これからどうなるんだろう。
またね。次ね。今度ね。聞き飽きました。お断りです。
朝山みどり
ファンタジー
ミシガン伯爵家のリリーは、いつも後回しにされていた。転んで怪我をしても、熱を出しても誰もなにもしてくれない。わたしは家族じゃないんだとリリーは思っていた。
婚約者こそいるけど、相手も自分と同じ境遇の侯爵家の二男。だから、リリーは彼と家族を作りたいと願っていた。
だけど、彼は妹のアナベルとの結婚を望み、婚約は解消された。
リリーは失望に負けずに自身の才能を武器に道を切り開いて行った。
「なろう」「カクヨム」に投稿しています。
虹の騎士団物語
舞子坂のぼる
ファンタジー
昔々、神様は世界をひとつにできる架け橋、虹を作りました。
けれど、世界はひとつになるどころか、いつまで経っても争いがなくなりません。
悲しんだ神様は、一筋の涙を流しました。
涙が虹に落ちると、虹は砕け、空から消えました。
それから、虹が空に現れることはありませんでした。
でもある日、砕けた虹のカケラが、ある国の9人の少女の元にとどきます。
虹の騎士団と呼ばれた彼女たちが世界をひとつにしてくれる、最後の希望になった。そのときのお話です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる