魔法少女になれたなら【完結済み】

M・A・J・O

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第一章 少女たちの願い(後編)

攻撃が全く効かない

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「――増幅ブースト!」

 そう紡ぐと、結衣の身体がものすごい速さで移動する。
 もしかしたら、瞬間移動に匹敵するほどの力を秘めているかもしれない。

 だが、そんな力をものともしないように、明葉は躱す。
 そして、明葉が目を瞑ると、明葉の周りに風が舞い上がる。
 明葉を囲むように天まで伸びる風は――まるで竜巻だ。

 龍だけに。……みたいなギャグでも披露する気なのだろうか。
 全くもって笑えない。

「そんなものっ! ――防壁バリア!」
「うふふっ。堪忍なぁ……」

 結衣は増幅魔法をすばやく解き、別の詠唱を紡ぐ。
 だが明葉は、そんな結衣を嘲笑うかのようにして呟く。

 そして明葉は目を開き、橙色の瞳を揺らす。
 すると、竜巻が結衣を目掛けて突進してくる。

 天高く伸びた竜巻は、まるで天変地異のようだ。

 魔法でできた盾をも、たやすく破壊できそうなほどの嵐が舞う。
 そんなものを前にして、結衣はどうすればいいのか一瞬迷う。

 だが、結衣は真っ直ぐ目の前の化け物を見据える。
 怖がっている暇があったら、これに抵抗できる方法を探すべきだ。

 結衣はガーネットを目の前に持ってきて、竜巻目掛けて鉄砲玉を打ち出す。

「全力全開!! ――大砲バング!」

 鉄砲玉が打ち出された部分だけ、竜巻が消える。
 だが、完全に消えたわけではなく、すぐさま復元される。

「そんなっ――!」

 全力の攻撃を繰り出しても、それが通用しないなんて――!

 結衣はあせる。
 こんなんじゃ、いずれ――いや、今すぐにでもやられてしまう!

 どうしよう。どうすれば。
 そんなような言葉しか、頭の中に浮かんでこない。
 目の前に“死”が迫っているのに、何も出来ない自分が悔しくなってくる。

 目の前が絶望に染まる。

 黒くなった雲から、大量の水が流れ出す。
 滝のように流れる雨に、結衣たちの身体が叩かれる。

 それはまるで、この世に生まれたことを後悔させるような雨だ。
 そんな雨が、容赦なく降り注ぐ。

 結衣は耐えきれなくなって、膝から崩れ落ちた。
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