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第一章 少女たちの願い(後編)

助けて欲しい人がいる

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 痛みが奔る。
 これは頭痛か、それとも――

「ぐっ……!」

 発作だ。
 あの日から今までずっと続いている。

 心臓が悲鳴を上げて、張り裂けそうなほど鼓動している。
 苦しい。痛い。悲しい。

「も、もう……やめ……ろ……」

 今までの嫌な記憶が、走馬灯のように一気に押し寄せる。

『……は、友…………じゃ……』
「う、あ……」

 やめろ。やめてくれ。もうそれ以上は、壊れてしまう。

「あ……っ、ああああああぁぁぁ!!」

 そこで、意識は途絶えた。

 ☆ ☆ ☆

「つい貰っちゃたけど……食べるわけにいかないよね、これ……」
「そうですねぇ。なにが入れられているか分かったもんじゃないですしぃ」

 場所は変わり、結衣は自分の部屋でまだ悩んでいた。
 このチョコレートパフェをどうするのかを。

 勉強机に腰掛け、チョコレートパフェを眺める。
 だけど、いい案が見つからない。

「これ……どうしよう……」
「なにがです?」
「いや……このまま捨てるのも勿体ないよな~って思って」
「あぁ~、なるほどぉ」

 そうしている間にも、刻一刻と時間が過ぎていく。
 仕方なく捨てようと席を立ったその時。

 どこからともなく、風が吹いた。
 開けていた窓から、和服の狐が入ってきたようだ。

「結衣おねーさん……」
「夏音……ちゃん……?」

 和服の狐――夏音は、今にも泣きそうな顔で結衣を見る。
 結衣はと言うと。

「なんで窓から入ってきたの……」

 そこにツッコまずにはいられなかった。
 だが――
 既に日が沈み、蒼い光が窓から射し込んだ。

 電気をつけることを忘れていて、結衣の部屋はじんわりと闇に包まれる。
 そんな雰囲気に、ふざけている場合ではないと感じたのか。
 いつも騒がしいガーネットが大人しい。

 結衣もツッコんでる場合じゃないと、頭を掻く。

「それで……何があったの?」

 そして、夏音がここを訪れた理由を訊く。
 結衣が訊くと、夏音はぎゅっと拳を握りながら言った。

「結衣……おねーさん。あいつを――救ってやって欲しいんですにゃ」

 夏音は堪えきれなかったのか、大粒の涙を流す。
 夏音が誰かを想って涙を流している。
 そのことに、結衣は嬉しくもあり――

 それと同時に、嫌な予感がしたのだ。
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