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第一章 少女たちの願い(後編)

何が言いたいの……?

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「――で、何すればいいの?」

 光の速さで飛び起きた結衣は、はやぶさの如く体をガーネットの方に向けて訊いた。

「うむ、よかろうですよ! 実はですねかくかくしかじか」
「分かった!」

 雨の音が遠くで降り注ぐ。
 明日は晴れるかな。そんなことを思いながら。

 ☆ ☆ ☆

「はぁ……疲れた……」
「何言ってんですか結衣様! ほら、あと少しですからぁ」
「あー、はいはい。分かったよ……」

 結衣たちはガーネットが集めたという“本”を漁っていた。
 その本は、以前せーちゃんと戦う前に見た『魔法使いの願い事』というタイトルの本だ。

「ていうか……ここから何を研究すればいいの……?」

『魔法使いの願い事』という本はシリーズものなのか、七冊もあり、そのどれもが揃いも揃って分厚い。
 さすがに、本好きの結衣でも気が滅入る。

「この物語、どこか私たちの状況と似通っていると思いません?」
「……え?」

 ガーネットの突然の問いかけに、思わず顔を上げる。

 だが、ガーネットはその問いかけに対する答えなんて初めから気にしていなかったのか。
 か細く出ていた声が嘘のように、いつも通りになる。

「なんでもありませぇん! あ、そうそう。この本を読めば魔法の威力が上がるみたいですよぉ?」

 空回るような元気さに、結衣は少し胸騒ぎがした。
 それは外の大荒れの天気のようで。結衣はその思考を遮るように、再び読書に戻った。
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