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第一章 少女たちの願い(前編)
やれると思ったのに……
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「はぁ……はぁ……」
あぁ、嫌なことを思い出してしまった。
それと同時に、夏音の周りにどんどん黒い影が増えてゆく。
せーちゃんのせいで、思い出したくないことを……思い出してしまった。
せーちゃんのせいで、夏音はここまで怒り狂っている。
どれもこれも全部、目の前のお姉さんのせいだ。
夏音はせーちゃんを睨む。
せーちゃんは涼しい顔を崩さず、夏音を見つめ返す。
「どうしたの? そんなに怖い顔して」
わかっている。ノっちゃダメだ。
相手は夏音が攻撃するのを待っている。
その上で、夏音のことを負かす気でいると思う。
そんなの、させない。させるわけない。
夏音が黒い影に目配せすると、黒い影は一斉にせーちゃんさんの周りを囲む。
そしてせーちゃんを、攻撃せずに待機する。
そう、それでいい。
夏音はニヤリと嗤い、
「とった――ですにゃ!」
瞬間。せーちゃんさんの背後に、跳んだ。
これで、忌々しい気分も少しは晴れるだろう。
そう考えたら、何だか――
「――防壁!」
「――!?」
……何の悪夢だろう、これは。
そう思うことしか出来ない、目の前の悪夢。
「せーちゃん! 大丈夫!?」
「ん? え? 結衣!?」
この異能力での突進。せーちゃんと言えど、多少のダメージは与えられる。
そう、考えていたのに。
「邪魔……です、にゃ……」
あぁ、なんで……
「せーちゃん……これ、やばくない?」
「ええ、ごめんなさい。ちょっと煽りすぎたかもしれないわ……」
いつもいつも――
「夏音は……なんでいつも――」
上手くいかないのだろう……
あぁ、嫌なことを思い出してしまった。
それと同時に、夏音の周りにどんどん黒い影が増えてゆく。
せーちゃんのせいで、思い出したくないことを……思い出してしまった。
せーちゃんのせいで、夏音はここまで怒り狂っている。
どれもこれも全部、目の前のお姉さんのせいだ。
夏音はせーちゃんを睨む。
せーちゃんは涼しい顔を崩さず、夏音を見つめ返す。
「どうしたの? そんなに怖い顔して」
わかっている。ノっちゃダメだ。
相手は夏音が攻撃するのを待っている。
その上で、夏音のことを負かす気でいると思う。
そんなの、させない。させるわけない。
夏音が黒い影に目配せすると、黒い影は一斉にせーちゃんさんの周りを囲む。
そしてせーちゃんを、攻撃せずに待機する。
そう、それでいい。
夏音はニヤリと嗤い、
「とった――ですにゃ!」
瞬間。せーちゃんさんの背後に、跳んだ。
これで、忌々しい気分も少しは晴れるだろう。
そう考えたら、何だか――
「――防壁!」
「――!?」
……何の悪夢だろう、これは。
そう思うことしか出来ない、目の前の悪夢。
「せーちゃん! 大丈夫!?」
「ん? え? 結衣!?」
この異能力での突進。せーちゃんと言えど、多少のダメージは与えられる。
そう、考えていたのに。
「邪魔……です、にゃ……」
あぁ、なんで……
「せーちゃん……これ、やばくない?」
「ええ、ごめんなさい。ちょっと煽りすぎたかもしれないわ……」
いつもいつも――
「夏音は……なんでいつも――」
上手くいかないのだろう……
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