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第一章 少女たちの願い(前編)

懲りずにまた……

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「――で、懲りずにまた七不思議を調べる、と」
「もう、こうなった……ら……全部……確認、する!」
「真菜様はタフですねぇ……」

 結衣たちは理科室を離れ、音楽室に来ていた。

 図書室とは別校舎にある、学校の最上階の一角にある音楽室。
 それは、改装されたばかりで新しく、七不思議とは無縁であるように見える。

「七不思議その三、勝手に音楽室のピアノが鳴り出す、か……なんかすごく先が見えるっていうか、分かっちゃうっていうか……」
「なんかもうフラグ立っちゃってるっぽいですよね~……」

 これが世界の摂理……グッバイ、オカルト……グッバイ、七不思議……

「……ぇ、ねぇ、結衣……? 聞いて……るの??」
「へあえ?? も、もちろん!」
「絶対……聞いて……なかった……でしょ……」
「ごめんなさい……」

 そんな風な会話を交わし、結衣たちは改めて音楽室を見た。
 とてもじゃないが、音楽室でオカルト的な出来事が起こりそうにないように思える。

「……音楽、室も……鍵かかって、たら……どう……しよう」
「あー、確かに。ガーネットって鍵をあけれる系の魔法とか使えないの?」

 真菜が言い放った不安の言葉に反応し、結衣はガーネットを見やる。
 ガーネットは、「ふむ……」と言うと、

「やれないこともないと思いますがぁ……ドアごとぶっ飛びますよぉ?」
「そんなバイオレンスは求めてないよ……」

 ぶっ飛んだ言葉を放つ。
 そうそう上手くいかないものだよな……と、結衣は年に似合わず悟っていた。

「あ、普通に……開いた……よ」

 結衣が悟っている間に、真菜はドアが開くか確かめていたらしく、鍵がかかっていないことがわかった。

「はー……良かった。帰れないところだったよ……」

 最後の一言は真菜に聞こえないように、ボソリと呟く。
 真菜は不思議そうに小首を傾げていたが、七不思議の方が興味津々だったのか、しばらくしたら興味無さそうにしていた。

 そして、真菜は自然に我が物顔で入っていく。
 結衣はため息をつきながら、それについて行った。
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