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第一章 少女たちの願い(前編)
天使との遭遇
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「はぁーい! ねぇ、あなた――水無川真菜さん……ですよね?」
「……はい?」
春見市立、咲姫小学校。
つまり、真菜と結衣の通っている小学校に、唐突に天使が現れた。
気の抜けるような……天然そうな声が響く。
「なんで疑問形なんですかぁ~!」
天使はプクーと頬を膨らませて、プンスカという擬音を伴って響いた声に。
真菜は多少イラつきながら答える。
「いえ……どういう……用件なの……かなと、思いまして……」
「どういう……と言われましてもぉ……」
困ったように続いた一言に――真菜は全てを奪われた。
「椎名結衣さんと――仲がいいんですよね?」
ニッコリと――だが、悪意の伴った笑みを浮かべる眼前の天使を。
真菜は目を剥いて見つめることしかできなかった。
真菜は天使の質問にどう答えていいか分からず、ただ佇んでいた。
――……しばらく沈黙が続く。
その静寂さに耐えられなくなったのか。
天使は桜色のワンピースを翻し、翼をパタパタとはためかせながら。
駄々をこねた子供のように宙を漂いながら言う。
「私は結衣さんの持っているガーネットが欲しいんですよ~! 神と似たような存在の魔法のステッキ――すごく興味があります!」
目を輝かせながらヨダレを垂らしそうになる天使の様は。
すごく気味が悪いものがあり、真菜は一歩後ずさった。
こんな得体の知れないものとは関わらない方がいい、真菜は内心そう思った。
だが、真菜のドン引きはどうでも良いのか。
天使の視界内に真菜の姿がありながらも、真菜のことは眼中に無いようだった。
そんな天使の様子を、真菜は遠巻きに半眼で見ながら思う。
――こいつは“敵”だ。と。
天使の純白の翼がそれを物語る。
それ以上に、結衣のことを知っているということが何よりの根拠だ。
探るように見つめる真菜の視線に。
天使はようやく気付いた様子で、怪訝そうに首を傾げる。
「……なんです? そんなに睨まないでくださいよ~。私……なんか変なこと言いましたかぁ?」
「いえ、別に……睨んでた……わけでは、ない……ので……」
そう言うと、先程までの天然っぽさは何処へやら。
顔に影を落として、不敵に嗤った。
「へぇ……?」
どこからともなく西洋劇みたいな風が吹く。
――妙な緊迫感が襲う。
真菜は一筋の汗を流し、天使と対峙する。
静かに影が揺らめく。
時間の流れがやけに遅く感じられる。
その時――
真菜の視界の端に、結衣が学校の校門にいるのが視える。
――まずい。なんだろう。とても嫌な予感がする。
この天使と結衣を会わせてはいけない気がする……!
「あのっ……!」
真菜が絞り出して放った声はだが、それを受け止めるはずのものがいなかった。
対峙していた天使は、忽然と消え去った後だったから。
「な、なんな……の……あい、つ……」
緊張の糸が解け、真菜はその場に力なく座り込んだ。
「……はい?」
春見市立、咲姫小学校。
つまり、真菜と結衣の通っている小学校に、唐突に天使が現れた。
気の抜けるような……天然そうな声が響く。
「なんで疑問形なんですかぁ~!」
天使はプクーと頬を膨らませて、プンスカという擬音を伴って響いた声に。
真菜は多少イラつきながら答える。
「いえ……どういう……用件なの……かなと、思いまして……」
「どういう……と言われましてもぉ……」
困ったように続いた一言に――真菜は全てを奪われた。
「椎名結衣さんと――仲がいいんですよね?」
ニッコリと――だが、悪意の伴った笑みを浮かべる眼前の天使を。
真菜は目を剥いて見つめることしかできなかった。
真菜は天使の質問にどう答えていいか分からず、ただ佇んでいた。
――……しばらく沈黙が続く。
その静寂さに耐えられなくなったのか。
天使は桜色のワンピースを翻し、翼をパタパタとはためかせながら。
駄々をこねた子供のように宙を漂いながら言う。
「私は結衣さんの持っているガーネットが欲しいんですよ~! 神と似たような存在の魔法のステッキ――すごく興味があります!」
目を輝かせながらヨダレを垂らしそうになる天使の様は。
すごく気味が悪いものがあり、真菜は一歩後ずさった。
こんな得体の知れないものとは関わらない方がいい、真菜は内心そう思った。
だが、真菜のドン引きはどうでも良いのか。
天使の視界内に真菜の姿がありながらも、真菜のことは眼中に無いようだった。
そんな天使の様子を、真菜は遠巻きに半眼で見ながら思う。
――こいつは“敵”だ。と。
天使の純白の翼がそれを物語る。
それ以上に、結衣のことを知っているということが何よりの根拠だ。
探るように見つめる真菜の視線に。
天使はようやく気付いた様子で、怪訝そうに首を傾げる。
「……なんです? そんなに睨まないでくださいよ~。私……なんか変なこと言いましたかぁ?」
「いえ、別に……睨んでた……わけでは、ない……ので……」
そう言うと、先程までの天然っぽさは何処へやら。
顔に影を落として、不敵に嗤った。
「へぇ……?」
どこからともなく西洋劇みたいな風が吹く。
――妙な緊迫感が襲う。
真菜は一筋の汗を流し、天使と対峙する。
静かに影が揺らめく。
時間の流れがやけに遅く感じられる。
その時――
真菜の視界の端に、結衣が学校の校門にいるのが視える。
――まずい。なんだろう。とても嫌な予感がする。
この天使と結衣を会わせてはいけない気がする……!
「あのっ……!」
真菜が絞り出して放った声はだが、それを受け止めるはずのものがいなかった。
対峙していた天使は、忽然と消え去った後だったから。
「な、なんな……の……あい、つ……」
緊張の糸が解け、真菜はその場に力なく座り込んだ。
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