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第一章 少女たちの願い(前編)

図書室には何かある……?

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 ――それは本当に突然だった。

「えーっと、魔法少女になってくださぁい!」

 この一言で全てが狂ったのだろう。
 運命の歯車と言うか、そういうものが。

 結衣にとって当たり前の日常を壊され、普通とは違った小学生にされてしまった。
 常識なんて鼻で笑い、有り得ない事を平気でやってのける“魔法”のような力を手に入れてしまったのだ。

 そうなった原因は、多分アレではないだろうか。

 時は、数時間前に遡る……

 ☆ ☆ ☆

 結衣はその扉を開けた。
 その扉の先には、結衣にとっての天国――図書室がある。
 そこを真っ直ぐ歩いて、結衣は窓の外を見やる。

 結衣の通っている小学校は春見はるみ市立、咲姫さかき小学校。
 その校舎は、自然を体現したような黄緑色をしている。

 そしてその学校は、グラウンドに植わっている、天まで高く伸びたメタセコイアが特徴的だ。
 図書室は学校の最上階にある。にも関わらず、メタセコイアの方が高い。

 結衣は視線を変え、図書室の中を見やる。

 結衣の学校の図書室は結構変わっていて、魔導書やら妖についての本やら……オカルト的な本が沢山置いてある。

 初めは結衣も疑問に思っていたが、結衣がオカルト好きなだけあって、結衣にとって宝物庫のような場所になりつつあった。
 そのため、あまり深くは考えなかったのだ。

 この時から既に運命の歯車とか、そういうものが廻っていたのだろう。

 しかし、その時の結衣はそれに気付かず、いつも通りオカルト系の本を漁っていた。
 すると――

「え、な、何……?」

 何か軽い物が、床に落ちたような音がした。
 図書室の本はいつも、図書委員の人達が綺麗に並べてくれているのに。

 不思議に思った結衣は、音のした方へそっと静かに歩いていく。
 音を立てないよう、慎重に足を運んでいる。

 結衣以外誰もいないのだから、物音がするはずがないのだ。
 そして音のした場所の近くまで来ると、本棚の陰からチラッと顔だけを向けてみる。

 しかし――

「なんだ……何も無いじゃん……」

 そう、落ちていたであろう“何か”も、本棚の変化も、何も無かった。
 だが、それが却って結衣の好奇心をくすぐった。

 普通なら気味が悪いと思うだろう。
 しかし、結衣はオカルト好きなだけあって、ホラー系も割と好きなのだ。

 だが、これでは音の正体を調べることが出来ない。
 どうしようか……結衣がそう悩んでいると、下校時刻を報せるチャイムが鳴った。

「あ、やっば!」

 結衣はそう言うと、急いで帰りの支度をし、慌てて図書室から飛び出す。
 結衣は急いでいたせいか、本棚の陰に潜んでいたモノに気付くことが出来なかった。
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