鈍感王子の背徳なる性事情

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第八話

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 放課後は各々の時間を過ごすため生徒の動きは早かった。
 レイモンドが遠く離れた席から近寄ってきて頭を下げる。

「それでは今日も先に失礼します」
「ああ。特訓がんばれよ」

 俺は笑顔で見送ったあと、そばにいたティアの方へ視線を向ける。レイモンドは人前でティアと幼馴染の関係を話さないので、基本目を合わせないようにしている。
 そういえば昔は目を合わせて小さく笑っていたが、いつからこんなことになったのだろう。かつて三人で笑い合っていた時を思えば少し寂しくも思った。
 おそらく貴族としての自覚が芽生えたのだろうが、当時のティアは地味にショックを受けていたので慣れない励ましをした覚えがある。
 ティアは立ち去ったレイモンドの背を見ていた。
 その背がようやく見えなくなってから俺の視線に気が付いたのか、慌てて居住まいを正して取り繕う。

「レイモンドも来れたらよかったのにな」
「……はい」

 目を伏せて、絞り出したように答えたティアはその後薄く笑みを見せると思い出したようにして、

「お茶会の準備をしますので、離れさせていただきます」
「頼んだぞ。俺もエリノーラが来たらすぐに向かう」
「失礼します」

 深く頭を下げてから、先ほどのレイモンドと同じように教室から出て行く。
 俺もそれを見送ってから、エリノーラが来るまでの間を本でも読んで待っておこうとページを開こうとした時、それは阻まれた。

「その、王子。もしかして今日は暇だったりするの?」

 声をかけてきたのは、同じクラスに在籍する女生徒だった。わずかに青がかった緑髪の横髪を照れるようにして指でいじりながら尋ねてくる。

「どうした、何か用があるのか?」

 俺は本を机に置いて、声をかけてきた少女の方へ体を向いて尋ね返した。お茶会があるので暇ではないが、要件を聞いてから判断しても遅くはない。

「その、さ……休みのときうちの子たちが、次いつ遊べるかってうるさくて……あと友達からケーキバイキングの券もらったから一緒にどうかな、って」
「なるほど」

 モジモジといじらしく遊びに誘う姿はまるで純情可憐な少女ではあるが、その実態は極度の照れ屋である。

 彼女の名前は、テシア。
 身分は、平民。魔法学園では珍しい庶子の人間で、男親が誰かは知らないらしい。
 そして俺が強引に入学させた幼馴染である。

 というのも、ティアやレイモンドとは別口で、お忍びで偶然孤児院に訪れたとき、児童たちと一緒になって遊ぶテシアと出会った。
 その時のことは未だ鮮明に覚えている。魔法を自在に操って、風で屋根を越えるくらいの高さの「たかいたかい」をしていたのだ。目を疑う光景だった。
 思わず貴族かと訊いた時にテシアは「平民よ」と答え、訊いた質問がそのまま返ってきたので俺も「平民だ」と答え、風の魔法で着地法を教わったのが今では懐かしい。

 テシアは活発な少女で、孤児院で会うたびに風の魔法を教える俺に対して姉顔をしていたが、ある時を境にして照れを見せはじめた。孤児院の子たちが俺たちを指差して夫婦だ夫婦だと囃し立てたのが原因である。

 テシアは必死に否定していたし「あんたも否定しなさいよ!」と突っかかってきたので、ハハハと笑い飛ばしたら空へ吹き飛ばされたりもした。
 今思えばお忍び中だからとはいえ護衛が動かなかったのはラッキーだった。もし俺が着地をミスして怪我の一つでも負えば今ごろテシアは……。

 だが、そんなふうに馴れ馴れしくなりはじめて、強気に思える態度の裏はただの照れ隠しなのだとようやく分かるようになった。
 そんな時、俺にとって一つの転換期が訪れた。
 それは、ティアが専属メイドとして雇われることになる話である。それからはお忍びで城を出る機会も減った。城で心細いだろうティアを置いて行くことは良心が痛んだし、まさか共犯にしてティアが叱られるようにするわけにもいかない。

 だから俺はその時、テシアに王太子の身分を明かして言ったのだ。
 『俺の配下ものになれ』と。
 幼馴染でいた時間や遊んだ回数など、ティアたちの方が圧倒的に多かったとしても、テシアや孤児院の子たちと遊んだ時間もまたかけがえのない時間だったのだ。
 これを機に失うなんて惜しいと思った。だからこその提案で、突然のことに頭を真っ白にさせているテシアに向けて手を差し出せば、条件反射のように握手がされて無事テシアは将来の側近候補として俺に流されるまま魔法学園の生徒になった。

 それからはお忍びではなく、配下の家庭訪問という名目でティアやレイモンドと共に平民街へ立ち寄り、そのまま孤児院に訪れて遊ぶようになった。テシアも俺の身分を知って無理に言葉を変えようとしていたがティアとは違ってぎこちなさが消えなかったので王子と呼べばそれでいいことにしている。

 兎にも角にも、テシアとは長い付き合いになる幼馴染ということだ。
 だから遊びに誘われるのは自然なことだったし、それをおかしいとは思わなかった。だが、遊びの予定となると今日のところは断らざるを得なかった。

「魅力的な提案だが、実はこれからお茶会の予定が入っていてな……」
「王子がお茶会? ティアたちと?」
「ティアはそうだが、レイモンドは来ないらしい。というかまだお前には話してなかったな。おそらく今月末にはお披露目会があるだろうが俺の婚約者が決まってな」
「あ……」
「レイモンドの妹のレイチェル嬢だ。孤児院の子たちと同じ歳で一年でな、少女趣味呼ばわりされないか心配してるところだが、その子にお茶会に誘われたんだ」
「そ、そう……なんだ…………よ、良かったわね、おめでとう! なら邪魔できないみたいだしあたしも今日は帰るわね?」
「悪いな。孤児院にも次は顔を出す。なんならこれからテシアもお茶会に来るか?」
「……ううん、やめとくわ。じゃ、また明日ね!」

 テシアが俺の言葉も聞かず立ち去って行くのを呆然と見送る。

「なんだったんだ?」
「ジルクニール様は鈍感なんですね」

 すると、今度は前の方から声をかけられる。テシアたちが去っていった扉とは違う前の方から入ってきたのだろう。
 そこにはいつの間にかエリノーラが、同じようにしてテシアの立ち去るところを見つめていた。

「鈍感? なにが?」
「そういうところも大好きですよ」
「なんだかお前のことが苦手になってきたぞ」

 ふふっ、とエリノーラが頬に手を当てて目尻の下がった笑顔を向けてくる。
 テシアを最後に教室からはすでに人気がなくなったからか、もはや歯止めが効かないくらいの好きを全身で伝えてくる。

 周囲に人がいないときに全てを見せてくるところが愛おしくもあるが、ティアと違って受けに回ることが多いためこそばゆい気がして照れてしまいそうになる。

「じゃあ行くか。ティアももう準備が終わったところだろうからな」
「はい」

 俺は席を立って、本を片手に抱えながら教室を出る。
 エリノーラを後ろに歩き、目指すのは学園寮の最上階、俺専用のフロアのサロンである。


 通りがかる他生徒たちの視線に晒されながらも、俺は声をかけてくる女生徒に手を振りながら一直線に学園寮へ足を運ぶ。
 その道中のことだった。
 学園の校舎前の噴水がある広場で、四人組の影があった。
 ベンチに二人の女子が腰掛けて、その前に二人の男子が立って談笑している。

「あれは……」
「ネクトたちとレイチェルたちだな」

 これから茶会を開くということも忘れてそうな楽しげに笑顔が溢れる様子に微笑ましく感じる。俺にとってもティアやレイモンド、テシアなど、幼馴染との関係は特別なものだからそれが楽しいことなど分かりきっていた。

「できれば水は差したくないんだがな」
「私が呼んできましょうか?」
「いや、そんなことでメイドを使うほど情けない主人はいないだろう」

 俺は立ち止まって、レイチェルたちの方に足を運んだ。
 すると、女子たちは俺に気がついた反応を見せるが、背中を向けていた弟たちは俺の存在に全く気がついてないようだった。

「ネクト、ラレス」

 背後から声をかけると二人がビクッと肩を震わせ振り返る。いや、そんな驚くことないだろうに。
 油断しているところに突然背後から声をかけられたからだろう。ネクトとラレスはまるで怯えるように目を向けてくるので俺は心から優しく見える笑顔で手を挙げた。

「よう、今朝は会えなかったから昨日ぶりだな、ネクト、ラレス」
「お……はい、お兄様。それに……エリ姉さんも」
「……ええ、ご無沙汰しています。お兄様、エリノーラ姉さん」
「ええ、お元気そうで何よりです」

 ふーむ。やはり弟らは俺に向けた何かしらの感情があるらしい。
 ネクトはすぐに落ち着いたように見せかけて、エリノーラに力なく笑って挨拶をした。
 対してラレスは晩餐会の時と同じく、俺の目をじっと伺うように覗いている。何か疑う……ではないな、何かを知りたがる視線だ。

 昔は二人とも「さすがお兄様です!」と言って魔法をせがんできては遊んでやってたのだが、精通が自分たちより遅いことを知って失望したのだろうか?
 前にネクトの前でティアの額に口付けしたが、それもお子様の遊びの範疇として捉えられていたのかもしれない。

 いつか情けない兄像を払拭するために女を満足させた体験談でも語ればいいのだろうか。性教育が行われるのは継承権一位の俺のみなので、からだ的には負けてしまったが女を知ったのは俺が先である。流石に俺の女の裸を見せる気にはなれないから信憑性が薄れるかもしれないが、経験談を語ることはいいアイデアかもしれない。

 またいつか慕ってくれるように頑張るか。
 そう決意して今度はレイチェルの方を見る。

「弟たちと仲良くやってくれてありがとう、レイチェル。それにトトナも」
「いいえ、お礼を言われることではありません。それよりもお待ちしてました。サロンへは一緒に向かおうかと思いましたの」
「そうだったのか? なら先にティアを走らせたから準備ができているはずだし、もう行こうか」
「はい」

 レイチェルがベンチから立ってトトナも無言で立ち上がった。

「えっ……サロン?」
「今朝お茶会の約束してな。俺のことについて知りたいらしい。話中で悪いがティアも待たせているしレイチェルたちは連れて行くぞ?」
「ごめんね、ラレス。話はまた今度しましょう?」

 俺とレイチェルは驚きで固まっているラレスに向けて言葉を残した。

「その、エリ姉さんも、トトナもお茶会に?」
「はい」「うん」

 ネクトが参加者を気にしだしてエリノーラとトトナが一言で答えた。参加したいのだろうか。だが、もう準備は終わっているし、なによりティアを席に着かせるため、まだ俺の素顔に抵抗があるらしい弟たちを呼ぶ選択肢はなかった。

「また今度があればネクトたちも呼んでやろうか?」
「……はい、その時はお願いします」

 ネクトは消沈したように答えたが、それほどお茶会に参加したかったのだろうか。気の毒になるが心を鬼にして、レイチェルたちに「行こうか」と促してその場を去る。

 エリノーラに加え、レイチェル、トトナを引き連れてより注目が集まる中、学園寮に到着した俺たちは男子棟から最上階のサロンへ向かって昇降床に乗る。

「男子棟は装飾品が少ないのですね」
「男は優美より汗臭い訓練ばかりだからな」
「暗い?」
「反射するものが少ないだけだ」

 レイチェルとトトナははじめて入って女子棟との違いに感想をこぼしながら、昇降床が最上階、俺専用となっているフロアにたどり着く。

「お待ちしておりました」

 出迎えはティアだった。綺麗なお辞儀で俺たちを出迎え、顔を上げてから流れるようにサロンへと誘導する。

「どうぞ席へおかけください」
「ありがとうございますわ」

 レイチェルがティアに促されるまま腰掛けて、トトナはその隣へ座った。
 俺はレイチェルとは対面がいいだろうと判断して残りの席の真ん中に腰掛けると、ティアとエリノーラが腰掛けようとしないのを見た。

「どうした、座らないのか?」
「あの……本当に座らせていただいても宜しいのでしょうか?」

 エリノーラが問いかけてきたので、レイチェルの方を見る。俺はずっと構わない姿勢を見せているし、それについてはエリノーラも、そしてティアもよく理解しているところだろう。だとすれば、伺うべきなのはこのお茶会の提案者であるこの青髪の婚約者だ。

「だそうだが構わないよな」
「もちろんですわ。今朝も言いましたように、わたくしはあなた方にも興味があってお話ししたいのです。だからどうか遠慮せずにお座りくださいませ?」

 にっこりと邪気のない笑顔でレイチェルは答えた。

「だ、そうだが」
「……では、お言葉に甘えさせていただきます」
「……失礼します」

 エリノーラとティアが、俺の両隣の席についた。

 これで、一つのテーブルを五人で囲うことになった。
 目の前には用意されたデザートの山があり、中でもプリンアラモードが正面で強く主張している。
 ティアが俺の好みを伝え用意してくれたのだと思えば自然と口元が釣り上がったのが自覚できた。

「では、早速だが、無礼講だ。トトナもマナーとか気にしなくていいから存分に舌鼓を打って味わえばいい」
「……うん、わかった」

 そう言って、まさに早速。俺はプリンアラモードの容器を取ってプリンを掬い上げる。プルンプルンと揺れ動くこと、それは女体美に通ずる艶かしさがあった。

 揺れるといえばティアは慎ましやかでエリノーラの方が最適なのだろうが、この小さな甘味の骨のないしなり具合は、たとえ小さくても生み出せるという結論を出している。
 つまり、おっぱいに貴賎なし。
 思わずムクリと立ち上がったが、座っている限りバレることはないだろう。処理だってこのお茶会が済めば二人のメイドに頼むだけである。だから心配はない。
 今日はティアとエリノーラの乳を存分に味わおうと思いながら、プリンを口の中に放り込む。

 うん、美味い。

 気がつけば容器の中は空になっていた。
 俺は仕方なく容器を手放して、デザートを味わう女性陣を見る。レイチェルも笑いながら、多分笑っているトトナとデザートについて語っていた。エリノーラもレイチェルから話を振られては慣れたように笑顔で返している。みんな楽しんでもらえていると思えば、若干一名、緊張が解けていない奴がいた。
 ティアである。

 思えばティアも、俺とレイモンド、そしてつい最近加わったエリノーラとしか席を共にしたことがない。
 したことがないとは言うが、家格はまさに国の中枢レベルなのだが、それでも単純に接点のない令嬢複数といきなり、というのはまだ耐えきれないようだった。

「ティア」
「は、はい! ……ッ!?」

 緊張のため返事が大きくなったティアの太ももに片手を忍ばせる。すると、ティアはビクンと一瞬身体を震わせてから顔を真っ赤にして硬直した。

「ほら、口を開けろ」

 俺はそんな様子も無視してメイド服の上から太ももをなぞり、反対の手でクリームを乗せたスコーンをティアの口に持っていってやる。

 この行動にレイチェルもトトナも思わずと言った様子で固唾を呑んで見守ってきた。
 かと思えば、反対側から俺の立ち上がった股間目掛けて、エリノーラの手が机の下から這ってきた。この淑女め、俺がやってること見破ってたな。

 思わず年下の少女たちの前で情けない声を出しそうになって、そのまま反撃したくなったがティアが食べてくれるまで俺は動ける状態ではなかった。

「っ、ほら、あーんだろ」

 エリノーラが頂点をコリコリと弄り始めて、もはや収まりが効かないほどに立ち上がってしまった。
 早く食べてくれと心で訴えかけたのが伝わったのかティアは恥ずかしそうにしながら小さい方でちょっとだけ口に含んだ。かわいい。
 その様子に少しだけ勃起も宥められたように思ったが、すぐにエリノーラが中指のみで精子溜まりの袋をつーッ、と撫でてきて、ビンビンに立ち上がってしまった。
 エリノーラほんと今夜は覚えとけよ。許すつもりはないからな。

「どうだ、美味いだろ」
「はい……美味しいです」

 ティアの目は何故こんな恥ずかしいことをしたのかと問い詰め、そして何故俺が勝ち誇った顔をしているのか不満そうにしていた。だが、その顔も朱色に染められていれば形なしである。

 俺はティアの太ももから手を引いて、俺の股間を撫で続ける細指の束を捕まえた。そして、そっちがその気ならと今度はエリノーラの股に手を伸ばす。エプロンドレスの上からではあるが、その溝の先で、ふにっと確かな感触を得た。

「ッ♡」
「エリノーラ?」

 トトナが今度はビクンと震えたエリノーラの方は向いたが、「足をつったみたい。すぐに治ったけど」と即座に言い繕っていた。

 俺はそのままエリノーラの陰裂を服の上から攻め立てながら、股間に伸ばされた手の方を、ズボンから取り出し外の空気にさらされた肉棒へと誘導した。
 匂いはデザートの甘ったるい匂いに負けているのが救いか?
 そしてエリノーラの手に、俺の反り返った雄の象徴が直接触れることになる。

 すると、エリノーラはすべて了解したとでも言いたげに俺に微笑んでから、手首から先だけで上下に精子を絞る動きを始めた。手に収まりきらない肉棒を時折、傘の下を撫でるようにして我慢しても出てくる汁を絡めとりながらマッサージしてきた。

 もうヤケだ。無垢な少女たちの前だがさっさと鎮めて、こっそりと魔法で無かったことにしよう。

 子種が無駄にならないようリブートをこっそりと使って扱かせている間に、レイチェルが声をかけてきた。

「ジルクニール様はやはりティア様と親しい仲なのですね?」

 疑いの眼差しではなく、確信の言葉だった。
 しかもその目の色は好奇心一色で、やはりこの少女は普通とはまた別の感性を持っていると理解した。

「端的に言えば、俺とティアは、レイチェルの兄も含めて幼馴染だ」
「まあ! というと、私やトトナたちみたいに引き合わされたのですか? そういった話は聞きませんでしたが」
「残念ながら、ではないが、俺たちは親に引き合わされたんじゃなくて、出会ったんだ」

 そう言って、エリノーラの摩りが激しくなるのを我慢しながら回想する。
 戻るのは、まだティアが普通の平民で、錬金術師の家系としてポーション屋の娘をしていた時分である。

「ある時俺は、魔法学とか教えられたこともすべて理解して教師役が必要なくなってな。つまらなくなったから授業をサボって城を飛び出したんだ」
「お城をですか!?」
「ああ、魔法で穴掘りながら結界を通り抜けて、飛び出したんだ。で、平民街に出た時、はじめにティアと出会った」

 俺はティアの股に手を伸ばす。今ならいけると思ったが、レイチェルとトトナの視線は俺の顔へ向いているのでバレなかったようだ。回想している最中、突然の強襲に思わず顔を伏せたティアも、出会いの話を聞かされて恥ずかしがっているようにしか見えないだろう。

「ティアはその時、二人組の暴漢に絡まれていてな。思わず飛び出しそうになったとき、同じように飛び出しそうになったレイモンドと鉢合わせたんだ」

 俺はティアとエリノーラ両名の股に伸ばした手をシンクロさせて動かし、そして語りながら思いついた。
 手を止めてからティア片手を取り、俺の股間まで運んでくる。ティアはされるがままなのでよく見れば手が俺の方へ寄せられていることが丸わかりなのだが、なんとか勢いに任せることにして、エリノーラの肉棒を摩る手に触れさせた。

 ティアは驚いてチラッとエリノーラを見て、エリノーラも俺の意図を察してがティアに向けてにこりと笑い返していた。

 真っ赤になるティアの手を、俺の肉棒越しにエリノーラの手が掴み取った。二人の手でようやく包みきった俺の雄棒に当てられてか二人は小さくだが息を荒してゆっくりと上下に扱きはじめた。

「あの時は楽しかったな。ティアの手をとって暴漢から逃げ切ったんだ。レイモンドもそのすぐ後ろをついてきてな。それから三人で時間を示し合わせて遊ぶようになったんだ」

 若干だが、ティアの手に遠慮が消えて、肉棒を掴む強さがキツくなった。少しの変化だが、何も知らない令嬢の正面で二人の美少女メイドに性処理させているという状況では至高の変化だった。

 早くこの女たちを孕ませたいと思い、もう限界がそこまでやってきていた。

「どうしたのですか、ジルクニール様?」
「……?」

 レイチェルとトトナが、急に黙り込んだ俺を心配そうに見つめてくる。特にレイチェルなど、マナーも気にせず机を乗り出してくるから、その美しい幼顔が近寄って、俺はその目に興味のすべてが吸い寄せられるようにーー

 びゅるるーーッ、と、机の下で勢いよく天井に向かって精子が吐き出された。

 一瞬の気の緩みで全てが決壊した。
 全て出し切った時には、机の下は大惨事になっていることが窺えて、俺は気づかれないように《清潔/クリーン》を唱える。

「ふぅ……すまない、くしゃみが出そうだったが問題なかったみたいだ」
「そうですか。心配しましたが大事がなさそうでよかったですわ」

 何も知らないレイチェルの笑顔でもう一度勃ち上がりそうになるが、俺は竿越しに手を繋ぐティアとエリノーラを引き離してズボンの中に仕舞い込む。

 

 というかこんなことする気なかったのに、だいぶ頭が性欲に侵されている。エリノーラがきっかけだとしても、ティアを虐めようと手を伸ばしたのは紛れもなく俺が先行だった。

 今度、先達である父上に対処方法を聞き出そうと思いながらそのままお茶会は再開された。

「それで、どうしてティア様は今メイドになっているのですか?」
「あー、詳しくは言うつもりないからざっくり言うが、身請けした。で、メイドとして雇ってる」

 レイチェルの質問に答えて、まだ頬を染めているティアの頭を撫でる。
 ヘッドドレスごと優しく撫でていると、レイチェルが「なるほど」と俺とティアを交互に見てから頷いていた。

「なら、エリノーラお姉さまとはどうやってお知り合いに? ただの憶測ですが、エリノーラお姉さまは女貴族として立身するつもりなのだと思っていました。とても興味があります!」

 今度はエリノーラだった。
 ティアの頭を撫でるのをやめて、一旦考える。
 ティアの性教育は、この間レイモンドに話すことを嫌がっていたことから誰かに知られるのは避けたがっているだろう。エリノーラとの出会いとはすなわちティアとの初体験の現場だったので、これを誤魔化すとなれば嘘を言うしかなくなる。
 だが、それだけはやってはいけない。たとえ優しさだったとしても、上に立つ人間が言葉を違えることだけは絶対に否である。

 なるほど、政治で物言いがはっきりしない貴族の主張が多いのはこういうことか。
 こうして不利な状況に立ってみてわかる。だが、そんな逃げだけは許せなかった。
 というか、エリノーラは将来側室に迎える女である。ティアとは違い、正室のレイチェルには話しておく必要がある。

「エリノーラには一目惚れだ。そこで寝室に誘った。だから将来は側室になる予定で、今はまだ発表してないからおそらくメイドを名目に充てがわれたんだろうな」
「……寝室、ですか」

 目を丸くしてレイチェルはエリノーラの方を見た。エリノーラはかつての妹分に男と交わったことがバレて照れているが、お前、今さっきまで机の下でやったこと覚えてないのか? とんだ淑女さまだったぞ。

 レイチェルはしばらくエリノーラを見ていたが、エリノーラはついぞレイチェルと目を合わせようとはしなかった。
 諦めたレイチェルは堂々と正面を向く俺に向けて聞いてきた。

「ではもうキスもしたのですか?」

 キスどころではないのだが、寝室に誘うことが何を意味しているか分からないというわけではないだろう。

「まあ、キスはしたな」

 性交も中出しすら済ませたが。
 俺は正直に答えて、レイチェルの反応を見る。
 するとレイチェルは急に立ち上がって、俺の元までかつかつとヒールの音を響かせながら近寄ってきた。
 そして座っている俺に「椅子をひいてください」というのでそれに従えば、レイチェルが俺と対面になって太ももにのり、小さな尻の感触が制服越しに伝わってきた。

「えーっと、何のつもりだレイチェル?」
「キスです」
「キス?」
「エリノーラお姉さまとしたなら、正室のわたくしにだってキスをする義務があるはずではないですか?」

 そういって小さな鼻をぶつけてきて俺の目をずいっと覗き込んで密着してくる。
 まだ13の少女の体躯は小さいが、胸板に押し付けてくる胸の感触は少し前のティアくらいには膨らんでいた。

「義務も何もないんじゃないのか」
「わたくしとはキス、したくないんですか?」
「したくないというわけでは……」
「ならしてください」

 なんだこれ。
 初等生の許嫁にキスをせがまれている。少女趣味であれば歓喜ものだし、まぁ俺もいいというならやらせてもらいたい気持ちは確かにある。
 だが、わずかに残る良心が、まだ幼い少女を今から穢していいのかという葛藤を引き起こす。
 何より、ティアとエリノーラ、トトナが見ている前である。夜の裸同士の交わりならいざ知らず、ほとんど公共に似た場でこうも求められては調子が狂いそうになる。

「ちなみにキスするならどれがいい?」
「どれとは?」
「唇が触れるだけのやつか、舌同士を絡ませるやつか」
「エリノーラお姉さまとはどちらをしたんですか?」
「どっちも経験済みだ」

 なんならキスしながら子宮口に男性器をキスさせるところまでやったことがある。もちろんその後は中出しだ。

 レイチェルは少し悩んでから、答えた。

「では唇が触れるだけのやつで」
「舌は入れなくていいのか?」
「求めてくれるならそれでも構いませんよ?」

 今わかった。この悪戯げな笑い方、エリノーラにそっくりだ。将来、美少女に育った時はひたすら可愛がってやろうと思っていたが、今のうちから躾ける必要がありそうだ。

 俺はレイチェルの頭の後ろに手を回して、ゆっくりと唇を触れさせる。
 そしてそのまま、余ったほうの手で尻を撫でた。

 ビクンと、何が起こったのか理解できないレイチェルの唇を外から吸ってから、舌を閉じた口の間を撫でるように舐め回す。

 そして、尻を撫でていた手を、今度は股の方に伸ばせば、驚きで目を瞬かせ、「んぁ」と口を開いた。
 俺はすかさず何度も唇を舐めていた舌を侵入させる。スカート越しにまだ未熟だろう陰裂を上下に撫で回しながら、唾を送り込む。

「んっ……あ♡ ジルク……ニール様ッ♡」
「喋るな。今はキスに集中ひろ」
「こんなっ♡ キスじゃないれす♡ んチュッ♡」

 キス以外の何だというのか。ただ愛撫を追加しただけのキスである。
 俺はこの幼い婚約者を躾けるために、このキスだけで快楽を刻み込むつもりでいた。

「ダ、ダメぇ……♡ んっ♡ こんなの、ダメ、なのにぃ♡」

 俺はもうレイチェルの限界がそこまできていることを悟って唾液を送り込む。まだ幼い少女の婚約者に、そして親友の妹で弟の幼馴染を調教するという背徳が俺も高めてしまって、一度は耐えていた膨張も耐え切ることができず、ズボン越しにレイチェルの女性器に先端を擦り付けていた。

「レイチェル、どうだ、気持ちいいか?」
「気持ちいいですッ♡」
「ならこれからは毎日気持ちいいことしてやる。放課後は今日みたいに俺の帰りを待ってろよ」
「分かり、ました♡ 毎日♡ 待ってますッ♡ んっ♡ チュッ♡」

 俺はラストスパートをかけて、服の上からグイッと割れ目を刺すように中指を立てる。
 すると、レイチェルは体をガクガクとさせて、背中をのけぞって叫んだ。

「ッゃあああああ♡♡♡」

 今日のお茶会が、学園内の一般施設にあるサロンなら、同じフロアの人間にバレていただろう大きな嬌声。
 まだ幼く本来なら手を出してはいけない少女を女にしているという実感が、俺の興奮も高めていた。そしてーー。

「くっ」

 ーーびゅっ、びゅるるっ、びゅるるるるッ! と。
 ズボン越しにレイチェルに子種を仕込みたいという思いが暴発し、長い射精が続いた。パンツの中でだからか不快がすぐにやってくるが、どうやらレイチェルの股までシミがたどり着いたようでその一点については満足に足るものだった。

 俺は脱力したレイチェルを足の上に乗せて抱きつかせたまま《清潔/クリーン》を使用した。あとは無害判定された水分だけが残ったが、これで匂いは残らないのであとは乾かせば証拠隠滅完了だ。

 そう思っていると、3つの視線にようやく気がついた。

「ジルクニール様……」
 エリノーラがどこか呆れ気味に。

「殿下……」
 ティアが顔を真っ赤に上目遣いに。

 そして……紫髪のツインテールが目の前にある。彼女の存在を忘れているのが一番の問題であった。

「…………」

 トトナが無言で、レイチェルに抱きつかれている俺をじっと表情を変えずに見続けていた。
 俺は、このレイチェル調教劇を口止めするための方法を今までにない速さで考え始める。

 中にはレイチェルと同じように調教してしまうことも考えたが、そんな理由で行為に及ぶことは俺自身躊躇いができてしまう。
 だから諦めて、おとなしく対話の道を選ぶことにした。

「トトナ」
「……なに?」

 魔法人形の名に恥じない抑揚のない声が、今は俺を非難しているように聞こえてならない。
 いまだもたれかかっているレイチェルの頭を撫でながら、俺は弁明を開始する。

「これは事故だった」
「事故?」
「そうだ。本当はこんなことにするつもりはなかったんだが、男の欲望っていうものは一度昂ぶれば止まらないらしい」
「それって事故?」
「事故だ」
「……事故なんだ」

 丸め込み成功である。
 俺はレイチェルを持ち上げて手の中で向きを反転させる。そして、俺を椅子にして座らせた体制にしてから、ちぎったスコーンを蜂蜜につけて息を荒くしているレイチェルの口に運んだ。

「ほら、レイチェル。あーん、だ」
「はぁ……はぁっ……あーん」

 パクッと俺の指まで加えて食べたのをトトナに見せて、一度頷く。ほらな、嫌がってないレイチェルも悪いのだ。

「なんならトトナもして欲しいならしてやるぞ?」

 無理矢理はしないつもりだが希望するならやむなしである。その姿勢で尋ねると、トトナは少ししてから「別にいい」と断った。

 とりあえずは大丈夫、なのか?
 性欲に振り回されたとはいえ、第三者がいるのはだいぶ危険な状況だった。今度からは気をつけないといけないとは思うが、レイチェルと勢いでとはいえ約束した以上は、処女はともかくとして調教は続けようと思っている。
 なにせ将来の正室だ。ならばその時までに自分好みに育てておくのも一興だろう。
 婚姻前に手を出していることは問題だが、これ以上バレないように気をつければいいだろう。

「なんか悪いなトトナ。お茶会を潰してしまったみたいで」
「……いい。びっくりしたけど、興味深いことができた」

 興味深いこと? よく分からないが、男女の交わりについて興味があったのか。
 俺はレイチェルの頭を撫でて、ある違和感に気がついて少女の顎を摘んで持ち上げる。
 すると、レイチェルは顔を赤くしながらだがすでに息も整っていて、俺の顔を理性の戻った青い目で見上げていた。

「なんだ、もう復活してたのか」
「明日もまたしてくれますか?」
「もちろんだ。約束は守る」
「わたくし、ジルクニール様のことよく知れた気がします」

 すると、今まで黙っていたエリノーラが、ムッとしたように口を開いた。

「ジルクニール様はもっとすごいですからね? ねえ、ティアさん」
「わ、私!? え、えっと……い、言えないですよ!」

 巻き込まれたティアが恥ずかしがって口を閉ざす。




 流石に今日はもうお開きにしたほうが良さそうなので、俺は机の上の余ったデザートを包んでから女子棟へレイチェルとトトナを送った。
 そして二人を見送ったあと、包んでいたデザートを女子棟の管理人の女に受け渡した。食べきれなかった分は通りがかった生徒にでも渡してくれと言ってから、俺はティアとエリノーラを伴ってサロンのあるフロアの自室へと帰ってくる。

 ティアとエリノーラがお茶会の片付けをしている間、俺は
テシアの声で中断していた本を途中から読むためにページを開くことにした。

 エリノーラは叶えたい願いがあってバトルトーナメントに参加するらしい。だが、レイモンドをはじめとして強敵ばかりで、俺のメイドとして付き合っていては他に特訓しているものと比べて優勝の可能性は危ういものになるだろう。

 なので俺も手伝ってやろうと思う。

 喜べ、エリノーラ。俺はお前を逃すつもりはない。
 だから良いよな、俺のモノだという証があっても。
 俺がはじめて挑戦する魔法で、お前のことをもっと強くして喜ばせてやるよ。

 俺はこれからのことを思い浮かべて、二人のメイドに、特にエリノーラに気づかれないようにほくそ笑んだ。
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