鈍感王子の背徳なる性事情

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第五話

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 魔法学園は13になる年に入学し、それから初等部と高等部を経て7年での卒業になる。

 初めの2年間が初等部で、残る5年間が高等部である。

 今年に入って高等部の生徒となってからひと月。学園に通ってから一週間の休日に入る、という記念すべき一回目のサイクルを終えたのだが、その経験から初等部と高等部の違いをよく理解できるようになった。

 いわば、初等部は慣れの期間であった。
 国中から集まった二千にも及ぶ魔法使いの子供を収容できる巨大な敷地を覚えることができるようになるのが初年。
 授業形態に慣れ、また、学園内でのイベントについても理解が深まるのが二年。

 だが、高等部はそれがあくまで準備の段階であると、進級して早々に理解させられる。

 特に顕著なのが実践である。
 ここは魔法学園故に魔法の指導を行ってはいるが、貴族としてのマナー、社交に加えて、男であれば剣を、女であれば芸術を主に習ったりしている。

 そして、その披露の場が月に一度どれかをテーマにしたイベントが開かれることになる。

 先月は弟ら新入生を迎える歓迎イベントとして男女ペアで行われた剣舞や魔法の飛び交う舞台を彩るパレード、目を楽しませるものを中心に、各々特技を活かしてお披露目するというものだった。
 そして、今月ーー毎年この時期、高等部による魔法使用可能のルールでバトルトーナメントが開催されることになっている。
 参加希望者一同は目に見えて張り切りを見せ、すでに校舎中ではピリつくような空気があった。こうまで空気が変わるのは、やはり、報酬が絡むからだろう。

 この報酬とは、優勝者一名のみに与えられる特権であり、それは俺にとっては価値のないものだった。

 すなわち、国王との謁見の権利である。そして、可能な範囲で望みを言えば、たとえそれが普通は許されないことだとしても人道に反しないかぎり国王権限により叶えられるというものがあった。

 過去それで対立する家同士で恋愛していたものが望みを言い、結婚することを王命したのは有名な話である。
 ちなみにその家は王から認められた結婚ということに価値を見出し、諸手を挙げて歓迎したということだ。その後は知らん。

 もちろん、金一封を望めば屋敷を建てられるくらいの金を出せるし、とにかくこの学園ならではのイベントとしては、武の祭典として熱気もなかなかのものだった。

 俺はもちろん出るつもりはない。魔法のみでも勝つことは容易いが今となっては身体能力だけでも余裕で勝てることだろう。そもそも願いというものがないのだ。次代の王である故に、自身の望みは自身で叶えられるよう努力しているし、わざわざ特に何かを望んでいるわけではない俺が優勝するのも場を白けさせるだけだろう。

 そういった事情で今回も無縁の話だと思っていたのだが。

「なに……エリノーラも出るのか?」
「はい、こう見えて魔法剣技には自信がありますから」

 意外なところから、こうして縁ができてしまったようだ。

 エリノーラは一つ上で、その学年の中でも優等生で名が通っていたことは耳に挟んだことがある。弟たちの慕っているらしい乳兄弟だったからな。
 だが、俺の耳に届くのは総合的に評価が高い淑女の規範たる伯爵令嬢というもので、ずっと貞淑なのだと4日前に抱いた時も思っていた。線も細く魔力量もさして多いわけではないのに、バトルトーナメントに出られるだけのスペックがあるとはまったくもって予想をしていなかったのだ。

「学年序列も一桁に入っているので、決して無謀ではないと思ってます」
「強がりではないってことか」

 学年序列は、一学年三百近くいる中から定期的に順位戦をし、そこでの勝ち負けによってつけられるものだ。たとえ女子であろうとここは魔法学園であり、肉体が直接傷つかないよう身代わりの魔法があるため、強制参加である。

 ちなみに俺は入学した時から一度も黒星をつけず学年序列はダントツの一位。いつの間にやら魔導王の再来などと呼ばれるようになったが、そもそも魔導王の最強秘話を知った今となっては複雑なものである。

 だって初代は《避妊/リブート》で成り上がっただけで、他に魔法を使ったと記録されていないのだ。それまでは魔導王の称号の信憑性を疑っていたが、知った今となっては典型的な脳筋だったのではと考えてしまうのがここ最近の悩みである。

 だが、たった一つとは言え、《避妊/リブート》を発明したことは国王になるだけの偉業である。いつか超えるという目標が失せたわけではないので、俺も新しい魔法を日々開発中……というか、アイデアの流用ではあるがすでに構想はできていた。

「ジルクニール様は今年から出場資格を得ることになりますが出場なさらないのですか?」
「まぁな。今年はエリノーラのことを見ておくさ……ん、ティアか。《解除/オープン  入れ  》」
「ただいまお食事をお待ちしました。……っ」

 すると、そこへティアが帰ってきた。
 ノックの音だけで識別できるくらい、ティアとの付き合いは長い。俺は股座で肉棒を咥えるエリノーラの尻を撫でながら魔法によって部屋の鍵を開けて迎え入れると、ティアが台車を押しながら入ってきて俺たちを見て硬直した。

 ここは、俺の自室。
 そしてベッドの上であった。その側に用意された机には三つの席が並べられていた。いつぞやの初体験記念日の翌日のような光景である。

 学園に到着した昨日は意気揚々とティアを横抱きしながら自室に帰った。荷物が運び込まれてから食事にしたが、今日から学園生活を再開することも踏まえて夜の運動は控えてあった。
 エリノーラはすでに寝泊まりする部屋があったが新しく部屋を移ることにしたらしく、今までティア一人で俺の部屋ほど広かった使用人室に移ったそうだ。
 正直、学園を卒業するまでは個室である一般寮で住んだ方がいいのではと思いもしたがティアと仲良く話しているので口は挟まないことにした。

 とはいえだ。そうこうして、俺は一人で夜を明かした。
 おかげで今朝起きた時、やたらと勃ち上がった肉棒が布団を突き上げていたので、使用人室から起こしにきたティアとエリノーラに頼り、奉仕してもらったが、《避妊/リブート》のデメリットについてもそろそろ向き合うべきだろう。

 一度射精したことで落ち着きはしたが、ティアが朝食を取りに行っている最中、もう一度起き上がってしまったのでエリノーラに処理を頼んでいたのだ。

「よし、それじゃあもう出すからちゃんと咥えてろよ」
「ふぁい♡」
「咥えたまま喋ろうとするなよ……」

 柔らかくざらつきのある舌が、肉棒の先端の傘をペロペロと舐めてくる。暖かく、膣とはまた違った女の穴に酔いしれそうになりながら、頭を上下させて喉奥まで咥え込むエリノーラの下着に指を滑り込ませて、濡れた秘所を上から感触を楽しむように何度も指を滑らせる。

 そして。

「くっ……!」
「んーーーーッ♡♡」

 俺はエリノーラの口に精を吐き出した。
 エリノーラは頬を膨らませ、頬張っていた肉棒を取り出すと上を向いてから小さく喉を鳴らした。

「おお、全部飲んだのか」
「ん……はい♡ すごく濃厚で美味しかったです」
「苦しそうに涙まで流して何を言ってるんだか。でもありがとうな。嬉しいぞ」
「あっ♡ ……はい、喜んでもらえて私も嬉しいです♡」

 髪を撫でてやると、エリノーラは目を細めて、肉棒に残った精を舐めとってくる。全てしゃぶり尽くして綺麗になったが、そこまで丁寧にされては雄の本能が刺激されてせっかく精を出したのにまた立ち上がってしまった。

「もう一度ご奉仕しましょうか?」
「いや、あとは時間さえあければ萎えるはずだ」

 エリノーラが期待した目で上目遣いに見つめてきたが断った。もちろん、俺としてもエリノーラと朝からというのは吝かでは無かったがティアが配膳を済ませ、顔を赤らめながら俺たちを待っていた。

「待たせて悪かったな。朝食にしようか」

 俺はベッドから起きて立ち上がると、脱いだ下着を探した。勃ったまま女がいる場所で過ごすのはまだ若干違和感があるがエリノーラもティアも二人とも俺の性器についてはよく知っている者たちだ。

 隠す必要もないのでしばらく探していると、なかなか見つからないのを見かねたのか、ティアが布団を捲って、見つけてくれた。

「どうぞ」
「ああ、ありがとうティア」

 ティアが俺の下着を渡すとき、未だ反り返った肉棒に一瞬目を奪われていたが、指摘はしないでおいた。一度いじめてしまえば、おそらく今度こそ歯止めが効かず、ティアとエリノーラと一日中まぐわってしまうだろうからだ。

 下着を履き、寝巻きのローブを直してから、俺は席についた。エリノーラとティアも席につき、ようやく朝餉に手を伸ばすことになった。

 この光景がこれから四年間は続くのか。

 専属メイドが二人。
 だが二人ともメイドであるのは俺が在学中の間だけだ。
 ティアは卒業と同時に借金を返し終えおそらくポーション屋を引き継ぐことになって離れ、エリノーラは俺の側室となる。この関係も有限だと思えば寂しく思えてきて、これからはより一層、後悔のないように愛し合おうと誓いながら、美しい少女たちとの談笑に花咲かせた。
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