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【シエル過去編 2話】 家族になった日
事件から一週間後 その二
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(イグナルト視点)
◆ミカエル本部 寮棟
ご飯が乗ったトレーを持ち、寮室のドアを開ける
一人で住むには十分な広さの部屋の中には書類整理などを行う為の机と椅子にシングルベッドの必要最低限の物が置いてある、
面白みのない部屋も光景が広がっていた。
俺の部屋だ。
あまり趣味がないので部屋には何も置かない。
部屋で唯一目立つベットの上に目を向けるとシエルが隅の方で座っていた。
まだ寝てると思っていたので少し驚いた。
その隣には使い魔のフェニの姿も見えた。
食堂でセアラさんと話した時の様な暗い表情を辞め、元気にいつも通りシエルと接する
「シエル、おはよう」
「・・・・おはよう」
シエルは元気がなく返事を返す。
まぁ、返事が返ってくるだけありがたいが。
最初の方はショックで話す事も出来なかったからな。
俺は心配しながらシエルの顔を除くと目の横が赤く腫れている事に気が付いた。
俺がいない間に泣いていたのだろう。
「シエル、飯持って来たが食べるか?」
「・・・いらない」
その瞬間シエルの腹から大きな音が鳴る。
「・・・腹がなってるぞ。」
「たべたくない。」
お腹が空いてないじゃなく、食べたくない・・・
その言葉から分かる通り。体は飯を欲しているが心がそれを邪魔している様子だ。
マハイルさんの葬式が終わってからずっとこの調子だ。
三日間ちゃんとご飯を食べていなかった。
寝間着のまま服も着替えず。何もしないでずっと部屋の隅に座って俺の部屋に引きこもっている。
はぁ、あまり強引な手は使いたくないんだがな、
シエルがこうなったのは俺が原因だから、あまりシエルに強引な事はしたくなかったが・・・・
さすがにずっとこのままだとシエルの体にも悪いし、マハイルさんにも合わせる顔がない。
俺のベットの隅に座っているシエルを抱き上げる。
意外と抵抗しなかった。
俺はそのまま椅子に座り、自分の膝の上にシエルを座らせる
机の上にあるシエルの食事が乗ったトレーからオムレツが乗った皿を一つ選びスプーンですくい、シエルの口に運ぶ。
「ほら、旨そうなオムレツだぞ」
「だから、いらないって」
シエルの鼻をオムレツの香りでくすぐる様に近づけると先程とは比べ物にならない程の大きな腹の音が鳴る。
「体は正直だな、我慢せずに食べな」
「・・・わかったよ、」
渋々とスプーンに乗ったオムレツをゆっくりと食べ始めた。
するとシエルの目に光が少し戻った。
このオムレツはシエルが好きなような味付けに作ってもらった特別な物だった。
「おいしい。」
「そうか、よかったな。」
「もう一口ちょうだい。」
「もちろんだ。ゆっくり食えよ。」
次々とトレーに乗った食事を食べ進め、あっという間にすべて完食した。
余程腹が減っていたのだろう。
食べ終えるたシエルの顔を見てみると少し笑っていた。
よかった。
「うまかったか。」
「うん、おいしかった。」
「・・・なぁ、シエル」
「なに?」
「少し外に出てみないか?」
「・・・いや」
シエルは再びベットの隅の方へ移動し、フェニに抱き着きつく。
それを見てフェニもゆっくりと羽でシエルを包み込んだ。
フェニには感謝している。
マハイルさんが亡くなってからずっとシエルのそばにいてシエルを見守ってくれていた。
数分するとフェニの羽の中からシエルの寝息が聞こえた。
腹がいっぱいになって眠くなったんだろう。
今日はご飯を完食できただけ進歩した方だろう。
外に出る事は断られたが少しずつでいい。
焦らずにゆっくりとシエルの心の傷を癒そう。
俺はそう誓いゆっくりと部屋を後にした。
◆ミカエル本部 寮棟
ご飯が乗ったトレーを持ち、寮室のドアを開ける
一人で住むには十分な広さの部屋の中には書類整理などを行う為の机と椅子にシングルベッドの必要最低限の物が置いてある、
面白みのない部屋も光景が広がっていた。
俺の部屋だ。
あまり趣味がないので部屋には何も置かない。
部屋で唯一目立つベットの上に目を向けるとシエルが隅の方で座っていた。
まだ寝てると思っていたので少し驚いた。
その隣には使い魔のフェニの姿も見えた。
食堂でセアラさんと話した時の様な暗い表情を辞め、元気にいつも通りシエルと接する
「シエル、おはよう」
「・・・・おはよう」
シエルは元気がなく返事を返す。
まぁ、返事が返ってくるだけありがたいが。
最初の方はショックで話す事も出来なかったからな。
俺は心配しながらシエルの顔を除くと目の横が赤く腫れている事に気が付いた。
俺がいない間に泣いていたのだろう。
「シエル、飯持って来たが食べるか?」
「・・・いらない」
その瞬間シエルの腹から大きな音が鳴る。
「・・・腹がなってるぞ。」
「たべたくない。」
お腹が空いてないじゃなく、食べたくない・・・
その言葉から分かる通り。体は飯を欲しているが心がそれを邪魔している様子だ。
マハイルさんの葬式が終わってからずっとこの調子だ。
三日間ちゃんとご飯を食べていなかった。
寝間着のまま服も着替えず。何もしないでずっと部屋の隅に座って俺の部屋に引きこもっている。
はぁ、あまり強引な手は使いたくないんだがな、
シエルがこうなったのは俺が原因だから、あまりシエルに強引な事はしたくなかったが・・・・
さすがにずっとこのままだとシエルの体にも悪いし、マハイルさんにも合わせる顔がない。
俺のベットの隅に座っているシエルを抱き上げる。
意外と抵抗しなかった。
俺はそのまま椅子に座り、自分の膝の上にシエルを座らせる
机の上にあるシエルの食事が乗ったトレーからオムレツが乗った皿を一つ選びスプーンですくい、シエルの口に運ぶ。
「ほら、旨そうなオムレツだぞ」
「だから、いらないって」
シエルの鼻をオムレツの香りでくすぐる様に近づけると先程とは比べ物にならない程の大きな腹の音が鳴る。
「体は正直だな、我慢せずに食べな」
「・・・わかったよ、」
渋々とスプーンに乗ったオムレツをゆっくりと食べ始めた。
するとシエルの目に光が少し戻った。
このオムレツはシエルが好きなような味付けに作ってもらった特別な物だった。
「おいしい。」
「そうか、よかったな。」
「もう一口ちょうだい。」
「もちろんだ。ゆっくり食えよ。」
次々とトレーに乗った食事を食べ進め、あっという間にすべて完食した。
余程腹が減っていたのだろう。
食べ終えるたシエルの顔を見てみると少し笑っていた。
よかった。
「うまかったか。」
「うん、おいしかった。」
「・・・なぁ、シエル」
「なに?」
「少し外に出てみないか?」
「・・・いや」
シエルは再びベットの隅の方へ移動し、フェニに抱き着きつく。
それを見てフェニもゆっくりと羽でシエルを包み込んだ。
フェニには感謝している。
マハイルさんが亡くなってからずっとシエルのそばにいてシエルを見守ってくれていた。
数分するとフェニの羽の中からシエルの寝息が聞こえた。
腹がいっぱいになって眠くなったんだろう。
今日はご飯を完食できただけ進歩した方だろう。
外に出る事は断られたが少しずつでいい。
焦らずにゆっくりとシエルの心の傷を癒そう。
俺はそう誓いゆっくりと部屋を後にした。
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