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春より参られし桜華様!

第55話 妖楼温泉街編(12) 水楽祭ノ章

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   ギールに追われていた直人を出待ちの末に撃破した桃馬と桜華であったが、その直後、直人を追って来たギールによって桃馬は呆気なく押し倒されてしまった。

直人を追い掛け回していたギールとしても、まさか大本命である桃馬と出くわすとは思っておらず、桃馬の姿を茂み越しから見た時には、込み上げて来る興奮を抑えられなくなっていた。

そのため、桃馬を本能のままに押し倒したギールは、太くて大きな水鉄砲を桃馬の口に突っ込むなり、恥辱と言う名の愛を容赦なく教え込んだ。

今までにない程の愛を受けた桃馬は、あまりの責め苦に全身の力が抜け、抵抗する意欲さえも奪われてしまった。

これにより、桃馬を"わからせる"ための第一段階を成功させたギールは、このまま桃馬を籠絡ろうらくさせるため、禁断の第二段階に入ろうとした。

今までに無い程のチャンスに、ギールは堪らず笑みを浮かべながら桃馬の全身を舐め回そうとした。

しかしそこへ、これも運命なのであろうか。

前触れもなく"桜華様"の姿になった桜華が、ギールの背後を取るなり敏感な尻尾を掴んだ。

桜華様「私の目の前で、許可なくこの男を弄ぶなど…、到底許されないわよ?」

ギール「わうっ!?な、何だ桜華か?くっ、よ、横取りしようなんて……、らしくないじゃないか?」

直人「っ、ギール気をつけろ!今の桜華は、色々あって桜華様モードになっているんだ。」

ギール「桜華様?う~ん、言われて見れば~、いつもより気品がある様に見えるけど…、まあ、所詮は、いつものおぉぅかはっ!?」

普段の桜華と比べて何か違うオーラを漂わせている桜華様に対して、かなり見くびっていたギールは、桜華様に腕を掴まれるなり呆気なく投げ飛ばされてしまった。

その後、瞬時にギールから水鉄砲を取り上げた桜華様は、そのままギールのひたいに銃口を向けた。

ギール「あ、あれ……。」

直人「つ、つよっ……。」

一瞬の出来事に唖然とするギールと直人に対して、一方の桜華様は、クールな表情を一切崩さず、まるで低俗な者でも見下みくだすかの様な視線をギールに向けていた。

桜華様「ふっ、他愛もないですね?」

一言だけクールに言い放った桜華様は、大きな水鉄砲の引き金を引いた。

しかし、水鉄砲の銃口からは、少量の水が"ピュッ"と出るだけで、ギールのひたいを軽く濡らすだけであった。

おそらく最後に使ったギールは、桃馬への恥辱プレイをするためだけに、残りの水を殆ど使い果たしていたのだろう。

ギール「うぅ……、ぶるる!」

桜華様「うーん、予想より出ませんでしたが、まあ良いでしょう。さてと、少し頭は冷えましたか?」

ギール「わ、わふぅ……。」

まるで別人の様に振る舞う桜華の姿に、身を持って実感したギールは、ただただ桜華様に圧倒されていた。

桜華様「さてと、お次は……、私の唇を無理矢理奪った……、この男ですね。」

直人「っ、お、桜華様?ま、まさかですけど、桃馬に対して復讐をなさるおつもりですか?」

桜華様「ん?えぇ、当然そのつもりよ。この私の唇を無理矢理奪った鬼畜な男ですもの……。本来なら適当なドブ川にでも沈めてやりたい所ですよ。」

直人「ど、ドブ川って……。(す、凄い気高い性格だな。)」

桜華様「でも、それでは"あの子"のためにはなりませんからね。ですのでここは、この男の手足を縛り、気が済むまでむちを打ち続けてやりたいですよ。」

直人「"あの子"?……っ、こほん、わ、分かりました。その件は後で用意しますので、どうか今はお許しください。」

桜華様「ほぅ、そなたはこの男と違って節操が良さそうだな…。ふふっ、気に入った。どうであろうか、この機に私の下僕しもべにならないか?」

直人「し、下僕…、ですか?」

予想だもしない桜華様からの提案に、直人は思わず聞き返してしまった。

妖艶で大人びた風格に続き、カリスマ溢れる美女からの提案は、普通の者ならホイホイと乗ってしまうであろう。更にそこへ、体の一部を触らせてくれると言う誘惑付きなら尚更である。

桜華様「えぇ♪もし、今すぐに良い返事をくれるなら、この高貴な体を好きに触らせて上げても良いわよ?」

直人「あっ、いえ、大丈夫です。そもそも俺には、可愛い嫁がいますから。」

既に嫁持ちの直人は、桜華様からの挑発的な誘いを平然と断った。

そもそも小心者の直人に取って、桜華様の様な高貴でカリスマ溢れる美女は、逆に身を引いてしまう程のレベルであった。

桜華様「なっ!?き、聞き間違いかしら?わ、私の体に触れられるのですよ?」

直人「えっと、ですからその~、今の俺には、エルンとリールと言う可愛い嫁が居るんですよ?それに、二人の婚姻こんいんを強行してくれた稲荷姉と、師匠であるリグ姉を裏切らないためにも、俺は…へぶっ!?」

二度目のチャンスを与えるも、嫁の名前を出してまで断る直人の姿勢に、高貴なプライドに泥を塗られた桜華様は、直人の頬に強烈なビンタを見舞った。

桜華様「し、信じられませんわ!こ、この私の誘いを断るなんて!」

直人「うぅ、いってて……、ま、まあまあ、そう怒らなくても……。今の"桜華様"が、"一体何者"なのかは知りませんが、普段の桜華さんの記憶があるのなら、そう見栄をはらなくてもぉ~うわっ!?」

再び桜華様のプライドに泥を塗り込んでしまった直人は、更なる桜華様の憤りを買ってしまい、柔道技の"大腰"を掛けられ投げ飛ばされた。

桜華「ふん、もう知りません!」

怒りを通り越して不貞腐れてしまった桜華様は、すぐに水鉄砲を集めるなり、残りの水を全てギールから取り上げた大きな水鉄砲に移し替えた。

僅かな補給を済ませた桜華様は、この"ばかばかしい"戦いを終わらせるため、一人で旅立つのであった。


一方、取り残された三人の男たちは、しばらくその場で沈黙していた。

直人「……。(桜華様の魂……、一体何者なんだ。少なからず二重人格の線はないな……、魂の波長と気配が似て異なる物だからな。そうなると憑依の類いになるか……。聖霊様に取り憑く程の力……、同族の魂か……。)」

妖怪になってから色々な気配を感じている直人は、桜華様の正体について気になっていた。

するとそこへ、"ムクり"と体を起こしたギールが、黙々と推理をしている直人に声を掛ける。

ギール「お、おーい、直人~、生きてるか?」

直人「っ、あ、あぁ、何とかな。それより桃馬はどうだ?」

桃馬「‥‥……。」

直人「反応がないか。どうやら絶頂死してるな。」

ギール「えっ!?ま、まさかそんな!?」

あの恥辱プレイから全く反応が無い桃馬に対して、思わず心配してしまったギールは、かなり慌てた様子で桃馬の元へと駆け寄った。

するとそこには、"駄犬心"を刺激させ、イケない感情に陥れてしまう桃馬の可愛い顔が、無防備にも晒されていた。

ギール「ごくり、お、おーい、桃馬~?」

桃馬「……。」

声を掛けても反応が無い桃馬に対して、ギールは駄犬心を激しく掻き立てた。その証拠に大切な尻尾を千切れんばかりに振り回していた。

ギール「……ごくり、クンクン……ペロッへぶっ!?」

本能に従い桃馬の頬に一舐めしたギールであったが、同時に桃馬の危機回避運動が働いてしまい、ギールの顔面に桃馬の拳がをめり込んだ。

直人(うわぁ、これは酷い起こし方だな。まだ舐めるにせよ。ショタの姿か、犬の姿だったら良かったのに……、ギールのやつ焦ったな。)

桃馬「はぁはぁ、ギールてめぇ、よくもやってくれたな!はぁはぁ、桜華と直人の前で好き放題してくれた件も踏まえて、容赦なくお仕置きしてやろうじゃねぇか!」

ギールの行いにキレた桃馬は、指の関節をゴキゴキと鳴らしながら鬼の形相でギールに迫った。

ギール「いてて、ん?わふっ!?と、とと、桃馬!?」

桃馬「この……駄犬がぁぁっ!」

ギール「ひいっ!?わおぉっん!!?」


水鉄砲合戦……。
桃馬、直人、ギールの三名……脱落。


一方、その頃。

森林地帯の入口付近にて、突然の襲撃者たちと交戦していた四班の晴斗たちはと言うと……。

晴斗「ふぅ、小頼の襲撃にあやかって攻めに来たんだろうけど、まさかこうも呆気ないとはな。」

リール「あはは♪それでも水鉄砲を乱射しながら攻めて来たのは驚いたけどね~♪」

エルン「う、うむ、確かにそうだな。しかし、どんなに強い水鉄砲を使おうとも、結局は使い方次第の様だがな。」

シャル「ふへぇ~。」

ディノ「うぅ~。」

三人の前には、ずぶ濡れのシャルとディノが倒れ込んでいた。

下手な乱射を繰り返し、水切れを起こしてしまったシャルは、エルンの冷静なカウンターをもらい脱落。

一方のディノは、シャルの乱射に巻き込まれてしまい同士討ちと言う形で脱落した。

これにより、一つの班が脱落した。
※三班全滅。(ギール、シャル、ディノ)

今現在、人数的に有利な立場にいる晴斗たちであるが、既に直人が脱落してしまっている事を始め、各班の動きと脱落者などについて、全く把握出来ていなかった。

エルン「うぅ、それより直人は大丈夫だろうか?」

晴斗「うーん、ギールの狙撃を小頼に邪魔されてから、そのままギールに追われてしまったらな。最悪やられているかもしれないな。」

エルン「っ、そ、そうか……。」

リール「あはは♪エルンは心配し過ぎだよ~♪そもそも、妖怪の姿になった直人なら、例え相手がギールみたいな"淫獣"であっても簡単に返り討ちに出来るよ♪」

エルン「っ、そ、それならいいのだが……。しかし、真面目な直人の事だ。こう言う遊びの場で、素直に妖怪の力を使うだろうか……。」  

リール「ふぇ?使わないの??」

晴斗「まあ、エルンが心配するのも無理はないよ。現に直人は、昔から頑固で真面目な性格だからね。おそらくチート並の妖怪の力は、ここぞと言う時にしか使おうとしないかもね。」

リール「うぅ、どんだけ真面目なんだよ~!」

リールが思い描く直人は、習得した力を思う存分に発揮しているイメージであるが、一方のエルンと晴斗が思い描く直人の姿は、極度に依存する事なく自分の力で切り開こうとする真逆の発想であった。


晴斗「あはは、直人の真面目は昔からの折紙おりがみ付きだからね。それに直人は、もし"チート"系の力を得たとしても、"決して自分の力だと誤認せず、本来使うべき瞬間を見定め、できる限り己の力で乗り切れる様に努力したい"って言ってたからな。」

エルン「…ふっ、直人らしいな。」

リール「え~っと、そうなるとつまり、今も直人は人間の姿で逃げ回っているのかな?」

晴斗「うーん、やられてなければそうなるな。でもまあ、俊敏性が求められるこの競技で、人間の姿で逃走している直人が、本気になって追い掛けているギールを撒いたり、反撃に転じて勝つのは、まず不可能だ。取り敢えず、押し倒された後に、掘られていない事を祈ろう。」

リール「うーん、桃馬の犬であるギールが、従兄弟の直人に歯型を付けるか~。ふむふむ、ちょっとありかも。」

エルン「お、おいリール!?そんな事を考えるな!?」

リール「えー、エルンは期待しないの?」

エルン「す、する訳ないだろ!?」

晴斗「こらこら、二人とも?そんなに大きな声を上げていたら、他の連中に俺たちの居場所を教えてしまうよ??」

エルン「っ、す、すまない。」

リール「えへへ、ごめんごめん。」

晴斗「さてと、取り敢えず、残りの相手が分からない以上、襲撃されやすい森林地帯は避けて、見通しが利く広場に陣取っていた方がいいかもな。」

リール「ええ~、攻めないの?」

エルン「そ、そうだ。例え攻める事が目的じゃなくても、直人の救出くらい良いのではないか?」

晴斗「うーん、本来ならそうしたい所だけど、既にやられている様な気がするんだよな~。」

エルン「なっ、そ、そんな!?確認もせずに決めつけるのは、晴斗らしくないぞ!」

リール「うんうん!そうだよ。何なら私一人でも行くよ!」

晴斗「…うぅ、わ、分かった。それなら…、うーん。」

既に手遅れの予感がする中で、それでも諦め様としない二人の熱意に押された晴斗は、渋々と救出作戦を考えた。

エルン「ど、どうだろうか?」

晴斗「……ふぅ、手遅れな気がするけど、直人の救出を最優先に考えるなら、リスクを覚悟して…、この森林地帯を突っ切るしか…へぶっ!?」

エルン&リール「晴斗!?」

作戦会議中、突然前触れもなく襲われた晴斗は、避ける間もなく顔面を狙撃され、その場に倒れ込んだ。

近くに居たエルンとリールは、慌てて倒れ込んだ晴斗に駆け寄るなり、水鉄砲を構えて当たりの警戒を強めた。

するとそこへ、異様なオーラと共に余裕な素振そぶりを見せている桜華様が現れた。

桜華様「あらあら、私とした事が、誤って晴斗の顔を撃ってしまいました。」

エルン「っ、お、桜華……、そ、その姿は……。」

リール「ふぇ!?もう戻ったの!?」

苦労の末に戻したはずの桜華が、再び桜華様の姿に戻ってしまっている事に、二人は驚きながらも水鉄砲を構えた。

桜華様「あらあら、二人とも冷たいわね?この私がそんなに怖いかしら?」

エルン「い、いや、そう言う訳では……。」

リール「うん!怖い!」

エルン「こ、こらリール!?」

桜華様「ふふっ、リールは素直ですね。とても可愛いです。」

リールの素直な一面に、桜華様は笑みを浮かべた。

どうやら桜華様になったとは言え、リールへの好感度は高い様であった。

リール「か、可愛い…。え、えへへ~♪そ、そんな~♪」

桜華様からの可愛いと言われたリールは、まるで仔犬の様にデレデレとし始めた。

何ともほのぼのしい光景ではあるが、一方の桜華様は、そんな可愛らしいリールを見るなり、更に話し掛ける。

桜華様「クスッ、ねえリールちゃん?悪いんだけど~、ここで大人しくやられて貰えないかしら?」

リール「ふぇ?な、なんで??」

桜華様「ふふっ、今の私はね。桃馬とか言うクズ野郎の事で凄く機嫌が悪いの♪……だからね、この下らない勝負を今すぐに終わらせて、あの男にむちを与えたいのよ。…だから二人とも…、大人しくやられてね♪」

桃馬に対して、かなりの嫌悪感を抱いている桜華様は、曇りのない笑みを浮かべながら片手を上げた。

エルン「っ、リール!突風が来るぞ!」

リール「おぉ~♪」

軽く手をあおぐだけでも、強風並みの突風を生み出せる桜華様の能力に、リールとエルンは、扇がれる前に決着をつけようと瞬時に距離を詰めた。

しかし桜華様は、瞬時に迫り来る二人にひるむ事なく、冷静に片手を扇いで突風を吹かせた。

エルン「くっ、やはり…、あの突風を繰り出す仕草を何とかしないと…、桜華を倒すどころか、近づく事さえもできないか。」

リール「うぅ~、どうしようエルン!?今は刀も無いし、接近戦は厳しいよ~!?」

エルン「くっ、困ったな……。対処法が思い付かない。」

リール「えぇ!?じゃ、じゃあ、今は逃げよう!」

エルン「えっ?あ、こ、こらリール!?」

現状、桜華様の撃破は不可能だと悟ったリールは、一足先にその場から逃走を図った。

しかしこの行動が、まさかの理不尽な展開を招いた。

なんと森林地帯の茂みから、小頼の追跡に失敗し、しばらく森林地帯の茂みを彷徨さまよっていた憲明が、リールの側面より飛び出して来たのであった

あまりにも予想外なタイミングに、リールは為す術なく、そのまま憲明に撃ち倒されてしまった。

リール「あぅ、うぅ~、まさか側面から出て来るなんて予想外だよ~。」

憲明「よーし、ラッキー。」

エルン「くっ、挟まれたか‥。」

桜華様「クスッ、あらあら~、まさか思わぬ所で挟まれちゃうなんて、エルンちゃんも不運ね~。」

思わぬ所で形勢が逆転した桜華様は、嬉しそうに笑みを浮かべながら、徐々にエルンとの距離を詰め始めた。

しかしそこへ、桜華様を狙う一人の刺客が背後から現れる。

小頼「諦めるのは貴方よ、桜華様?」

桜華様「っ!こ、小頼!?い、いつの間に…きゃっ!?」

憲明の追跡を撒いてから、しばらく桜華様の近くで様子を伺っていた小頼は、桜華様が油断した所を見計らい、隙を見て背後から水をぶっかけたのであった。

ずぶ濡れになった桜華様は、まさか"ごますり娘"の小頼にやられるとは夢にも思っていなかった。

桜華様「くっ、油断しました。まさかあなたに、やられるなんて。」

小頼「クスッ、桜華様~♪」

水も滴る美しい桜華様を見た小頼は、新しい"おもちゃ"でも見つけた様な笑みを浮かべながら、桜華様に迫る。

桜華様「な、何ですかそのよこしまな表情は……、い、いや、近寄らないでください!?」

先程までの余裕はどこへやら……。

邪な笑みを浮かべる小頼に対して、無意識に怯える桜華様は、何度も何度も手を扇いで突風を見舞った。

しかし小頼は、笑みを浮かべたまま平然と立ち尽くしていた。

桜華様「ど、どうして…、わ、私の突風を受けているのに、どうして平然と立っていられるのですか!?」

小頼「クスッ、なんでかな~♪」

余裕な笑みを浮かべる小頼は、一歩、また一歩と桜華様に向けて歩き始める。

これに対して桜華様は、懲りずに突風を繰り出しては一歩づつ下がるも、次第に小頼との距離を詰められ、終いには尻もちをついてしまった。

どうして小頼が、桜華様の突風を受けても平然と立っていられるのか。

その答えは、至ってシンプルなものであった。

この時の小頼は、風魔法で作り上げた"風壁ふうへき"を体の周辺に張り巡らせており、桜華様から繰り出される突風をことごとく受け流していた訳である。


桜華様「ど、どうして…、くっ、どうして効かないのですか!?」

小頼「ふふっ、いいですね~♪その追い詰められた表情……。はぁはぁ、高飛車なお嬢様がピンチになっている姿は、やっぱり堪らない…じゅる。」

桜華様の前に立った小頼は、直ぐにその場に座り込むなり、嫌らしく舌舐めずりをした。

桜華様「ち、近寄らないでけがらわしい!?こ、これ以上……、わ、私の体をけがす事は許しませんよ!?」

小頼「はぁはぁ、可愛いですよ~。桜華様~♪」

桜華「きゃあぁっ!?」

弱々しい高飛車な桜華様を押し倒した小頼は、手始めに程よい大きさの胸を揉みしだき、更には恥ずかしい所に指を入れ、最後は首筋を舐め回し始めた。

エルン「……す、すごい。」

並のサキュバスでも引けを取らない小頼の技術に、つい見蕩みとれてしまったエルンは、背後から近づく桜華様の仲間に気づかなかった。

憲明「こほん、よそ見は駄目ですよ?」

エルン「ふぇ、ひゃうっん!?」

背後から水を掛けられたエルンは、思わずエロい声を漏らした。

エルン「あぅ……、わ、私とした事が気を取られ過ぎてしまった……。」

憲明「あはは、春の大戦乱祭の時は、油断してはダメですよ?」

エルン「うぅ、そ、そうだな。気を付けよう。」

憲明「さてと、後は桜華様に気を取られている小頼をやるか……。」

不意打ちとは言え、リールに続いてエルンまでも脱落させた憲明は、次に桜華様の体を堪能している小頼を脱落させようと密かに接近。

そのまま、小頼の後頭部に銃口を向けるなり、水鉄砲の引き金を引いた。

呆気なく後頭部を濡らされた小頼であったが、そもそも水を掛けられた事に全く気づいていないのか、桜華様へのセクハラを一向に止めようとしなかった。


高貴で艶のある喘ぎ声を漏らす桜華様に対して、更なる責め苦を与え続ける小頼は、今までに無い程の快楽に心を踊らせながら、恥辱の限りを尽くした。

これにより、一班以外の班が全て全滅した。

するとそこへ、どこからか構内放送が流れ始める。

X「ピンポンパンポーン♪水鉄砲合戦をしている方々へお知らせします。ただいまを持って、水鉄砲合戦の決着がつきました。勝者は、桃馬、桜華、憲明、リフィルが所属する一班チームです。皆さんお疲れ様でした~♪」

どこかで聞いた事がある声ではあったが、何はともあれ、安全かと思われた水鉄砲合戦は、カオスな展開を残したまま幕を閉じるのであった。

その頃、脱落者陣営では…。

直人「…………。」

ジェルド「今の声、どこかで聞いた事がある声だったな?」

リフィル「うんうん、私もそう思うよ。」

直人「っ、き、気のせいじゃないか?そ、そもそも放送室には、審判員の狸しかいないはずだよ?」

リフィル「へぇ~、そうなんだ~♪それじゃあ、たまたま誰かの声に似ていた狸さんが、放送を流してくれたんだね♪」

直人「そ、そうそう♪」

ジェルド「うーん、それにしても、最近どこかで聞いた様な声なんだよな~。でもまあ、声のそっくりさんは意外に多いから今回はたまたまかもな。」

直人「あはは、そ、そうそう……、あっ、ごめん。俺ちょっとトイレに行って来るから、俺の事は気にせず自由に楽しんでくれ~♪」

少々ぎこちない様子の直人は、その場から逃げるように走り去った。

リフィル「‥‥ふ~ん、私もトイレ行って来よ~♪」

何かを感じたリフィルは、こっそり直人の跡を追うのであった。

ちなみに、脱落者陣営には、桃馬とギールも居るのですが、調教上の問題から二人のやり取りをお届けできない事をお詫びします。

イメージとしては、ヤシの木に縛り付けられたギールが、桃馬にモフられたり、耳を甘噛みされたり、敏感な尻尾をこねくり回されたりなど、かなり過激な光景となっております。

一方、リフィルもトイレに行った事により、一人暇を持て余していたジェルドは、桃馬のアシスタントとして、ギールの調教に参加するのであった。
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