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春より参られし桜華様!
第24話 下心は犬も食えず
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愛されし
けもみみ男子に
群がれて
犬に舐められ
怯える主
昼休みに入り、早速ジェルドとギールの魔の手から逃げようとした桃馬であったが、不運にもカバンから弁当を取り出す際に数秒のタイムロスが発生。
これにより桃馬は、廊下に出る間もなくジェルドに捕縛され、緊張感のある卑猥な攻防戦に引き込まれた。
更にそこへ、移動教室から戻ったギールも駆けつけた事で、桃馬と二匹の駄犬による緊張が更に高まったのであった。
今の所、桃馬に首輪とリードを着けられ喜んでいるギールは置いといて、一方で桃馬に酔いしれ、本能のままに動いているジェルドは、上半身の制服を脱ぎ捨て、駄犬モード全開で桃馬に迫っていた。
もはや、桃馬が押し倒されたり、抑え込まれたら公開プレイが確実に始まる中で、教室、廊下から見ている腐女子からの期待値は大であった。
その一方、地獄絵図の様な光景にドン引きであった桃馬の従兄弟である直人は、助けるどころか哀れみの表情を浮かべながら、親友のリールを連れて自教室へ戻って行った。
しかし直人が、自教室に戻った頃。
小頼に用があると言って、一緒に教室を出た晴斗の姿がなかった。
直人「…あれ?半兵衛は?」
※半兵衛とは、三条晴斗のあだ名である。
奏太「ん?まだ戻ってないぞ?」
直人「おいおい、まさか、人波に飲まれて気を失ってるんじゃないよな……。」
リール「ふぇ!?晴斗のやつ、体が弱い癖にあの人混みの中に行ったのか!?」
直人「あ、ああ、小頼に用があるって言ってたからな。」
リール「無謀だな~、それにしても、用があるなら無理して今じゃなくても良いんじゃないのかな?」
直人「……た、確かに。」
奏太「そ、それもそうだな。」
リールの単純な見解に、何故かそこまで頭が回っていなかった二人は、動揺した様子を見せながらリールの言葉に頷いた。
リール「えっ、ふ、二人とも、本当に言ってる?」
直人「…う、うん。半兵衛が失神防止の耳栓を着けたもんだから、つい安心しちゃってな。」
奏太「あぁ、俺も半兵衛が倒れなければ、それで良いかなって思ってたから……。」
リール「え~と、そうなるとつまり、晴斗は今……。」
リールの見解通りなら、今頃晴斗は失神した状態で、あの人混みの中に飲まれながら流されている事であろう。
直人「……はぁ、様子を見に行って来るか。」
奏太「お、俺も行こうか?」
直人「いや、言うてうんまそこだし、俺一人で良いよ。」
リール「ふぇ、本当に一人で良いの?私も行けるけど?」
直人「そんな大袈裟な事をする訳じゃないんだから大丈夫だよ。それより、あんな腐にまみれた空間に、リールを連れて行きたくないからな。」
リール「っ、な、直人……。ふふっ、あはは♪はいはい、分かったよ、大人しく待ってまーす♪」
奏太「……お前はリールのお父さんか何かか?」
リールに過保護な直人は、まるでお父さんの様な風格を表しながら再び教室を後にした。
晴斗捜索には、少し時間が掛かると思っていた直人であったが、たまたま小頼商会に視線を向けたところ、小頼から紙袋を受け取っている晴斗の姿があった。
直人(ふぅ、良かった。案外あっさり見つかって……。それより、小頼から頼まれてるって言ってたけど、見返りに何か受け取ったな。…っ、まさか晴斗のやつ、小頼商会のBL本に興味があったのか!?)
時間が掛かると思っていた晴斗の捜索だが、案外早く無事に晴斗を見つける事が出来た。
しかし、小頼から何かしらの物を受け取った晴斗の姿を見た直人は、学年首席である晴斗に対して、実はBL好きと言う、意外とムッツリとした一面があるのでは無いかと思った。
そのため直人は、用が済んで教室へ戻ろうとする晴斗に、思いきって声をかけた。
直人「半兵衛?なに買ったんだ?」
晴斗「っ、な、直人!?こ、これは、その……。」
突然、直人に声を掛けられて驚く晴斗は、咄嗟に紙袋を背後に隠した。
直人「……薄い本か?」
紙袋の中身が気になる直人は、つい率直に訪ねてしまった。
晴斗のプライベートを詮索するなど、本来は野暮な話ではあるが、小頼から受け取った物をどうしても気になった直人は、好奇心が先に出てしまったのだ。
そして晴斗は、直人の率直な言葉に黙って頷いた。
直人「そらそうか、別にダメって訳じゃないさ。それが活力なら仕方がない。」
晴斗「……ごめん、軽蔑したよな。」
直人「いいや、例え半兵衛がBL好きでも、俺は友達であり続けるよ。」
別に変な意味はないが、直人は晴斗の趣味を受け入れ様とした。
すると晴斗が、キョトンとした表情をした。
晴斗「えっ?BL?」
直人「……えっ?うん、BL。」
何やら食い違いがある様な反応に、直人は詳細を聞く事にした。
直人「半兵衛が隠したのって、BLの薄い本じゃないのか?」
晴斗「ま、まさか、そんなの買う訳ないだろ!?」
直人「えっ、あっ、ん?じゃあ、それは何だよ?」
晴斗「こ、これは、その、え、える……けも……。」
やはり言いづらい代物なのか、晴斗の声が徐々に小さくなり、口をもごもごし始めた
直人「える、なんだって?」
晴斗「……え、エルフとか……けもみみ女性の……本。」
直人「っ、な、なんと……。」
晴斗が持っていたのは、男子生徒が喉から手が出るほど欲しがる、エルフ、けもみみ、サキュバスの写真集とユリ同人誌であった。
晴斗「じ、実は、こ、小頼に頼んで、確保してもらってて。」
直人「な、なるほど。」
晴斗「……ごめん、こう言うのは、誰にもバレずにこっそり見る物だと思ってたから……。」
直人「気持ちは分かるな、バレたら白い目で見られる可能性があるからな。」
晴斗「た、頼む直人!この件は二人だけの秘密にしてくれ。」
直人「…ふっ、秘密にするも何も、同志を売る様な事はしないさ。」
晴斗「っ、同志?そ、それじゃあ、な、直人もそうなのか!?」
同志と言う言葉に驚いた晴斗に、直人は優しげな笑みを浮かべながら頷いた。
するとそこへ、直人の姿を見かけた小頼が話し掛けて来た。
小頼「おぉ~、直人~♪ちょうど良い所に居たな~♪例の新作あるけど買う?」
晴斗と同様に、紙袋をチラつかせながら売ろうとする小頼に、直人は冷静な表情でポケットからお金を取り出した。
直人「……一冊くれ。」
小頼「毎度~♪」
直人「……ふっ。」
紙袋を受け取った直人は、少し嬉しそうな顔をした。
晴斗「……直人もそんな買い方なのか?」
小頼「そうそう♪今はこうして、こっそり渡す様な買い方をしてるけど、以前は"キョドり"ながら普通に買い求めてたんだよ?いや~、あの時の直人は、ザッ童貞って感じがして、面白かったんだけどな~。」
直人「っ、う、うるせぇな。女子たちが居る前で買うのは、やけに緊張するんだから仕方ないだろ?」
小頼「はいはい、未だにリールちゃんすら押し倒せもしない童貞だもんね♪仕方ない仕方な~い♪」
直人「っ、り、リールは関係ないだろ!?それにリールとはそんな風な関係じゃないぞ!?」
小頼「ふーん、それはお互い気づいてないだけじゃないかしら?」
直人「な、何だと!?」
小頼「それに直人の恋に関するレーダーは相当バグっている見たいだし、もう少し近くに居る"女の子"の気持ちを分かって上げた方が良いわよ~?」
直人「お、女の子って、あまり接点ないんだけど……。」
小頼「それをよーく考えて見る事だよ~♪あ、そうそう、袋の中におまけも入れてあるから、好きに使っていいからね~♪」
かなり意味深な言葉を残した小頼は、颯爽と小頼商会の出展ブースへと戻った。
直人「おまけ?おまけってなんだよ……、ん?これは……っ!?」
小頼に言われるがまま、直人は紙袋の中身を見ると直ぐに袋を閉じた。
晴斗「ん?どうした直人?」
直人「あ、い、いや、何でもないよ♪(こ、小頼のやつ、何考えてるんだ。り、リールはともかく、"エルン"の盗撮写真を何枚か入れやがって!?も、もしエルンに見られたら斬り殺されるって!?)」
※エルンとは、異種交流会に所属しているルシアの友人にして、二年四組に在籍しているスタイル抜群な金髪サキュバスである。
しかしエルンは、サキュバスとしては珍しい真面目で武骨な性格なため、サキュバスの本質であるはずの性的意欲に一切興味が無く、そのため直人と晴斗が所属している士道部に所属している。
そのため凛々しくて、かっこいい優等生の一面から周囲の生徒からの人気も非常に高いものであった。
しかしエルンには、既に好きな人がおり、二年四組と士道部を中心に、多くの生徒に知られていた。
話は戻し。
如何にも何かある様な反応を見せた直人に対して、晴斗も紙袋の中身を気になり始めた。
晴斗「……直人はどんなのを見るんだ?」
直人「っ、あ、こ、これは、その~。」
晴斗「俺のも教えたんだから、隠すのはダメだぞ?」
直人「……わ、分かった。」
下手に紙袋を覗かれでもしたら、おまけの盗撮写真まで見られてしまうため、直人はこっそり晴斗の耳元で買った品を話した。
晴斗「……お、おぉ……なるほど。」
予想以上に広範囲な好みに晴斗は驚いた。
直人「誰にも言うなよ?」
晴斗「あぁ、もちろんだよ。ん、な、直人後ろ!?」
直人「ん?どうした……げはっ!?」
晴斗の注意を引く様な慌てた声も虚しく、直人は振り返る間もなく、突如として吹っ飛んで来た白い毛玉に巻き込まれた。
晴斗「な、直人!?そ、それにジェルド、大丈夫かよ!?」
ジェルド「わ、わふぅ~……。」
直人「いってて、何が起きたんだよ……。ん?ジェルド?何してるんだよ。」
いきなり吹っ飛んで来たジェルドに話しかけるも、気絶してるのか"わふぅ~"としか返って来なかった。
するとそこへ、剣幕を立てながらブチ切れた様子の桃馬が、ジリジリと迫って来た。
様子から見て、暴走したジェルドにキスされたのか、それとも押し倒されたのか、はたまた公開セクハラを受けたのか、真相は謎であるが、取り敢えず何かしらをして怒らせた事は事実の様であった。
桃馬「この……駄犬が……ベタベタと触りやがって。」
直人「うわぁ……、すげぇ、キレてる……一体何をしたんだこの犬は。」
小頼「な、直人!そ、そのまま動かないで!」
直人「えっ?な、なんで……って!なにカメラ向けてるんだ!俺は関係ないだろ!」
小頼「で、出来れば……、片手でジェルドの乳首を触りつつ、ズボンの中に手を入れてくれたら……。」
直人「だ、誰がそんな事するかよ!?」
こんな状況でも動じず、BLネタを掴もうとする小頼に対して、見兼ねた晴斗が小頼のカメラを取り上げた。
小頼「あぁ~、返してよ~!?」
晴斗「小頼の商売に、直人まで巻き込んじゃだめだろ?」
直人「おぉ、いいぞ晴斗!よっと、後はジェルドの身柄を桃馬に引き渡してっと……、ほら桃馬、新鮮なジェルドだぞ?」
桃馬「……。」
ジェルドの身柄を渡そうとした直人であったが、桃馬の殺伐とした表情を見るやジェルドの引渡しに躊躇いを感じた。
直人(あ、これはまずい……。このままジェルドを桃馬に渡したら、間違いなく動物虐待になり兼ねないな。桜華さんと言う彼女が出来たと言うのに、ここで衝撃的な一面を見せる訳にはいかないな。)
今渡せば、確実にジェルドは桃馬にボコボコにされる未来が見えた。
正直、ここまで投げ飛ばして来た時点で、既に桜華から見られているだろうが、これ以上、桃馬の醜態を晒さないため直人は、一つの決断を踏んだ。
直人(仕方がない。かくなる上は、一時保護するか。)
一度はジェルドを前に差し出した直人であったが、直ぐに引っ込めて背後へ隠した。
桃馬「……何のつもりだ直人?」
直人「何って、今引き渡すには危険と判断したまでだよ。」
桃馬「ふっ、それは気のせいだよ。さぁ、ジェルドを大人しく渡せ。」
直人「普段の桃馬なら、そんな怒りを込めた口調はしないぞ?」
直人からの的確な指摘に、桃馬は俯き数秒間沈黙した。
その後、俯いた顔をゆっくり上げた桃馬は、落ち着いた様子で笑みを浮かべていた。
桃馬「ふっ、渡してくれないかな♪」
直人「だめだ。」
即答であった。
桃馬が親族だからであろうか。
いや、親族であってもこの空気で渡したりしないだろう。
何故なら直人に映る桃馬は、殺気に近い禍々しいオーラを漂わしていたからだ。
ここで素直にジェルドを渡せば、間違いなくジェルドは酷い目に遭うか、逆に喜ばしいお仕置きを受けるかのどちらかである。
お仕置と分かれば渡してやりたいが、一応これでもジェルドは友人だ。
何が起こるか分からない以上は、助けない訳にはいかない。
そのため、直人が桃馬の要求を断るに連れて、桃馬の表情も徐々に曇り始める。
桃馬「……渡せ。」
直人「嫌だ……。」
バチバチと睨み合う両者に、周囲の生徒たちは固唾を飲んで見守っていた。
すると、人混みを強引に突破した桜華と、異変を察知して教室から飛び出して来たリールが、二人の間に入り込んで来た。
桜華「と、桃馬!そこまでだよ!?」
リール「はぁはぁ、な、直人も何してるの!?」
桃馬「桜華、退(ど)いてくれ。」
直人「り、リール!?怪我をするから退いてくれ。」
桜華&リール「退かない!」
偶然に一致した二人の声が、廊下中にハモらせた。
桃馬「桜華も見ただろ、ジェルドの暴走を……、流石にやり過ぎだと思わないか?」
桜華「ふぇ、あっ、え、えっと、確かに、桃馬の下半身に手を伸ばせば……怒るとは思うけど。」
桜華の証言に直人は驚愕した。
直人(おいおい、今ヤバイ証言を聞いたぞ。この駄犬、まさか発情期でも入ってるのか?もはやセクハラの度を越えてやがる……、そんな事されたら誰でも怒るよ。)
元あと言えば、普段からジェルドを構っていなかった桃馬に非があるのだが、桜華の証言を耳にした直人は、一瞬でも庇った事を後悔した。
しかし、今更この状況で、"はい、どうぞ"とは行かない。
取り敢えず直人は、まわりの様子を伺ってタイミングを見計らって見た。
桜華の証言によって、男子の大半は桃馬に同情し、直人に対してジェルドの身柄引き渡しを求め始め、対して女子たちは、妄想を拗らせて盛り上がっていた。
男子たちが声を上げてくれているお陰で、ジェルドの身柄を非常に渡しやすいタイミングであると察し、直人は気絶したジェルドの両耳に指を突っ込んで、無理矢理起こしました。
その後、事の次第を聞いた直人は、三条晴斗と共に仲裁に入り、事の発端である"桃馬を好き放題"できる権利は、大幅に制限される事になった。
本件の制限内容。
桃馬を好き放題にしても良い件について。
好き放題と言う名目は廃止し、不純な行為の全面的禁止、唯一健全である散歩と"もふもふ"される権利は許される事になった。
また、今回の件で火種になっていた小頼についても言及され、厳重注意のもと、本日売り上げた収入の半分を消費者に返還する事になった。
これにより"下ノ癖BL条約"が締結。
この下らない騒動に終止符が打たれるのであった。
けもみみ男子に
群がれて
犬に舐められ
怯える主
昼休みに入り、早速ジェルドとギールの魔の手から逃げようとした桃馬であったが、不運にもカバンから弁当を取り出す際に数秒のタイムロスが発生。
これにより桃馬は、廊下に出る間もなくジェルドに捕縛され、緊張感のある卑猥な攻防戦に引き込まれた。
更にそこへ、移動教室から戻ったギールも駆けつけた事で、桃馬と二匹の駄犬による緊張が更に高まったのであった。
今の所、桃馬に首輪とリードを着けられ喜んでいるギールは置いといて、一方で桃馬に酔いしれ、本能のままに動いているジェルドは、上半身の制服を脱ぎ捨て、駄犬モード全開で桃馬に迫っていた。
もはや、桃馬が押し倒されたり、抑え込まれたら公開プレイが確実に始まる中で、教室、廊下から見ている腐女子からの期待値は大であった。
その一方、地獄絵図の様な光景にドン引きであった桃馬の従兄弟である直人は、助けるどころか哀れみの表情を浮かべながら、親友のリールを連れて自教室へ戻って行った。
しかし直人が、自教室に戻った頃。
小頼に用があると言って、一緒に教室を出た晴斗の姿がなかった。
直人「…あれ?半兵衛は?」
※半兵衛とは、三条晴斗のあだ名である。
奏太「ん?まだ戻ってないぞ?」
直人「おいおい、まさか、人波に飲まれて気を失ってるんじゃないよな……。」
リール「ふぇ!?晴斗のやつ、体が弱い癖にあの人混みの中に行ったのか!?」
直人「あ、ああ、小頼に用があるって言ってたからな。」
リール「無謀だな~、それにしても、用があるなら無理して今じゃなくても良いんじゃないのかな?」
直人「……た、確かに。」
奏太「そ、それもそうだな。」
リールの単純な見解に、何故かそこまで頭が回っていなかった二人は、動揺した様子を見せながらリールの言葉に頷いた。
リール「えっ、ふ、二人とも、本当に言ってる?」
直人「…う、うん。半兵衛が失神防止の耳栓を着けたもんだから、つい安心しちゃってな。」
奏太「あぁ、俺も半兵衛が倒れなければ、それで良いかなって思ってたから……。」
リール「え~と、そうなるとつまり、晴斗は今……。」
リールの見解通りなら、今頃晴斗は失神した状態で、あの人混みの中に飲まれながら流されている事であろう。
直人「……はぁ、様子を見に行って来るか。」
奏太「お、俺も行こうか?」
直人「いや、言うてうんまそこだし、俺一人で良いよ。」
リール「ふぇ、本当に一人で良いの?私も行けるけど?」
直人「そんな大袈裟な事をする訳じゃないんだから大丈夫だよ。それより、あんな腐にまみれた空間に、リールを連れて行きたくないからな。」
リール「っ、な、直人……。ふふっ、あはは♪はいはい、分かったよ、大人しく待ってまーす♪」
奏太「……お前はリールのお父さんか何かか?」
リールに過保護な直人は、まるでお父さんの様な風格を表しながら再び教室を後にした。
晴斗捜索には、少し時間が掛かると思っていた直人であったが、たまたま小頼商会に視線を向けたところ、小頼から紙袋を受け取っている晴斗の姿があった。
直人(ふぅ、良かった。案外あっさり見つかって……。それより、小頼から頼まれてるって言ってたけど、見返りに何か受け取ったな。…っ、まさか晴斗のやつ、小頼商会のBL本に興味があったのか!?)
時間が掛かると思っていた晴斗の捜索だが、案外早く無事に晴斗を見つける事が出来た。
しかし、小頼から何かしらの物を受け取った晴斗の姿を見た直人は、学年首席である晴斗に対して、実はBL好きと言う、意外とムッツリとした一面があるのでは無いかと思った。
そのため直人は、用が済んで教室へ戻ろうとする晴斗に、思いきって声をかけた。
直人「半兵衛?なに買ったんだ?」
晴斗「っ、な、直人!?こ、これは、その……。」
突然、直人に声を掛けられて驚く晴斗は、咄嗟に紙袋を背後に隠した。
直人「……薄い本か?」
紙袋の中身が気になる直人は、つい率直に訪ねてしまった。
晴斗のプライベートを詮索するなど、本来は野暮な話ではあるが、小頼から受け取った物をどうしても気になった直人は、好奇心が先に出てしまったのだ。
そして晴斗は、直人の率直な言葉に黙って頷いた。
直人「そらそうか、別にダメって訳じゃないさ。それが活力なら仕方がない。」
晴斗「……ごめん、軽蔑したよな。」
直人「いいや、例え半兵衛がBL好きでも、俺は友達であり続けるよ。」
別に変な意味はないが、直人は晴斗の趣味を受け入れ様とした。
すると晴斗が、キョトンとした表情をした。
晴斗「えっ?BL?」
直人「……えっ?うん、BL。」
何やら食い違いがある様な反応に、直人は詳細を聞く事にした。
直人「半兵衛が隠したのって、BLの薄い本じゃないのか?」
晴斗「ま、まさか、そんなの買う訳ないだろ!?」
直人「えっ、あっ、ん?じゃあ、それは何だよ?」
晴斗「こ、これは、その、え、える……けも……。」
やはり言いづらい代物なのか、晴斗の声が徐々に小さくなり、口をもごもごし始めた
直人「える、なんだって?」
晴斗「……え、エルフとか……けもみみ女性の……本。」
直人「っ、な、なんと……。」
晴斗が持っていたのは、男子生徒が喉から手が出るほど欲しがる、エルフ、けもみみ、サキュバスの写真集とユリ同人誌であった。
晴斗「じ、実は、こ、小頼に頼んで、確保してもらってて。」
直人「な、なるほど。」
晴斗「……ごめん、こう言うのは、誰にもバレずにこっそり見る物だと思ってたから……。」
直人「気持ちは分かるな、バレたら白い目で見られる可能性があるからな。」
晴斗「た、頼む直人!この件は二人だけの秘密にしてくれ。」
直人「…ふっ、秘密にするも何も、同志を売る様な事はしないさ。」
晴斗「っ、同志?そ、それじゃあ、な、直人もそうなのか!?」
同志と言う言葉に驚いた晴斗に、直人は優しげな笑みを浮かべながら頷いた。
するとそこへ、直人の姿を見かけた小頼が話し掛けて来た。
小頼「おぉ~、直人~♪ちょうど良い所に居たな~♪例の新作あるけど買う?」
晴斗と同様に、紙袋をチラつかせながら売ろうとする小頼に、直人は冷静な表情でポケットからお金を取り出した。
直人「……一冊くれ。」
小頼「毎度~♪」
直人「……ふっ。」
紙袋を受け取った直人は、少し嬉しそうな顔をした。
晴斗「……直人もそんな買い方なのか?」
小頼「そうそう♪今はこうして、こっそり渡す様な買い方をしてるけど、以前は"キョドり"ながら普通に買い求めてたんだよ?いや~、あの時の直人は、ザッ童貞って感じがして、面白かったんだけどな~。」
直人「っ、う、うるせぇな。女子たちが居る前で買うのは、やけに緊張するんだから仕方ないだろ?」
小頼「はいはい、未だにリールちゃんすら押し倒せもしない童貞だもんね♪仕方ない仕方な~い♪」
直人「っ、り、リールは関係ないだろ!?それにリールとはそんな風な関係じゃないぞ!?」
小頼「ふーん、それはお互い気づいてないだけじゃないかしら?」
直人「な、何だと!?」
小頼「それに直人の恋に関するレーダーは相当バグっている見たいだし、もう少し近くに居る"女の子"の気持ちを分かって上げた方が良いわよ~?」
直人「お、女の子って、あまり接点ないんだけど……。」
小頼「それをよーく考えて見る事だよ~♪あ、そうそう、袋の中におまけも入れてあるから、好きに使っていいからね~♪」
かなり意味深な言葉を残した小頼は、颯爽と小頼商会の出展ブースへと戻った。
直人「おまけ?おまけってなんだよ……、ん?これは……っ!?」
小頼に言われるがまま、直人は紙袋の中身を見ると直ぐに袋を閉じた。
晴斗「ん?どうした直人?」
直人「あ、い、いや、何でもないよ♪(こ、小頼のやつ、何考えてるんだ。り、リールはともかく、"エルン"の盗撮写真を何枚か入れやがって!?も、もしエルンに見られたら斬り殺されるって!?)」
※エルンとは、異種交流会に所属しているルシアの友人にして、二年四組に在籍しているスタイル抜群な金髪サキュバスである。
しかしエルンは、サキュバスとしては珍しい真面目で武骨な性格なため、サキュバスの本質であるはずの性的意欲に一切興味が無く、そのため直人と晴斗が所属している士道部に所属している。
そのため凛々しくて、かっこいい優等生の一面から周囲の生徒からの人気も非常に高いものであった。
しかしエルンには、既に好きな人がおり、二年四組と士道部を中心に、多くの生徒に知られていた。
話は戻し。
如何にも何かある様な反応を見せた直人に対して、晴斗も紙袋の中身を気になり始めた。
晴斗「……直人はどんなのを見るんだ?」
直人「っ、あ、こ、これは、その~。」
晴斗「俺のも教えたんだから、隠すのはダメだぞ?」
直人「……わ、分かった。」
下手に紙袋を覗かれでもしたら、おまけの盗撮写真まで見られてしまうため、直人はこっそり晴斗の耳元で買った品を話した。
晴斗「……お、おぉ……なるほど。」
予想以上に広範囲な好みに晴斗は驚いた。
直人「誰にも言うなよ?」
晴斗「あぁ、もちろんだよ。ん、な、直人後ろ!?」
直人「ん?どうした……げはっ!?」
晴斗の注意を引く様な慌てた声も虚しく、直人は振り返る間もなく、突如として吹っ飛んで来た白い毛玉に巻き込まれた。
晴斗「な、直人!?そ、それにジェルド、大丈夫かよ!?」
ジェルド「わ、わふぅ~……。」
直人「いってて、何が起きたんだよ……。ん?ジェルド?何してるんだよ。」
いきなり吹っ飛んで来たジェルドに話しかけるも、気絶してるのか"わふぅ~"としか返って来なかった。
するとそこへ、剣幕を立てながらブチ切れた様子の桃馬が、ジリジリと迫って来た。
様子から見て、暴走したジェルドにキスされたのか、それとも押し倒されたのか、はたまた公開セクハラを受けたのか、真相は謎であるが、取り敢えず何かしらをして怒らせた事は事実の様であった。
桃馬「この……駄犬が……ベタベタと触りやがって。」
直人「うわぁ……、すげぇ、キレてる……一体何をしたんだこの犬は。」
小頼「な、直人!そ、そのまま動かないで!」
直人「えっ?な、なんで……って!なにカメラ向けてるんだ!俺は関係ないだろ!」
小頼「で、出来れば……、片手でジェルドの乳首を触りつつ、ズボンの中に手を入れてくれたら……。」
直人「だ、誰がそんな事するかよ!?」
こんな状況でも動じず、BLネタを掴もうとする小頼に対して、見兼ねた晴斗が小頼のカメラを取り上げた。
小頼「あぁ~、返してよ~!?」
晴斗「小頼の商売に、直人まで巻き込んじゃだめだろ?」
直人「おぉ、いいぞ晴斗!よっと、後はジェルドの身柄を桃馬に引き渡してっと……、ほら桃馬、新鮮なジェルドだぞ?」
桃馬「……。」
ジェルドの身柄を渡そうとした直人であったが、桃馬の殺伐とした表情を見るやジェルドの引渡しに躊躇いを感じた。
直人(あ、これはまずい……。このままジェルドを桃馬に渡したら、間違いなく動物虐待になり兼ねないな。桜華さんと言う彼女が出来たと言うのに、ここで衝撃的な一面を見せる訳にはいかないな。)
今渡せば、確実にジェルドは桃馬にボコボコにされる未来が見えた。
正直、ここまで投げ飛ばして来た時点で、既に桜華から見られているだろうが、これ以上、桃馬の醜態を晒さないため直人は、一つの決断を踏んだ。
直人(仕方がない。かくなる上は、一時保護するか。)
一度はジェルドを前に差し出した直人であったが、直ぐに引っ込めて背後へ隠した。
桃馬「……何のつもりだ直人?」
直人「何って、今引き渡すには危険と判断したまでだよ。」
桃馬「ふっ、それは気のせいだよ。さぁ、ジェルドを大人しく渡せ。」
直人「普段の桃馬なら、そんな怒りを込めた口調はしないぞ?」
直人からの的確な指摘に、桃馬は俯き数秒間沈黙した。
その後、俯いた顔をゆっくり上げた桃馬は、落ち着いた様子で笑みを浮かべていた。
桃馬「ふっ、渡してくれないかな♪」
直人「だめだ。」
即答であった。
桃馬が親族だからであろうか。
いや、親族であってもこの空気で渡したりしないだろう。
何故なら直人に映る桃馬は、殺気に近い禍々しいオーラを漂わしていたからだ。
ここで素直にジェルドを渡せば、間違いなくジェルドは酷い目に遭うか、逆に喜ばしいお仕置きを受けるかのどちらかである。
お仕置と分かれば渡してやりたいが、一応これでもジェルドは友人だ。
何が起こるか分からない以上は、助けない訳にはいかない。
そのため、直人が桃馬の要求を断るに連れて、桃馬の表情も徐々に曇り始める。
桃馬「……渡せ。」
直人「嫌だ……。」
バチバチと睨み合う両者に、周囲の生徒たちは固唾を飲んで見守っていた。
すると、人混みを強引に突破した桜華と、異変を察知して教室から飛び出して来たリールが、二人の間に入り込んで来た。
桜華「と、桃馬!そこまでだよ!?」
リール「はぁはぁ、な、直人も何してるの!?」
桃馬「桜華、退(ど)いてくれ。」
直人「り、リール!?怪我をするから退いてくれ。」
桜華&リール「退かない!」
偶然に一致した二人の声が、廊下中にハモらせた。
桃馬「桜華も見ただろ、ジェルドの暴走を……、流石にやり過ぎだと思わないか?」
桜華「ふぇ、あっ、え、えっと、確かに、桃馬の下半身に手を伸ばせば……怒るとは思うけど。」
桜華の証言に直人は驚愕した。
直人(おいおい、今ヤバイ証言を聞いたぞ。この駄犬、まさか発情期でも入ってるのか?もはやセクハラの度を越えてやがる……、そんな事されたら誰でも怒るよ。)
元あと言えば、普段からジェルドを構っていなかった桃馬に非があるのだが、桜華の証言を耳にした直人は、一瞬でも庇った事を後悔した。
しかし、今更この状況で、"はい、どうぞ"とは行かない。
取り敢えず直人は、まわりの様子を伺ってタイミングを見計らって見た。
桜華の証言によって、男子の大半は桃馬に同情し、直人に対してジェルドの身柄引き渡しを求め始め、対して女子たちは、妄想を拗らせて盛り上がっていた。
男子たちが声を上げてくれているお陰で、ジェルドの身柄を非常に渡しやすいタイミングであると察し、直人は気絶したジェルドの両耳に指を突っ込んで、無理矢理起こしました。
その後、事の次第を聞いた直人は、三条晴斗と共に仲裁に入り、事の発端である"桃馬を好き放題"できる権利は、大幅に制限される事になった。
本件の制限内容。
桃馬を好き放題にしても良い件について。
好き放題と言う名目は廃止し、不純な行為の全面的禁止、唯一健全である散歩と"もふもふ"される権利は許される事になった。
また、今回の件で火種になっていた小頼についても言及され、厳重注意のもと、本日売り上げた収入の半分を消費者に返還する事になった。
これにより"下ノ癖BL条約"が締結。
この下らない騒動に終止符が打たれるのであった。
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