26 / 58
リクエスト小説
莉里と虎矢の出会い(1)虎矢目線
しおりを挟む
※なろうの方で、苺たると様から頂いたリクエストで書きました。
なんていうかさ、あれだよね、香帆と出会ってよかったなぁって思うのー。
あれこそ、まさに運命ってやつだよね。
八尋は、絶対それを無意識に言っていて。
ある意味それを平然と言えるってすげーなって思った。
なんなんだ、この女狂いがなんでそんなことをいうんだっていう呆れもあったけれど。
アジトでいつものように集会を終えて、幹部達と雑談に興じている最中に質問があった。
「・・・俺と莉里の?え、八尋じゃなくて、俺の恋愛についての話が聞きたいって?」
相変わらずわんこの言うことは突拍子だなぁ。
まぁ、面白みのない話だから、別に話したっていいんだけれど・・・・・。
「そもそも、莉里との出会いはこいつ・・・八尋がきっかけだからね」
そう、登良野莉里という人間との出会いは香帆ちゃんを探すことがきっかけだった。
「メンドイなぁ・・・とりあえず、彼女と同じ中学校から来た子を探さないと」
彼女の出身校と同じ中学校にいた人間については、こっそり職員室から名簿を抜いていたから調べるのも難しくなかったし、名簿を見て、すぐに気づいた。香帆ちゃんのクラスにも、香帆ちゃんと同じ出身校の子がいると。
もちろん、朝一番に1-A教室に行って、該当する子を呼び出してもらった。
「お、香帆ちゃんと同じグラスにも一人いるっぽいね。えっと・・・わるいねー、君らさぁ、登良野さんっつー人を、呼んでくれる?」
1-A教室にいた子を捕まえて頼むと、彼はまっすぐに香帆ちゃんの隣にいる子に声をかけていた。
(おっ、ビンゴ?香帆ちゃんと親し気な様子からして、有力な情報を持ってそうだ。)
その子は俺を見て訝しい様子を見せていたが、すぐにドアの方に来てくれた。
長いストレートロング、ぱっちりとした目、陶器のように白い肌。
顔はとこどなくぼーっとのんびりしている雰囲気があるが、顔立ちは整っているし、美人に入るほうだろう。
まじまじとその子を見つめながらも、本題に入った。
「えっと、いきなりで申し訳ないけれど、別室で話できないかなー?」
「・・・・・・内容による」
「内容は、うーん、簡単に言うと君の友達の情報を知りたいってことかな。あわよくば、君を通して、田城香帆っていう子と知り合えたらと思ってる」
「・・・ナンパ、お断り」
「俺は違うからね、どっちかってと最終的には、俺の・・・・ダチの彼女になってもらえたら・・・・と思ってるんだけれど」
途中でしどろもどろになったのは、香帆ちゃんの真面目そうな雰囲気を見て、うちのバカを思い浮かべたから。あのド変態女狂いが何をトチ狂って真面目な子を選んだのか・・・今だに理解しがたい。
(・・・・あいつ、今まで尻軽そうな子ばかり選んでたのにな・・・。)
じっと二つの黒曜石のような目がこっちを見てくる。腕を組んで何かを考え込んだ後、彼女は口を開いた。
「放課後・・・会える?香帆と会わせる・・・情報提供、こっちも条件つける」
「それは願ってもないし、情報交換に条件を付けるのも構わないよ」
さぁ、どんな条件が飛び出すのかと構えていたら、なんてことない。八尋の情報が欲しいという。
「話、早いね・・・・簡単・・・・鬼人族の族長の具体的な情報が欲しい」
「族長・・・・ああ、うん・・・八尋のことならいくらでも喋るよ」
「取引成立・・・面倒、一度しか言わない。メモするなら、ちゃんと聞いて・・・」
彼女の言葉に頷き、メモを取り出したその時、それまで片言だった彼女が勢いよく喋り出した。
「彼女は田城香帆。漢字は、田んぼの田、お城の城、お香の香、ヨットの帆。誕生日は5月14日、血液型はA型、中学校は地域が違う中学校にいた。あたしも一緒。でも、香帆は1人暮らしをきっかけにこっちに来た。国語と歴史が得意、苦手なのは物理・・・・他には?」
「あ、好きな男のタイプと入ろうと思っている部を教えて」
「本について語り合える面白い人がタイプ。もともと読書が好きだから図書部を選ぶと思うし、このクラスの様子からして、入部はほぼ確定だと思う」
「・・・了解、ありがとー。八尋については、同じだけの情報を書き止めておいた」
メモを取りながら、同じように八尋の情報も書き止めておいて正解。
彼女はちょっと感心した様子でメモを受け取って読んでいた。
メモから目を離すことなく、彼女は淡々と声を紡いでいた。さっきまでの勢いがウソのようにまた片言に戻っている。
「・・・女狂い・・・やっぱり、あいつか・・・放課後、玄関で・・・待ち合わせOK?」
「もちろん。ありがとう」
「・・・担任来た。じゃ、また」
「了解。放課後、よろしく」
まぁ、彼女の話し方とか、ふるまいとかには、いろいろとびっくりしたけれど、ああいう雰囲気も悪くないと思った。
「今までにいないタイプだなぁ、あの子」
俺の見るからに不良!ってカンジの容姿を見ても、特に反応ナシ。
それどころか、族長について知りたいとか言うし。
片言なのに、突然ペラペラと話すところも割と面白いって思ったし。
(・・・ちょーっと気になるなあ。俺がこんなに好奇心をそそられるなんてなかなかないよ。)
廊下を歩いて、教室の席に着いた時、思いだした。
「・・・・そういや、名前を言い忘れたな。まぁいいか」
(どうせ、放課後に会えるし。)
朝の会を終えた後、後ろの席にいた八尋がこっそりと話しかけてきた。
「おい、隆?何をニヤニヤしてたんだよ・・・もしかして女関係か?」
「遠目に撮ったカホちゃんの写真をニヤニヤしながら見ているお前と一緒にしないでくれる」
ほっんとうに心外。俺は純粋に気になってるだけだっての。
後、すっげー、今更だけれど、俺は虎矢隆ね。復唱お願いしやーす。
なんていうかさ、あれだよね、香帆と出会ってよかったなぁって思うのー。
あれこそ、まさに運命ってやつだよね。
八尋は、絶対それを無意識に言っていて。
ある意味それを平然と言えるってすげーなって思った。
なんなんだ、この女狂いがなんでそんなことをいうんだっていう呆れもあったけれど。
アジトでいつものように集会を終えて、幹部達と雑談に興じている最中に質問があった。
「・・・俺と莉里の?え、八尋じゃなくて、俺の恋愛についての話が聞きたいって?」
相変わらずわんこの言うことは突拍子だなぁ。
まぁ、面白みのない話だから、別に話したっていいんだけれど・・・・・。
「そもそも、莉里との出会いはこいつ・・・八尋がきっかけだからね」
そう、登良野莉里という人間との出会いは香帆ちゃんを探すことがきっかけだった。
「メンドイなぁ・・・とりあえず、彼女と同じ中学校から来た子を探さないと」
彼女の出身校と同じ中学校にいた人間については、こっそり職員室から名簿を抜いていたから調べるのも難しくなかったし、名簿を見て、すぐに気づいた。香帆ちゃんのクラスにも、香帆ちゃんと同じ出身校の子がいると。
もちろん、朝一番に1-A教室に行って、該当する子を呼び出してもらった。
「お、香帆ちゃんと同じグラスにも一人いるっぽいね。えっと・・・わるいねー、君らさぁ、登良野さんっつー人を、呼んでくれる?」
1-A教室にいた子を捕まえて頼むと、彼はまっすぐに香帆ちゃんの隣にいる子に声をかけていた。
(おっ、ビンゴ?香帆ちゃんと親し気な様子からして、有力な情報を持ってそうだ。)
その子は俺を見て訝しい様子を見せていたが、すぐにドアの方に来てくれた。
長いストレートロング、ぱっちりとした目、陶器のように白い肌。
顔はとこどなくぼーっとのんびりしている雰囲気があるが、顔立ちは整っているし、美人に入るほうだろう。
まじまじとその子を見つめながらも、本題に入った。
「えっと、いきなりで申し訳ないけれど、別室で話できないかなー?」
「・・・・・・内容による」
「内容は、うーん、簡単に言うと君の友達の情報を知りたいってことかな。あわよくば、君を通して、田城香帆っていう子と知り合えたらと思ってる」
「・・・ナンパ、お断り」
「俺は違うからね、どっちかってと最終的には、俺の・・・・ダチの彼女になってもらえたら・・・・と思ってるんだけれど」
途中でしどろもどろになったのは、香帆ちゃんの真面目そうな雰囲気を見て、うちのバカを思い浮かべたから。あのド変態女狂いが何をトチ狂って真面目な子を選んだのか・・・今だに理解しがたい。
(・・・・あいつ、今まで尻軽そうな子ばかり選んでたのにな・・・。)
じっと二つの黒曜石のような目がこっちを見てくる。腕を組んで何かを考え込んだ後、彼女は口を開いた。
「放課後・・・会える?香帆と会わせる・・・情報提供、こっちも条件つける」
「それは願ってもないし、情報交換に条件を付けるのも構わないよ」
さぁ、どんな条件が飛び出すのかと構えていたら、なんてことない。八尋の情報が欲しいという。
「話、早いね・・・・簡単・・・・鬼人族の族長の具体的な情報が欲しい」
「族長・・・・ああ、うん・・・八尋のことならいくらでも喋るよ」
「取引成立・・・面倒、一度しか言わない。メモするなら、ちゃんと聞いて・・・」
彼女の言葉に頷き、メモを取り出したその時、それまで片言だった彼女が勢いよく喋り出した。
「彼女は田城香帆。漢字は、田んぼの田、お城の城、お香の香、ヨットの帆。誕生日は5月14日、血液型はA型、中学校は地域が違う中学校にいた。あたしも一緒。でも、香帆は1人暮らしをきっかけにこっちに来た。国語と歴史が得意、苦手なのは物理・・・・他には?」
「あ、好きな男のタイプと入ろうと思っている部を教えて」
「本について語り合える面白い人がタイプ。もともと読書が好きだから図書部を選ぶと思うし、このクラスの様子からして、入部はほぼ確定だと思う」
「・・・了解、ありがとー。八尋については、同じだけの情報を書き止めておいた」
メモを取りながら、同じように八尋の情報も書き止めておいて正解。
彼女はちょっと感心した様子でメモを受け取って読んでいた。
メモから目を離すことなく、彼女は淡々と声を紡いでいた。さっきまでの勢いがウソのようにまた片言に戻っている。
「・・・女狂い・・・やっぱり、あいつか・・・放課後、玄関で・・・待ち合わせOK?」
「もちろん。ありがとう」
「・・・担任来た。じゃ、また」
「了解。放課後、よろしく」
まぁ、彼女の話し方とか、ふるまいとかには、いろいろとびっくりしたけれど、ああいう雰囲気も悪くないと思った。
「今までにいないタイプだなぁ、あの子」
俺の見るからに不良!ってカンジの容姿を見ても、特に反応ナシ。
それどころか、族長について知りたいとか言うし。
片言なのに、突然ペラペラと話すところも割と面白いって思ったし。
(・・・ちょーっと気になるなあ。俺がこんなに好奇心をそそられるなんてなかなかないよ。)
廊下を歩いて、教室の席に着いた時、思いだした。
「・・・・そういや、名前を言い忘れたな。まぁいいか」
(どうせ、放課後に会えるし。)
朝の会を終えた後、後ろの席にいた八尋がこっそりと話しかけてきた。
「おい、隆?何をニヤニヤしてたんだよ・・・もしかして女関係か?」
「遠目に撮ったカホちゃんの写真をニヤニヤしながら見ているお前と一緒にしないでくれる」
ほっんとうに心外。俺は純粋に気になってるだけだっての。
後、すっげー、今更だけれど、俺は虎矢隆ね。復唱お願いしやーす。
0
お気に入りに追加
54
あなたにおすすめの小説

離婚した彼女は死ぬことにした
まとば 蒼
恋愛
2日に1回更新(希望)です。
-----------------
事故で命を落とす瞬間、政略結婚で結ばれた夫のアルバートを愛していたことに気づいたエレノア。
もう一度彼との結婚生活をやり直したいと願うと、四年前に巻き戻っていた。
今度こそ彼に相応しい妻になりたいと、これまでの臆病な自分を脱ぎ捨て奮闘するエレノア。しかし、
「前にも言ったけど、君は妻としての役目を果たさなくていいんだよ」
返ってくるのは拒絶を含んだ鉄壁の笑みと、表面的で義務的な優しさ。
それでも夫に想いを捧げ続けていたある日のこと、アルバートの大事にしている弟妹が原因不明の体調不良に襲われた。
神官から、二人の体調不良はエレノアの体内に宿る瘴気が原因だと告げられる。
大切な人を守るために離婚して彼らから離れることをエレノアは決意するが──。
-----------------
とあるコンテストに応募するためにひっそり書いていた作品ですが、最近ダレてきたので公開してみることにしました。
まだまだ荒くて調整が必要な話ですが、どんなに些細な内容でも反応を頂けると大変励みになります。
書きながら色々修正していくので、読み返したら若干展開が変わってたりするかもしれません。
作風が好みじゃない場合は回れ右をして自衛をお願いいたします。

淫らな蜜に狂わされ
歌龍吟伶
恋愛
普段と変わらない日々は思わぬ形で終わりを迎える…突然の出会い、そして体も心も開かれた少女の人生録。
全体的に性的表現・性行為あり。
他所で知人限定公開していましたが、こちらに移しました。
全3話完結済みです。

五歳の時から、側にいた
田尾風香
恋愛
五歳。グレースは初めて国王の長男のグリフィンと出会った。
それからというもの、お互いにいがみ合いながらもグレースはグリフィンの側にいた。十六歳に婚約し、十九歳で結婚した。
グリフィンは、初めてグレースと会ってからずっとその姿を追い続けた。十九歳で結婚し、三十二歳で亡くして初めて、グリフィンはグレースへの想いに気付く。
前編グレース視点、後編グリフィン視点です。全二話。後編は来週木曜31日に投稿します。

家出したとある辺境夫人の話
あゆみノワ@書籍『完全別居の契約婚〜』
恋愛
『突然ではございますが、私はあなたと離縁し、このお屋敷を去ることにいたしました』
これは、一通の置き手紙からはじまった一組の心通わぬ夫婦のお語。
※ちゃんとハッピーエンドです。ただし、主人公にとっては。
※他サイトでも掲載します。
どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします
文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。
夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。
エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。
「ゲルハルトさま、愛しています」
ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。
「エレーヌ、俺はあなたが憎い」
エレーヌは凍り付いた。


ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる