別れと再会

巴月のん

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別れと再会(後編)

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「大体、俺が知人扱いって・・・・せめて友人だろ・・・」
「・・・悪かったわよ。でも、再会して2回目の出会いじゃ友人とも言えないもの。」
「そこは嘘でも言ってほしかった。地味にショックだったんだぞ?」


・・・まるで、犬が耳を垂らして落ち込んでいるかのように項垂れている雅裕を見てようやく、朱莉は思い出した。なんだかんだ言ってこの落ち込んでいる姿に弱かったことを。


(そういえば、わんこが困っているみたいでほっておけなかったのよね。今ならほっとけるけど。)


さすがスィートルームなだけあって、インスタントとはいえ、有名な珈琲を飲むことが出来る。高級な味と香りを堪能たんのうしながら朱莉は椅子に座ってベッド側にいる雅裕に思い出したように、話しかけた。


「そういえば、私の誕生日を覚えていたんだ?びっくりしたよ。」
「朱莉と最後に電話で交わした会話も覚えている。だからこそ、どうしても会いたかった。」
「私に会いたかった?」
「ああ。俺にとってあの日は一番の最低な思い出だ。だから改めていい思い出にすり替えたいとずっとずっと思っていた。でもそのためには朱莉がいなきゃダメなんだとも思っていたから探していた。」


そう言いながら、雅裕はあまり言いたくなかったけれど・・・と前置きして、朱莉の実家に行ったこともしゃべりだした。実家にいったことに驚いた朱莉は思わず突っ込んでいた。あの両親のことだ。かなりのことをいったのではないかと思って見ればやっぱりと思わざるを得なかった。

「朱莉のご両親からも兄弟からも冷たい視線を投げられた上に弟君から文字通り玄関から蹴られて門前払いになるし、朱莉が行きそうなところもあちこち探したのにいないし。」


(でしょうね。デートがつぶれるたびに酒飲んで愚痴っていたし・・・しかし、私と仲が悪かった弟まで、味方になってくれていたのか。今度お礼になんか送っておこう。)


「携帯はもうとっくに通じなくなっているから意味ないのに未だにアドレスも画像も未だに消せない。」


(・・・あれ、このわんこ、こんなヤツだっけ?さっきまで項垂れていたくせに獲物を狙うように尻尾が動いている気がするのは私だけ?)


「朱莉だってもう気づいているだろう。俺はお前とやりなおしてけっこ・・・・」


気づけばすでに雅裕はベッドから降りて朱莉のすぐそばに立っていた。それだけで懐かしい雰囲気が思い出される。付き合っていた頃もそうだった。こんな風に近寄ってきてはいい雰囲気にのまれて流されるパターンが・・・・。
そこまで思い出したとき、朱莉は我に返った。このままではヤバいという勘が働いたのだろう。



(あ、ヤバい・・・・わんこのアタックが来そう。いやいやこの雰囲気にのまれたらENDだ。)



「――さて、寝るわ。おやすみなさい。」


すくっと立ちあがって雅裕とすれ違いにベッドへと潜り込んで布団をかぶった。雅裕が広げた両手は宙をきり、自分自身を抱きしめる形になっていた。雅裕は自分の身体を抱きしめながら疑問を持った。


「・・・・あれ?ここは抱擁するシーンだろ?朱莉が、雅裕・・・私もよって言いながら目を潤ませて俺と抱きしめあう麗しいシーン・・・・って電気を消すなよ!まだしゃべってるっつーの!」


一瞬のすれ違いに雅裕は眉間に皺をよせ、ベッドの方を向いて叫んだ。


「おい、ひとが人生最大の告白をって時に、スルーはないっつーの。っていうか、もう寝てるし!そういや、こいつ、前からそうだった。酔っぱらった後に必ずコーヒーを飲んでから、すぐに寝るパターンが多かったな・・ちっとも変ってねぇ!」




(・・・よくもまぁそんなパターン覚えていたな・・・ま、私も人のことは言えないけど。)



寝込んだふりをしていた朱莉だが、今度こそ本当に眠気に誘われて、寝落ちした。・・・目が閉じる直前に雅裕の温かい手のひらが頭を撫でてきたのは絶対に見なかったことにする。


「あー良い目覚めだった!!」
「朱莉、いい加減に俺の話を聞け。」


いい加減我慢の限界が来たのだろう、雅裕の声が苛立っているのに気づいた朱莉はしぶしぶと窓から目を離して雅裕の方を振り返った。


「聞かないってば。何度も言わせないで。」



(もう傷つきたくないし、期待もしたくない。あの『埋め合わせをするから』なんて二度と聞くか!)



「朱莉がわざと話をそらしているのは解る。でも、「はいそうですか」って引き下がれないんだよ。俺だって三年も想っていたんだ。今さら後にひけない。」
「三年前の別れ話を覚えているって言ってたよね?」
「ああ。」
「うん。私も嫌っていうほど覚えているよ。あの日は最悪の誕生日だったし。」


朱莉が言いたいことが解ったのだろう、雅裕は目を泳がせ、身体を小さくさせながら耳を傾けていた。

「朱莉・・・その、あの・・・。」
「結婚を考えなかった訳じゃない。でもね、結婚は幸せばっかりじゃないのよ。式場の押さえや打ち合わせ、招待状づくり、家族や親戚との話し合い。結納の準備はもちろん、引き出物を決めたり、ドレスを選んだり。お金ももちろんたくさん使う。結婚式が無事終わったとしても、家をどうするかの問題とか、同居になる可能性も考えなきゃいけない。そこには、お互いの親の問題だってかかわってくるわけ。親の問題がなくともいずれは子どもの子育ての話でいろいろと考えることはたくさんあるでしょうね。もちろん、それだけの時間と資金も必要になる。でもあなたは仕事を理由にきっとこんな現実から逃げるんだろうなって思ったら、そんな人と結婚したいとは思えなかった。」



(・・・・あなたは男だからとか仕事だからとかそんな理由を作って逃げられる。でもね、大概の女は否が応でも引き受けないといけない立場にいる。例え同じだけ働いていても、理不尽なことに家庭のことも、家の手続きとかも任される羽目になる・・・妻だからという理由というだけで!それでも、権利を得るためには嫌でも引き受けねばならない責任が伴うのだと解っているから断れない。)



「それにさ、あの時の誕生日に気づいちゃったんだよ。」
「何に気づいたっていうんだ?」
「もし結婚したら『埋め合わせ』も無意味だよね?もし私が事故になっても貴方は仕事に夢中なんだろうな。もし子供が生まれて、病院に行くことになった時もあなたがいなかったらどうしようって。そんな時に『ごめん、埋め合わせする』からって言われたら・・・って考えてみたら・・・・」


(そうあの時、『埋め合わせするから』って便利な言葉だなぁって気づいたんだ。それに・・・)


「・・・『埋め合わせ』なんて意味がないなって。もうことは起こっているわけで、お互いの過去は今さら変えられないのに、その過去に見合う『埋め合わせ』って何なのかな。今こうしている間にも私達の時間は流れている。それって実はけっこうすごいことなんじゃないかって気づいたの。」

人差し指を雅裕に向けた後、今度は窓の空に向かって指さした。あの時、泣いて夜空を見上げたことを今でも鮮明に覚えている。朱莉はまっすぐに雅裕を見て笑った。

「ほら、雲一つない綺麗な青空でしょ?今さ、こうして生きているからこそこの空を見ることができるんだよ。こうして会話をしている間にも一秒過ぎていく。一分過ぎていく。その時間と引き換えにそう考えたらさ、人生楽しまないとなって思った。だから、あの日にあなたと別れることを選んだのよ。」



(今なら、笑顔で話せるよ。あの時はどうしようもなく悲しかったのに、今すっきりとしているのはようやく自分をさらけ出せたからかもしれない。)



「朱莉、俺は。」
「あなたは逃げたつもりなんかない。仕事のせいだって言うのでしょう。でも、『埋め合わせを』って聞いた時点でもう無理だった。あなたと付き合いを続けても、結婚というゴールが見えていたとしても、私達は話し合いなんかできない夫婦になって、いずれ離婚するだろうなって思ったらもうダメだった。」
「朱莉。」
「結婚するとしたら、過去でもなく今でもなく、未来を共に歩み、一緒に頑張ろうねって励ましあって、一緒に相談して苦労してくれる人がいい。仕事に逃げる男は、姑問題や子育て問題からも逃げて全部まかせっぱなしに決まっている。そんな男と結婚なんかしたくない。」

窓から離れた朱莉はルームサービスで頼んだテーブルに運ばれていたモーニングトーストを食べだした。朱莉の行動に引き寄せられるように雅裕もテーブルについてトーストにかぶりついた。

「君の言う通りかもしれない。仮にあの頃の俺達なら結婚しても意味がなかったかも知れない。でも、俺も君も大事なことに気づいて成長した。もうあの頃のような間違いを繰り返すほど俺たちは愚かじゃないはずだ。」
「・・・・・まぁ、確かにあの別れのお蔭で成長できたわね。」
「気づいたからこそ、俺たちはやり直せるはずだ。偉そうに言ってすまないが、俺も、お互いに相談して頑張ろうって励ましあって、一緒に苦労して共に歩むという心に優しい人生を歩みたい。そして、その相手は、朱莉でなきゃダメなんだ。」
「ねぇ、なんでそう私に固執するの?」

本当に今さらだけれど聞いてみた。食後のコーヒーを入れながらお互いの目の前にカップを置く。朱莉は手を付けたが、雅裕は腕を組みながら身振り手振りを交えながらポツリポツリと話し出した。

「なんていうのかな。ちょっとした時、瞼に浮かぶんだ。ほら、よくあるだろ、家に帰ると温かい灯りがついてて、玄関に入ると奥さんと子どもが迎えてくれるイメージ。あれみたいな感じで、朱莉が笑って、子どもが抱きつきながら迎えてくれる温かい家族の姿が鮮明に浮かんでは消えるんだ。誰もいない空間に浮かんでは消えて・・・それが3年間ずっと消えなかった。で、不思議なことに、子どもの顔はいくら想像できても、奥さんは朱莉のまんま変わらないの。ずっと変わらなくてさ、でもそれが全然嫌じゃないんだよ。むしろ、しっくりくるっていうか、ハマるっていうか。」



(あれ?わんこがまともなことを言ってる?)



3年前はこんなことを言う人じゃなかった、もっと子どもたいな感じの人だったんだけどな、と思い直した朱莉はふとさっき雅裕が言った言葉を思い返した。


『君の言う通りかもしれない。仮にあの頃の俺達なら結婚しても意味がなかったかも知れない。でも、俺も君も大事なことに気づいて成長した。もうあの頃のような間違いを繰り返すほど俺たちは愚かじゃないはずだ。』


「なるほど・・・三年という年月をかけたからこそ、今のあなたがここにいるってことね。」
「うっ・・・そういう言い方は好きじゃないが、確かに前は見えなかったものがちょっとは見えるようになったかなとは思う部分はある。」
「あ、それは私も同じ。前は解らなかったことも今ならちょっとわかる。なんていうかな・・・」
「客観的に自分を見れるようになった!」
「そう!」
「解るぜ。今の俺、過去に戻れるなら、あんな高いローンを組んでまで車を買うな!って自分に怒鳴りたいぐらいだもん。なーんで、若い頃って周りが見えないんだろうなぁ。結局あの車、使いにくかったから買い替えたけれど、まだローン残ってるもん。」

お互いに指さしあい、頷き合いながら会話が続く。それだけでも前と違う雰囲気になっていることが朱莉にもわかった。以前ならここで会話にならず、雅裕が聞き流して終わりだった。でも、今は話し合いができているということに気づいた朱莉はなぜか、不思議な気持ちになった。


(・・・あれ?なんか・・・いい感じ・・・あの三年前と全然違って不安を感じないのは何故?)


雅裕がふと時計に気づき、もうチェックアウトが必要じゃないか?と話しかけてくる。それに頷いて立ちあがった時、雅裕が玄関に立っていたのが目に入った。三年前はその姿を見ても、冷めた気持ちだった。立ちあがれば、すぐに外へ出て、タバコを吸う雅裕を見て何度も思った。どうせ、私のことなんて見てないだろう、どうせ仕事のことしか考えてないんだろうなって。
だけれど、今の雅裕は、ドアを開けたまま、振り返って朱莉を待ってくれている。そこに3年間の月日が経っていることを否が応でも感じ取ることが出来た。

なぜかその時、見えたのは家の中にいる自分と、玄関から出ていこうとする雅裕の姿だった。



(・・・・あれ?なんか・・・っ・・・・おかしい!おかしいよ、私!!)



気づけば、朱莉の頬は火照っていた。なかなかドアの方に来ない朱莉に訝しく感じた雅裕が近寄ってくるが、朱莉はパニックになったまま、悲鳴をあげて離れだした。

「おぃ、どうしたんだ。大丈夫なの・・・か・・・顔が赤いんだが、熱でもあるのか?」
「ひゃいっ!!こ、こないでーーーーー来るな、馬鹿わんこ!!!」
「・・・・・・ちょ、ちょっと待て、誰が馬鹿犬だ!」
「付いてくるんじゃないっ!!もう帰る。もうやだ、もう帰る~~!」

真っ赤になった顔で一目散に部屋を出て、速足でホテルを一気に走り抜けて消えようとする朱莉を慌てて追いかけていく雅裕。恐らく彼は内心で何故っ!?と思っていたに違いない。
しかし、パニックになって混乱していた朱莉にとって、そんなことはどうでもよかった。問題なのは・・・

(なんで、3年前に別れた元カレなんかにトキめいてどうすんのよ、私の馬鹿!もっといい男がいるでしょうに!あんなわんこなんか知るか!!!!)

「おい、朱莉っ!!」
「もう会いに来ないで!!!ずかずかと私の心に入り込んでくるだなんて・・・っ・・・でも、でも、そう簡単に取り込めると思ったら大間違いだから!2度来るなっ!!」

たまらず、真っ赤に染まった顔で慌てながらも、雅裕に向かってホテル前で叫んだ。いきなり叫び出した朱莉を見て唖然としていた雅裕だが、何かに思い当たったような顔で口を開いた。

「・・・・心に入り込んだ覚えはないんだが、それって俺が気になっているってことか?」
「ばっ・・・・自信過剰も大概にしてっ!いい、わんこなんかお呼びじゃないの!私が欲しいのはっ・・・もっと私と向き合ってくれる旦那様なんだからだからーーーーーー!!!」
「・・・・・うん、解った。努力するから、とりあえず俺を意識したままでいてくれ。」
「だから、それはあなたの思い違いっ、あなたが勝手に言っているだけっ!」
「じゃ、なんで真っ赤になってんの?」

なぜか強気になった雅裕が朱莉に近寄って頬に触れてくる。それだけで真っ赤な顔がさらに真っ赤になった朱莉は感情を悟られるとばかりに絶叫をあげながら雅裕を殴りつけた。宙にまった雅裕が動かなくなったのを通りすがりの人達がみていたが、朱莉はぜぇぜぇと息を整えようと胸を抑えていた。




「ばっ・・・・・かじゃないの!!!」




ばたりと倒れた雅裕に見向きもせず、さっさとホテルから離れだした朱莉の顔はどう見ても恋する女の顔をしていた。それからしばらくの間、ブライダルショップの駐車場にせっせとあししげく通うわんこと、それにほだされる朱莉の姿が見られたとか見られなかったとか。







ハッピーエンド!

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