【R18】階段で転げ落ちたシンデレラ

巴月のん

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魔法使いに捕まったシンデレラ

8)なんでこんなことをしてるんだろう?

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――むに、むぎゅうーーーーーーーー!

「いたひっひいいい!」

先輩と呼んだとたん、両頬をむんずと掴まれた上に引っ張られて痛い。何をするの!と叫ぶと、先輩は寂し気に呟いた。

「……左京って呼ばれる方がいいから」

あれ。別の意味で胸がトォクンとトキメいた?
ごめん、先輩が乙女に見えてしまいました(懺悔)

「わ、解りましたよ。左京さん」
「呼び捨てでいいから」
「……ぎゃ、やめて、解った、わかったから、もうつねらないでーーー!」

最初っから素直になってればいいのにと言いながら切符を買う左京。うん、無駄に足が長いですね。お陰で隣の女の人2人が貴方を見ていますよ?(ふーんだ)
今日はバンドの予定がないからこのまま電車でアパートまで行くと言えば、着いていくよと言ってきた。ホームに向かうと、丁度電車が来たので適当に二人並んで座る。
ガタンゴトンと揺れる電車の中でたわいのない話をする。講義は何を聞いたかとか、美味しい店のおすすめとか、サークルのこととか。そんな風に話し合っているうちに最寄り駅についた。改札を通って、アパートまでなぜか手つなぎで歩いている。しかも恋人風味で手を絡み合わせてくるもんだからちょっと悩む。

うーん?
一体どういうことだろう。この人、好きな人いるんじゃなかったの?

首を傾げてると、左京が顔を覗き込んできた。どうしたとでも言いたげな表情だな。うん、でも何でもないって首を振って返すけれどね!
ほんと、彼の顔を読むスキルが日々高まってきてないかな、あたし。

でも、この様子だったら、本当に引きずってなさそうだから聞いてみよう。

「そういえばさ、佳音に告白したって聞いたけれど、ようやくですか?」
「……耳が早いね」
「そりゃ、毎日会いますし」
「ああ、だよねぇ。まー、一応踏ん切りはついたかな」
「ふーん、じゃあ、新しく好きになった人には告白しないんですか?」
「待って、それも佳音ちゃんから聞いたの?」
「あ、大丈夫。名前までは聞いてないから」

ぐっとサムズアップすれば、嫌そうな顔を向けてきた。しかも、なんでか、中途半端なとぶつぶつ喋っている。なんだろうね、この人。

そうこうしている内に着いちゃった。お礼を言おうとしたら、さらっと部屋にはいってきやがったよ、この人!

「あ、白黒のモノトーンで赤をアクセントにしてるんだな」
「なんというか、すっきりしてるほうが落ち着くかなって」
「なるほど。でも、その分キッチンの方がすごくない」
「あっちはミナイデクダサイ」

よりによって一番見てほしくなかったごちゃごちゃなキッチンを見られるとは不覚。しかも、笑いながらちゃっかりと布団の上にあぐらを組んでる。自然に流れるようにそんな行動を起こせるとか、なんだろう、イケメンに技とかスキルのレベルとかあるのかしら。ついそんなくだらないことを考えていると、裾を引っ張られた。

「麻友、何を考えてるー?」
「ううん、くだらないことですよ。それより、何か話があるからここまで来たのでは?」
「そうそう! それだよ。あのさ、麻友。明日デートに行かない?」
「はい?」
「俺ね、ようやく仕事が一段落してやっと一日休みが取れたんだよね。佳音ちゃんに聞いたら麻友も明日休講で一日開いてるって言っていたから」
「かーのーんーーーーーーー!?」

なんで余計なことを言うのーと叫ぶと、左京が隣に響くからと慌てて止めてくれた。いや、もう遅いけれどね。とりあえず、明日の予定は決定だとスマホを取り出すとすでにデートと書いてあった。……計画的な上に事故報告とかマジ最悪ですよ、左京サン。
そしてーーー


なぜか、あたしたちは一緒に風呂に入ってる。このくっそ狭い浴槽になんで2人一緒に!

「なんでこうなった!」
「だって、疲れてたし、麻友で癒されたかったし、こうしたかったし~」

こら、最後、最後の一文がおかしい!
そして、言いながら、胸を揉まないで、おかしくなるから!

「んっ」
「お湯に使ってるからか、身体が火照って熱いよね、わかるわかる」
「……解ってるなら、とめっ、んっ、ああっ」

なぜか項を舐められた。しかも、手の動きはさらに怪しくなって両胸を揉み揉みしている。何、コレ。前にシノが読んでいたラノベみたいな展開になってる。あたし、ヒロインじゃないし、エロい幼馴染でもないからね!?

「はふっ…‥」

胸を揉まれているからか、身体じゅうに快感の波が襲ってきて止まらない。お湯につかっているはずなのに、冷たささえ感じるほど。でも、お尻にこすりつけるように当たっているソレの感触だけはとてもやけにリアルに感じた。

なんだろう、感覚が研ぎ澄まされている感じなのかな。

麻友がぼんやりしていると、胸を揉んでいた手が片方だけ降ろされ、下の方へと下がっていった。まさかと思い、身体をくねらせるがそれを軽々と突破し、茂みの奥へと入っていった。
細長いくせにごつい指が一本ずつ入っていくのが解る。しかも、お湯と一緒だから余計に滑りがいい。

「や、だっ……あうっ、あああっ!」

びくっと身体を震わせるが、中を擦ってくる手の動きは止まってくれない。胸を揉んでいた手はいつの間にか乳首をねっとりと甚振っている。
ぼんやりしていると、顔の向きを変えられ、キスを落とされた。目の前に迫ってくる彼の顔を色っぽいと思いながらも、なんだかむしょうに乱したくなってたまらない。キスを一回。二回。三回。軽いキスから深いキスへ。舌を絡ませ、唾液を交じりあわせる。身体をようやく繋いだのは、濃厚で深い深く長いキスを交わしたその時だった。

浴槽から水があふれるが、そんなことを気にしてはいられなかった。向かいあって抱き合う形で身体を繋ぐ。お尻を抑え込まれ、快感から逃げようにも逃げられない。息が苦しくてたまらないと口を開きっぱなしにしてると、時々口づけが降ってくる。

ああ。この人、ほんとにヒドイな。
好きな人がいるくせに。

快楽に溺れる中、ようやく脳裏に過ぎった『彼の好きな人』。一旦出てきたらもう気になってしまうし、ちょっといらってくる。解ってる。これは嫉妬だ。

ぎゅっと唇をかみしめていると、気付いたのか、左京が首をつかんで引き寄せてきた。

「うわっ?」
「まーゆ、何を考えてるのか言ってみー?」
「え、え?」
「俺を前にして余計なこと考えるとか、ほんと余裕だなー?」
「なんでそんなことわか、ああっ、や、ちがっ、それは、左京でしょう!?」

ムカつくとばかりに、乳首を吸って嚙みつこうとして来た彼を慌てて制止する。そう言われたらこっちだってムッとする。ベタベタになった髪をなんとか後ろに流して、左京と目線を合わせた。



「好きな人いるんでしょ? だったら、こんなことおかしくない?」




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