【R18】階段で転げ落ちたシンデレラ

巴月のん

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魔法使いに捕まったシンデレラ

1)始まりは麻友の不運な一日から

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濡れる感触とともに熱い熱が奥へと入り込む。熱に反してぬめっとした冷たさは逃げようにも、ベッドに座らされた上に彼の頭が股に入り込んでいる状態では不可能。足をバタバタさせても、びくともしない彼を前に麻友は涙目になりながら喘いでいた。

「やっ・・あぁ、ああんっ・・・・やだぁ・・・・・・!!」

麻友は混乱状態だった。ついさっきまで会話しあっていた人に何故こんなことをされるのか。自分の秘部を丁寧に解して舐めとっている左京を見下ろす。今の自分が涙でボロボロになっているのは承知の上。それでも、嫌らしく秘部をなぶってくる彼に対してなかなか悪態をつけないのは、何度も押し寄せてくる快感のせい。


「な、んでぇ・・・・・・」



事の起こりは、今朝。彼とデートの待ち合わせにと向かった先で、なぜか小さくなっている彼と偉そうな女が待っていた。嫌な予感を感じて話を聞いてみれば、私が浮気相手だったという。彼への不信感を堪えながらも唖然としていた私を本命の彼女はぎゃあぎゃあと遠慮なく罵ってくれた。

「よくもまあ、あたしの彼をたぶらかしてくれたものね!いろいろ聞いたわ、彼にしつこく誘っていたんですって?」
「ちょ、みどり、そこまでにして、なっ?」

彼がおろおろしているのは当然だ。しつこく誘ってきたのは私ではなく彼の方。そもそもがナンパでの出会い。それを何故彼女が誤解しているのか。答えなど一つしかない。彼が噓をついて自分の保身を図っているとしか考えられない。
しかし、自分が浮気相手ということにショックを受けていた麻友は呆然と聞くことしかできなかった。

「ちょっと聞いてるのかしら!?」

いきなり麻友は頭から水をかけられてベタベタに濡れた。精神的に限界で泣きそうになるのを堪えながら、膝上で拳を握り締めた。下を向いたまま、ぎゃあぎゃあと聞こえる喚き声を聞き続けていた。
彼はというと、ちらちらと自分を見てくるが助けようともしない。それも、麻友にとって悔しいことの一つだった。
もう帰りたいと思っていた麻友の頭上から聞きなれた声が降ってきた。それは最近よく話すようになった彼の声。

「あっれーそこにいるのさかきちゃんじゃん!」
「どうして、ここにいるんですか、左京さきょうさん」
「それはこっちのセリフ。あれ?こっちは・・・・・・」

そこにいたのは、親友である佳音かのんの彼氏である右京うきょうさんの双子のお兄さん。できるなら、こんな場面を見られたくなかった。俯いていると、何かを察した彼は麻友の隣に無理やり座り、麻友の顔を無理やりハンカチで拭った。誰もがいきなりの第三者の登場にあっけにとられた中、麻友は左京の声に不思議と落ちついて冷静になれた。

「ふーんふーん。なるほどね~大体わかった。あ、そちらの美人さん、申し訳ないけれど俺も座らせてもらうね」
「あ、は、はい。どうぞ」
「おい、麻友!こいつ一体誰だよ?まさか、お前俺と二股かけてたんじゃないだろうな?」

語るに落ちるとはこのことか。さっきまで彼女をなだめていた男が麻友にくってかかる。それはそうだろう。先輩は美形、美男子。しかもスーツだって見るからに高級。彼女さんが見惚れても不思議はない。それが面白くないのだろう。
麻友としては呆れるしかないが、そこでおもいっきり笑うのが左京で。

「うっわー、バカであほで愚かな男だねー。榊ちゃんがお前と同レベルって本気で思ってる?言っておくけれど、彼女はすっごい一途だったよ?お前が六股かけている間にもサークルで一生懸命頑張っていて、浮気する暇なんてこれっぽちもなかった。それこそ仕事場でアンアンやってるお前と大違いで~いやぁ、ほんとおもっしろいやつだね☆」
「ろく・・・・・・またですって?それに、仕事場でって、どういうことなの?」
「い、いや、でたらめだよ。よく考えてくれよ、お前の親父さんの会社で俺がどうこうできるわけないだろう?それに、出勤はいつもお前と一緒じゃないか」
「そうかもだけれど」
「でも、私とデートしたりそういうことをする暇は作れるんですね?」
「お、おいっ!余計なことは言うな!」
「どういうことかしら、飛朗斗ひろと

じろりと睨みつけてくる彼女に慌てて言い訳をする彼だが、左京の攻撃は止まらなかった。

大鷺飛朗斗おおさぎひろとサンだっけねー。さすがに取引先の社員に手を出した上に利用して不正を行ったのはまずかったと思うよ~。近いうちそっちの会社を訴えるつもりでいるって聞いたから頑張ってー」
「な、なんでそれを!!」
「わが社としては不正があった以上、今後取引なんてできないからね~。あと、六股の証拠だけれど、たまたまここにあるんだな、これが」

そういいながら左京が取り出してきたのは小型の録音レコーダーといくつかのSD。青ざめる彼を他所に録音レコーダーのスイッチボタンの音が響く。そして流れてきた情交の卑猥な声と交じって悪口や会社の機密についての会話が聞こえた。
慌ててそれを取り返そうとする彼だが、逆に左京から水をぶっかけられて呆然となっていた。

「正直、最初は榊ちゃんのことがあったから穏便にと思っていたけれど、お前がこんな手を使ってきたからしょうがないよね~?で、そちらの美人さんさ、こんなバカに寄り添うつもりでいるの?」
「いいえ、別れます。私としてもその件は他人事ではないので、その証拠をこちらにもよこしていただけるとありがたいのですが」
「おいっ?!」
「賢明だね~でも安心していい。ついさっき、君の父上の方に送らせていただいたよ~」
「どういう、ことだ。お前、社長となんかの関係が・・・・・・?」
「私が知る取引先を考えると年齢的に佐野カンパニーしか思い浮かばないのですが、合っていますでしょうか?」
「おお~大正解!改めて、佐野左京です。一応、佐野カンパニーの副社長をやらせてもらってまーす。よろしくね~」
「・・・・・・・っ・・・・!」

やっぱりとため息をついた彼女はいきなり麻友の方を見て頭を下げてきた。

「いろいろと暴言を言ったことを撤回するとともにお詫びします。このやり取りの流れからして、貴方が騙されていたことを察しました。飛朗斗に関しては私の方でなんとかしますので、申し訳ございませんがここで手打ちにしていただけると大変ありがたく思います」
「え、あ・・・・・・」
「榊ちゃんの好きにしたらいいよ~」
「わかりまし、た。その人が私の前に現れないというのなら、お任せします」

左京の軽い口調に背を押された麻友は肯定の意味で目の前にいる彼女に言い切った。それを受けた彼女は名刺を取り出し、佳音の目の前に差し出してきた。

「ありがとうございます。もし、この件で何か困ったことがあればこちらにご連絡を。最大限の配慮をさせていただきます。お二人とも、申し訳ございませんが急用にて失礼いたしますわ」
「お、おい?」
「飛朗斗、貴方はお父様・・・いえ、社長から連絡があるまではお好きになさって」

なんとか思いとどまらせようとする彼だが、そのかいなく、彼女は去っていった。その潔い態度に麻友は目をぱちくりさせた。手に取った名刺には『華之宮 翠』と書かれている。これは捨ててはならないような気がして鞄に大事にしまった。その間にも左京の毒舌はとまらないとまらない。

「ねー、飛朗斗っていったっけ~?お前はさ、見る目がちゃんとある。それだけにそのゆるゆるな下半身が情けないなって思うのね~」
「し、失礼な奴だな!侮辱罪で訴えるぞ!」
「その前に会社に首にされて横領罪で捕まると思うよ~」
「くっ、覚えていろ!!」
「うんうん、俺もお前の声と顔を覚えたからね~じゃ、ととっと帰って?俺たちのデートの邪魔だからさ~」

怒りながら店を出る彼に追い打ちをかけている左京に啞然としながらも、麻友はようやく今までの流れを読み込めた。

「はぁ・・・・・・左京さん、こっちに来たの偶然じゃないですよね?」
「そうだよ。偶然って言ってないから噓じゃないよね~」
「佐野一族は全員切れ者だから相手にするなって言っていた父の言葉は正しかったと実感しました」
「君のお父さんと会社の評判はいいけれど、お人よしすぎると思うな~」
「そこが父のいいところであり悪いところでもありますね。ちょっとどいてください」
「え、なんで?」
「もちろん帰りますよ。もう彼との約束は意味なくなりましたし」

麻友としては一旦家に帰って気分を変えたいと思っていた。だが、左京はそれをあっさりと止めた・・・彼女を抱き上げる形で。

「えーこのままじゃ面白くないデショ。俺に付き合ってね~」
「え?ええーーーーーーー?」


そしてなぜか左京の部屋に連れ込まれて、なぜかヤケだとばかりに勧められたお酒を飲んで。気付いたら、ベッドに座っていて、おまけに左京にあそこを蹂躙されている。


一日でいろんなことが起こりすぎて整理できない!!



「ん、そろそろ頃合いかな」


彼の声が耳に届くのと同時に熱い熱が一旦抜かれた。びくんと体を震わせていると、左京が押し倒してきた。それと同時に足首を掴まれ、勢いよく広げられた。こんな体勢、恥ずかしすぎるとばかりに麻友が目で抗議すると左京が笑いながらキスしてきた。

「麻友、力を抜いて舌に集中して」
「んっ・・・・・・や、め・・・・・・」

くちゅくちゅと絡み合う舌に追い立てられていると奥の方に何かが当たる感触がした。それにびくっとなっていると、足首を掴んでいた手が胸を揉んできた。
深く絡み合う舌の動きに合わせて揉んだりつまんでいる手に息が荒くなる。どんどん湧き上がってくる欲情の波で力が抜けていく。それを見逃さなかった左京は一気に麻友を貫いた。先端がズブズブと入り込み、麻友の狭い膣にこれでもかとばかりにすべてを収めきった。

「んっやぁあああ」

思わず唇を離してしまう。だけれど、左京はそれをとがめない。それどころか腰を掴んで激しく動いてさらなる快楽に導こうとしている。シーツを掴んで彼の熱を必死に受け止めている麻友はもう何も考えられなくなっていた。

ぐったりとしている麻友から肉棒を引き離そうとするが、その前にと麻友の耳元で小さく囁いた。



「酔っぱらっていたとはいえ、俺の本性を暴いたんだ。絶対に逃がすものか」


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