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幕間39.5)複雑な思い(ザン目線)
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たこ焼き屋の娘と紫紺の王子の事情
双子からの初めての願いはとある人にあって欲しいというものだった。
それもこの場ですぐに。
皇帝である兄に目配せすると渋々ながらも頷いたのが見えた。それを了承ととり、双子達に是と頷いた。
少しの時間をおいて双子達が持ってきたのは移動式の鏡。それは確かに双子達の部屋にあったものだと記憶している。
「その鏡がどうかしたか?」
「ちょっとまってくださいね」
「おじいちゃん、お願いします~!」
おじいちゃんと呼ぶその声に合わせ、鏡にとある人物が写る。その姿は歳は少し老けたものの、かつての面影が残っている。
兄上も驚きで立ち上がったほどだ。周りの貴族たちは訳が分からないといった様子だが、そんなことを気にしていてもいられない。慌てて跪いて礼をとった。
「お久しぶりです、義父上!」
忘れようもない。この方こそ、アリアの父親であるリーディン・マラディーヒ様なのだから。
あの最初に会った時はスーツだったが、今は着物を着ていた。だが、醸し出している雰囲気は間違えようがない。ザンが礼をとったのを見て周りもただならぬ相手だと察し、一斉に口を噤んだようだ。
「久しいな。わしとしてはこのような再会になるとは思わなかったよ」
「それはこちらの台詞です。まさか双子と知り合いになっておいでだったとは」
「本当にたまたま鏡がつながってな。それはそうと双子に聞いたのだが皇族が愚かしい計画を立てているとは本当かね?」
「・・・そう、ですね。義父上から見ればそうだと思います」
「ほう。だが、その計画は叶うまい。皇帝とやら、天の女神からの言葉を伝えよう。『相変わらず忌々しい一族ですね。初代聖女を苦しめておきながらその子孫まで縛り付けようというのですか。もし、それを実際に実行したその時には我を含めた三女神が相手になりましょう』と」
「し、しかし・・・」
「そもそも、自分の息子の葛藤すら支えてやれぬ愚か者が世界の心配など片腹痛い」
「は?」
「聖女の血筋を大事にするあまり我が子を顧みないことの方が問題だと言っているのだが解らないのかね?ところで、ザン・・・私はそちらに帰りたいのだが問題はないかね?」
ザンは真っ白になった兄を気の毒に思いながらも、唐突に放たれた発言に啞然とした。どういうことだと内心パニックになっていると双子が嬉しそうにそれはいいことですねと鏡に話しかけている。
いやいや、まて。それはどういうことだ?
そもそも、こちらに来ると言ってもそう簡単なことでは・・・・
「簡単なことだよ。ワンダーギフトがそちらに落ちてくるのだからね。その次元の狭間を見つけて抜ければ魔力もそれほど必要としないしね」
「・・・勝手に心を読まないでください」
・・・初代聖女を苦しめた一族の生き残りというのはだてじゃない。もっともそうでなくては彼女の父親たりえないのだが。相変わらずで何よりですよ、リーディン・マラディーヒ様。
「ザン、皇族に戻るつもりはないからひっそりとした場所を頼むよ。そうすれば、私を媒体にして扉を作ることができるのだからね」
「・・・それは、彼女を帰すのに協力すると?」
「双子の話を聞いている限り、私が一番適任のようだからね。それに、わしも恩を返したい」
他ならぬ娘の恩人なのだろう?と問われば、頷くほかはない。すると、相手は肩を竦めた。
「それに可愛い孫たちの頼みだ。ならば、私が成すべきことは一つだけだよ」
「・・・かしこまりました。すぐに用意させます。それから、ケイトの方にも連絡を」
「ああ、それは私が行こう。ああ、そうだ。悪いが、異世界の鏡を双子に持たせる許可も頼む。あれがあればもっと楽に繋げることができるからね」
・・・・是以外何を言えただろうか。入り口にいた兵士にあれこれと指示し、丁度この場にいた教会の窓口を担当する貴族にいろいろと手配を任せた。
そして、双子に目を向けて、自分が言えたのはただ一言だけ。
「・・・とんでもない人と知り合ったものだな」
「「ふふふー」」
「やれやれ。アリアが知ったら驚くだろうな」
嬉しそうに笑っている双子になんとなしに告げると二人は顔を見合わせた。
「・・・その母様なんだけど」
「何だ?」
「だから、僕たちに鏡をもってここへ行くようにって言ったのが」
「母様なのよ」
「・・・アリアはこうなることを見越していたと?」
「「みたいです・・・。あっ、こうも言ってました!証明書を書いてもらえとも」」
今回は・・・全部アリアの手の内といってもいいんだろうなと眉間に寄った皺をつまむ。
しかし、現状自分たちができることは少ない。とりあえず固まっている兄を起こして、証明書を書かせようと決めた。
部屋をノックすれば、どうぞと声が返ってきた。扉を開くと、窓の方に彼女が座っていた。長い髪に絡んでいくつものの花飾りが揺れている。傍に座ると、彼女は解っていたというようにもたれてきた。
「アリア」
「・・・その様子だと手続きは終わったようね」
「こうなることもわかっていたのか?」
「ザン。やっぱり、貴方はぶれなかったわねぇ」
そういいながらひとさし指を自分の額に向けて、ぱちんと鳴らした。当然ながらこめかみに当たるわけで、それは地味に痛かった。額を抑えながら何をと言おうとするとぽろぽろと涙をこぼしているアリアが見えた。
「あり、あ」
「解っているのよ。私が言えた義理じゃないって。それでも、私がいない間・・・双子や1人だったケイトをどうにかできたのはきっと・・・あなただけだった。でも、貴方は・・・」
アリアが握りしめた拳が目に入る。彼女の言葉を否定する気はない。まったくもってその通りだと頷かざるを得ない。
「ああ、俺は彼を、そして双子達さえも放置した・・・お前を失ったことでもうどうでもいいとやけになっていたからな」
それでも、双子が生きてこれたのはやはりケイトが育てていたからだろう。今にして思えば、あのケイトがよくやったと思う。
「それでも、なんとか俺があの子達を把握できたのは君に言われて真名繋がりを実行していたからだ」
そう、心の片隅に脆くも細いつながりが三本。それがあったからこそ大きな危険も回避できたし、心配すらしていなかった。今にして思う。もしかしたら、義父上もこんな気持ちでいたのだろうかと。
泣いているアリアを抱きかかえて頭を撫でる。こうして一緒にいられるようになったのもつい最近であり、アリエッタのお蔭でもある。その意味も込めて、ケイトを自由にさせていたのだが、アリアからすれば複雑だったのだろう。
しかし、アリアが双子の後押しをしたということは、やはり彼女も息子の幸せを願ってのことだろうと察せられる。
義父上は・・・扉を作れば行き来できるといったけれど・・・きっとあの子はこの国と行き来するなんて考えは持ち合わせていない。
そして、アリアもまた日本に行くなどと考えてもいない。それは自分も同じ。
日本は俺たちの居場所ではないのだから。
そして、あの子にとってもここは居場所になりえない。
つまりはどう考えようともあの子は自分で選び取るだろう。日本へ行くことを。
だけれど、アリアはまだ心の整理ができていないからこんな風になっている。
・・・・それは理解できる。
だけれど、少し・・・ほんの少しだけ、イラっと来るのは自分のエゴなのだろう。
「だから、解っているのよ。ケイトが日本に行きたいっていうのを止める立場にないし、資格もないってことも。それでも・・・やっぱり・・・寂しいのよ」
「だが、義父がいらっしゃったからには大丈夫だろう?」
「・・・父が言っていたわ。自分が引き延ばせるのは精々数年ぐらいだろうって」
「つまり、永くないと?」
「早く母の下へ行きたいんですって。あの人らしいわよね・・・でも、母が死の間際にひ孫が生まれるまでは生きてって言ったらしいの。だから、まだ死ねないって言っていたの」
「そうか」
「・・・・私は・・・・喜んでいいのか悲しんでいいのか・・・解らなかった」
「そうだな、お前にとってはどちらも大事だからな」
「・・・あの子に感謝はしているの。でもやっぱり羨ましくて・・・本当に複雑だわ」
アリアの気持ちは母親ならでの気持ちなのだろう。
だが、自分からすれば子どもとはそういうものだととしか思えない。
彼女の涙をぬぐい、頭を撫でながら慰める。自分としては淡々と告げることしかできない。
それは彼女もわかっていたらしく、泣いたかとおもったら膨れっ面になっていた。
「アリア、子どもはいずれ親の手元から去っていくよ。それが早まっただけだ」
「ザンはやっぱり変わらないわね。でも・・・早すぎるわ」
「大丈夫だ、俺だけはずっとお前の傍だ。それに、双子だっているだろう。義父上は孫を気に入っているようだから、どんどん会わせて、少しでも長生きしてもらおう」
「・・・そうね」
額や頬にとキスの雨を降らすとようやく落ち着いたのか、アリアは腕を回してさらに強く抱きついてきた。
「大丈夫だ。俺達の子どもを信じよう」
だから、安心して俺だけを見ていればいい。
・・・彼女が今の俺の気持ちを知ったらどうなるのか。まぁ、一生伝えるつもりもないから別に構わないのだが。恐らく今の俺の気持ちを正確に把握できるのはケイトぐらいではないだろうか。
恐らくこの場をケイトが見ていたら多分こういうだろうな。
『・・・父上にとっては母上以外どうでもいいくせに』と。
・・・それでも、ほんの少しぐらいの情はちゃんとあるよ。ほかならぬアリアの血を引く子どもたちだ。
だから願ってはやろう。かつて義父上が願っていたように。
『遠く離れていてもお前が俺達の子であることにはかわらぬ。願わくはアリアの故郷で幸福であれ』
双子からの初めての願いはとある人にあって欲しいというものだった。
それもこの場ですぐに。
皇帝である兄に目配せすると渋々ながらも頷いたのが見えた。それを了承ととり、双子達に是と頷いた。
少しの時間をおいて双子達が持ってきたのは移動式の鏡。それは確かに双子達の部屋にあったものだと記憶している。
「その鏡がどうかしたか?」
「ちょっとまってくださいね」
「おじいちゃん、お願いします~!」
おじいちゃんと呼ぶその声に合わせ、鏡にとある人物が写る。その姿は歳は少し老けたものの、かつての面影が残っている。
兄上も驚きで立ち上がったほどだ。周りの貴族たちは訳が分からないといった様子だが、そんなことを気にしていてもいられない。慌てて跪いて礼をとった。
「お久しぶりです、義父上!」
忘れようもない。この方こそ、アリアの父親であるリーディン・マラディーヒ様なのだから。
あの最初に会った時はスーツだったが、今は着物を着ていた。だが、醸し出している雰囲気は間違えようがない。ザンが礼をとったのを見て周りもただならぬ相手だと察し、一斉に口を噤んだようだ。
「久しいな。わしとしてはこのような再会になるとは思わなかったよ」
「それはこちらの台詞です。まさか双子と知り合いになっておいでだったとは」
「本当にたまたま鏡がつながってな。それはそうと双子に聞いたのだが皇族が愚かしい計画を立てているとは本当かね?」
「・・・そう、ですね。義父上から見ればそうだと思います」
「ほう。だが、その計画は叶うまい。皇帝とやら、天の女神からの言葉を伝えよう。『相変わらず忌々しい一族ですね。初代聖女を苦しめておきながらその子孫まで縛り付けようというのですか。もし、それを実際に実行したその時には我を含めた三女神が相手になりましょう』と」
「し、しかし・・・」
「そもそも、自分の息子の葛藤すら支えてやれぬ愚か者が世界の心配など片腹痛い」
「は?」
「聖女の血筋を大事にするあまり我が子を顧みないことの方が問題だと言っているのだが解らないのかね?ところで、ザン・・・私はそちらに帰りたいのだが問題はないかね?」
ザンは真っ白になった兄を気の毒に思いながらも、唐突に放たれた発言に啞然とした。どういうことだと内心パニックになっていると双子が嬉しそうにそれはいいことですねと鏡に話しかけている。
いやいや、まて。それはどういうことだ?
そもそも、こちらに来ると言ってもそう簡単なことでは・・・・
「簡単なことだよ。ワンダーギフトがそちらに落ちてくるのだからね。その次元の狭間を見つけて抜ければ魔力もそれほど必要としないしね」
「・・・勝手に心を読まないでください」
・・・初代聖女を苦しめた一族の生き残りというのはだてじゃない。もっともそうでなくては彼女の父親たりえないのだが。相変わらずで何よりですよ、リーディン・マラディーヒ様。
「ザン、皇族に戻るつもりはないからひっそりとした場所を頼むよ。そうすれば、私を媒体にして扉を作ることができるのだからね」
「・・・それは、彼女を帰すのに協力すると?」
「双子の話を聞いている限り、私が一番適任のようだからね。それに、わしも恩を返したい」
他ならぬ娘の恩人なのだろう?と問われば、頷くほかはない。すると、相手は肩を竦めた。
「それに可愛い孫たちの頼みだ。ならば、私が成すべきことは一つだけだよ」
「・・・かしこまりました。すぐに用意させます。それから、ケイトの方にも連絡を」
「ああ、それは私が行こう。ああ、そうだ。悪いが、異世界の鏡を双子に持たせる許可も頼む。あれがあればもっと楽に繋げることができるからね」
・・・・是以外何を言えただろうか。入り口にいた兵士にあれこれと指示し、丁度この場にいた教会の窓口を担当する貴族にいろいろと手配を任せた。
そして、双子に目を向けて、自分が言えたのはただ一言だけ。
「・・・とんでもない人と知り合ったものだな」
「「ふふふー」」
「やれやれ。アリアが知ったら驚くだろうな」
嬉しそうに笑っている双子になんとなしに告げると二人は顔を見合わせた。
「・・・その母様なんだけど」
「何だ?」
「だから、僕たちに鏡をもってここへ行くようにって言ったのが」
「母様なのよ」
「・・・アリアはこうなることを見越していたと?」
「「みたいです・・・。あっ、こうも言ってました!証明書を書いてもらえとも」」
今回は・・・全部アリアの手の内といってもいいんだろうなと眉間に寄った皺をつまむ。
しかし、現状自分たちができることは少ない。とりあえず固まっている兄を起こして、証明書を書かせようと決めた。
部屋をノックすれば、どうぞと声が返ってきた。扉を開くと、窓の方に彼女が座っていた。長い髪に絡んでいくつものの花飾りが揺れている。傍に座ると、彼女は解っていたというようにもたれてきた。
「アリア」
「・・・その様子だと手続きは終わったようね」
「こうなることもわかっていたのか?」
「ザン。やっぱり、貴方はぶれなかったわねぇ」
そういいながらひとさし指を自分の額に向けて、ぱちんと鳴らした。当然ながらこめかみに当たるわけで、それは地味に痛かった。額を抑えながら何をと言おうとするとぽろぽろと涙をこぼしているアリアが見えた。
「あり、あ」
「解っているのよ。私が言えた義理じゃないって。それでも、私がいない間・・・双子や1人だったケイトをどうにかできたのはきっと・・・あなただけだった。でも、貴方は・・・」
アリアが握りしめた拳が目に入る。彼女の言葉を否定する気はない。まったくもってその通りだと頷かざるを得ない。
「ああ、俺は彼を、そして双子達さえも放置した・・・お前を失ったことでもうどうでもいいとやけになっていたからな」
それでも、双子が生きてこれたのはやはりケイトが育てていたからだろう。今にして思えば、あのケイトがよくやったと思う。
「それでも、なんとか俺があの子達を把握できたのは君に言われて真名繋がりを実行していたからだ」
そう、心の片隅に脆くも細いつながりが三本。それがあったからこそ大きな危険も回避できたし、心配すらしていなかった。今にして思う。もしかしたら、義父上もこんな気持ちでいたのだろうかと。
泣いているアリアを抱きかかえて頭を撫でる。こうして一緒にいられるようになったのもつい最近であり、アリエッタのお蔭でもある。その意味も込めて、ケイトを自由にさせていたのだが、アリアからすれば複雑だったのだろう。
しかし、アリアが双子の後押しをしたということは、やはり彼女も息子の幸せを願ってのことだろうと察せられる。
義父上は・・・扉を作れば行き来できるといったけれど・・・きっとあの子はこの国と行き来するなんて考えは持ち合わせていない。
そして、アリアもまた日本に行くなどと考えてもいない。それは自分も同じ。
日本は俺たちの居場所ではないのだから。
そして、あの子にとってもここは居場所になりえない。
つまりはどう考えようともあの子は自分で選び取るだろう。日本へ行くことを。
だけれど、アリアはまだ心の整理ができていないからこんな風になっている。
・・・・それは理解できる。
だけれど、少し・・・ほんの少しだけ、イラっと来るのは自分のエゴなのだろう。
「だから、解っているのよ。ケイトが日本に行きたいっていうのを止める立場にないし、資格もないってことも。それでも・・・やっぱり・・・寂しいのよ」
「だが、義父がいらっしゃったからには大丈夫だろう?」
「・・・父が言っていたわ。自分が引き延ばせるのは精々数年ぐらいだろうって」
「つまり、永くないと?」
「早く母の下へ行きたいんですって。あの人らしいわよね・・・でも、母が死の間際にひ孫が生まれるまでは生きてって言ったらしいの。だから、まだ死ねないって言っていたの」
「そうか」
「・・・・私は・・・・喜んでいいのか悲しんでいいのか・・・解らなかった」
「そうだな、お前にとってはどちらも大事だからな」
「・・・あの子に感謝はしているの。でもやっぱり羨ましくて・・・本当に複雑だわ」
アリアの気持ちは母親ならでの気持ちなのだろう。
だが、自分からすれば子どもとはそういうものだととしか思えない。
彼女の涙をぬぐい、頭を撫でながら慰める。自分としては淡々と告げることしかできない。
それは彼女もわかっていたらしく、泣いたかとおもったら膨れっ面になっていた。
「アリア、子どもはいずれ親の手元から去っていくよ。それが早まっただけだ」
「ザンはやっぱり変わらないわね。でも・・・早すぎるわ」
「大丈夫だ、俺だけはずっとお前の傍だ。それに、双子だっているだろう。義父上は孫を気に入っているようだから、どんどん会わせて、少しでも長生きしてもらおう」
「・・・そうね」
額や頬にとキスの雨を降らすとようやく落ち着いたのか、アリアは腕を回してさらに強く抱きついてきた。
「大丈夫だ。俺達の子どもを信じよう」
だから、安心して俺だけを見ていればいい。
・・・彼女が今の俺の気持ちを知ったらどうなるのか。まぁ、一生伝えるつもりもないから別に構わないのだが。恐らく今の俺の気持ちを正確に把握できるのはケイトぐらいではないだろうか。
恐らくこの場をケイトが見ていたら多分こういうだろうな。
『・・・父上にとっては母上以外どうでもいいくせに』と。
・・・それでも、ほんの少しぐらいの情はちゃんとあるよ。ほかならぬアリアの血を引く子どもたちだ。
だから願ってはやろう。かつて義父上が願っていたように。
『遠く離れていてもお前が俺達の子であることにはかわらぬ。願わくはアリアの故郷で幸福であれ』
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