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34)身体を結ぼうと変わらぬ二人

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たこ焼き屋の娘と紫紺の王子の事情







「あれ、じゃあ、皇族の方々は当然ご存知・・・」
「そりゃそうでしょ」
「・・・・よく店長なんかやってられますね」
「まあ、そこはいろいろと取引してるからね・・・主に皇帝と」

そこは敢えてスルーでね?と暗に含ませたまばゆい微笑みを見たアリエッタはそっと目を逸らした。というか、何故自分はケイト王子のあぐらの上に座っているのだろう。彼の両腕が自分をホールドしているということも大きいんだけれど・・・このむずむずするというか・・・表現に困る感情を押さえるにはこっちの方が安心するというのはこれ如何に。

「ところで、あのトーリャ様達も聖女の加護というか、そういった力をお持ちなのですか?」
「いいや、あの双子はそれなりに力はあるけれど、結界を張る力を持っているのは俺だけだと思う・・・多分。というのも、聖女の子であっても確実に受け継がれるわけじゃないらしいから」
「あ、そうか・・・ちゃんと受け継がれるなら召喚なんてしてませんよね」
「そういうことだね。だから、そういう意味では珍しい例だと思う。母上は多分それに気付いていないと思う。父上は・・・どうだろうな、解っていてもスルーしそうだけれど」
「ああ、さもありなん・・・」

ぱっと脳裏に浮かんだのは、似非笑みを浮かべたザン殿下。確かにアレをみれば、明らかにアリア様以外には興味ありませんって感じだ。

「それに俺はどっちかっていうと悪名の方が有名かも」
「それ、過去の悪行が原因ですよね?」
「うん、終わったことを否定するつもりはないし、正当化するつもりもないけれどね」
「なんていうか、線引きがしっかりしてるというか、切り捨てるのに迷わないんですね」

アリエッタの指摘にほんの少し困ったような表情をしたケイトは、一拍おいてからため息をついた。

「・・・その俺が唯一切り捨てられなかったのが君なんだけれど」
「なんでですか?」

突然の発言に思わず目を見開くと、額にそっと口づけられた。これはあれか、世間でいうおでこにキスっていうやつだろうか。何故それをする必要があるのか解らず、眉間に皺を寄せていると、ケイトが楽し気に頬を触ってきた。
すべすべだねといいながら触ってくるケイトを睨みつけて話を促すと、彼は目を細めた。

「・・・話す前に、店長って言った罰を受けようね?」
「えっ、ちょっと、まって、それはさっきのキスで無効!」
「額のはカウントに含まれない。唯一含まれるのは唇同士だけ」
「いやぁああああ」

押し問答の末に結局負けたアリエッタは口の中を蹂躙させられた。たかがキスといっても初心者にはかなりのハードルなのだ。これ、大事。世間の乙女よ、キスって意外に重いものなんですよ!と叫びたい気持ちを抑えながらも涙目になっていたアリエッタである。そんな彼女と裏腹に、ケイトは楽しそうに口を開いた。ちなみにすっかり答えを濁されていることにはこれっぽちも気付いていないアリエッタである。

「今回も最後までしないから安心して」
「待って、ここ執務室!!」
「大丈夫、あの二人は空気を呼んで下がってくれるし、他の奴らは来ないはずだ・・・多分」

数拍おいて言われた言葉に説得力があるはずもなし・・・全然安心できないとばかりにアリエッタは足をバタバタさせた。もっともそれも数秒後にはケイトの足に絡まれ、身動きできなくなるわけだが。

ソファーで押し倒されたアリエッタはむくれていたが、それでも依然と比べると抵抗は弱まっているように思う。ケイトはアリエッタの頬にキスを落としながら、ソファのラインにそって寝そべっている彼女のボタンを一つ一つずつ外していった。その間にも足は彼女の股の間に割って入り押さえるように絡みついている。
ボタンを外せば見える谷間をそっとなぞり、ラインに沿ってふくらみの方へと指をずらしていく。びくっと震えたアリエッタの頬は紅色に染まっていた。ケイトが片方の手でアリエッタのワンピースを肩から下ろしたものだから、上半身が冷たい空気にさらされて丸見えだ。朝にビビと一緒に選んだ黄色いレースのブラに包まれた胸がケイトの目の前にさらされたことに羞恥心しかない。みるみるうちに頬どころか体全体から湯気が出そうなぐらいだ。しかし、当のケイトはついには手のひらで左胸を揉みだした。それだけでもう涙目になったアリエッタだが、ケイトの行動は止まらない終わらない。アリエッタの首に嚙みつくようにキスをしてくる。ちくっとする痛みと同時に吸われた感きづ覚がする。嫌な予感を感じていると、ケイトが耳元で囁いてきた。

「うん、我ながら力作。綺麗につけることができたから後で鏡を見てよ」
「いやぁあああああ!なんでドレスで隠れないところにつけるの!」
「つまり、見えないところならいいってことだね」
「違う、違う、いやそうだけれど、そうじゃないっ・・・んっ、やっ・・・!」

慌てふためくアリエッタだが、ケイトの行動がここで終わるはずがない。ケイトはアリエッタの足を持ち上げながら、唇を塞ぐように深く舌を差し入れる。唸っているアリエッタを他所に、ケイトはアリエッタの胸を堪能しながら、たくし上げたスカートの中に手を伸ばし、ついにはショーツの隙間に指を忍ばせた。
秘部を撫でるように押し付けられた感覚に気付いたアリエッタはさきほどまでの喚いた行動が噓のようにぶるぶると小刻みに震え始めた。その様子はまるで小動物のように可愛らしく、ケイトの脳裏にはなにかにおびえている猫にしか見えなかった。
ここで頭を撫でてたらきっと可愛いだろう。しかし、あいにくと欲望を我慢できるほど大人じゃないと、ケイトはわざとらしく耳元で囁いてくる。

「・・・もう濡れているじゃないか」

そんなの言われなくても解ってる・・・だからこその涙目なのに!!せめてと思いっきり睨みつけても、そんなの可愛いだけだねとあっさりと交わされる始末。そして、そのまま指を・・・自分で見れないことがこんなに幸せだとは思わなかった。強弱をつけて差し入れされ、もういや、やめてと言っても、彼は耳たぶを嚙んだり、奥の方をかき回したりと彼女の声とは裏腹に悦んでいる身体を存分に楽しんでいた。
ようやく彼の指が止まったとき、アリエッタはぐったりとソファーで息を切らしていた。自分の痴態?もはや考えないほうが幸せだと思ったアリエッタは敢えて現実から目を逸らした。そうだ、彼の指にたとえ見たくないなにかがついていたとしても、それを舐める彼を視界に入れたら負け・・・

「うわっ、ど、どうしたの?」
「んーちょっとレベルアップを図るために移動するよ」

なんでかわからないけれど・・・ケイトに持ち上げられて移動された・・・しかもさりげに腰にひっかかっていたワンピースまですっぱりと脱がした状態で。
かくして、机に腰かけるように座らされたアリエッタはケイトを見下ろしていた。

「なんでこの体勢・・・?」

すぐに解るといわんばかりにケイトは申し訳程度に胸に引っかかっていたブラを完全に外し、ぷっくりと膨らんだ乳頭を舐めだした。コリコリと固くなってきているソレを吸うケイトの頭を必死に抑えようとしているが、彼のもう片方の手はアリエッタの足を掴んで彼の肩の方へと持ち上げた。アリエッタが体勢を維持しようと必死になっているのに、ケイトの舌は腹の方へと下がっていく。冷たい感触に体を震わせながらちらっとケイトを見下ろしているとケイトの舌は茂みをかき分けて奥のワレメへと入り込もうとしていた。
それはさすがにダメだろう!!と思ったアリエッタだが、それより早く体のバランスが崩れ、机に背中を押し付ける形になった。

これでは食べてくださいと言っているようなものではないか・・・!

そしてこの間にも舌の動きは止まらない。しかも、彼の両手もワレメが良く見えるように太ももを抑えているのでアリエッタは逃げたくても逃げられない。
というかね・・・

「ケイト・・・その・・・・本当に止めてくれる、のよね!?」
「ん・・・・どうしようかな」

アリエッタが震えながら言った時、ケイトは一瞬動きを止めて喋ったが再び舌を奥へと差し入れた。うん、つまり・・・・ケイトの返事の意味に気付いたアリエッタは限界!とばかりに手をバタバタさせた。

「・・・止めてほしいなら、俺にキスして」
「いやよ!」
「なんで?」
「そ、そのそこを舐めたその口に間接キスとか嫌にきまって・・・」
「なんで?君のいやらしい口から溢れてきた蜜だよ?美味しいにきま・・・いたっ!」

運よく足が動かせたので、ケイトの頭に思いっきりかかと通しを食らわせてやった。アリエッタがざまぁと思うも、ケイトが頭を押さえながら体重をかけるように覆いかぶさってきた。

あれ、この流れはいやなパターンじゃ?

「んー本当は口で終わらせるつもりだったけれど・・・予定変更だ。一回ぐらいは相性をためしてみようか」
「え、え?え??」

驚くアリエッタを他所にケイトはガチャガチャと何かを動かしている。その音がズボンを下ろすための音だと気付いたアリエッタはスイッチを押してしまったことにやっと気づいたが、後の祭り。

「いやぁあああ、ごめん、ごめんなさぃいいいい!!」
「ステップアップを望むとか本当にできた婚約者だよねー」

はい、再開といこうかとのたまったケイトはそのままアリエッタの口を封じた。最初は抵抗していたアリエッタもこれには弱くて、閉じていた唇も結局は抉じ開けられたらあっという間に陥落してしまう。
ピチャピチャと舌を絡めあい、涎を何度も交わらせる。ケイトとしてはもう準備万端ではあったけれど、敢えて余裕があるようにみせつけなければ沽券にかかわるとばかりに丁寧に秘部を和らげていた。とろとろと蜜が流れ、滑りがよくなったのを頃合いにケイトは彼女の腰を少し上げさせ、耳元で囁いた。

「も、入れるよ・・・俺も限界、だから」
「ふぇ・・・っ・・・こ、こわいっ・・・!」
「さい、ていげん・・・がんばるけど、ごめん、ね」

多分ね、をつけるあたりがケイトだと思ったアリエッタだが、今はケイトの背中にしがみつくことしかできない。だって、ケイトが今更やめるとか思えないし・・・!と。

「あ、いっ・・・んっ・・・・!!」

ワレメを押しのけるようにずぶりと入り込む指より太いソレにアリエッタは身体を逸らし、口を堅く閉じて、苦しさに耐えようと必死だった。
ケイトもできる限りの配慮はするつもりなのだろう、嫌にゆっくりした動きで押し進んでくる。足ががくんと震えるが、彼の動きは止まらない。痛みでぽろぽろ泣いているアリエッタの顏全体にキスを落としながらケイトは最後の最後まで全てを収めきった。

「だいじょ・・・じゃないね」

やっとほっとしたのかケイトは息を吐いてアリエッタを見下ろしたが、彼女はそれどころじゃなかった。弾む息を抑えるようにケイトに必死に抱き着いて離れない。・・・柔らかい胸が当たる感触と、自分を受け入れた彼女のナカの気持ちよさを比べ・・・ながら、彼女の腰に手を回し、腰を激しく動かすことにした。

「やっあああっ・・・い、きなっ・・・!!」
「ん、ごめんね。あまりの気持ちよさに・・・ちょっと止めれそうもない」
「ちょ、それ、おかっ・・・・・・・ああ、やぁっ!」

文句を言おうにもちょっとした動きで奥に当たる感覚がびりびりと伝わってくる。それだけにアリエッタは下手に何も言えないと感じたのか、それとも押し寄せてくる快感を抑えきれなくなったのか、後はもう言葉にならない喘ぎ声を奏でるだけだった。


「・・・ん?」


次にアリエッタが目を覚ましたのは、流れる水音を聞いた時。ぼんやりとする頭を押さえながらも自分がどこにいるかをやっと把握した。

「・・・どこの、お風呂?」
「もちろん、俺の部屋に決まってるでしょう」
「・・・・あれから、どれぐらい時間が?」
「えっと、今は18時半かな」
「うううう・・・ケイト・・・仕事は・・・」
「残念ながら逃がしてもらえなかったんでね。君をビビに預けて仕事を続行したよ」

そうでなきゃとっくに君をベッドに連れて行ったものをといいながらケイトは泡だらけになった頭をシャワーで濯いでいた。(ちなみにちゃんと下半身にはタオルを巻いていた)
つまりは、自分を浴槽に入れて、彼はシャワーを浴びていたわけか・・・。

つまりは、やっちゃったってのは夢じゃなくて

「・・・いっそ長い夢でしたっていうほうが良かったな」
「まぁ、これで名実と共に婚約者ってことで」
「・・・・ケイトはそれでいいの?」
「んー今はコレで我慢するよ・・・お互い、まだ・・・考えることがあるだろうしね」

シャワーの栓を絞めて浴槽に入ってくるケイトにアリエッタは肩をすくめた・・・心の中で。(だって身体の方はかなり疲れていて動かせなかったんだもん)

「だったら、抱かなかったら良かったのに」
「どっちにしてももう限界まできていたからいいんだ。それに、キモチよかったでしょ?」
「そういうところが嫌いだって何度言ったらわかるんですか・・って、こっちにこないでっ、いやっーーってか、ケイトだけタオル巻いてるし!」
「君の柔らかい身体をだきしめるほうがよっぼど温かいよ・・・タオル外してもいいけれど見る覚悟ある?」
「ぐぬ」
「あー可愛い」
「棒読みで言わないで」

傍目からすればイチャコラしているようにしか見えない二人はビビに怒られるまで風呂に入ったままだった。ちなみに、ぎゃあぎゃあ騒いでいたアリエッタは脱水症をおこし、やってきたビビによってベッドにあれよあれよと押し込まれていった。


「うう・・・・ケイトのバカぁああああああ!!」





余談


「全く!!なにをやってるのよ、ケイトは!アリエッタ様がのぼせたらどうしてくれんのってか、ちゃんと避妊はしたでしょうね!?」
「ビビ、煩いから黙ってくれるかな」

ぎゃあぎゃあ怒っているビビとは反対にドライヤーで髪を乾かしているケイトの口調は淡々としていた。さっきまでアリエッタと一緒にあれやこれやと笑いあっていたくせに、今は完全に冷めた目をしている彼を見てビビはため息をつかざるをえなかった。アリエッタが今のケイトを見れば目を丸くするか驚くかのどちらかだろうと考えて。

「・・・ビビ、君も知っての通り魔力が高い場合生殖能力は各段に下がるってことも学んだはずだよね」
「だからってしょっぱなからそのイチモツを入れるとかありえない・・・それも執務室で!」
「一応確認は・・・」

そこで止まるあたり、自分の言動に責任は持てるようで何よりだと皮肉を言ってやった。ケイトははぁーとため息をついた後、ドライヤーを鏡台に置いた。なにかを考え込んだように立ち上がった後、ビビの前で止まった。

「ビビはどっち側につくつもりかな?」
「え?」
「俺は多分・・・アリエッタの望みを叶える側になると思うんだよね。そうなれば多分、国は俺を全力で抑えにかかるだろうね。だって、聖女のスペアが必要なのは当然のことだもの」
「っ・・・!」
「もちろん、ビビがどっちに転ぼうと自由だよ。でも・・・覚えておいて。俺は自分の邪魔をする人間に対しては容赦しない」

ビビの目線に合わせて、ケイトの目が鋭く凍てつく。普段は茶色のはずのそれが妖しく紫色に染まっていたのを見たビビは思わず後ろに下がっていた。それを面白そうに見届けたケイトはクスクスと笑いながら、寝室へとつながっている扉を開けた。


「・・・おやすみ、良い夢を」


後ろで扉が閉まる音を聞き届けたビビが辛うじて口にだせたのはたった一言だけ。


「相変わらず笑顔で辛辣なことを・・・おやすみなさいませ、ケイト様」





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