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第5話
②
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ウトウトとまどろみながら、琉斗は幼い頃のことを夢に見ていた。
祖父は弦楽器専門の職人で、丁寧で堅実な仕事と人柄の暖かさから、工房は繁盛していたと言っていい。相手が素人であろうとプロの演奏家であろうと、一切手を抜かない祖父の姿勢はとても誇らしく、琉斗は小さな頃からずっと、祖父とその仕事の両方に、漠然と憧れのようなものを抱いていた。
『そうか。琉斗はじいちゃんの仕事が好きか』
祖父がそう言って笑ったのには理由がある。祖父の息子である琉斗の父は、事業として軌道に乗る前の苦しい時期を知っているせいか、父親の仕事に対して否定的だったからだ。
『俺は父さんのような、不安定な仕事には就きたくない。それで家族に苦労を掛けるなんて、もってのほかだ』
父はその信念を、息子の琉斗にも共有させようとした。何度かそれとなく翻意を促したものの、父は決して揺らぐことはなく、琉斗にも自分と同じ、堅実な道を歩むように求めて来る。
いつしかそれに歯向かうのも面倒になり、琉斗は楽な方へと流れてしまった。無理せず入れる大学を選び、何となく受かった企業へ就職して。楽器制作は趣味として続けられないこともないし、適当に仕事をこなしながら適当に遊ぶことも出来る生活は、充実こそしていないが、それなりに楽しくはあった。
祖父が亡くなったのは、気楽な社会人生活も4年目に入った頃のことだ。祖父が一代で築いた工房は後継ぎのないまま閉鎖を余儀なくされ、そうして琉斗はようやく、自信の置かれた状況を後悔することになる。
いつかは教えをと思っていたが、祖父がいつまでも元気でいてくれる保障はどこにもなかった。身近に最高の師匠が居たはずなのに、父の目を気にするという言い訳ばかりで、きちんと師事することさえしなかった。何もかも、後の祭りだ。
今からでも遅くはない、本当にやりたいことを始めるべきではないかとも考えた。しかし、祖父が死んだ今になって、との思いもある。今更どうしたらよいのか、と。
動揺から、仕事が手につかなくなった。そもそも好きで選んだ訳でもない職種だ。ミスをしない程度にこなしていただけの営業職に、やる気は一気に減退した。
更に事態は悪化の一途を辿る。常に心あらずな琉斗に対して、恋人までが背を向けたのだ。が、今にして思えば、友達の紹介で遊びに行って、自分に好意を持ってくれたことが嬉しくて、何となく付き合い始めただけの琉斗が、今がツライからといって、ずっと傍で支えて貰えると思う方がおこがましかったのだろう。
そして琉斗は、すべてを放り出した。仕事、恋人、家族。自分の将来からも目を背けたまま、ここまでやって来て――そうして、『彼』に出逢った。
時に苛烈であり、時に純情で、意地っ張りでもある彼は、それでもいつも正しい。
そんな年下の彼に、未熟なだけの自分を思い知らされて――自分はまた逃げるのだろうか?
「………………」
目覚めて、まず視界に飛び込んできたのは、くすんだ色の天井だった。
夢にまで自身の愚かさを思い知らされたようで、苦いものが胸をよぎる。
重たい瞼を擦ろうとしたところで、後ろ手に縛られていることに気付いた。ギョッとして周囲を確認するが、何一つ見覚えのある物はない。転がされた粗末なベッドや、揃えられた調度品から、宿泊施設の一室のようにも思えるが、だとすれば廃業して随分時間が経っているのだろう。全体的に古ぼけて、あちこち傷みが来ているようだ。
まず間違いなく、自分が勤務するヴィラでは有り得ない。そこまで考えて、ようやく琉斗は、自分の身に起こった出来事を思い出した。
最悪の気分のままヴィルフリートと別れた後、着替えに戻ろうとチーフに連絡をしていたところで、3人組の男達に襲われた。不意を突かれ、薬か何かを嗅がされ、意識が遠くなって……。
拘束された今の状況から考えても、誘拐であるのは間違いない。この分ではきっと、社用スマホも取り上げられているだろう。通話中だったチーフが異変に気付いていてくれれば良いのだが――そもそも、ホテル従業員でしかない自分を攫って何になるというのだろう。こういっては何だが、身代金目的の犯行であれば、ヴィラの宿泊客を狙った方が効率は良い。――そう、『彼』のような。
「…………」
事態は既に最悪の様相だが、この上更に嫌な予感がして、琉斗は思わず息を呑んだ。
しかし、そこでまったく無遠慮にドアが開かれて、思考が中断される。
「――あら失礼。お目覚め?」
ノブに手を掛けたまま、大きな瞳を瞬かせたのは、華やかな美女だった。裏寂れた部屋に似つかわしくない艶やかな姿に面食らい、琉斗もまたアーモンド形の瞳を見開く。気を失う直前に見た顔は外国人男性ばかりだったはずだ。目の前のグラマラスな美女は、一見して荒事とは結び付かなさそうなタイプに見える。
だが、女はあっさりと言ってのけた。
「可哀想だけど、アンタはアイツを誘き出す囮よ」
躊躇なくベッドサイドまでやって来て、仰臥する琉斗の顔を覗き込む。ゆるく波打つハニーブロンドがさらりと揺れた。やや派手めのメイクに、ぴったりとしたミニスカート。身に着けた品々はどれも高級そうだが、その煌びやかな容姿に対して、態度や言葉遣いに少々違和感がある。
何となく見覚えがあるような気がして、琉斗は「君は」と声を掛けようとした。
だが、女が不愉快そうに眉を顰める方が、一瞬早い。
「恨むなら、あの男を恨むのね」
「!!」
忌々しげに吐き捨てられて、そこで琉斗はようやく思い至った。グラマラスな真紅のドレス、振り下ろされた白い腕と、英語力が追い付かないほどの罵詈雑言――間違いない、彼女はあの日、ヴィルフリートに手酷く拒絶された女性だ!
ああ、確かに彼女なら、いかにも気は強そうだった……とはいえ、さすがにこれはやり過ぎだろう。恥を掻かされたからといって、復讐に「関係者の誘拐」を計画するものだろうか?
「え、ちょっと待ってよ。君みたいな美人なら、男なんて他にいくらでも見付けられるでしょ! ここまでする!?」
彼女の美貌ならそれこそ引く手数多だろう。自分に興味のない男になど固執することはないはずだ。混乱する琉斗に、女は美しい眉根をピクリと寄せる。
「何よ。アンタ、知ってるの?」
琉斗が、自分とヴィルフリートの関係を正確に理解していることに気付いた女は、面白くなさそうに、フン、と鼻を鳴らす。「あああ勿体ない美人が台無しじゃん!」と声にならない悲鳴を上げる琉斗をよそに、小馬鹿にしたように笑った。
「いくら私でも、失礼な態度を取られただけで、ここまでしやしないわ。それだけあの男には敵が多いってことよ」
「!」
自由の利かない状態で、それでもじたばたと身じろいでいた琉斗は、ハッとして動きを止めた。女の言い様からは、ヴィルフリートがビジネス上のトラブルを抱えていたことが窺える。そして、それはきっと、この島、この国の中だけのことではないのだろう。大きな資金が動けば、味方と同時に、それだけ思いもよらない敵も増えていく。彼の置かれた環境は、なんと過酷なのだろう。
想像するのと、思い知らされるのとでは、重みが違う。彼女の後ろにいるヴィルフリートの「敵」の姿を垣間見て、琉斗は打ちのめされたような気分になった。
更に追い打ちをかけるように、「まぁ、でも」と女は続ける。
「ここの奴らは、招かれた外国人富裕層なら誰でも良かったみたいだから、私が推薦してやったのは事実よ。『苦しめるならヴィルフリート・ハンコックか、その関係者がいい』って」
「……」
笑う顔には、隠す気もない憎悪が滲んでいる。美しい悪魔のような形相に、琉斗はゾッと背筋を震わせた。ヴィルフリートは想像以上に厄介な相手を掴まされ掛かっていたようだ。これを回避するためにとはいえ、必要以上に手酷くあしらってしまったのは、覗き見ていた琉斗の目からも明らかである。
けれど、「だから言ったのに」とは言えなかった。今の琉斗にとっては、先程感じた「嫌な予感」が的中してしまったことの方が、よほど重要だったからだ。
琉斗はまだ、島の開発に反対する過激派住民組織の存在を知らない。だが、それに類する団体があり、ヴィルフリートへ恨みを抱く彼女がこれを後押ししたのだということは理解できた。
要は、自分はヴィルフリートを誘き出す「エサ」にされたのである――なんて不甲斐ない。
情けなさに、琉斗はシーツに顔を埋めた。
「……頼むよ。俺はこれ以上、アイツのお荷物にはなりたくないんだ」
ポツリと漏らした声を聞き咎めた女の声は、「は? 何ソレ。知らないわよ」と、どこまでも冷たい。
ドカドカと耳障りな足音が近付いてきたのは、その時だった。ノックもなく扉が開かれて、見覚えのない大柄な男が顔を覗かせる。無精ひげを生やし、どことなく身を持ち崩したような雰囲気があるが、見様によっては悪役俳優のようだと言えなくもない。
この男が首謀者だろうか。窺う琉斗の前で、男はニヤリと唇の端を歪めてみせた。
「ハンコックが交渉に応じるとさ」
「――!」
ブロンドの美女が勝ち誇ったように豊満な胸を反らす側で、琉斗は自己嫌悪の海にズルズルと飲み込まれた。
祖父は弦楽器専門の職人で、丁寧で堅実な仕事と人柄の暖かさから、工房は繁盛していたと言っていい。相手が素人であろうとプロの演奏家であろうと、一切手を抜かない祖父の姿勢はとても誇らしく、琉斗は小さな頃からずっと、祖父とその仕事の両方に、漠然と憧れのようなものを抱いていた。
『そうか。琉斗はじいちゃんの仕事が好きか』
祖父がそう言って笑ったのには理由がある。祖父の息子である琉斗の父は、事業として軌道に乗る前の苦しい時期を知っているせいか、父親の仕事に対して否定的だったからだ。
『俺は父さんのような、不安定な仕事には就きたくない。それで家族に苦労を掛けるなんて、もってのほかだ』
父はその信念を、息子の琉斗にも共有させようとした。何度かそれとなく翻意を促したものの、父は決して揺らぐことはなく、琉斗にも自分と同じ、堅実な道を歩むように求めて来る。
いつしかそれに歯向かうのも面倒になり、琉斗は楽な方へと流れてしまった。無理せず入れる大学を選び、何となく受かった企業へ就職して。楽器制作は趣味として続けられないこともないし、適当に仕事をこなしながら適当に遊ぶことも出来る生活は、充実こそしていないが、それなりに楽しくはあった。
祖父が亡くなったのは、気楽な社会人生活も4年目に入った頃のことだ。祖父が一代で築いた工房は後継ぎのないまま閉鎖を余儀なくされ、そうして琉斗はようやく、自信の置かれた状況を後悔することになる。
いつかは教えをと思っていたが、祖父がいつまでも元気でいてくれる保障はどこにもなかった。身近に最高の師匠が居たはずなのに、父の目を気にするという言い訳ばかりで、きちんと師事することさえしなかった。何もかも、後の祭りだ。
今からでも遅くはない、本当にやりたいことを始めるべきではないかとも考えた。しかし、祖父が死んだ今になって、との思いもある。今更どうしたらよいのか、と。
動揺から、仕事が手につかなくなった。そもそも好きで選んだ訳でもない職種だ。ミスをしない程度にこなしていただけの営業職に、やる気は一気に減退した。
更に事態は悪化の一途を辿る。常に心あらずな琉斗に対して、恋人までが背を向けたのだ。が、今にして思えば、友達の紹介で遊びに行って、自分に好意を持ってくれたことが嬉しくて、何となく付き合い始めただけの琉斗が、今がツライからといって、ずっと傍で支えて貰えると思う方がおこがましかったのだろう。
そして琉斗は、すべてを放り出した。仕事、恋人、家族。自分の将来からも目を背けたまま、ここまでやって来て――そうして、『彼』に出逢った。
時に苛烈であり、時に純情で、意地っ張りでもある彼は、それでもいつも正しい。
そんな年下の彼に、未熟なだけの自分を思い知らされて――自分はまた逃げるのだろうか?
「………………」
目覚めて、まず視界に飛び込んできたのは、くすんだ色の天井だった。
夢にまで自身の愚かさを思い知らされたようで、苦いものが胸をよぎる。
重たい瞼を擦ろうとしたところで、後ろ手に縛られていることに気付いた。ギョッとして周囲を確認するが、何一つ見覚えのある物はない。転がされた粗末なベッドや、揃えられた調度品から、宿泊施設の一室のようにも思えるが、だとすれば廃業して随分時間が経っているのだろう。全体的に古ぼけて、あちこち傷みが来ているようだ。
まず間違いなく、自分が勤務するヴィラでは有り得ない。そこまで考えて、ようやく琉斗は、自分の身に起こった出来事を思い出した。
最悪の気分のままヴィルフリートと別れた後、着替えに戻ろうとチーフに連絡をしていたところで、3人組の男達に襲われた。不意を突かれ、薬か何かを嗅がされ、意識が遠くなって……。
拘束された今の状況から考えても、誘拐であるのは間違いない。この分ではきっと、社用スマホも取り上げられているだろう。通話中だったチーフが異変に気付いていてくれれば良いのだが――そもそも、ホテル従業員でしかない自分を攫って何になるというのだろう。こういっては何だが、身代金目的の犯行であれば、ヴィラの宿泊客を狙った方が効率は良い。――そう、『彼』のような。
「…………」
事態は既に最悪の様相だが、この上更に嫌な予感がして、琉斗は思わず息を呑んだ。
しかし、そこでまったく無遠慮にドアが開かれて、思考が中断される。
「――あら失礼。お目覚め?」
ノブに手を掛けたまま、大きな瞳を瞬かせたのは、華やかな美女だった。裏寂れた部屋に似つかわしくない艶やかな姿に面食らい、琉斗もまたアーモンド形の瞳を見開く。気を失う直前に見た顔は外国人男性ばかりだったはずだ。目の前のグラマラスな美女は、一見して荒事とは結び付かなさそうなタイプに見える。
だが、女はあっさりと言ってのけた。
「可哀想だけど、アンタはアイツを誘き出す囮よ」
躊躇なくベッドサイドまでやって来て、仰臥する琉斗の顔を覗き込む。ゆるく波打つハニーブロンドがさらりと揺れた。やや派手めのメイクに、ぴったりとしたミニスカート。身に着けた品々はどれも高級そうだが、その煌びやかな容姿に対して、態度や言葉遣いに少々違和感がある。
何となく見覚えがあるような気がして、琉斗は「君は」と声を掛けようとした。
だが、女が不愉快そうに眉を顰める方が、一瞬早い。
「恨むなら、あの男を恨むのね」
「!!」
忌々しげに吐き捨てられて、そこで琉斗はようやく思い至った。グラマラスな真紅のドレス、振り下ろされた白い腕と、英語力が追い付かないほどの罵詈雑言――間違いない、彼女はあの日、ヴィルフリートに手酷く拒絶された女性だ!
ああ、確かに彼女なら、いかにも気は強そうだった……とはいえ、さすがにこれはやり過ぎだろう。恥を掻かされたからといって、復讐に「関係者の誘拐」を計画するものだろうか?
「え、ちょっと待ってよ。君みたいな美人なら、男なんて他にいくらでも見付けられるでしょ! ここまでする!?」
彼女の美貌ならそれこそ引く手数多だろう。自分に興味のない男になど固執することはないはずだ。混乱する琉斗に、女は美しい眉根をピクリと寄せる。
「何よ。アンタ、知ってるの?」
琉斗が、自分とヴィルフリートの関係を正確に理解していることに気付いた女は、面白くなさそうに、フン、と鼻を鳴らす。「あああ勿体ない美人が台無しじゃん!」と声にならない悲鳴を上げる琉斗をよそに、小馬鹿にしたように笑った。
「いくら私でも、失礼な態度を取られただけで、ここまでしやしないわ。それだけあの男には敵が多いってことよ」
「!」
自由の利かない状態で、それでもじたばたと身じろいでいた琉斗は、ハッとして動きを止めた。女の言い様からは、ヴィルフリートがビジネス上のトラブルを抱えていたことが窺える。そして、それはきっと、この島、この国の中だけのことではないのだろう。大きな資金が動けば、味方と同時に、それだけ思いもよらない敵も増えていく。彼の置かれた環境は、なんと過酷なのだろう。
想像するのと、思い知らされるのとでは、重みが違う。彼女の後ろにいるヴィルフリートの「敵」の姿を垣間見て、琉斗は打ちのめされたような気分になった。
更に追い打ちをかけるように、「まぁ、でも」と女は続ける。
「ここの奴らは、招かれた外国人富裕層なら誰でも良かったみたいだから、私が推薦してやったのは事実よ。『苦しめるならヴィルフリート・ハンコックか、その関係者がいい』って」
「……」
笑う顔には、隠す気もない憎悪が滲んでいる。美しい悪魔のような形相に、琉斗はゾッと背筋を震わせた。ヴィルフリートは想像以上に厄介な相手を掴まされ掛かっていたようだ。これを回避するためにとはいえ、必要以上に手酷くあしらってしまったのは、覗き見ていた琉斗の目からも明らかである。
けれど、「だから言ったのに」とは言えなかった。今の琉斗にとっては、先程感じた「嫌な予感」が的中してしまったことの方が、よほど重要だったからだ。
琉斗はまだ、島の開発に反対する過激派住民組織の存在を知らない。だが、それに類する団体があり、ヴィルフリートへ恨みを抱く彼女がこれを後押ししたのだということは理解できた。
要は、自分はヴィルフリートを誘き出す「エサ」にされたのである――なんて不甲斐ない。
情けなさに、琉斗はシーツに顔を埋めた。
「……頼むよ。俺はこれ以上、アイツのお荷物にはなりたくないんだ」
ポツリと漏らした声を聞き咎めた女の声は、「は? 何ソレ。知らないわよ」と、どこまでも冷たい。
ドカドカと耳障りな足音が近付いてきたのは、その時だった。ノックもなく扉が開かれて、見覚えのない大柄な男が顔を覗かせる。無精ひげを生やし、どことなく身を持ち崩したような雰囲気があるが、見様によっては悪役俳優のようだと言えなくもない。
この男が首謀者だろうか。窺う琉斗の前で、男はニヤリと唇の端を歪めてみせた。
「ハンコックが交渉に応じるとさ」
「――!」
ブロンドの美女が勝ち誇ったように豊満な胸を反らす側で、琉斗は自己嫌悪の海にズルズルと飲み込まれた。
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