95 / 121
第2部・第8話:女神の使徒
第2章
しおりを挟む
翌日、町長から半ば強引に許可を得た魔王軍斥候隊は、白ヒイラギの自生地の捜索を開始した。
承諾を引き出すにあたって、権力を大いに活用したことは言うまでもないが、カロッサ側としても、「かつて存在した伝承の地を探す」という名目に、表立って反対することも出来なかったのだろう。
「何かあってもいけないから、ここからは二手に別れましょう」
明らかな作り笑顔の町長と秘書に送り出されてから、ベリンダは隊員達を振り返った。
行政区分上は「町」とされているカロッサだが、寂れて久しい地域であるため、適宜魔法を駆使すれば、2チームで充分町中を見て回れる。「何か」というのは、斥候隊に対する町民全体の態度を加味してのことだ。
もちろん、隊員達に異論はないが――こうなると、通常始まるのは「ルカと同じ組み分けを狙っての攻防戦」である。
しかし。
「――僕、ネイトと一緒に行く」
ルカの一言で、ベリンダ以外の仲間達に激震が走った。ルカとしては、昨日から少々ネイトの様子が気に掛かっていたためだったが、当のネイトは喜色満面である。結局、能力の配分を考えて、ルカ(&レフ)・ネイト・ユージーンと、ベリンダ・ジェイク・フィンレーの二組で、それぞれ町の東西を探索することとなった。
西側エリアを担当するルカ達は、ひとまずは北西の方角へ向かって歩き始める。過疎化の著しい町とはいえ、昼日中の中心部には、それなりの人出があった。そんな中で、等しく向けられる冷たい視線を気に留めずにいるというのは、なかなかに骨の折れる作業である。
ユージーンとネイトは、当然のようにルカの両脇を固めた。これまでのところ、住民達は剣呑な眼差しで様子を窺うだけで、直接何かを仕掛けて来るようなことはないのだが、それもいつまで保つかわからない。それほど、町に漂う緊張感は尋常ではなかった。万が一を考えての、いわば陣形のようなものである。
フードの中では、ぬいぐるみ体のレフが不満げに、時折唸り声を上げている。
中心部を抜け、住宅の点在するエリアへ入ると、目に見えて廃屋が目立つようになった。屋根が落ち、或いは壁ごと崩れ落ちて屋内が露出している有り様には、単純に住む人をなくし、古びて朽ちたとは言い難い、暴力的な破壊の跡が見て取れる。これらが恐らく、27年前の魔物の大量襲来の際に被害を受けた家々の成れの果てなのだろう。片付けようにも、3割程度に人口の減ったカロッサでは、その日を生きていくだけで精一杯で、とてもそこまで手が回らなかったのに違いない。
敷石や外壁に残る黒い沁みは、被害者達の血痕だろうか――そんなことを考えながら、ルカ達は言葉少なに探索を続ける。
民家も一層まばらになり、人里を取り囲む樹木の影が近付き始めた町の外れで、3人は誰からともなく、ふと足を止めた。この辺りは特に被害が大きかったらしく、無事な家屋は一つもない。
そんな中でただ一軒、瓦礫が綺麗に片付けられ、最低限の補修が成されている家があった。扉の外された玄関の奥には、祭壇のようなものが飾られており、薄暗い中を、ロウソクの灯りがゆらゆらと揺れている。
「……これは……」
掠れた声で呟いたのはネイトだった。安置されているのは、正エドゥアルト教の主神である、全能神エドゥアルトの彫像である。それ自体は美術品店であればどこでも入手可能なものだが、このエドゥアルトは雷を象ったロザリオを首から提げていた。軽やかな巻き髪の踊る聡明そうな額には、黄色い塗料で目のようなものが描かれている。
それはまるで、彼の姉・エインデルの姿を重ね合わせたような姿だった。天上と地上の支配権を掛けてエドゥアルトに戦いを挑み、からくも敗れ去った――ラインベルク王国を始め、多くの国々で信仰することを禁じられた、冥府の女神だ。
――なぜこんなものが、こんな所に。
事態が事態だけに、3人はサッと視線を交わし合って、民家に近付いた。エインデル信仰が露見すると、ラインベルクでは厳罰に処されると決まっている。もしもの時にはロザリオを外し、額の第三の目も消すなり、上から白く塗り直すことも可能ではあるが、そうであれば尚のこと、禁教の疑いが強い。
――ネイトが持ってるのと同じだ。
敷居を跨ぐのと同時に、ルカは小さく息をついた。ネイトがこれと同じ、雷を象ったロザリオを、肌身離さず身に着けているのを、ルカは知っている。
そこへ、大きな声が割って入った。
「こりゃ! みだりに近付くんじゃない!!」
振り返ると、腰の曲がった白髪の老爺が一人、こちらへずんずんと近付いて来ている。長く伸びた眉と口髭に覆われた顔には、怒色を満面に浮かべていた。
いきなりのことに驚くルカ達に向かって、老爺は杖を振り上げて言い募る。
「あんたら王宮のもんが犯罪者じゃと言うても、その人はこの町の恩人なんじゃ!」
「――ああ、僕達は王宮の人間では……」
「――犯罪者? 恩人?」
老人の剣幕は、ユージーンの否定もルカの疑問も受け付けないほど激しい。その言い分は、この場所にエインデル信仰の証拠が飾られていることへの弁解などではなく、この家にかつて住んでいた誰かが、不当な仕打ちを受けたことへの怒りのようだ。
ぶんぶんと振り回される杖を避けながら、ルカとユージーンは思わず目を白黒させた。肩口でレフが「ヤベェな」とぼやいたほどだから、その荒々しさは只事ではない。
その一方で、ネイトは一人、落ち着いた様子で口を開いた。
「この町に魔物の襲撃があったのは27年前のことだと聞きましたが――その時、神学を学ぶために町を離れていた青年がいませんでしたか?」
質問の形を取りながらも、妙に確信ありげな態度だ。薄く笑みを刷いたままのネイトに、老人は驚いた様子で両の目を見開く。ややあって、振り上げた杖を下ろし、神妙な面持ちでこくりと頷いた。
「……おったぞ。あの人の家族は、魔物にやられて親戚まで全員死んでしもうたが……立派な神父になって戻って来よった……」
ではこの老人は、魔物の襲撃という奇禍を乗り越えた、数少ない生存者の一人だったのだろう。
ネイトがスッと笑みを消した。現れた厭世的な求道者の顔に、老爺ばかりかユージーンまでも、ハッと息を呑む様子が伝わってくる。
「――エルンスト・ハイドフェルトは、私の師です」
「!!」
ネイトの宣言に、老爺は極限まで両目を見開いた。何度か喘いでから、その場に崩れ落ちる。
窺うように向けられたユージーンの視線に、ルカは小さく頷いて見せた。
ハイドフェルト神父は、ネイトが父とも慕った人物であり、同時にエインデル信仰の師でもある。
「……おお、では……!」
ネイトを仰ぎ見る老爺の目には、うっすらと涙が浮かんでいた。地に膝を着き、痩せた肩を擦ってやるネイトの姿は、慈悲深い聖職者そのものだ。
彼の態度がおかしかったのは、魔物に襲われた年代から、このカロッサが師の出身地であることに気付いていたからなのだろう。
この様子では、おそらくこの老爺も、エインデル派の禁教徒だ。彼は、神学を修めたハイドフェルト神父が、この町へ帰って来たと言った。その際、(本来は)死者にも加護を与えてくれる慈悲深い冥府の女神への信仰を、生き残りの人々に広めた可能性はある。もしかしたら、この町全体に蔓延する、よそ者を問答無用で排除しようとする雰囲気は、彼らが揃ってエインデルを信仰しているためなのかもしれない。だから町外れとはいえ、こんなにも堂々と、ハイドフェルト神父の旧家にエインデルの祭壇を安置していられるのだろう。
「……」
複雑な表情で俯いたルカの肩を、ユージーンがそっと抱いた。見上げると、ユージーンはネイトと老爺から視線を外すことなく、事態をじっと見守っている。
その真剣な眼差しから、ユージーンもまた自分と同じ懸念を抱いていることに、ルカは気付いた。
ネイトは、禁教徒として断罪され、国外追放になった聖職者を「師」と呼んだ。そのネイトに老爺が膝を着いたことから、彼がエインデル派の人間であることは明白である。
しかし、それは同時に、ネイトもまた、エインデルの使徒であることを告白したも同然なのだ……。
承諾を引き出すにあたって、権力を大いに活用したことは言うまでもないが、カロッサ側としても、「かつて存在した伝承の地を探す」という名目に、表立って反対することも出来なかったのだろう。
「何かあってもいけないから、ここからは二手に別れましょう」
明らかな作り笑顔の町長と秘書に送り出されてから、ベリンダは隊員達を振り返った。
行政区分上は「町」とされているカロッサだが、寂れて久しい地域であるため、適宜魔法を駆使すれば、2チームで充分町中を見て回れる。「何か」というのは、斥候隊に対する町民全体の態度を加味してのことだ。
もちろん、隊員達に異論はないが――こうなると、通常始まるのは「ルカと同じ組み分けを狙っての攻防戦」である。
しかし。
「――僕、ネイトと一緒に行く」
ルカの一言で、ベリンダ以外の仲間達に激震が走った。ルカとしては、昨日から少々ネイトの様子が気に掛かっていたためだったが、当のネイトは喜色満面である。結局、能力の配分を考えて、ルカ(&レフ)・ネイト・ユージーンと、ベリンダ・ジェイク・フィンレーの二組で、それぞれ町の東西を探索することとなった。
西側エリアを担当するルカ達は、ひとまずは北西の方角へ向かって歩き始める。過疎化の著しい町とはいえ、昼日中の中心部には、それなりの人出があった。そんな中で、等しく向けられる冷たい視線を気に留めずにいるというのは、なかなかに骨の折れる作業である。
ユージーンとネイトは、当然のようにルカの両脇を固めた。これまでのところ、住民達は剣呑な眼差しで様子を窺うだけで、直接何かを仕掛けて来るようなことはないのだが、それもいつまで保つかわからない。それほど、町に漂う緊張感は尋常ではなかった。万が一を考えての、いわば陣形のようなものである。
フードの中では、ぬいぐるみ体のレフが不満げに、時折唸り声を上げている。
中心部を抜け、住宅の点在するエリアへ入ると、目に見えて廃屋が目立つようになった。屋根が落ち、或いは壁ごと崩れ落ちて屋内が露出している有り様には、単純に住む人をなくし、古びて朽ちたとは言い難い、暴力的な破壊の跡が見て取れる。これらが恐らく、27年前の魔物の大量襲来の際に被害を受けた家々の成れの果てなのだろう。片付けようにも、3割程度に人口の減ったカロッサでは、その日を生きていくだけで精一杯で、とてもそこまで手が回らなかったのに違いない。
敷石や外壁に残る黒い沁みは、被害者達の血痕だろうか――そんなことを考えながら、ルカ達は言葉少なに探索を続ける。
民家も一層まばらになり、人里を取り囲む樹木の影が近付き始めた町の外れで、3人は誰からともなく、ふと足を止めた。この辺りは特に被害が大きかったらしく、無事な家屋は一つもない。
そんな中でただ一軒、瓦礫が綺麗に片付けられ、最低限の補修が成されている家があった。扉の外された玄関の奥には、祭壇のようなものが飾られており、薄暗い中を、ロウソクの灯りがゆらゆらと揺れている。
「……これは……」
掠れた声で呟いたのはネイトだった。安置されているのは、正エドゥアルト教の主神である、全能神エドゥアルトの彫像である。それ自体は美術品店であればどこでも入手可能なものだが、このエドゥアルトは雷を象ったロザリオを首から提げていた。軽やかな巻き髪の踊る聡明そうな額には、黄色い塗料で目のようなものが描かれている。
それはまるで、彼の姉・エインデルの姿を重ね合わせたような姿だった。天上と地上の支配権を掛けてエドゥアルトに戦いを挑み、からくも敗れ去った――ラインベルク王国を始め、多くの国々で信仰することを禁じられた、冥府の女神だ。
――なぜこんなものが、こんな所に。
事態が事態だけに、3人はサッと視線を交わし合って、民家に近付いた。エインデル信仰が露見すると、ラインベルクでは厳罰に処されると決まっている。もしもの時にはロザリオを外し、額の第三の目も消すなり、上から白く塗り直すことも可能ではあるが、そうであれば尚のこと、禁教の疑いが強い。
――ネイトが持ってるのと同じだ。
敷居を跨ぐのと同時に、ルカは小さく息をついた。ネイトがこれと同じ、雷を象ったロザリオを、肌身離さず身に着けているのを、ルカは知っている。
そこへ、大きな声が割って入った。
「こりゃ! みだりに近付くんじゃない!!」
振り返ると、腰の曲がった白髪の老爺が一人、こちらへずんずんと近付いて来ている。長く伸びた眉と口髭に覆われた顔には、怒色を満面に浮かべていた。
いきなりのことに驚くルカ達に向かって、老爺は杖を振り上げて言い募る。
「あんたら王宮のもんが犯罪者じゃと言うても、その人はこの町の恩人なんじゃ!」
「――ああ、僕達は王宮の人間では……」
「――犯罪者? 恩人?」
老人の剣幕は、ユージーンの否定もルカの疑問も受け付けないほど激しい。その言い分は、この場所にエインデル信仰の証拠が飾られていることへの弁解などではなく、この家にかつて住んでいた誰かが、不当な仕打ちを受けたことへの怒りのようだ。
ぶんぶんと振り回される杖を避けながら、ルカとユージーンは思わず目を白黒させた。肩口でレフが「ヤベェな」とぼやいたほどだから、その荒々しさは只事ではない。
その一方で、ネイトは一人、落ち着いた様子で口を開いた。
「この町に魔物の襲撃があったのは27年前のことだと聞きましたが――その時、神学を学ぶために町を離れていた青年がいませんでしたか?」
質問の形を取りながらも、妙に確信ありげな態度だ。薄く笑みを刷いたままのネイトに、老人は驚いた様子で両の目を見開く。ややあって、振り上げた杖を下ろし、神妙な面持ちでこくりと頷いた。
「……おったぞ。あの人の家族は、魔物にやられて親戚まで全員死んでしもうたが……立派な神父になって戻って来よった……」
ではこの老人は、魔物の襲撃という奇禍を乗り越えた、数少ない生存者の一人だったのだろう。
ネイトがスッと笑みを消した。現れた厭世的な求道者の顔に、老爺ばかりかユージーンまでも、ハッと息を呑む様子が伝わってくる。
「――エルンスト・ハイドフェルトは、私の師です」
「!!」
ネイトの宣言に、老爺は極限まで両目を見開いた。何度か喘いでから、その場に崩れ落ちる。
窺うように向けられたユージーンの視線に、ルカは小さく頷いて見せた。
ハイドフェルト神父は、ネイトが父とも慕った人物であり、同時にエインデル信仰の師でもある。
「……おお、では……!」
ネイトを仰ぎ見る老爺の目には、うっすらと涙が浮かんでいた。地に膝を着き、痩せた肩を擦ってやるネイトの姿は、慈悲深い聖職者そのものだ。
彼の態度がおかしかったのは、魔物に襲われた年代から、このカロッサが師の出身地であることに気付いていたからなのだろう。
この様子では、おそらくこの老爺も、エインデル派の禁教徒だ。彼は、神学を修めたハイドフェルト神父が、この町へ帰って来たと言った。その際、(本来は)死者にも加護を与えてくれる慈悲深い冥府の女神への信仰を、生き残りの人々に広めた可能性はある。もしかしたら、この町全体に蔓延する、よそ者を問答無用で排除しようとする雰囲気は、彼らが揃ってエインデルを信仰しているためなのかもしれない。だから町外れとはいえ、こんなにも堂々と、ハイドフェルト神父の旧家にエインデルの祭壇を安置していられるのだろう。
「……」
複雑な表情で俯いたルカの肩を、ユージーンがそっと抱いた。見上げると、ユージーンはネイトと老爺から視線を外すことなく、事態をじっと見守っている。
その真剣な眼差しから、ユージーンもまた自分と同じ懸念を抱いていることに、ルカは気付いた。
ネイトは、禁教徒として断罪され、国外追放になった聖職者を「師」と呼んだ。そのネイトに老爺が膝を着いたことから、彼がエインデル派の人間であることは明白である。
しかし、それは同時に、ネイトもまた、エインデルの使徒であることを告白したも同然なのだ……。
13
お気に入りに追加
298
あなたにおすすめの小説
異世界で8歳児になった僕は半獣さん達と仲良くスローライフを目ざします
み馬
BL
志望校に合格した春、桜の樹の下で意識を失った主人公・斗馬 亮介(とうま りょうすけ)は、気がついたとき、異世界で8歳児の姿にもどっていた。
わけもわからず放心していると、いきなり巨大な黒蛇に襲われるが、水の精霊〈ミュオン・リヒテル・リノアース〉と、半獣属の大熊〈ハイロ〉があらわれて……!?
これは、異世界へ転移した8歳児が、しゃべる動物たちとスローライフ?を目ざす、ファンタジーBLです。
おとなサイド(半獣×精霊)のカプありにつき、R15にしておきました。
※ 設定ゆるめ、造語、出産描写あり。幕開け(前置き)長め。第21話に登場人物紹介を載せましたので、ご参考ください。
★お試し読みは、第1部(第22〜27話あたり)がオススメです。物語の傾向がわかりやすいかと思います★
★第11回BL小説大賞エントリー作品★最終結果2773作品中/414位★応援ありがとうございました★

マリオネットが、糸を断つ時。
せんぷう
BL
異世界に転生したが、かなり不遇な第二の人生待ったなし。
オレの前世は地球は日本国、先進国の裕福な場所に産まれたおかげで何不自由なく育った。確かその終わりは何かの事故だった気がするが、よく覚えていない。若くして死んだはずが……気付けばそこはビックリ、異世界だった。
第二生は前世とは正反対。魔法というとんでもない歴史によって構築され、貧富の差がアホみたいに激しい世界。オレを産んだせいで母は体調を崩して亡くなったらしくその後は孤児院にいたが、あまりに酷い暮らしに嫌気がさして逃亡。スラムで前世では絶対やらなかったような悪さもしながら、なんとか生きていた。
そんな暮らしの終わりは、とある富裕層らしき連中の騒ぎに関わってしまったこと。不敬罪でとっ捕まらないために背を向けて逃げ出したオレに、彼はこう叫んだ。
『待て、そこの下民っ!! そうだ、そこの少し小綺麗な黒い容姿の、お前だお前!』
金髪縦ロールにド派手な紫色の服。装飾品をジャラジャラと身に付け、靴なんて全然汚れてないし擦り減ってもいない。まさにお貴族様……そう、貴族やら王族がこの世界にも存在した。
『貴様のような虫ケラ、本来なら僕に背を向けるなどと斬首ものだ。しかし、僕は寛大だ!!
許す。喜べ、貴様を今日から王族である僕の傍に置いてやろう!』
そいつはバカだった。しかし、なんと王族でもあった。
王族という権力を振り翳し、盾にするヤバい奴。嫌味ったらしい口調に人をすぐにバカにする。気に入らない奴は全員斬首。
『ぼ、僕に向かってなんたる失礼な態度っ……!! 今すぐ首をっ』
『殿下ったら大変です、向こうで殿下のお好きな竜種が飛んでいた気がします。すぐに外に出て見に行きませんとー』
『なにっ!? 本当か、タタラ! こうしては居られぬ、すぐに連れて行け!』
しかし、オレは彼に拾われた。
どんなに嫌な奴でも、どんなに周りに嫌われていっても、彼はどうしようもない恩人だった。だからせめて多少の恩を返してから逃げ出そうと思っていたのに、事態はどんどん最悪な展開を迎えて行く。
気に入らなければ即断罪。意中の騎士に全く好かれずよく暴走するバカ王子。果ては王都にまで及ぶ危険。命の危機など日常的に!
しかし、一緒にいればいるほど惹かれてしまう気持ちは……ただの忠誠心なのか?
スラム出身、第十一王子の守護魔導師。
これは運命によってもたらされた出会い。唯一の魔法を駆使しながら、タタラは今日も今日とてワガママ王子の手綱を引きながら平凡な生活に焦がれている。
※BL作品
恋愛要素は前半皆無。戦闘描写等多数。健全すぎる、健全すぎて怪しいけどこれはBLです。
.

動物アレルギーのSS級治療師は、竜神と恋をする
拍羅
BL
SS級治療師、ルカ。それが今世の俺だ。
前世では、野犬に噛まれたことで狂犬病に感染し、死んでしまった。次に目が覚めると、異世界に転生していた。しかも、森に住んでるのは獣人で人間は俺1人?!しかも、俺は動物アレルギー持ち…
でも、彼らの怪我を治療出来る力を持つのは治癒魔法が使える自分だけ…
優しい彼が、唯一触れられる竜神に溺愛されて生活するお話。
日本一のイケメン俳優に惚れられてしまったんですが
五右衛門
BL
月井晴彦は過去のトラウマから自信を失い、人と距離を置きながら高校生活を送っていた。ある日、帰り道で少女が複数の男子からナンパされている場面に遭遇する。普段は関わりを避ける晴彦だが、僅かばかりの勇気を出して、手が震えながらも必死に少女を助けた。
しかし、その少女は実は美男子俳優の白銀玲央だった。彼は日本一有名な高校生俳優で、高い演技力と美しすぎる美貌も相まって多くの賞を受賞している天才である。玲央は何かお礼がしたいと言うも、晴彦は動揺してしまい逃げるように立ち去る。しかし数日後、体育館に集まった全校生徒の前で現れたのは、あの時の青年だった──

ざまぁされたチョロ可愛い王子様は、俺が貰ってあげますね
ヒラヲ
BL
「オーレリア・キャクストン侯爵令嬢! この時をもって、そなたとの婚約を破棄する!」
オーレリアに嫌がらせを受けたというエイミーの言葉を真に受けた僕は、王立学園の卒業パーティーで婚約破棄を突き付ける。
しかし、突如現れた隣国の第一王子がオーレリアに婚約を申し込み、嫌がらせはエイミーの自作自演であることが発覚する。
その結果、僕は冤罪による断罪劇の責任を取らされることになってしまった。
「どうして僕がこんな目に遭わなければならないんだ!?」
卒業パーティーから一ヶ月後、王位継承権を剥奪された僕は王都を追放され、オールディス辺境伯領へと送られる。
見習い騎士として一からやり直すことになった僕に、指導係の辺境伯子息アイザックがやたら絡んでくるようになって……?
追放先の辺境伯子息×ざまぁされたナルシスト王子様
悪役令嬢を断罪しようとしてざまぁされた王子の、その後を書いたBL作品です。

モラトリアムは物書きライフを満喫します。
星坂 蓮夜
BL
本来のゲームでは冒頭で死亡する予定の大賢者✕元39歳コンビニアルバイトの美少年悪役令息
就職に失敗。
アルバイトしながら文字書きしていたら、気づいたら39歳だった。
自他共に認めるデブのキモオタ男の俺が目を覚ますと、鏡には美少年が映っていた。
あ、そういやトラックに跳ねられた気がする。
30年前のドット絵ゲームの固有グラなしのモブ敵、悪役貴族の息子ヴァニタス・アッシュフィールドに転生した俺。
しかし……待てよ。
悪役令息ということは、倒されるまでのモラトリアムの間は貧困とか経済的な問題とか考えずに思う存分文字書きライフを送れるのでは!?
☆
※この作品は一度中断・削除した作品ですが、再投稿して再び連載を開始します。
※この作品は小説家になろう、エブリスタ、Fujossyでも公開しています。

【完結】元騎士は相棒の元剣闘士となんでも屋さん営業中
きよひ
BL
ここはドラゴンや魔獣が住み、冒険者や魔術師が職業として存在する世界。
カズユキはある国のある領のある街で「なんでも屋」を営んでいた。
家庭教師に家業の手伝い、貴族の護衛に魔獣退治もなんでもござれ。
そんなある日、相棒のコウが気絶したオッドアイの少年、ミナトを連れて帰ってくる。
この話は、お互い想い合いながらも10年間硬直状態だったふたりが、純真な少年との関わりや事件によって動き出す物語。
※コウ(黒髪長髪/褐色肌/青目/超高身長/無口美形)×カズユキ(金髪短髪/色白/赤目/高身長/美形)←ミナト(赤髪ベリーショート/金と黒のオッドアイ/細身で元気な15歳)
※受けのカズユキは性に奔放な設定のため、攻めのコウ以外との体の関係を仄めかす表現があります。
※同性婚が認められている世界観です。

魔王様の瘴気を払った俺、何だかんだ愛されてます。
柴傘
BL
ごく普通の高校生東雲 叶太(しののめ かなた)は、ある日突然異世界に召喚されてしまった。
そこで初めて出会った大型の狼の獣に助けられ、その獣の瘴気を無意識に払ってしまう。
すると突然獣は大柄な男性へと姿を変え、この世界の魔王オリオンだと名乗る。そしてそのまま、叶太は魔王城へと連れて行かれてしまった。
「カナタ、君を私の伴侶として迎えたい」
そう真摯に告白する魔王の姿に、不覚にもときめいてしまい…。
魔王×高校生、ド天然攻め×絆され受け。
甘々ハピエン。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる