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停滞
普通の生活
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ゴールデンウィークも終わり、またみんなは同じような日を迎える。そんな中僕はWebで資格を取るためのサイトを閲覧していた。
急いで見つけないといけないとは分かっていても、どこに申し込めばいいか分からない。
今の時間帯は僕の知り合いは学校へ行ってるだろうし、親に相談するのも何だかな。と思ってしまう始末。
外からの風が予想以上に入ってこないアパートで蒸される。エアコンなんて大層なものは無いから、扇風機をつけるが、ボロすぎて殆ど風が来ない。
「ああ、なんでこうなるまで焦んなかったんだろう」
そう思うと、後悔や前からしておけばよかったと悔いが残ってしまう。今さらそんな事を理解したって意味無いのだけども。
そして、僕は現実逃避をする為に近くのコンビニまでの散歩をしに行くことにした。
久々に自転車を使わずに外へ出かけると、いつもは見つけられない色々な楽しみや発見があるものだ。例えば、僕の家の近くにある使われなくなった空き地は野良猫の溜まり場になっていたり、コンビニまでの道程が思っていたよりも遠かったりなど。
でも。現実逃避の時間はすぐに辛くなってくる。ふと、就職のことについて思い出すとまた自責をしたくなってしまうのだ。
そして、家に帰りベッドの上に転がる。現実を見つめて探せばいいものをこうやって後へ後へとしてしまうのは僕の悪いくせだ。そして、いつの間にか僕は眠りについていた。
夢を見た。
女の子と僕が丘で一緒に走っている。まるで絵本のように、明るくて楽しい場所を。天気は晴れていて、ずっとずっと一緒にいる。
今日は女の子が料理を作ってくれるそうだ。僕はまな板に包丁が触れる音を気持ちよく聞いていると、視界が白くフェードインしてきて……
目を覚ました。
楽しい夢を見ていた気がするがあまり思い出せない。でも、なんでキッチンの電気がついているのだろうか。コンタクトレンズを外していて周りの様子が良く見えない。仕方なく、メガネをつけて辺りを見渡すと。
千聖と近石さんが僕のキッチンを使って料理をしていた。そして、部屋の様子を確認すると少し小綺麗になっていて、散乱したゴミが無くなっている。
それは嬉しいことなのだが、なぜ千聖が僕の家に勝手に入っているのかということだ。
「あっ、大知、目醒めた?」
「うん、バッチリなんだけどさ、どうして千聖が僕の家に? ていうかどうやって入ったんだよ」
「うーんと、鍵が空いてたから。入っちゃった」
千聖はてへっと言った感じで謝った。まあ、責め立てる必要も無いか、こうやってご飯や部屋の片付けまでやらせてるんだし。
「それでどうして近石さんまで?」
「私はダメだって言ったんですけど、ちひが、千聖が聞かなくて」
「あ、別にちひでもいいですよ分かりますから」
「すいません。なら私のことも理英って呼んでください」
「分かりました。理英さん」
「さんは不要ですよ。普通に理英とか理英ちゃんと呼んでください」
思っていたよりも理英さんははっちゃけてる感じの人なのかもしれない。ゴールデンウィークで会った時もあまり喋らなかったからよく分からなかった。でも、これでひとつ疑問が解決出来た。だから優も喋れたのか初対面でもさ。
「理英、大知と喋るのはいいけど、料理作るのも手伝ってよ」
「あ、うん、ごめん」
そして彼女はリビングからキッチンへ戻る間に急にこんなことを言い出したのだ。
「ベッド下にあったAV、バレない所に隠しときなよ。千聖ああいうのには滅法厳しいから、見つかると扱かれるよ」
「あ、はい。気をつけさせてもらいます」
理英からの助言を貰い、それらをクローゼットの奥の方にある、服の中に閉まっておくことにした。そんなことをしているとご飯が出来たようなので、リビングに戻る。
すると卓袱台の上には、 湯気の出た熱そうな肉じゃがや味噌汁と言った和をメインとしたメニューになっていた。肉じゃがはホクホクとしたじゃがいもととろけそうな人参や豚肉。味噌汁は優しい出汁の香りがたっていた。
「ごめんね大知、こんなに簡単なものしか作れなくてね。もうちょっと器具があれば作れたんだけど」
「いや、これで簡単なんて言ってたら、俺の料理なんか赤ちゃんでも作れそうだな」
本当に千聖は料理が上手い。自分ではいつも下手だとか、まだまだと言って自分の出来を認めないのだが、僕的には上手いと思っている。何にしろ僕にはパスタしかバリエーションがない。
「でも、大知のパスタ好きだよ? 6種類も違う味作れるなら十分だよ」
「へえ、大野くんって、割と料理出来るほうなんだ」
「いやパスタしか作れませんよ、それ以外に知ってる料理がないもので」
「ならさ今度私たちにパスタ作ってみてよ」
「あ、私も久しぶりに食べてみたいな。大知のパスタ」
ときどき、急に難題を押し付けてくるのは勘弁して欲しい。まあ、今回のはまだましな方とは言っても、あんまり料理は得意じゃないんだよな。ピーラーじゃないとじゃがいもとか林檎の皮むけないしな。
まあ、今度来た時に作ってやるってのもいいか。
急いで見つけないといけないとは分かっていても、どこに申し込めばいいか分からない。
今の時間帯は僕の知り合いは学校へ行ってるだろうし、親に相談するのも何だかな。と思ってしまう始末。
外からの風が予想以上に入ってこないアパートで蒸される。エアコンなんて大層なものは無いから、扇風機をつけるが、ボロすぎて殆ど風が来ない。
「ああ、なんでこうなるまで焦んなかったんだろう」
そう思うと、後悔や前からしておけばよかったと悔いが残ってしまう。今さらそんな事を理解したって意味無いのだけども。
そして、僕は現実逃避をする為に近くのコンビニまでの散歩をしに行くことにした。
久々に自転車を使わずに外へ出かけると、いつもは見つけられない色々な楽しみや発見があるものだ。例えば、僕の家の近くにある使われなくなった空き地は野良猫の溜まり場になっていたり、コンビニまでの道程が思っていたよりも遠かったりなど。
でも。現実逃避の時間はすぐに辛くなってくる。ふと、就職のことについて思い出すとまた自責をしたくなってしまうのだ。
そして、家に帰りベッドの上に転がる。現実を見つめて探せばいいものをこうやって後へ後へとしてしまうのは僕の悪いくせだ。そして、いつの間にか僕は眠りについていた。
夢を見た。
女の子と僕が丘で一緒に走っている。まるで絵本のように、明るくて楽しい場所を。天気は晴れていて、ずっとずっと一緒にいる。
今日は女の子が料理を作ってくれるそうだ。僕はまな板に包丁が触れる音を気持ちよく聞いていると、視界が白くフェードインしてきて……
目を覚ました。
楽しい夢を見ていた気がするがあまり思い出せない。でも、なんでキッチンの電気がついているのだろうか。コンタクトレンズを外していて周りの様子が良く見えない。仕方なく、メガネをつけて辺りを見渡すと。
千聖と近石さんが僕のキッチンを使って料理をしていた。そして、部屋の様子を確認すると少し小綺麗になっていて、散乱したゴミが無くなっている。
それは嬉しいことなのだが、なぜ千聖が僕の家に勝手に入っているのかということだ。
「あっ、大知、目醒めた?」
「うん、バッチリなんだけどさ、どうして千聖が僕の家に? ていうかどうやって入ったんだよ」
「うーんと、鍵が空いてたから。入っちゃった」
千聖はてへっと言った感じで謝った。まあ、責め立てる必要も無いか、こうやってご飯や部屋の片付けまでやらせてるんだし。
「それでどうして近石さんまで?」
「私はダメだって言ったんですけど、ちひが、千聖が聞かなくて」
「あ、別にちひでもいいですよ分かりますから」
「すいません。なら私のことも理英って呼んでください」
「分かりました。理英さん」
「さんは不要ですよ。普通に理英とか理英ちゃんと呼んでください」
思っていたよりも理英さんははっちゃけてる感じの人なのかもしれない。ゴールデンウィークで会った時もあまり喋らなかったからよく分からなかった。でも、これでひとつ疑問が解決出来た。だから優も喋れたのか初対面でもさ。
「理英、大知と喋るのはいいけど、料理作るのも手伝ってよ」
「あ、うん、ごめん」
そして彼女はリビングからキッチンへ戻る間に急にこんなことを言い出したのだ。
「ベッド下にあったAV、バレない所に隠しときなよ。千聖ああいうのには滅法厳しいから、見つかると扱かれるよ」
「あ、はい。気をつけさせてもらいます」
理英からの助言を貰い、それらをクローゼットの奥の方にある、服の中に閉まっておくことにした。そんなことをしているとご飯が出来たようなので、リビングに戻る。
すると卓袱台の上には、 湯気の出た熱そうな肉じゃがや味噌汁と言った和をメインとしたメニューになっていた。肉じゃがはホクホクとしたじゃがいもととろけそうな人参や豚肉。味噌汁は優しい出汁の香りがたっていた。
「ごめんね大知、こんなに簡単なものしか作れなくてね。もうちょっと器具があれば作れたんだけど」
「いや、これで簡単なんて言ってたら、俺の料理なんか赤ちゃんでも作れそうだな」
本当に千聖は料理が上手い。自分ではいつも下手だとか、まだまだと言って自分の出来を認めないのだが、僕的には上手いと思っている。何にしろ僕にはパスタしかバリエーションがない。
「でも、大知のパスタ好きだよ? 6種類も違う味作れるなら十分だよ」
「へえ、大野くんって、割と料理出来るほうなんだ」
「いやパスタしか作れませんよ、それ以外に知ってる料理がないもので」
「ならさ今度私たちにパスタ作ってみてよ」
「あ、私も久しぶりに食べてみたいな。大知のパスタ」
ときどき、急に難題を押し付けてくるのは勘弁して欲しい。まあ、今回のはまだましな方とは言っても、あんまり料理は得意じゃないんだよな。ピーラーじゃないとじゃがいもとか林檎の皮むけないしな。
まあ、今度来た時に作ってやるってのもいいか。
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