奴隷少女とサイエンティスト

生徒

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Day4 前編

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 優しくそっとドアが開けられました。今日の送迎も彼、ケインでした。

 私は彼と若干の距離を保ちながら歩きます。

 「ティーナちゃん、今日は機嫌悪い?」

 彼はそう言って少し前を行く私に話しかけました。私は返事をしませんでした。

 すると、私は急に引っ張られる感覚を覚えました。ケインが私の右腕に付けられた紐を掴んでいたからです。

 「機嫌悪くてもね、返事はするものだよ? 大人としてのマナーだから」

 彼は強く私のことを引っ張るので、足が縺れてこけそうになりました。右腕が紐の摩擦で擦りきれそうでした。
 
 「ごめんなさい。気を付けます」
 「よかった。聞き分けのいい子は嫌いじゃないよ」

 すると、彼は紐を手放してしまいました。安心と緊張がやってきました。彼はずっと笑顔のままでした。それが異様に不気味で私は恐怖を感じました。

 「ティーナちゃん。明日だね。お待ちしてるよ」

 突然彼が話しかけてきました。

 「うん」

 私は小さく返事をしました。私は怖くて彼の顔をみることができませんでした。
 

 研究室に着きました。二重戸を開けると、中には誰もいませんでした。鍵は空いていたので入ることはできましたが、デビットの姿すらありませんでした。

 仕方ないのでいつもの席に座って、バスケットを膝の上に置いてお菓子を食べることにしました。

 petit whiskyの袋を空けて、口の中に入れました。なんだか苦い味がしてちょっと気分が悪くなりました。私は水を取りに研究室内の水道を借りに行きます。

 すると、一冊の紙束が床に落ちていました。私は拾い上げて、読み始めました。

 『No.1 Tina arrentia 引き継ぎの際における注意点と遍歴 
  Tinaは結菜の子であることを注意して扱うように。──』

 そんな内容が書かれていました。私は怖くなって、書類を床に戻して椅子に座りました。チョコの事なんか完全に忘れていました。

 私が結菜お姉さんの子供。それが一番受け入れられませんでした。だって、結菜は私のことを遠くに置きました。普通の親なら、そんなことはしないと思っていたから。

 私は不思議と涙は出ませんでした。怒りが沸いてきていました。

 受け入れられないという怒りでした。私に限ってもう親なんていないと思っていたから。髪をぐしゃぐしゃにして、私は怒りをぶつけていました。

 でも、私のか細い弱い髪は直ぐに切れてしまい、手に何本かが短く付いていました。
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