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シーズンⅠ-31 残酷なデート

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 再開は同じ場所からにしたい、年末に会ったホテルのラウンジにある軽食コーナーで有佳と再会したい、君子の願いを有佳が聞いてくれた。

 ほぼ半年ぶりの再開は、君子が思ってた通りの静かな雰囲気で過ごしたが、この場所は、否応なしにあの時の自分の姿を思い出させる。

「大きなことがあった」

 有佳が真っ直ぐに君子を見て来る。

「・・・はい。聞かせてください」

 なんだろう、会わなくなった理由を話そうとしているのか、分からない。

「覚悟がいる話もあるけど、それでも聞く?」

 念を押してくる有佳。

「会うと言われたので。何かはあると思って来ました」

「ご主人が乗り込んできた人が離婚して、今はその人と付き合っている。お母さんも承知している」

「・・・・・・」

「それと五月半ばから独り暮らしをしている」

 君子と付き合ったあとなら誰と付き合うのも有佳の自由。

 有佳は成長できたんだ。

 喜ぶべきか複雑な気持ちにさせられた。

「工藤先生が承知ということは踏み台としての私の役目も終わりという事でしょうか」

「そう、終わり」

 あっけない。

 相変わらず優しい顔して残酷なことを平気で口にする。

「わかりました」

「わかったって。なにが」

「ご迷惑でしょうから、予定を送ることはもう止めます。・・・お幸せに」

「まだ覚悟がいる話、してないんだけど」

 これ以上、何があるって言うのか。

「これ以上、なんでしょうか。ジ・エンドの話ならいましました」

 有佳の表情が一変した。

 無表情に近い。

 瞼が薄く開かれて君子を見ている。

 踏み台への労《いたわ》りなど一切感じさせない、そう、蔑みの目線というのが正解に思える。

「わたしを『有佳様』と呼ぶこと、まだ話してないでしょ。一晩中わたしに尽くしなさい。その覚悟ができたら連絡を寄越しなさい」

「・・・そんな」

「これは、踏み台への御褒美。じっくり味わうのよ」

 言い終わると同時に、有佳の両膝が椅子の縁に向かって広げられた。

「そう、その顔よ。なんて情けないの・・・返事、楽しみにしてるわね」


 こうして残酷なデートは終わった。

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