嫉妬とマゾヒズム

いちば なげのぶ

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第9章 それぞれ

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 6月に入って最初の日曜日、曇り空、予報では日中は25度を超える夏日になる、朝早くから出掛ける準備に余念がない晴香、肩から斜め掛けする大容量ショルダーバックに必要な物を詰める、今日の服装は半袖Tシャツにジーンズ、ウォーキングシューズを履く、これから横浜に住む拓海の元へ向かうのだ、小竹向原駅で東京メトロ副都心線急行(Fライナー)元町・中華街行に乗って横浜駅で降りる、この路線は池袋、新宿三丁目、渋谷を経由するので晴香にとっては東京の主要都市に一本で行ける便利な路線だ、しかも横浜にも乗り換えなしで行ける、電車に乗ったままだが渋谷からは運行会社が変わるので東急東横線急行(Fライナー)になる、7時17分発だと8時6分には横浜駅に着く、急いで横浜駅構内にあるトイレに入りジーンズから膝下までの長さがあるサスペンダースカートに着替える、準備は出来た、相模鉄道の乗り場に向かう、9時前に拓海のアパートに着く。
 ピンポーン、「・・・」、少ししてもう一度押す、ガチャっと内鍵を回す音がして扉が開く「また来たのか」上下ともスエット姿の拓海が顔を出す、身長178センチで体重が62キロの拓海は瘦せ型の方だ、ホッとする晴香、あんまり来るなと釘を刺されている理由の一つに土日に都市ウオッチングに出掛けているのがある、拓海が入学した学部は都市建築環境学部、学科は建築学科だ、都市工学を目指していたが最終的に建築学科に決めている、持続可能な都市づくりに関心がある拓海が入学してすぐに始めたのが街並みを歩いて建築物を見て回ること、10時過ぎに来ていれば会えなかった可能性があったのだ。
 拓海が入居したアパートは大学に歩いて20分ぐらい掛かる、学生向けアパートより2万円以上高いアパートに住んでいる、国立大学建築学科に合格と聞いて善吉がアパート代を出すと言ってくれたのだ、お陰で友也からの仕送り分は生活費に充てている、6畳間でロフト付き1K、靴を脱ぐスペースがありすぐ左の窪みに冷蔵庫が置ける、右に2口コンロと流し台、その先が洗面室でさらにその先に浴槽がありトイレは洗面室内にある、この右側部分の真上がロフトになっている、冷蔵庫隣の扉を開けて入ると6畳間とロフトに上る階段がある、ロフトは縦長だがここも6畳分のスペースがあるので、ゆとりのある学生生活が送れる住居だと言える。
「今日は、お母さんに頼まれて来た」
 さゆりからの言伝を伝える前に部屋の掃除を始める晴香、拓海は特に何も言わない、「お昼は豚しゃぶしゃぶにするから」、掃除が終わったら買い出しに向かうという晴香、この暑いのに何で豚しゃぶしゃぶなんだなどとは言わない拓海、晴香のすることを許容している。

「いっぱい食べて」
 言いながら晴香が豆腐を追加する、卓上コンロに大きな土鍋を置いている、一人用の土鍋しかなかったので前回来た時に晴香が買ったものだ、母親から貰ったお金はすべて拓海のために使っている。
「豚ってこんなに旨かったって、いま、知った」
 青森に居た時も何度か食べているハズだが、拓海にはその意識がないようだ。
「野菜も食べて、豚も野菜も躰にいいから」
 白菜、水菜、えのき、長葱、糸こんにゃくが豆腐の他に入っている、具材は地方や家庭で違う、しゃぶしゃぶと言えば牛という地方もあるだろうし、葛切り以外は邪道、春雨や糸こんにゃくなんてもってのほかっていう家庭もあるだろう、ニンジンや椎茸ももちろん普通に入る家庭も多いハズだ、タレはポン酢と濃厚なごまだれ、この2つのタレは広く認知されている。
「母さんからの言伝ってなんだ、言えよ」
 リモコンのスイッチを入れる拓海、エアコンが動き出す、部屋が暑すぎるのだ。
「大事な話があるから泊まりに来て欲しいって、お兄ちゃんの将来に関わることだって言ってた」
 箸は置かない晴香、熱々の豆腐をポン酢に持っていく。
「行くか」
 即答してくる。
「ありがとう」
「なんで晴香が礼を言うんだ、お前はただのメッセンジャーだろ」
 理解に苦しむ、そんな感じで晴香を見る。
「ひどいっ、二人が気まずそうだから私が仲を取り持っているのに。お兄ちゃんだってお母さんに一回も連絡入れてないでしょ」
 無視されたようで悲しくなっている。
「確かに、分かった」
 拓海の一言で笑顔が戻る晴香、これで使いの役目は果たせた、改めて、お兄ちゃんありがとう、と言った後で箸を置いて拓海を見る。
「あとで、晴香のあそこもじっくりと見ていいから、今日もお願いします」
 頭を下げる晴香。
「お、おぉう」
 箸は置かない拓海、極薄にスライスしてある豚ロースを土鍋に入れる。
 この兄妹は今年の初めに主従関係になっている、受験勉強疲れがピークに達した拓海が、晴香の部屋にやって来てお前のあそこを見せろと言ったのがきっかけだが、そう仕向けたのは晴香の方だ、昔から晴香は拓海と二人だけの時に「お兄ちゃんのお嫁さんになる」を繰り返している、兄妹で結婚が出来ないと知ってからは「だったらお兄ちゃんの奴隷になる」と、「お兄ちゃんが奴隷にしてくれるなら晴香のあそこをいつでも見せるから」、そう言い続けて3年が経ち願いを叶えている、主従関係になってからも2回ほど見せている。

「まだ食材が残ってるから今晩か明日にでもどうぞ」
 食事が終わり後片付けを済ませた晴香、拓海に声を掛けてから畳んでいた布団を部屋の隅から引っ張って来る。
「お兄ちゃん、座って」
 拓海が晴香の真向かいに胡坐をかいてくる。
「それでは、お願いします」
 晴香がスカートの中に手を入れる、ショーツを脱いで枕に腰を乗せて股を開脚し寝そべる、布団に頭を付ける、縁に頭が掛かる。
 拓海が腕を組んで覗き始める、顔を近づける、「匂うな」しかめっ面にはなっていない拓海、「女は誰しもが匂います」顔を背けて話す晴香、「広げろ」命じる拓海、「はい」晴香の両手が伸びてきて大陰唇を左右に広げる、広げた大陰唇を両の薬指と中指で支え人差し指を使って小陰唇を広げに掛かる。
「触るなり舐めるなり、自由にして下さい」
 晴香のお願いは初めてではない、今まで拓海が触ってきたことは一度もない。
「それはお前が卒業してからだ、どの女も構造は同じなのか」
 観察に余念がない拓海。
「同じです」
 長い時間を掛けた拓海の観察が続く、毎回同じ、何を観察しているのか何を考えているのか、晴香には分からない、いちど胸も見て下さいとお願いしたことがあるが、帰ってきた答えは「関心が無い」だけ。
 観察が終わり脱いだ下着を戻した晴香が、拓海と向き合う。
「わたしはお兄ちゃんの奴隷です、女としてお兄ちゃんには私はどう見えてるのですか、教えて下さい」
 どうやら、この半年近く思っていて言えなかった言葉を口に出したようだ。
 考える拓海。
「バカな万引き女が本当は俺の実の妹だった、そう見えている、これでいいか」
 ここで偽ってもしょうがないとでも思ったのか、思うままを伝えてくる拓海。
「がぁーん、聞きゃなきゃよかった」
 女としての私はどうなの、魅力はまったくないの、教えて欲しいのはそこなんだけど、食い下がる晴香。
「うぅーん、初めて見た時はなんか心が軽くなった気がした」
 初めて見た時に晴香の部屋を出て自室に戻った拓海は、あんなグロテスクなものに心を奪われていたとは、と呟いた後で、なんか楽になった軽くなった、とも呟いている。
「そぉぅ、役に立ったんだ。卒業したらすぐに、お兄ちゃんの童貞は私が頂きます、そこは大丈夫だよね」
 前にお願いして許可を得ている。
「いや、分からん。誰でもお前と同じ構造なら、明日にでも彼女ができるかも知れんし」
 実直なのか無知なのか、奥手すぎる。
「どういうこと、もう好きな人がいるってこと、そうなんでしょう」
 詰め寄る晴香。
「まあな」
 背が小さくてリスみたいに可愛い女の子が学科は違うが同じ学部にいるという、拓海に少し積極性が出れば間違いなくモテるだろう。
 いきなり拓海を押し倒す晴香、だったらこっちは私が、言うなり拓海のスエットをずり下げて肉棒を口に咥える、咥えたままで両手でスエットを尻から脱がしに掛かる、拓海の腰が少し浮いて協力してくる、左手を使い咥えながらしごく晴香、右手は自分のショーツを擦りに向かう、まもなく拓海に変化が訪れる、腹筋に力が入り腰が僅かに浮いて躰全体がピーンと伸びる、晴香の口の中に勢いよく射精する拓海、飲み干す晴香、射精が終わっても離そうとしない。

 帰りの電車の中、背が小さくてリスみたいな女ですって、信じられない、それってお母さんじゃない、お母さんがそう仕向けたんだ、可哀想なお兄ちゃん。それにしても、女の構造を身分かなんかで違うとでも思っていることが信じられない、貴族に生まれた女も同じなのかと聞いてくる神経が分からない、でも、ぜったいに晴香だけのご主人様にしてみせる、結婚してもご主人様と奴隷の関係は続ける、決意を新たにする晴香、前向きな気持ちで帰路に就く。
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