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第7章 せめぎ合い
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その日の夜。
村善会長宅の晩御飯のテーブルに会長夫婦、息子夫婦、さゆりと娘の晴香が座っている。
晩御飯のメニューは蟹しゃぶ、晴香は3連休最後の春分の日に引っ越している、2日前のことだ。
「晴香の転入が無事に決まってよかった、今日のために北海道から本ずわいがにを取り寄せた。さぁ、乾杯しよう、晴香おめでとう、かんぱぁーい」
善吉の音頭で乾杯をする、善吉が取り寄せたのは本ずわいがにの棒足と呼ばれる部位のむき身のみの高級品、本ずわいがには山陰地方の京都府から島根県で水揚げされると松葉ガニと呼ばれ、福井県の漁港で水揚げになったものは越前ガニと呼ばれる、いずれも最高級品だ。
「学校はいつから始まるんだっけ」
ビール片手に健太郎が訊ねる。
「4月6日の水曜日から。今週末の26日から4月5日まで春休みだから」
ウーロン茶を手に持った晴香が答える、晴香は県立に通っていたので都の教育委員会に連絡して欠員枠の都立高校を教えてもらい塾が発表している入学難易度から見て欠員枠で一番低い高校を選んで転入試験を受けている、晴香は大学に進学する気が無い、専門学校に行きたがっている。
「なんかこう、急に家ん中がパッと明るくなった、今までがどうもなぁ」
善吉はすこぶる機嫌がいい、特選の海鮮しゃぶタレをつけて蟹を口に運ぶ。
「蛍光灯取り替えましたから」
秋江がそっけなく口を挟む。
「な、なにを言っている。その明るいではないぞ。まったく」
場の読めない妻を持つと苦労するとでも言いたげな様子であからさまに落胆する善吉。
「さゆりが戻って来た時も明るくなったでしょ」
さも今までが真っ暗だったかのような善吉の言い分に幾分切れている秋江だと分かる。
「いや、代わりに加奈さんが出て行ったから、どっちかと言うと薄暗く」
善吉のこの言葉を聞いた秋江は、場が読めないのはどっちなのっ、ってくらい顔が引きつる。
「あなたっ、少し黙っててください」
慌てて健太郎が「お父さん、お酒に切り替えますか」と割り込んでくる、秋江とさゆりが席を立ち酒の準備をする、残された健太郎と善吉、加奈と晴香の組み合わせで会話が始まる。
酒を飲み始めても会話の組み合わせは変わらない。
「わたし東京に来て一番に良かったと思うのは加奈お姉さんに会えるってことです」
向かい合っていた席から晴香は移動して加奈の隣に居る。
「どうしたの、お世辞なんか言っちゃって」
「お世辞じゃないです、本当にそうなんです」
晴香の目が加奈を捉えて離さない、じっと見ている。
「じゃあ、二人で買い物とか映画とか遊びにいこっか」
軽い感じで加奈が受ける。
「やったぁー、ぜひお願いします」
食事が終わり先に健太郎が帰り女たちが後片付けを終える、お風呂は善吉、秋江、晴香、さゆりの順番、さゆりが部屋に戻ろうとすると加奈が話があるので一緒に部屋に行くと言う。
「お義姉さん、晴香ちゃんがこっちで一番期待してることってなんだか知ってた、知らないでしょ」
さゆりの部屋の中で立ったままの二人。
「そんなの知らないわよ、娘の自主性を尊重したいし干渉ばかりする親にもなりたくない」
パソコンが置いてある机に向かうさゆり、腰を下ろす。
「ふぅぅーん、じゃあ教えてあげる、私と買い物したり映画見に行ったりしたいんですって、すごく期待してるんだって、わたし期待されちゃった」
ベットに腰かける加奈、スカートの裾をつまんで脚を組む。
「わたしも行く」
さゆりが即答してくる。
「なにバカなこと言ってるのよ、お義姉さんが付いてきたら晴香ちゃんは楽しめなくなる、そんなことも分からないの、まったく」
「じゃあ、どうすればいいのよ。あんたなんかと二人にさせたくない」
加奈とは絶対に二人きりにさせたくないのだろう、晴香を心配している。
「ひどい言いようね。お義姉さんも私と二人で買い物とか映画とか行けばいいんじゃない、どう」
提案を持ちかける。
「な、なんでそうなるのよ」
怪訝そうな顔付をするさゆり、話が違う方向にいき戸惑っている。
「わたしとじゃ嫌なのっ、どうなのよ」
返事しなさいよとでも言いたげに、組んでいた片脚をピンと伸ばしつま先をさゆりに向けて指す、ストッキングに包まれた加奈の太腿の下側が露わになる。
「イヤと言う訳じゃないけど」
さゆりの目が泳いでいる。
「だったら決まりね。晴香ちゃんと遊んだ時の様子は、お義姉さんと買い物する時に教えてあげるから心配しないで、晴香ちゃんが何を考えているかお義姉さんも知りたいでしょ」
脚を元に戻す加奈。
「それはそうだけど、あなたの思惑なんか入れないで伝えてくれるならいいけど」
しゃきっとするさゆり、もう目は泳いでいない。
「な、なに。私が信じられないとでも言うのっ」
戸惑いを見せる加奈。
「信じられないから言ってるんでしょう」
迷いなくきっぱりと告げるさゆり。
「分かったわ、晴香ちゃんが何を考えているのか、聞いたことだけを伝える。これでいいでしょ」
一歩引いて加奈が合わせてくる。
「それを約束してくれるなら二人で出かけても構わない」
「じゃぁ、そういうことで」
「今日はスカートなのね」
「・・・」
加奈は返事をしない、沈黙する二人。
「お義姉さん」
しばらくして加奈が声を掛ける。
「・・・」
返事はない。
「隣の部屋に娘が居るのにおねだりするなんて、いいわよ、こっちまで這って来てくれるなら、考えてあげるけど、どうする?」
さゆりを見つめたままで加奈が両脚をベットに引き上げ膝を立てる、スカートの裾を両手で支えながらくっ付けた膝小僧を起点に両足の踵を左右に開き腰を浮かせて前にせり出す、加奈から見ればスカートで脚は隠れているのだがさゆりからはストッキングに包まれた加奈の太腿とショーツが丸見えになる、この上なく卑猥な構図にも見える。
ふらふらとさゆりが立ち上がり加奈を見つめる、加奈の顎がくいっと動き指図してくる、欲情に負け観念したかのようにさゆりが四つん這いになる、三歩も動けば加奈の近くに行ける、右手と左手を交互に前に出し次に膝を前に動かす、やっと一歩分が進む、さゆりは下を向いていない、さゆりだけに見える突き出されたゾーンを凝視している。
トントン、「お母さん入るわよ」、晴香だ。
「あっ、加奈お姉さん居たんだ。どうしたのお母さんっ」
ノックする音でも起き上がれたハズだ、自分を呼ぶ声でも起きれたのにさゆりの体勢は四つん這いのままだった。
「ちょっと落とし物しちゃったんで、探してたの」
「何を落としたの」
「それが」
「なに、自分で落とした物が分からないの、変なお母さん。加奈さん少しでいいから私の部屋に来ませんか」
「いいわよ」
「じゃぁ行こ、わたしお風呂最後でいいから、お母さんが先に入って」
「分かったわ」
自分の部屋に向かう晴香。
さゆりがお風呂から上がり晴香の番になったが、加奈お姉さんを玄関まで見送ってから入ると言ってきかない、さゆりに挨拶をして加奈は帰宅せざるを得ない。
村善会長宅の晩御飯のテーブルに会長夫婦、息子夫婦、さゆりと娘の晴香が座っている。
晩御飯のメニューは蟹しゃぶ、晴香は3連休最後の春分の日に引っ越している、2日前のことだ。
「晴香の転入が無事に決まってよかった、今日のために北海道から本ずわいがにを取り寄せた。さぁ、乾杯しよう、晴香おめでとう、かんぱぁーい」
善吉の音頭で乾杯をする、善吉が取り寄せたのは本ずわいがにの棒足と呼ばれる部位のむき身のみの高級品、本ずわいがには山陰地方の京都府から島根県で水揚げされると松葉ガニと呼ばれ、福井県の漁港で水揚げになったものは越前ガニと呼ばれる、いずれも最高級品だ。
「学校はいつから始まるんだっけ」
ビール片手に健太郎が訊ねる。
「4月6日の水曜日から。今週末の26日から4月5日まで春休みだから」
ウーロン茶を手に持った晴香が答える、晴香は県立に通っていたので都の教育委員会に連絡して欠員枠の都立高校を教えてもらい塾が発表している入学難易度から見て欠員枠で一番低い高校を選んで転入試験を受けている、晴香は大学に進学する気が無い、専門学校に行きたがっている。
「なんかこう、急に家ん中がパッと明るくなった、今までがどうもなぁ」
善吉はすこぶる機嫌がいい、特選の海鮮しゃぶタレをつけて蟹を口に運ぶ。
「蛍光灯取り替えましたから」
秋江がそっけなく口を挟む。
「な、なにを言っている。その明るいではないぞ。まったく」
場の読めない妻を持つと苦労するとでも言いたげな様子であからさまに落胆する善吉。
「さゆりが戻って来た時も明るくなったでしょ」
さも今までが真っ暗だったかのような善吉の言い分に幾分切れている秋江だと分かる。
「いや、代わりに加奈さんが出て行ったから、どっちかと言うと薄暗く」
善吉のこの言葉を聞いた秋江は、場が読めないのはどっちなのっ、ってくらい顔が引きつる。
「あなたっ、少し黙っててください」
慌てて健太郎が「お父さん、お酒に切り替えますか」と割り込んでくる、秋江とさゆりが席を立ち酒の準備をする、残された健太郎と善吉、加奈と晴香の組み合わせで会話が始まる。
酒を飲み始めても会話の組み合わせは変わらない。
「わたし東京に来て一番に良かったと思うのは加奈お姉さんに会えるってことです」
向かい合っていた席から晴香は移動して加奈の隣に居る。
「どうしたの、お世辞なんか言っちゃって」
「お世辞じゃないです、本当にそうなんです」
晴香の目が加奈を捉えて離さない、じっと見ている。
「じゃあ、二人で買い物とか映画とか遊びにいこっか」
軽い感じで加奈が受ける。
「やったぁー、ぜひお願いします」
食事が終わり先に健太郎が帰り女たちが後片付けを終える、お風呂は善吉、秋江、晴香、さゆりの順番、さゆりが部屋に戻ろうとすると加奈が話があるので一緒に部屋に行くと言う。
「お義姉さん、晴香ちゃんがこっちで一番期待してることってなんだか知ってた、知らないでしょ」
さゆりの部屋の中で立ったままの二人。
「そんなの知らないわよ、娘の自主性を尊重したいし干渉ばかりする親にもなりたくない」
パソコンが置いてある机に向かうさゆり、腰を下ろす。
「ふぅぅーん、じゃあ教えてあげる、私と買い物したり映画見に行ったりしたいんですって、すごく期待してるんだって、わたし期待されちゃった」
ベットに腰かける加奈、スカートの裾をつまんで脚を組む。
「わたしも行く」
さゆりが即答してくる。
「なにバカなこと言ってるのよ、お義姉さんが付いてきたら晴香ちゃんは楽しめなくなる、そんなことも分からないの、まったく」
「じゃあ、どうすればいいのよ。あんたなんかと二人にさせたくない」
加奈とは絶対に二人きりにさせたくないのだろう、晴香を心配している。
「ひどい言いようね。お義姉さんも私と二人で買い物とか映画とか行けばいいんじゃない、どう」
提案を持ちかける。
「な、なんでそうなるのよ」
怪訝そうな顔付をするさゆり、話が違う方向にいき戸惑っている。
「わたしとじゃ嫌なのっ、どうなのよ」
返事しなさいよとでも言いたげに、組んでいた片脚をピンと伸ばしつま先をさゆりに向けて指す、ストッキングに包まれた加奈の太腿の下側が露わになる。
「イヤと言う訳じゃないけど」
さゆりの目が泳いでいる。
「だったら決まりね。晴香ちゃんと遊んだ時の様子は、お義姉さんと買い物する時に教えてあげるから心配しないで、晴香ちゃんが何を考えているかお義姉さんも知りたいでしょ」
脚を元に戻す加奈。
「それはそうだけど、あなたの思惑なんか入れないで伝えてくれるならいいけど」
しゃきっとするさゆり、もう目は泳いでいない。
「な、なに。私が信じられないとでも言うのっ」
戸惑いを見せる加奈。
「信じられないから言ってるんでしょう」
迷いなくきっぱりと告げるさゆり。
「分かったわ、晴香ちゃんが何を考えているのか、聞いたことだけを伝える。これでいいでしょ」
一歩引いて加奈が合わせてくる。
「それを約束してくれるなら二人で出かけても構わない」
「じゃぁ、そういうことで」
「今日はスカートなのね」
「・・・」
加奈は返事をしない、沈黙する二人。
「お義姉さん」
しばらくして加奈が声を掛ける。
「・・・」
返事はない。
「隣の部屋に娘が居るのにおねだりするなんて、いいわよ、こっちまで這って来てくれるなら、考えてあげるけど、どうする?」
さゆりを見つめたままで加奈が両脚をベットに引き上げ膝を立てる、スカートの裾を両手で支えながらくっ付けた膝小僧を起点に両足の踵を左右に開き腰を浮かせて前にせり出す、加奈から見ればスカートで脚は隠れているのだがさゆりからはストッキングに包まれた加奈の太腿とショーツが丸見えになる、この上なく卑猥な構図にも見える。
ふらふらとさゆりが立ち上がり加奈を見つめる、加奈の顎がくいっと動き指図してくる、欲情に負け観念したかのようにさゆりが四つん這いになる、三歩も動けば加奈の近くに行ける、右手と左手を交互に前に出し次に膝を前に動かす、やっと一歩分が進む、さゆりは下を向いていない、さゆりだけに見える突き出されたゾーンを凝視している。
トントン、「お母さん入るわよ」、晴香だ。
「あっ、加奈お姉さん居たんだ。どうしたのお母さんっ」
ノックする音でも起き上がれたハズだ、自分を呼ぶ声でも起きれたのにさゆりの体勢は四つん這いのままだった。
「ちょっと落とし物しちゃったんで、探してたの」
「何を落としたの」
「それが」
「なに、自分で落とした物が分からないの、変なお母さん。加奈さん少しでいいから私の部屋に来ませんか」
「いいわよ」
「じゃぁ行こ、わたしお風呂最後でいいから、お母さんが先に入って」
「分かったわ」
自分の部屋に向かう晴香。
さゆりがお風呂から上がり晴香の番になったが、加奈お姉さんを玄関まで見送ってから入ると言ってきかない、さゆりに挨拶をして加奈は帰宅せざるを得ない。
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