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5章.初まりの日

138.初まりの日「救急車の中で」

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崩落した歩道に開いた暗い穴の中から優は担架に固定され引き上げられてくる。
この穴の周りには、この事故を見に来た見物人達により埋め尽くされ始めていた。
しかし警官隊により周りへの侵入が制限されて、遠くからしか見れない状態になっている。

大きな駅前で起きた事故の為に警察、救急隊の到着が早かった為にそういう対処が早かったからにすぎない。

優が崩落した穴の中から引き上げられてきた瞬間!!
誰もが驚いた!!

「アリーシャ!!」
「アリーシャだ!!」

遠くから見ていた人達が見たものは、今さっきテレビで出ていたロックバンド『yui&アリーシャ』のアリーシャだったからだ。
誰もが真逆、今さっきテレビで見たアリーシャが崩落した穴の中から救出されてくるとは誰も想像していなかったから衝撃は大きかったみたいだ。

その瞬間、インターネットには

『ロックバンド『yui&アリーシャ』のアリーシャ地震による歩道崩落に巻き込まれ死亡』

そんな情報が救急車に乗せられているアリーシャの写メと共にあっという間に駆け巡りデマ情報と混在した情報で大混乱を引き起こしていた。

救急隊員の方でも困っていた。
引き上げられた優はお腹に大きなドス穴が開いて殆どの臓器が消失してしまっていたからだ。
『このまま病院に搬送しても確実に死ぬ』
そんじょそこらの救急病院じゃ処置のしようがない・・
病状を聞いて受け入れてくれるかどうか?

救急車の中に運ばれた優は救急隊員に首にかけた一枚のカードを取るように薄れかけた意識の中で指示をする。
「其処の人すまない。俺の首に掛けてあるカードを取ってくれないか!!」
優は渡辺第2病院院長の渡辺鮎香に救急車に乗せられるような事が有ったら必ずこれを見せろと言われていたのだった。
そして優は律儀にその渡されたカードを鎖をつけて首に掛けていたのだった。
優は救急隊員がそのカードを手に取るのを確認すると同時に気を失った。

救急隊員は直ぐにそのカードに記された番号に電話をした。

つづく・・・
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