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3章.現実世界

13.変わり始めた世界「あ・・見つけた!!」

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周りをカレカノグループに悲惨にも囲まれたままの状態で私はやっと駅に着いた。
何でこんな時に私の周りで二人でいちゃいちゃするのよ!!
おまけに歩きながらキ・・・キスまで始めちゃう恋人同士も出てきちゃうし!!

『アンタ達、私に当て付けしてんの?』
ってガン飛ばしてみたいけどそんな勇気は毛頭無い。
こんな内気な私にそんな事出きるハズ無いじゃない!!

だから・・・

私は・・

 恋人同士のグループに囲まれていたから私精神的に疲れちゃった。
 これ以上、カップル同士のイチャつきを見せられたら私立ち直れないかも・・・
 
路上で突然刃物で刺しちゃう事件が最近多いけど、何か解るような気がする。
 私もイチャついてるカップルを見ていると刃物で刺してしまいたい心境になってしまいそう!!

うん!!今もしも私が刃物とか持ってたら、確実に切りかかってるな!!
ズタズタに切り裂いてしまいたい気分!!

 これって危ないかも?
 かもじゃなく絶対に危ない人になりかけてる・・うう。

『道を歩いていた少女、周りのカップルにイラついて刃物っで襲撃、10人即死』
なんて全国ニュースで流れたら私生きていけない・・
生きていけないって前に、10人も殺せば確実死刑だね!!

刃物を持ってなくて良かったわ。
と胸を撫で下ろす私であった。

 
これ以上カップルのイチャ付きを見ていたら耐えられないので私は、速攻改札を抜けて、駅の構内に入ってきた。
 流石に凄い人混み。
 此処に居るだけで気分が悪くなってきそうだわ。
 こんな所、早く抜けてしまわなきゃ。
 
電車で揺られる事7駅、やっと買い物をする目的の街に着いた。
 ウィンドショッピングをしながら、お店の外から品定め。
 っていうか私は殆ど見てるだけで幸せ。
 
どうせ私なんかに可愛い服は似合わない。
 どうせ私なんかに可愛いマフラーなんて似合わない。
 そう思いながら、買うのを躊躇ってきた。

私は歩きながらウィンドショッピング。
見ているだけで楽しい。

ウィンドウに並んだ色とりどりの服を着せたマネキン達。
そんな可愛く着飾った姿を見ると私も思わず買ってみたくなる。

そういえば・・マネキンの映画テレビで見た時有ったっけ!
あれも確か恋のお話だったような・・・
ウィンドウに飾ってあったマネキンに男の人が恋をして・・・?
って感じの映画だったような・・

最後はマネキンが本当の人間になっちゃって男の人とハッピーエンド?
だったかな?
映画の題名忘れちゃった。
小さい頃テレビで見た映画だもの!!

あんな服、私も欲しいな~!!
でもおこずかい溜とかなきゃ!!

もしも彼氏出来たら、支払いは全部彼氏持ちなんてやだもん!!
せめて割り勘くらいにはしたい!!

私は欲しい気持ちを抑えて次のお店に歩いてゆく。

何件かのお店をウィンドショッピングしながら歩いていていたら
あるお店のウィンドウの前でふと・・足が止まった。

何が有った訳でもない。
ただ何となく立ち止まってしまった。

私はふとお店のウィーンドウに視線を移す。
ウィンドウのガラスに眼鏡をかけた白沢高校の制服を着たダサダサの女の子が映っている。
ウィンドウに映ったその少女は白い息を吐いている。

そう、私はそのウィンドウに映った自分の姿を見て息が白くなっている事に気づいたのだった。
道理で寒いはずだよ!!

私は自分のはく息が上に向かって消えてゆくのを見上げた。
空から・・何か・・

『ふわり~』

『ふわり~』

『ふわり~』

と風に靡きながら落ちてくるのが見える。

『雪』?

道理で今日寒かった訳だよ!!
ウィンドウにまた視線を戻すと
ウィンドウにはふわり~ふわり~と落ちてくる雪の中で寒そうに震えている少女の姿が映っていた。

私はその少女に

「今日こそはめちゃめちゃハンサムな彼氏見つけてね!」
そう言葉をかける。
「絶対見つけるわ」
再度私は言葉を紡ぐ。

道行くひとが見たら多分・・変に思うだろうな~
ウィンドウを見ながら一人で二役演じて、ブツブツと独り言を言っているのだから。

私はあの仮想現実の中で綾崎くんが言った言葉が頭の中に蘇る。
『髪を上げた時の君の顔を見て一目惚れしたんだ』

私はその瞬間長い髪をすこし耳に掛けてあげて、そのウィンドウに向かって『にこっ』と微笑んでみる。
そのウィンドウの中に映った少女も可愛く微笑んでいる。

でも・・可愛い!!
ウィンドウの中に映った少女が私が可愛そうだから少しだけでも綺麗に見せてあげようって気を使ってくれてるんだよキット!!

キットそう!!

真逆ね~私の気のせいよね!!私があんなに綺麗なハズ無いもの!!

私はその可愛く笑顔を返してきているウィンドウの中に映った女の子に
「私に気を使ってくれてありがと!!彼氏絶対に作ろうね」
そう言葉をかけた。

そのウィンドウの中に映った女の子も私と同じように口を動かして同じ言葉を返してくる。
ウィンドウの中に映っている少女は私だもの同然か!!

ふとウィンドウの中に映った私の姿の横に可愛い服を着たマネキンが目に入る。
そのマネキンは可愛いマフラーをしていた。

あ・・あのマフラーが欲しい!!

 白とピンクのふわふわの長~いマフラー
 
『可愛い~』
 
思わず心の中で叫んでしまっていた。

つづく・・・
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