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緊張の舞踏会
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(連絡もしないくせに、舞踏会は一緒に行くつもりなの?)
さすがに文句言ってやるわ! と思っていたが、迎えにきてくれたグレッグの顔を見たら何も言えなくなった。グレッグは私を見ても無表情で、こっちを見ようともしない。着飾った私を見ても、簡単に褒めるだけでそっけない。
(いつもなら大げさなくらいに、褒めてくれるのに……)
つれない態度は城についてからも同じで、騎士団に呼ばれたグレッグはすぐに行ってしまう。1人ポツンと過ごしていると、遠目にカレン様とケイティ様が見えた。そういえば私、先日のお茶会のお礼状出してなかったわ! あわてて2人に挨拶しようと近づくも、彼女達は暗い顔で熱心に話しこんでいて、気軽に入れそうな雰囲気ではない。
「私、本当にニセモノね……」
グレッグがいないと誰も近寄ってこないし、自分からは挨拶もできない。チラチラと見られているような気がするけど、もしかしたらみんなグレッグとシャルロット様の関係を知っているのかしら。私、憐れまれているのね。目の奥が熱くなり、涙が出そうになる。こんなところで泣くわけにはいかないと、奥に隠れグっとこらえているとファンファーレが鳴り始めた。
「これより騎士団の功績をたたえるメダル授与式を行う!」
「え? 授与式?」
(グレッグが戻ってこないのに、始まってしまったわ。私なんのためにこの夜会に参加したんだろう……)
人だかりに隠れるようにこっそり見ていると、国王陛下が姿を現した。王族が全員そろうと、ホールには緊張した空気が漂いはじめる。どうやらこの前行われた、武術大会の功績を表彰する式らしい。次々と名前が呼ばれメダルを受け取っていくたびに、会場は拍手や歓声に包まれ盛り上がっていく。
「最後に優勝者への授与だが、今年は大変なことが起こった!」
会場中がどうしたんだとざわめき始め、前へ前へと人が集まり始める。私もつられて前に行くと、見知った人の背中が見えた。
(え! あれは、まさか……!)
「なんと! 今年は参加資格1年目の騎士から優勝者が出た! これは前例のない快挙である!」
おおお!とまわりから驚きの声があがる。あまりものを知らない私でも、この武術大会で優勝することの凄さは知っていた。それに最近は有名なベテラン騎士が何年も連続して優勝していたはず。私は胸の高鳴りが止まらず、次に呼ばれる名前を今か今かと待っていた。
「第一騎士団所属、グレッグ・ラウザー! 前へ!」
「はい!」
(グレッグ! すごいわ!)
グレッグは群衆の中を堂々と歩き、陛下の前でひざまずく。メダルを受け取りこちらを振り返ると、ホールにいる人が大きな拍手でグレッグを讃えていた。
「グレッグ……!」
グレッグとの確執などすっかり忘れ、感動に目がうるむ。おめでとうを言いたくて人をかき分け急ぐけど、たくさんの人に囲まれているグレッグにはなかなかたどり着けない。
(早く! 早くグレッグに会いたい!)
しかしやっとグレッグの顔が見えたと思った時、彼の隣にはシャルロット様がいた。
さすがに文句言ってやるわ! と思っていたが、迎えにきてくれたグレッグの顔を見たら何も言えなくなった。グレッグは私を見ても無表情で、こっちを見ようともしない。着飾った私を見ても、簡単に褒めるだけでそっけない。
(いつもなら大げさなくらいに、褒めてくれるのに……)
つれない態度は城についてからも同じで、騎士団に呼ばれたグレッグはすぐに行ってしまう。1人ポツンと過ごしていると、遠目にカレン様とケイティ様が見えた。そういえば私、先日のお茶会のお礼状出してなかったわ! あわてて2人に挨拶しようと近づくも、彼女達は暗い顔で熱心に話しこんでいて、気軽に入れそうな雰囲気ではない。
「私、本当にニセモノね……」
グレッグがいないと誰も近寄ってこないし、自分からは挨拶もできない。チラチラと見られているような気がするけど、もしかしたらみんなグレッグとシャルロット様の関係を知っているのかしら。私、憐れまれているのね。目の奥が熱くなり、涙が出そうになる。こんなところで泣くわけにはいかないと、奥に隠れグっとこらえているとファンファーレが鳴り始めた。
「これより騎士団の功績をたたえるメダル授与式を行う!」
「え? 授与式?」
(グレッグが戻ってこないのに、始まってしまったわ。私なんのためにこの夜会に参加したんだろう……)
人だかりに隠れるようにこっそり見ていると、国王陛下が姿を現した。王族が全員そろうと、ホールには緊張した空気が漂いはじめる。どうやらこの前行われた、武術大会の功績を表彰する式らしい。次々と名前が呼ばれメダルを受け取っていくたびに、会場は拍手や歓声に包まれ盛り上がっていく。
「最後に優勝者への授与だが、今年は大変なことが起こった!」
会場中がどうしたんだとざわめき始め、前へ前へと人が集まり始める。私もつられて前に行くと、見知った人の背中が見えた。
(え! あれは、まさか……!)
「なんと! 今年は参加資格1年目の騎士から優勝者が出た! これは前例のない快挙である!」
おおお!とまわりから驚きの声があがる。あまりものを知らない私でも、この武術大会で優勝することの凄さは知っていた。それに最近は有名なベテラン騎士が何年も連続して優勝していたはず。私は胸の高鳴りが止まらず、次に呼ばれる名前を今か今かと待っていた。
「第一騎士団所属、グレッグ・ラウザー! 前へ!」
「はい!」
(グレッグ! すごいわ!)
グレッグは群衆の中を堂々と歩き、陛下の前でひざまずく。メダルを受け取りこちらを振り返ると、ホールにいる人が大きな拍手でグレッグを讃えていた。
「グレッグ……!」
グレッグとの確執などすっかり忘れ、感動に目がうるむ。おめでとうを言いたくて人をかき分け急ぐけど、たくさんの人に囲まれているグレッグにはなかなかたどり着けない。
(早く! 早くグレッグに会いたい!)
しかしやっとグレッグの顔が見えたと思った時、彼の隣にはシャルロット様がいた。
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