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12 ドタバタの健康診断③
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お腹にいる竜王の卵は、それっきりまた黙ってしまった。私の言うことを聞いて大人しくしていると思うと、さらに胸が苦しい。
(はあ、どうしたらいいんだろう?)
そのあともお医者様の健康診断は続き、何か不思議な道具でいろいろ調べられたが、すこぶる健康体ということがわかった。それでも気がかりなのは、さっきから何も話さない卵のこと。私がなぐさめるようにお腹をなでても、何も反応がない。
「リコ、どうした? お腹を押さえてるが、痛いのか?」
「い、いえ、その、何も食べてないので、お腹が鳴りそうで」
ごまかすようにそう言うと、竜王様は「そうだったな。元気なら朝食を食べたほうがいいだろう」と笑った。リディアさんも「急いで用意しますね」と言って、健康診断が終わったのをきっかけに、三人はそのまま部屋を出て行った。
パタンと扉が閉まった音が鳴ると同時に、私はお腹に向かって話しかける。
「……竜王の卵くん?」
静かな部屋に私の声だけが響き、他には何も聞こえない。竜王の卵も何も反応せず、まるでさっきまでの声が幻聴だったように思えてくる。
「竜王の卵くん」
もう一度お腹に向かって声をかけた。するとお腹がビクリと動いたかと思うと、聞こえてきたのはムニャムニャと寝ぼけた声だった。
『……ふわぁ~、あれ? もうおわったの?』
「もしかして寝てたの?」
『えへへ』
魂も寝るのか。私はガクッと肩を落とすと、そのままベッドに倒れ込み、枕に顔をうずめる。まあ、でも、落ち込んでいないのは良いことよね。だって自分は生まれる気満々なのに、母親(仮)の私が「妊娠の可能性はこれっぽっちもありません」と存在を否定したのだ。傷ついて当然だと思う。
(ごめんね……)
私が心の中で謝りながらお腹をなでると、「ぐるぐる」と猫が喉を鳴らすような音が聞こえてきた。どうやら気持ちが良いらしい。『また眠くなるぅ』と呟くと、静かになってしまった。寝たのかな?
また人の出入りがあるから、静かにしてくれるのはちょうどいい。そう思っていると、ちょうど私の朝ごはんを手にしたリディアさんが帰ってきた。しかしいつもと様子がおかしい。眉間にしわを寄せ、何か考え込んでいる顔でこちらに歩いてくる。
「どうかしたのですか?」
その様子にあわてて起き上がると、リディアさんは心配そうな顔で私を見ながら、口を開いた。
「先ほど、竜人貴族の女性から、リコに面会の申請が入りました」
「えっ! 面会? 私に、貴族の女性からですか?」
「はい」
それはもしかして、本格的なクレームを私に言いに来たということだろうか。するとリディアさんが「もう一つお知らせしないといけないことが」と話を続けた。どうやらこちらのほうが重要な情報らしく、ものすごく言いづらそうにしている。
嫌な予感しかない。
「その、驚かないでくださいね。実は竜人女性たちの中で、リコがすでに竜王様の妾になったという噂が立っているのです」
「えええ! 私が竜王様の妾に?」
もう最悪だ。私はリディアさんの「リコ、しっかりして」という声を聞きながら、またベッドに倒れ込んだ。
(はあ、どうしたらいいんだろう?)
そのあともお医者様の健康診断は続き、何か不思議な道具でいろいろ調べられたが、すこぶる健康体ということがわかった。それでも気がかりなのは、さっきから何も話さない卵のこと。私がなぐさめるようにお腹をなでても、何も反応がない。
「リコ、どうした? お腹を押さえてるが、痛いのか?」
「い、いえ、その、何も食べてないので、お腹が鳴りそうで」
ごまかすようにそう言うと、竜王様は「そうだったな。元気なら朝食を食べたほうがいいだろう」と笑った。リディアさんも「急いで用意しますね」と言って、健康診断が終わったのをきっかけに、三人はそのまま部屋を出て行った。
パタンと扉が閉まった音が鳴ると同時に、私はお腹に向かって話しかける。
「……竜王の卵くん?」
静かな部屋に私の声だけが響き、他には何も聞こえない。竜王の卵も何も反応せず、まるでさっきまでの声が幻聴だったように思えてくる。
「竜王の卵くん」
もう一度お腹に向かって声をかけた。するとお腹がビクリと動いたかと思うと、聞こえてきたのはムニャムニャと寝ぼけた声だった。
『……ふわぁ~、あれ? もうおわったの?』
「もしかして寝てたの?」
『えへへ』
魂も寝るのか。私はガクッと肩を落とすと、そのままベッドに倒れ込み、枕に顔をうずめる。まあ、でも、落ち込んでいないのは良いことよね。だって自分は生まれる気満々なのに、母親(仮)の私が「妊娠の可能性はこれっぽっちもありません」と存在を否定したのだ。傷ついて当然だと思う。
(ごめんね……)
私が心の中で謝りながらお腹をなでると、「ぐるぐる」と猫が喉を鳴らすような音が聞こえてきた。どうやら気持ちが良いらしい。『また眠くなるぅ』と呟くと、静かになってしまった。寝たのかな?
また人の出入りがあるから、静かにしてくれるのはちょうどいい。そう思っていると、ちょうど私の朝ごはんを手にしたリディアさんが帰ってきた。しかしいつもと様子がおかしい。眉間にしわを寄せ、何か考え込んでいる顔でこちらに歩いてくる。
「どうかしたのですか?」
その様子にあわてて起き上がると、リディアさんは心配そうな顔で私を見ながら、口を開いた。
「先ほど、竜人貴族の女性から、リコに面会の申請が入りました」
「えっ! 面会? 私に、貴族の女性からですか?」
「はい」
それはもしかして、本格的なクレームを私に言いに来たということだろうか。するとリディアさんが「もう一つお知らせしないといけないことが」と話を続けた。どうやらこちらのほうが重要な情報らしく、ものすごく言いづらそうにしている。
嫌な予感しかない。
「その、驚かないでくださいね。実は竜人女性たちの中で、リコがすでに竜王様の妾になったという噂が立っているのです」
「えええ! 私が竜王様の妾に?」
もう最悪だ。私はリディアさんの「リコ、しっかりして」という声を聞きながら、またベッドに倒れ込んだ。
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