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11「竜王の卵」との話し合い③
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(どうしよう……泣きそう……)
竜王の卵である彼からは、私のことが大好きだという感情がいっぱい伝わってくる。そのあともお腹から、嬉しそうに話す声が聞こえてきて、私は止めることができない。
『ママ、子供たちと一緒に遊んでたでしょ? 僕も一緒にママと遊びたかったのに!』
『あとね、ママよく疲れて、机で寝てた! ちゃんとベッドで寝なきゃだめ~』
子供なんだか、お母さんなんだか、わからないようなことを言っていて、思わず笑ってしまう。しかし続けて聞こえてきた言葉に、私はお腹をなでていた手がピタリと止まった。
『だから神様と相談して、こっちにママを呼び寄せたの』
「えっ! そうなの? か、神様が? 私を?」
『うん!』
驚く情報がずっと続くと、逆に頭が冷静になってくるみたいだ。神様が私を呼び寄せたということを聞いても、「それなら時と場所を選んでほしかった……」という愚痴しか、頭に浮かんでこない。
(はあ……認めたくないけど、もうこの子に情が湧いてきちゃった)
だってこの子は私を選んでくれている。あの淋しかった日々を見て、私の家族になりたいって望んでくれているんだ。それを「いらない」なんて突っぱねることは、私にはできそうにない。でも竜王様のお妃になれるとも思えないし……。
「あっ! そうだ! あなたをこっそり産んで、一人で育てるってのはどうだろう?」
『その前にパパと結婚しなきゃ、僕を産めないよ?』
「そ、そうだったわね!」
私ったらもう妊娠してるような気になってた。そうよね。この子を本当に産むなら、竜王様と結婚して、その……初夜を迎えないといけないんだった。
『それにパパがかわいそうだよ。僕もパパと一緒に暮らしたいし……』
「ご、ごめんなさい! 私ったらつい自分のことばっかり……!」
まだ生まれてもいない子にたしなめられてしまって、恥ずかしい。この時点で親の資格無しって感じだ。それでも竜王の卵は、私の情けない姿を見ても機嫌が良いらしく、鼻歌を歌っている。
『ママ~ぼくのママ~早く産んで~』
「…………」
やっぱり正直に私の気持ちと状況を話して、一度神様のもとに帰ってもらうのが、この子にとって一番良いんじゃないかな? そう思って口を開きかけた時だった。
廊下のほうから、ドタドタと急いでこちらに向かってくる足音が聞こえてくる。それも一人じゃない。きっとリディアさんがお医者さんを連れて来てくれたのだろう。
「ヤバい! お医者さんが来ちゃう!」
『おいしゃさん?』
とにかくこの子との話し合いはまた今度だ。私はお腹をポンポンと優しく叩くと、竜王の卵に呼びかけた。
「今から人が来るけど、絶対に声を出したり、お腹をポコポコしちゃダメよ! わかった?」
『……は~い』
ちょっと不服そうな声だったけど、言うことを聞いてくれるみたいで一安心だ。お医者さんの前でお腹が波打ったら、絶対に問い詰められて、竜王の卵だとバレてしまう。この子には悪いけど、まだ心の準備もこれからの対策も無いのだから、隠しておかなくては!
(とりあえず、元気なところを見せて、お医者さんにはすぐ帰ってもらおう!)
もう目の前まで足音が迫ってきた。私は急いで背中にクッションを置くと、起き上がった体勢でドアが開くのを待った。
「リコ! 大丈夫か!」
バンと勢いよくドアが開く。一番最初に部屋に入ってきたのは、なんと竜王様だった。そしてその声が聞こえたと同時に、お腹がポコンと大きく跳ね上がる。
『あっ! パパだ~!』
(や、約束がちがーう!)
私はあわててお腹を押さえ、勢いよく毛布をかぶった。
竜王の卵である彼からは、私のことが大好きだという感情がいっぱい伝わってくる。そのあともお腹から、嬉しそうに話す声が聞こえてきて、私は止めることができない。
『ママ、子供たちと一緒に遊んでたでしょ? 僕も一緒にママと遊びたかったのに!』
『あとね、ママよく疲れて、机で寝てた! ちゃんとベッドで寝なきゃだめ~』
子供なんだか、お母さんなんだか、わからないようなことを言っていて、思わず笑ってしまう。しかし続けて聞こえてきた言葉に、私はお腹をなでていた手がピタリと止まった。
『だから神様と相談して、こっちにママを呼び寄せたの』
「えっ! そうなの? か、神様が? 私を?」
『うん!』
驚く情報がずっと続くと、逆に頭が冷静になってくるみたいだ。神様が私を呼び寄せたということを聞いても、「それなら時と場所を選んでほしかった……」という愚痴しか、頭に浮かんでこない。
(はあ……認めたくないけど、もうこの子に情が湧いてきちゃった)
だってこの子は私を選んでくれている。あの淋しかった日々を見て、私の家族になりたいって望んでくれているんだ。それを「いらない」なんて突っぱねることは、私にはできそうにない。でも竜王様のお妃になれるとも思えないし……。
「あっ! そうだ! あなたをこっそり産んで、一人で育てるってのはどうだろう?」
『その前にパパと結婚しなきゃ、僕を産めないよ?』
「そ、そうだったわね!」
私ったらもう妊娠してるような気になってた。そうよね。この子を本当に産むなら、竜王様と結婚して、その……初夜を迎えないといけないんだった。
『それにパパがかわいそうだよ。僕もパパと一緒に暮らしたいし……』
「ご、ごめんなさい! 私ったらつい自分のことばっかり……!」
まだ生まれてもいない子にたしなめられてしまって、恥ずかしい。この時点で親の資格無しって感じだ。それでも竜王の卵は、私の情けない姿を見ても機嫌が良いらしく、鼻歌を歌っている。
『ママ~ぼくのママ~早く産んで~』
「…………」
やっぱり正直に私の気持ちと状況を話して、一度神様のもとに帰ってもらうのが、この子にとって一番良いんじゃないかな? そう思って口を開きかけた時だった。
廊下のほうから、ドタドタと急いでこちらに向かってくる足音が聞こえてくる。それも一人じゃない。きっとリディアさんがお医者さんを連れて来てくれたのだろう。
「ヤバい! お医者さんが来ちゃう!」
『おいしゃさん?』
とにかくこの子との話し合いはまた今度だ。私はお腹をポンポンと優しく叩くと、竜王の卵に呼びかけた。
「今から人が来るけど、絶対に声を出したり、お腹をポコポコしちゃダメよ! わかった?」
『……は~い』
ちょっと不服そうな声だったけど、言うことを聞いてくれるみたいで一安心だ。お医者さんの前でお腹が波打ったら、絶対に問い詰められて、竜王の卵だとバレてしまう。この子には悪いけど、まだ心の準備もこれからの対策も無いのだから、隠しておかなくては!
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バンと勢いよくドアが開く。一番最初に部屋に入ってきたのは、なんと竜王様だった。そしてその声が聞こえたと同時に、お腹がポコンと大きく跳ね上がる。
『あっ! パパだ~!』
(や、約束がちがーう!)
私はあわててお腹を押さえ、勢いよく毛布をかぶった。
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