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とにかく気持ちいい初セックスの話

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おれは今、酒に酔った友人とセックスしている。
気持ちいい。熱い。体が溶けてしまいそうだ。

さっきから意識がぼんやりとしてきたし、さっき早坂とキスした時に彼のアルコールが回ってしまったのかもしれない。

アルコールが移る……なんかそれ、すごいエロい。

なんて考えていると、

「志麻……」

震えた声で、早坂はおれを呼ぶ声が聞こえた。

なんだろう、さっきまでの妖艶なオーラが見事に消え、なんだか弱々しい感じになっている。何があったのだろうか。

「志麻っ尻が痛い……いたいよぅ……!」

彼は顔をさらにくしゃくしゃにして、おれにすがりついた。

ええ……

「慣れてるんじゃないのか……?」

思わずこぼれた独り言を彼の耳は拾ったらしい。

「っ!慣れてなんかねぇ、よ!自分で、いじるのも、後ろの方でのセックスも、初めてっ、だわ!でも、さっきエマネグラが入ったから……お前のも入るかと思って……」

「いやいや……エマネグラは拡張用の器具じゃねえから……」

おれはこいつが尻をいじり慣れてると思っていたが、どうやら早坂は本当に今日初めて尻をいじったらしい。よくもそんな無謀なことが出来たな……

アナル拡張初日にセックスしようと考えるなんて、ケツが裂けるとかそういう恐怖は無いのか?

ひとまず、この場を何とか収めなくては……
――早坂の尻と、おれの精神の平穏のために……!

「……早坂。とりあえずこれ抜こう。」

「……嫌だ。」

おれの提案を彼は不服に思ったらしい。
とんでもなく不機嫌そうな声が帰ってきた。

「なんで、ここまで頑張ったのにセックスできねえんだよ……俺はヤるまでここをうごかないからな!」

「ええ……」

「志麻……どうにかしろよぅ……」

彼はとうとう泣き出してしまった。
その涙は痛みのせいなのか、それともセックスができないと言う悲しみのせいなのか。

どちらにせよやめてくれよ……その泣き顔見たら余計おれの息子が成長することになるんだ。

……仕方ない。おれは腹を括った。

「早坂……キスしよう」  

「ええ?お前と?」

彼は面食らった様子を見せた。お前さっき自分からキスしてたよな……ちょっと悲しい。
そんな彼に向けておれは続ける。

「お前気持ちいいの好きだろ?キスしてたら尻の痛み忘れるかもしれんぞ」

「おお、志麻……お前天才だな!」

さっきの涙は何処へやら。早坂はキラキラした目をしながら俺にキスをした。

さっきとは違い、おれも不器用ながら舌を絡ませる。なんかもうこれ自体がセックスみたいだ。

彼の酒臭い息がおれの方に流れ込んでくる。
ああ、これ、やばいな。本当におれも酔っ払ってしまうかもしれない。

快楽にとらわれそうになる意識を頑張って呼び起こし、そのまま彼の首筋に触れた。たしか早坂は首が弱かった気がする。

「ん゛っ、んんんん!」

彼が呻く。どうやら正解っぽいな。

触れるか触れないからくらいのタッチで首筋をすっとなぞれば、彼も身をよじらせる。
……なんか楽しい。

しばらく首を触っていると、早坂が突如キスをやめた。

「ぷはっ……、お前、くびっ、首フェチだったのかよぅっ」 

「いや……首弱そうだったから。気持ちよかった?」

「……まぁ」 

それは何よりだ。
早坂も今はケツのこと忘れてそうだし、そろそろ……

おれは早坂を抱きながらも体を起した。
すると、いわゆる座位の体制になる。

そのままおれは早坂を抱きしめた。
彼もおずおずとおれの背中に手をまわす。

「早坂、そろそろ尻も慣れてきた頃じゃないか?」

「確かにっ……もう、痛くないか、もしれない」

それならよかった。

「早坂、今から動かすから痛かったら言ってくれ。もしあれだったらおれに抱きついてていいから」

彼の返事はない。
でも、おれの体を抱きしめる手の力が強くなった。
多分いいってことだよな。
おれは、ゆっくりと抽挿を始めた。

……

……

……

――部屋中に熱気が立ちこめる。おれの体に籠る熱もどんどん昂っていく。

その熱をそのまま早坂に叩きつける。
最初はひどくゆっくりだった俺の突き上げる動作も回数を重ねるごとにどんどん激しくなっていた。


「気持ちいい゛、っ!気持ちっ、い゛い゛よ……志麻っ、……ん゛んんっ……ふぅう゛うっ!」 

早坂の喘ぐ声が耳を刺激する。最初は普段見ているゲイビデオなどの喘ぎ声とはかなり違っているこにいっしゅん驚いたが、この声は嫌いじゃない。

無理矢理高い声を出した時のようなエッジの効いた声。その声でおれのが気持ちいいと何度も叫ぶ早坂の姿は、側から見たら滑稽にしか見えないはずなのに、すごく扇情的だった。

声だけじゃない。
どろっどろに溶けたその表情も、おれの肩を強く掴む手が必死でおれを捉えようとしているのも、何もかもが俺の情欲をかき立てた。

「志麻……しま!こっ、これっ、…………これ゛え゛っ、やば、いねぇっ、……ん゛んっ!!」

「そうだなっ、おれも、もう、やばい。
気持ちいいなぁ、っ、」

そういって腰により力を込める。
そうしないと腰がガクガクしてしまいそうだった。

体を覆う熱が、一突きごとにどんどん腰に溜まっていく。階段を駆け上がるように意識が上の方へ登っていく。

「早坂……っ!そろそろ出そうだ」

「ふううっ!……俺、お゛れも、……なんかもう、ん゛ん、いき、そう、…………なんか、クる……っ!!」

「早坂っ!……だすぞっ」

そう言っておれは早坂の中に、熱をぶちまけた。
目の前が真っ白になる。

「うん……!はっ、あ゛あっ!っ、……志麻っ、俺も、もう゛っ、いく……!!ん、うっ、あ゛あ゛あああ~~~っ!」

早坂の体が細かく痙攣する。
おれの腰を掴む彼の手に力が強く入ったのを感じる。

頭がすーっと晴れていくのと反比例して体が重くなるような心地に襲われた。
でも重くなった体ですら何だか運動した後のような心地よさがあった。
おれは体の重さに引きずられるように倒れ込んだ。その上に乗っかっている早坂も一緒に。

おれはそのまま、しばらくゆっくり体温を確かめるように寝転がるのだった。

と、

「志麻ー、もしかして一発で終わり?」

しばらく動かなかった、というか動けなかったであろう早坂が急に体を起こして、そう言った。

また妖しげに目を細める。

彼がつーっとおれの太ももをなぞる。
その手つきのエロいことと言ったら……!

おれは再び勃起した。

結局その日、おれたちは何回やったか分からないほどに体を重ね、二人でどろどろになって眠りについたのだった。

……その時は、おれは、同性の、しかも相手はノンケだ……とセックスをしたという意味について意識を巡らせる余裕なんてなかった。
おれがそのことに気が付いたのは次の日の朝だった。
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