ヘルメス

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第一章

第5話 第二の力

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「…ギ…き…おる…」

「アギト聞いておるか!」

「ああ… はい」
 やっとバラバラの意識をまとめる事が出来た。
 「そんなあからさまに、ガッカリせんと」
 
 「てっきり、珍しいから凄いオラクルかと思いました」

 「すまんのう、期待させて。だか、珍しいのは、本当じゃ、それにまだ疑問が残るんじゃよ」
「疑問?」
「そうじゃ、この手のオラクルは、レア2以上が殆んどじゃ、じゃがレア1」
 鑑定士は顎ヒゲを触りながら何か考えている。


「今度は、左足を乗せい」
 何か思い当たったのか、突然言ってまた虫眼鏡を使い始めた。  
 さっきと一緒で、横から見たり、後ろから見たりしている。

「もしや?」
 
「?」
 
「足の裏を見せてみい」
  
 俺は、言われるがま足の裏をみせた。
 
「ほう!」

「えっ!」
 
なんと足の裏に赤い紋章が入ってる。

「どういう事ですか!」

「良かったのう、世に言う 二つ持ちじゃよ」

「二つ持ち?」

「本当にごく稀にオラクルを二つ発現する物がいるんじゃよ、儂も生まれて初めてじゃ」

「でも……」

「そうじゃな、言わんとすることは、分かる、どんなオラクルか気になるんじゃろ」

「はい」

 「レア3だからのう、期待してもよい。紋章じゃが、これは……盾の紋章に近いのう 」

 「はあ…」

 鑑定士は、先程と一緒に1人で、思案顔して あれは違うこれは違うとさっきから、図鑑と靴、視線を行ったり来たりさせている。

 しばらくすると、
「鑑定できたぞ!」
 
 ついに来た!

「二つ目のオラクルは『ロコモーション 移動力 』」

「おお!」強そうだ!
「どんなオラクルですか?」
 
「これじゃな」と図鑑を指差しして言った。
 
  そこには、
 『ロコモーション 移動力 』
 自らに向けられた力を己が糧とす。
 心の声に耳を傾ければ力の移動となる。
 時は、半刻なり。

 さっきより難解だ。

 鑑定士に目を向けると何かを含んだ顔で、ニヤリとした。

  ほんと期待持たせるよ、この人。
「どういう事ですか?」

「普通、盾の紋章なら防御系などが多く、何かを、防ぐで、効果は、終わりじゃが、このオラクルは、その先にあるんじゃ」

「というと?」
 
「発動中受けたダメージを己が、力に変える事が、できるんじゃ。あとは、お主が自分で、確かめてみるんじゃ」

 「なるほど、受ければ受けるほど良いって事ですね、色々自分で、確かめてみます」

「この場合、国に、届けでは?」

「いや、しない。一つで、レア4.5の場合に限りじゃから」

 「色々ありがとうございました」
 俺は、椅子を立ち深々と、お礼を言った。

 「なあ、アギト、儂から見たらレア4.5に匹敵すると思うぞ大切にせいよ」

「はい!」と、いつも出さない元気さで言った。
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