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アズール遠征
109:3人の3人の話
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「フランが…怪我?」
「…一体、何があったのですか?」
フランがアズール遠征に向かい行程の半分を終えたある早朝、国王レオンの呼び出しに登城したスナイデル公爵フーガとデュバル公爵オーソンは、王太子フランの怪我をしたという話に眠気が吹き飛んだ。
「魔物討伐で、仕留め損ねた熊に襲われたそうだ。共にいたレインが庇って熊の爪にやられ、フランは2人揃って斜面から滑り落ちた際に、肋の骨折と、瘴気に当てられた蜂に刺されたと…二次被害を防ぐ為、討伐隊を帰還させたフランとレインは洞窟で一晩を明かし翌朝救助されたが、治療が遅れた2人は発熱。ポルタ医を向かわせた」
フランとナシェルの話を聞いた時のレオンは、常の冷静さを欠き、アズールへ向かうと騒ぎ立て、宰相のユリウスが側頭を打って落とした事は…治療をしたポルタ宮医しか知らない。
2人共に命に別状はなく、ポルタ宮医を向かわせて、やっと一息着くことが出来たレオンだが、血を分けた大切な息子と甥を喪うところだったと思うと、今でも震えがくる。
震えを誤魔化す様にカップに手を伸ばし、今夜辺りにくるであろう影の報告を予想する。朝が弱い息子は、おそらくその正体を甥に知られる事になった筈。
気丈に振る舞いながらも、未だ悲しみを背負う妻と娘達に、心の中で何度も詫びながら過ごす日々はとても苦しく、其処に在る息子の名を呼べない淋しさに何度も唇を噛み締めた。
甥の元に息子を侍らせたのは、ダリアの影となった息子を、甥ならば受け止められると信じていたから。
次代のダリアの光と影となる2人に国を継ぐ準備の一つ。
とは言え、あれ程油断するなと言っておいたのに…
「…何をやってるんだ、あの馬鹿は…」
「ご無事で何よりですが、心配ですね…」
「レインとは、新しく侍従補佐に着いた青年だったな…何故森に?文官だろう?」
「オレンジが好物でな…今回の遠征の為にと、ウィルに剣を習って、討伐にも参加していたそうだ」
「熱心なのはいい事だが、怪我をしてしまっては畑の拡大作業を手伝えんだろう。本末転倒じゃないか…気の毒にな」
「剣まで習って…それは無念ですね。まあ、怪我の具合にもよりますが、2人共若いですし、真面目に治療を受ければ治りも早いでしょう。畑は逃げませんから、レインも次があります」
オレンジをこよなく愛する侍従補佐が、今回の遠征に捩じ込んだ計画の事も2人は知っている。
フランを庇って怪我をしただけでなく、畑の拡大計画に携われないと聞いて同情を寄せているが、その正体を知ったら、どの様な反応をするのだろうか…レオンは苦笑いを紅茶と共に飲み込み、もう一つの懸念を口にした。
「オレリア嬢に話したら心配するだろうな…」
「…そうですね」
「フランの元に行きたいと言うだろうな…」
「娘まで押しかけたら、伯爵に迷惑をかけてしまいます。それに…娘も、その、忙しいので…」
「ああ…剣術大会の…」
「…デュバルの女傑か…彼等は剣術大会の出場を辞退したそうだな…」
オレリアの名に、オーソンは眉間に皺を寄せ、レオンとフーガは遠い目をになる。
騎士科と魔術科の団体模擬戦。
オレリア達に挑んだ3人の騎士科の生徒は、大会迄に傷は治ると診断されたが、剣と、そして心も折られた彼等は、大会の出場を…辞退した。
「本当に…申し訳ない事を…なのに、あの3人ときたら…」
「なんだ?」
『オーリア、ヨランダ、エレノア。騎士科の生徒にとって、今が一番大事な時期だと分かっているね?』
『『『……はい』』』
『ならば、話合いで解決すべきだったのでは?』
『勿論、話合いの場を設けましょうとご提案しました…ですが、お茶一杯の時間もくれてやる気なないと…』
『あの様に生き急ぐ事もないのに…座ってお話する時間も惜しいと言われてしまっては、私達も我儘を通すわけにはいきませんわ』
『…騎士なら剣で決着を付けようと言われたのです…』
『騎士って…お前達は令嬢で騎士ではないだろう?』
『なので、剣ではなく扇子で。殿方は模擬剣でしたので、私達も公平に金扇ではなく普通の扇子を使いました』
『大会を控えた大事な御身と、私達も充分に気を付けましたが…その…思った以上に優しい剣筋で…隙しかなくて…相手の力量を見誤ってしまった事、深く反省しております』
『お紅茶一杯分の時間も惜しいと仰られていましたが、正に有限実行でしたわね。ですが、大会でもあの様に、あっさり終わってしまっては…余興にもなりませんわね』
「お紅茶一杯…?」
令嬢相手に剣でと挑む生徒もおかしいが、お茶も冷めない内に勝負をつけた令嬢3人の話に、レオンとフーガは、そっと、紅茶をテーブルに置いた。
「…今度の討伐遠征は、あの3人を加えてもいいな…」
「フーガ殿…冗談はやめて下さい。兎に角、娘をアズールへ向かわせる事はありません。あの3人には、代理をしっかり努めさせなければなりませんから。セイド公爵も、ラスター侯爵も、暫くは扇子を握らせないと言っていました。勿論、娘もです」
「扇子を握らせないって…」
「理解に苦しむな…」
学園に呼び出された父3人は、学園長から話を聞いて眩暈した。
原因は騎士科の生徒にあると学園長に慰められ、騎士科の生徒の父兄にも、公侯爵令嬢に剣を向けた事を平に謝罪されたが、父親3人は、反省する方向を間違えている娘と、反省していない娘達から扇子を取り上げる事を決めた。
「で?その怪我をさせられた生徒達とは?大会に出る程の実力なのだろう?」
「……昨年の…表彰台に上がった3人です…」
「大会を開催する意味はあるのか?!」
「……ブハッ…ククッ…し、失礼致しました」
「ユーリッ!お前は…ックッ…し、失礼しました…ップ…んゞっ…」
「…イアン…笑うなら、ユーリの様に堂々と笑え」
ここに王宮騎士団長のラヴェルが居たなら過呼吸で倒れていただろう…
アズールに向かったラヴェルの代わりに、近衛騎士団長のイアンと共にレオンに侍っている近衛騎士のユーリが、フーガの驚きの声に堪え切れずに吹き出した。
不敬とも取れるユーリの行動に、イアンが注意をするが、本人も堪え切れない笑いが漏れ出ている。
「そういえば、イアン団長には娘達が世話になってるね。大変だろう?本当に…すまないね」
「ッブハッ…例のお茶会か?いつも涼しい顔して立ってるが、流石のイアンも、あの3人には敵わない様だな」
イアンの令嬢達とのお茶会の話は、フーガの耳にまで入っていたらしい。
眉を下げたオーソンの至極申し訳ないと言った言葉に、今度はフーガが堪らず吹き出した。
「……次回はフーガ殿もご招待しますよ」
「ハハッ………謹んで辞退する」
「余も報告書を見た時は驚いたぞ。ロイド教員とやらも気の毒にな…女性の好みまで聞かれて…将来豊満になりそうな、自分色に染められる幼い娘だったか?」
「千里眼でもなけりゃ、そんな逸材は見つけられんだろ」
「けしからんな…自分の色になどと…一体どの様に育てればいいというんだ…?悩むな…」
「何故、兄上が悩む?」
「と、ところでユーリはヨランダ嬢から縁談を打診されたそうだね?」
「はい、とても驚きました。あの告白…イアン団長に心を寄せているのかと…不倫現場を見てしまったのではと…焦りました…」
何事にも動じないヨランダが、涙を流して告白を拒まないで欲しいと懇願する姿に、イアンは勿論、偶然居合わせたユーリもたじろいだ。
不倫を疑うユーリの誤解を解き、改めてヨランダ嬢の告白を聞いたユーリが何故か二つ返事で了承した事に、イアンは再びたじろぎ、ヨランダは、お紅茶のカップを手にしたまま気絶した。
「まあ、これでセイドも安泰だな」
「エリックは残念でしたがね…」
「あの元令嬢も強かというか、逞しいな…ボーエン辺境伯は、あの元令嬢にも罰を与えたんだろう?」
「ああ、嘆きの森に追放したそうだ」
ローザとの国境にある嘆きの森は、足を踏み入れた者は方向感覚が狂い、二度と戻れないと言われている。
帰る術を失った者達の嘆く声が響いていると恐れられる森には、地元の人間も近寄らない。
元令嬢の命もここまでだろう…
「…一体、何があったのですか?」
フランがアズール遠征に向かい行程の半分を終えたある早朝、国王レオンの呼び出しに登城したスナイデル公爵フーガとデュバル公爵オーソンは、王太子フランの怪我をしたという話に眠気が吹き飛んだ。
「魔物討伐で、仕留め損ねた熊に襲われたそうだ。共にいたレインが庇って熊の爪にやられ、フランは2人揃って斜面から滑り落ちた際に、肋の骨折と、瘴気に当てられた蜂に刺されたと…二次被害を防ぐ為、討伐隊を帰還させたフランとレインは洞窟で一晩を明かし翌朝救助されたが、治療が遅れた2人は発熱。ポルタ医を向かわせた」
フランとナシェルの話を聞いた時のレオンは、常の冷静さを欠き、アズールへ向かうと騒ぎ立て、宰相のユリウスが側頭を打って落とした事は…治療をしたポルタ宮医しか知らない。
2人共に命に別状はなく、ポルタ宮医を向かわせて、やっと一息着くことが出来たレオンだが、血を分けた大切な息子と甥を喪うところだったと思うと、今でも震えがくる。
震えを誤魔化す様にカップに手を伸ばし、今夜辺りにくるであろう影の報告を予想する。朝が弱い息子は、おそらくその正体を甥に知られる事になった筈。
気丈に振る舞いながらも、未だ悲しみを背負う妻と娘達に、心の中で何度も詫びながら過ごす日々はとても苦しく、其処に在る息子の名を呼べない淋しさに何度も唇を噛み締めた。
甥の元に息子を侍らせたのは、ダリアの影となった息子を、甥ならば受け止められると信じていたから。
次代のダリアの光と影となる2人に国を継ぐ準備の一つ。
とは言え、あれ程油断するなと言っておいたのに…
「…何をやってるんだ、あの馬鹿は…」
「ご無事で何よりですが、心配ですね…」
「レインとは、新しく侍従補佐に着いた青年だったな…何故森に?文官だろう?」
「オレンジが好物でな…今回の遠征の為にと、ウィルに剣を習って、討伐にも参加していたそうだ」
「熱心なのはいい事だが、怪我をしてしまっては畑の拡大作業を手伝えんだろう。本末転倒じゃないか…気の毒にな」
「剣まで習って…それは無念ですね。まあ、怪我の具合にもよりますが、2人共若いですし、真面目に治療を受ければ治りも早いでしょう。畑は逃げませんから、レインも次があります」
オレンジをこよなく愛する侍従補佐が、今回の遠征に捩じ込んだ計画の事も2人は知っている。
フランを庇って怪我をしただけでなく、畑の拡大計画に携われないと聞いて同情を寄せているが、その正体を知ったら、どの様な反応をするのだろうか…レオンは苦笑いを紅茶と共に飲み込み、もう一つの懸念を口にした。
「オレリア嬢に話したら心配するだろうな…」
「…そうですね」
「フランの元に行きたいと言うだろうな…」
「娘まで押しかけたら、伯爵に迷惑をかけてしまいます。それに…娘も、その、忙しいので…」
「ああ…剣術大会の…」
「…デュバルの女傑か…彼等は剣術大会の出場を辞退したそうだな…」
オレリアの名に、オーソンは眉間に皺を寄せ、レオンとフーガは遠い目をになる。
騎士科と魔術科の団体模擬戦。
オレリア達に挑んだ3人の騎士科の生徒は、大会迄に傷は治ると診断されたが、剣と、そして心も折られた彼等は、大会の出場を…辞退した。
「本当に…申し訳ない事を…なのに、あの3人ときたら…」
「なんだ?」
『オーリア、ヨランダ、エレノア。騎士科の生徒にとって、今が一番大事な時期だと分かっているね?』
『『『……はい』』』
『ならば、話合いで解決すべきだったのでは?』
『勿論、話合いの場を設けましょうとご提案しました…ですが、お茶一杯の時間もくれてやる気なないと…』
『あの様に生き急ぐ事もないのに…座ってお話する時間も惜しいと言われてしまっては、私達も我儘を通すわけにはいきませんわ』
『…騎士なら剣で決着を付けようと言われたのです…』
『騎士って…お前達は令嬢で騎士ではないだろう?』
『なので、剣ではなく扇子で。殿方は模擬剣でしたので、私達も公平に金扇ではなく普通の扇子を使いました』
『大会を控えた大事な御身と、私達も充分に気を付けましたが…その…思った以上に優しい剣筋で…隙しかなくて…相手の力量を見誤ってしまった事、深く反省しております』
『お紅茶一杯分の時間も惜しいと仰られていましたが、正に有限実行でしたわね。ですが、大会でもあの様に、あっさり終わってしまっては…余興にもなりませんわね』
「お紅茶一杯…?」
令嬢相手に剣でと挑む生徒もおかしいが、お茶も冷めない内に勝負をつけた令嬢3人の話に、レオンとフーガは、そっと、紅茶をテーブルに置いた。
「…今度の討伐遠征は、あの3人を加えてもいいな…」
「フーガ殿…冗談はやめて下さい。兎に角、娘をアズールへ向かわせる事はありません。あの3人には、代理をしっかり努めさせなければなりませんから。セイド公爵も、ラスター侯爵も、暫くは扇子を握らせないと言っていました。勿論、娘もです」
「扇子を握らせないって…」
「理解に苦しむな…」
学園に呼び出された父3人は、学園長から話を聞いて眩暈した。
原因は騎士科の生徒にあると学園長に慰められ、騎士科の生徒の父兄にも、公侯爵令嬢に剣を向けた事を平に謝罪されたが、父親3人は、反省する方向を間違えている娘と、反省していない娘達から扇子を取り上げる事を決めた。
「で?その怪我をさせられた生徒達とは?大会に出る程の実力なのだろう?」
「……昨年の…表彰台に上がった3人です…」
「大会を開催する意味はあるのか?!」
「……ブハッ…ククッ…し、失礼致しました」
「ユーリッ!お前は…ックッ…し、失礼しました…ップ…んゞっ…」
「…イアン…笑うなら、ユーリの様に堂々と笑え」
ここに王宮騎士団長のラヴェルが居たなら過呼吸で倒れていただろう…
アズールに向かったラヴェルの代わりに、近衛騎士団長のイアンと共にレオンに侍っている近衛騎士のユーリが、フーガの驚きの声に堪え切れずに吹き出した。
不敬とも取れるユーリの行動に、イアンが注意をするが、本人も堪え切れない笑いが漏れ出ている。
「そういえば、イアン団長には娘達が世話になってるね。大変だろう?本当に…すまないね」
「ッブハッ…例のお茶会か?いつも涼しい顔して立ってるが、流石のイアンも、あの3人には敵わない様だな」
イアンの令嬢達とのお茶会の話は、フーガの耳にまで入っていたらしい。
眉を下げたオーソンの至極申し訳ないと言った言葉に、今度はフーガが堪らず吹き出した。
「……次回はフーガ殿もご招待しますよ」
「ハハッ………謹んで辞退する」
「余も報告書を見た時は驚いたぞ。ロイド教員とやらも気の毒にな…女性の好みまで聞かれて…将来豊満になりそうな、自分色に染められる幼い娘だったか?」
「千里眼でもなけりゃ、そんな逸材は見つけられんだろ」
「けしからんな…自分の色になどと…一体どの様に育てればいいというんだ…?悩むな…」
「何故、兄上が悩む?」
「と、ところでユーリはヨランダ嬢から縁談を打診されたそうだね?」
「はい、とても驚きました。あの告白…イアン団長に心を寄せているのかと…不倫現場を見てしまったのではと…焦りました…」
何事にも動じないヨランダが、涙を流して告白を拒まないで欲しいと懇願する姿に、イアンは勿論、偶然居合わせたユーリもたじろいだ。
不倫を疑うユーリの誤解を解き、改めてヨランダ嬢の告白を聞いたユーリが何故か二つ返事で了承した事に、イアンは再びたじろぎ、ヨランダは、お紅茶のカップを手にしたまま気絶した。
「まあ、これでセイドも安泰だな」
「エリックは残念でしたがね…」
「あの元令嬢も強かというか、逞しいな…ボーエン辺境伯は、あの元令嬢にも罰を与えたんだろう?」
「ああ、嘆きの森に追放したそうだ」
ローザとの国境にある嘆きの森は、足を踏み入れた者は方向感覚が狂い、二度と戻れないと言われている。
帰る術を失った者達の嘆く声が響いていると恐れられる森には、地元の人間も近寄らない。
元令嬢の命もここまでだろう…
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