世界の意思にさようなら

ラゲク

文字の大きさ
上 下
6 / 14
第一章 災害からの脱出

第6話  帰還

しおりを挟む
 「あ お帰りなさいトガさん…ほかの方たちは?」

ミナさんが不安げな顔で質問してくる。

「それは……」



 言葉が出てこない……なんて説明すればいいのか……



「そのことについては、私が皆さんに説明します。」

「あの~どちら様ですか?」

「申し遅れました。私は世界樹対策課の ハイノメ ユミ と申します。」



周りの空気がざわつく……



「おいおい、世界樹対策課ってなんだよ。てか、あんた政府の人間か?どうも見えないが…」

一人の男性が、彼女に対して問いかけた。まあ、こんな厳ついマスクしてたらそう思っても仕方がない。彼女も慣れているのか特に気にすることもなく説明し始めた。

「まず、他の方たちですが皆さんお亡くなりになられました。」

 

  !!?  い、いきなりすぎないか!?みんな鳩が豆鉄砲を食ったようになってるぞ!

 まあ、ぼくも事件の記憶がなくなって彼、女からそう聞かされた時は同じ反応をしたけど。



「な!何があったんだ! ただの暴漢とかじゃないのか?」

「そうだ 警官と自衛官もいたんだろ?」

「はい 人間相手なら対応できたでしょう。しかし、相手が化け物だと話が変わってきます。」

その言葉を放った瞬間、二度目の豆鉄砲を食らったのか、みんな固まってしまった。

「ばけもの?」

「はい 世界樹から発生した異界生物。我々はこの生物を ゼノ と呼んでいます。」



 ハイノメの説明が終わった後は、悲惨なものだった。暴れだす者、泣きじゃくる者、 少しずつ復興が進んでいた最中、わけのわからない問題が増えたんだ。仕方がない……



 ああ、一昨日から続いたこの事件、人間の仕業ならどれだけよかったことだろう…… いや、そしたらぼくは生きてないかもしれないんだよな……



 触手の化け物に殺された後、ハイノメと会い、彼女は僕の身体のことについて説明してくれた。

「あなたはおそらく感染したのよ。」

「感染?」

「ええ そして上手く適応できた。ここ最近あなたみたいな感染者が増え始めているの。私たちはこのことを ザブ と呼んでるわ。」

「ざ……ぶ?」

「 ザブ そして適応できたものを 能力者 と呼んでる。あなたや私のように、まったく見た目に変化がないのはラッキーなのよ」

「はあ……ん? あんたも能力者なのか?」

「ええ まあ呼び方は能力者でも新人類でも何でもいいけど……。あと、あんたじゃない 私の名前は ハイノメ ユミ 」



 なんか、偉そうだなたぶん年下のくせに……

 まあ気持ちを押し殺して、話を進めないと、



「ぼくみたいに蘇ったりするのか? というか死なない身体? になるのか?」

「傷の治りはかなり早いけど、あそこから元に戻ることはできないわ! まあそれ以外にもあることができるけど」

「あること?」

「まあ、近いうちに知ることになるでしょう。これから長い付き合いになるわけだし。」

「長い付き合い? まだあって間もないのに結婚だなんて……」

「違うわ!」

下らないノリに乗ってくれた。意外といい人なのかもしれない。

「あなたはこれから世界樹対策課に入ってもらう。拒否権はないわ!」

「なに!」

「そして私の後輩になるの!」

マスク越しでもわかる 彼女のニチャリ顔が……
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

クラスメイトの美少女と無人島に流された件

桜井正宗
青春
 修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。  高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。  どうやら、漂流して流されていたようだった。  帰ろうにも島は『無人島』。  しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。  男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?

スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活

昼寝部
ファンタジー
 この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。  しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。  そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。  しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。  そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。  これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

俺だけ毎日チュートリアルで報酬無双だけどもしかしたら世界の敵になったかもしれない

亮亮
ファンタジー
朝起きたら『チュートリアル 起床』という謎の画面が出現。怪訝に思いながらもチュートリアルをクリアしていき、報酬を貰う。そして近い未来、世界が一新する出来事が起こり、主人公・花房 萌(はなぶさ はじめ)の人生の歯車が狂いだす。 不意に開かれるダンジョンへのゲート。その奥には常人では決して踏破できない存在が待ち受け、萌の体は凶刃によって裂かれた。 そしてチュートリアルが発動し、復活。殺される。復活。殺される。気が狂いそうになる輪廻の果て、萌は光明を見出し、存在を継承する事になった。 帰還した後、急速に馴染んでいく新世界。新しい学園への編入。試験。新たなダンジョン。 そして邂逅する謎の組織。 萌の物語が始まる。

ちょっと大人な体験談はこちらです

神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な体験談です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

俺しか使えない『アイテムボックス』がバグってる

十本スイ
ファンタジー
俗にいう神様転生とやらを経験することになった主人公――札月沖長。ただしよくあるような最強でチートな能力をもらい、異世界ではしゃぐつもりなど到底なかった沖長は、丈夫な身体と便利なアイテムボックスだけを望んだ。しかしこの二つ、神がどういう解釈をしていたのか、特にアイテムボックスについてはバグっているのではと思うほどの能力を有していた。これはこれで便利に使えばいいかと思っていたが、どうも自分だけが転生者ではなく、一緒に同世界へ転生した者たちがいるようで……。しかもそいつらは自分が主人公で、沖長をイレギュラーだの踏み台だなどと言ってくる。これは異世界ではなく現代ファンタジーの世界に転生することになった男が、その世界の真実を知りながらもマイペースに生きる物語である。

処理中です...