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XVII.真の愛と対面する【玉石混淆、正真正銘】
Noël au balcon,Pâques au tison.
しおりを挟む素敵な、夢を。
皇宮の離れにある塔の前で立ち止まったシャルは
意味ありげに言い残して、私に錠の鍵を手渡し踵を返した。
錠を開ける手が、震える。
繊細に開けた錠前がカチャリと小さな音を立てて外れて。
両開きの扉の片方を少し押して開けると
月明かりしか光源のない暗闇にポツリと鎮座するベッドの上で
片膝を立てて座る一人の男。
まるで、幽閉されたプリンセスね。
立てた膝を抱き抱えるように顔を突っ伏す彼を見て、
そんな感想を抱いた。
扉を閉めて、歩みを寄せれば
静かに顔を上げた彼は朧気だった瞳を大きく見開いた。
「アリア……?」
「久しぶりね……キース」
「どう、して、俺の名前を……」
目をこれ以上ないくらい見開いて驚く彼は、
紛れもなく私がずっと求めていた彼で。
泣きそうになった。
彼の顔を見たら、どうしようもなく。
「ごめんなさい。気づか、なくて」
「……」
謝ることじゃない。
謝って、許されることでもない。
そんなのは、分かっていて。
でも、他にかける言葉なんて見つからない。
「貴方に、会いたかった」
「……俺は、会いたくなかった」
呟かれた言葉が、私の心を抉る。
不躾に逸らされたその顔が、
月の光に照らされ影を帯びた。
ひたすらに神々しい顔を見つめる私の前で彼は、
「会ったら、触れたくなる」
独り言のように呟いた。
【クリスマスはバルコニーで、復活祭は暖炉で】
Noël au balcon,Pâques au tison.
(今は。今だけは、ただの女でいさせて)
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