上 下
111 / 174
XII.嘘つきも愛は本物【虚実混交、巧偽拙誠】

【R-18】Vieilles amours et vieux tisons Se rallument en toutes saisons.

しおりを挟む

 目がチカチカする。


眩暈なんてもんじゃない。

痛みで、意識が飛びそうだ。


 短い気息を繰り返しながら、
引くように息を吸っていると唐突に奥を抉られる。



「やぁあっ!! い、たい……、やめ……っ」

「声出すんじゃねえよ」

「……っ」



 ここまで声を出さなかったレオに冷たく咎められて
初めてこれが懲罰だと言われている気になった。


自分で仕掛けた癖に、嘆いて、やめてと懇願して。

ここまで滑稽な話は無い。


あぁもう、自分の弱さに泣きそうだ。



「……はぁっ、」

「ん……っ、」



 慣らしもせず突き抜くようにストロークをされて、
生理的に生まれる潤滑液で、段々と痛みがマシになって。


子宮に響くような甘美な痛みが私を襲う。

必死に指を咥えて声を抑えていると
レオがやり返しだと鼻で笑った。



「無理矢理されても、感じるのか?
どうしようもねえ阿婆擦れだな」

「……貴方、こそ、公妾でもない、女との
性行為で、感じてるの?」

「!!」



 少しばかり余裕が出てきたところで、
引き攣るような笑みを重い口角をあげて見せてやれば。

私の腰を爪を立てる勢いで強く掴んだ彼は
まだまだ本気では無かったようだ。


本当に、優しさの捨てきれない男。

ここまでしてやらないと、情が捨てられないなんて。



「あ……、ああっ、」

「声出すなって、言っただろうが……!」

「出ちゃ……っ、ん、ああっ!!」



 呼吸もままならないくらい腰をぶつけられて、
抑えようにも抑えきれない声が水音と弾くような音の中交わる。


「当たり、前だろ」
ただただ躰を揺らして喘ぐ私に、
またひとつ低い音が重なった。



「俺は、そんな簡単に、お前みたいに、割り切れねえんだよ」

「家族だか、なんだか知らねえが、
なんで俺が、お前を手放さなきゃなんねえんだよ」

「二度と、我慢なんか、してやらねえからな……っ」

「俺様が飽きるまで、そのカラダ、壊してやるよ……!!」



 苦しそうなレオの声が、何に増しても大きく響いた。

その声に、強く瞑り続けていた目を薄く開ける。


すると、眉根を寄せ、声に似た苦しそうな顔をするレオが見えて。

震える手を、彼の頬へ伸ばした。



「レ、オ……愛、してる……っ」

「な……」



「愛してる、私は、何されても、貴方を、
嫌いになんて、なれない」



 愛してる。

貴方が私をどう思おうと、
私は、貴方だけを。


 耐えきれない快楽の中、
出来る限り愛の深い笑みを彼へ当て付けた。

卑怯な女、卑しい女。

何を言われようと、これだけは絶対に変わらない。


「貴様……!!」
そう吐き捨てたレオが、酷く泣きそうで。


ただ激しかった行為に、愛が備えられる。

甘い恋人同士に、戻り始める。



「アリア……ッ」

「や……ぁああっ!!」



 お互いの愛が、帳尻を合わせたその時。

彼の口が私の名を紡いで、
行き場の無くしかけた愛を私に注いだ。



【古い愛と古い燃えさしは季節を問わず再び燃え上がる】
Vieilles amours et vieux tisons
Se rallument en toutes saisons.

(どこまでも、甘さの残る男ね)
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

【R18】散らされて

月島れいわ
恋愛
風邪を引いて寝ていた夜。 いきなり黒い袋を頭に被せられ四肢を拘束された。 抵抗する間もなく躰を開かされた鞠花。 絶望の果てに待っていたのは更なる絶望だった……

【R18】今夜、私は義父に抱かれる

umi
恋愛
封じられた初恋が、時を経て三人の男女の運命を狂わせる。メリバ好きさんにおくる、禁断のエロスファンタジー。 一章 初夜:幸せな若妻に迫る義父の魔手。夫が留守のある夜、とうとう義父が牙を剥き──。悲劇の始まりの、ある夜のお話。 二章 接吻:悪夢の一夜が明け、義父は嫁を手元に囲った。が、事の最中に戻ったかに思われた娘の幼少時代の記憶は、夜が明けるとまた元通りに封じられていた。若妻の心が夫に戻ってしまったことを知って絶望した義父は、再び力づくで娘を手に入れようと──。 【共通】 *中世欧州風ファンタジー。 *立派なお屋敷に使用人が何人もいるようなおうちです。旦那様、奥様、若旦那様、若奥様、みたいな。国、服装、髪や目の色などは、お好きな設定で読んでください。 *女性向け。女の子至上主義の切ないエロスを目指してます。 *一章、二章とも、途中で無理矢理→溺愛→に豹変します。二章はその後闇落ち展開。思ってたのとちがう(スン)…な場合はそっ閉じでスルーいただけると幸いです。 *ムーンライトノベルズ様にも旧バージョンで投稿しています。 ※同タイトルの過去作『今夜、私は義父に抱かれる』を改編しました。2021/12/25

調教専門学校の奴隷…

ノノ
恋愛
調教師を育てるこの学校で、教材の奴隷として売られ、調教師訓練生徒に調教されていくお話

【R18】もう一度セックスに溺れて

ちゅー
恋愛
-------------------------------------- 「んっ…くっ…♡前よりずっと…ふか、い…」 過分な潤滑液にヌラヌラと光る間口に亀頭が抵抗なく吸い込まれていく。久しぶりに男を受け入れる肉道は最初こそ僅かな狭さを示したものの、愛液にコーティングされ膨張した陰茎を容易く受け入れ、すぐに柔らかな圧力で応えた。 -------------------------------------- 結婚して五年目。互いにまだ若い夫婦は、愛情も、情熱も、熱欲も多分に持ち合わせているはずだった。仕事と家事に忙殺され、いつの間にかお互いが生活要員に成り果ててしまった二人の元へ”夫婦性活を豹変させる”と銘打たれた宝石が届く。

レイプ短編集

sleepingangel02
恋愛
レイプシーンを短編形式で

【R18】僕の筆おろし日記(高校生の僕は親友の家で彼の母親と倫ならぬ禁断の行為を…初体験の相手は美しい人妻だった)

幻田恋人
恋愛
 夏休みも終盤に入って、僕は親友の家で一緒に宿題をする事になった。  でも、その家には僕が以前から大人の女性として憧れていた親友の母親で、とても魅力的な人妻の小百合がいた。  親友のいない家の中で僕と小百合の二人だけの時間が始まる。  童貞の僕は小百合の美しさに圧倒され、次第に彼女との濃厚な大人の関係に陥っていく。  許されるはずのない、男子高校生の僕と親友の母親との倫を外れた禁断の愛欲の行為が親友の家で展開されていく…  僕はもう我慢の限界を超えてしまった… 早く小百合さんの中に…

マッサージ師にそれっぽい理由をつけられて、乳首とクリトリスをいっぱい弄られた後、ちゃっかり手マンされていっぱい潮吹きしながらイッちゃう女の子

ちひろ
恋愛
マッサージ師にそれっぽい理由をつけられて、乳首とクリトリスをいっぱい弄られた後、ちゃっかり手マンされていっぱい潮吹きしながらイッちゃう女の子の話。 Fantiaでは他にもえっちなお話を書いてます。よかったら遊びに来てね。

辺境騎士の夫婦の危機

世羅
恋愛
絶倫すぎる夫と愛らしい妻の話。

処理中です...