上 下
89 / 174
Ⅸ.体から伝わる愛【合歓綢繆、楚夢雨雲】

【R-18】Ne jetez pas vos perles devant les pourceaux.

しおりを挟む

「……はッ、あ……ッ」

「どう?」

「今、喋、んな……!」



 相変わらず眉根を力ませる彼に問えば、
喋るなと叱咤されてしまった。

王子に言われたら、喋る訳にはいかないわね。


 そう思いつつ、
「ちゃんと言ってくれないと分からない」と
イタズラ心で口を動かすと頭を抑え込まれた。

ぐうっと、喉の奥を刺激したのは、
昨日まで私のナカを犯していた彼のソレで。


 何を隠そう、オオトリが
白々しくお教えしますなんて言ってきたのはこの事だった。


上手くやれば、本番より快感らしいですよ。
そうニヤリと笑ったオオトリに私は頭を抱えたのだが。


しゃくる様な気息を繰り返しながら
顔を歪める彼の表情を見れば、
オオトリの言っていたことはなかなか的を得ていたのだろう。

どこまでも使える男と認めざるを得ない。


 そして確かに、これなら腰は痛くない。

しかし、痛む場所が変わっただけで
顎と喉が悲鳴をあげ始めている。

その上、それと引き換えに
何かを失っていく気がするのは気の所為では、ない。


 コワレモノを扱うかのように丁寧に舌を這わせて、
ソレに添えた手を零れた唾液を纏わせるように動かして。


私の中の大切な何かが、すり減っていく音がする。


道徳心というのか、自尊心というのか。

名も分からぬ感情が消え失せていく。


 そんなことを言っていても、
彼が欲を吐くまでは辞めてやる訳にはいかない。

手は動かしつつも顎の休憩という名目で口からソレを抜いて、
舌を伸ばし先端をチロッと舐めてみた瞬間。


「……ッんん!」
増して喘いだ彼は、首筋を仰け反らせた。


同時に生温い何かが飛んで、
べっとりと私の顔にへばりつく。



「……ねぇ、ちょっと」

「……お前が、口、離すからだろ」

「……イけないんじゃ、無かったの」



「お前の顔が、厭らしすぎた」
 そう言ってありもしないはずの責任を彼は私に押し付けた。


不快だ、この上なく。

頬やら、鼻やら。
顔中に散らばった粘着気質の液体が、私を荒ませる。


 目元についたソレを人差し指の背で拭って。

指先についた白い液体を、興味本位で舐めてみると
苦いんだが、なまぐさいんだか。

初めての味に顔を顰めながら、
舌をべぇっと外に突き出した。


 そういえば何も言わない彼は何を考えているのだろうか。



「レオ……?」



 その名を呼びながら彼の顔を脚の間から見上げれば、
恍惚としたように私を見る彼とバッチリ目が合ってしまった。


ろくなことにならない気がして、
急いで視線を落としたものの
再び熱を帯び始めているソレに気づいてしまって。

もう、視線の行き場がない。


 見て見ぬふりで顔を洗いに行こうとした私の体が
彼の腕によって無理矢理ベッドに引き戻される。


彼はベッドのスプリングを軋ませながら
背を打ち付けた私に向かって、



「次、腰か顎、どちらか選べ」



偉そうに命令をした。






【豚に真珠を投げるな】
Ne jetez pas vos perles devant les pourceaux.

(もう二度と、しない)
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

【R18】散らされて

月島れいわ
恋愛
風邪を引いて寝ていた夜。 いきなり黒い袋を頭に被せられ四肢を拘束された。 抵抗する間もなく躰を開かされた鞠花。 絶望の果てに待っていたのは更なる絶望だった……

【R18】今夜、私は義父に抱かれる

umi
恋愛
封じられた初恋が、時を経て三人の男女の運命を狂わせる。メリバ好きさんにおくる、禁断のエロスファンタジー。 一章 初夜:幸せな若妻に迫る義父の魔手。夫が留守のある夜、とうとう義父が牙を剥き──。悲劇の始まりの、ある夜のお話。 二章 接吻:悪夢の一夜が明け、義父は嫁を手元に囲った。が、事の最中に戻ったかに思われた娘の幼少時代の記憶は、夜が明けるとまた元通りに封じられていた。若妻の心が夫に戻ってしまったことを知って絶望した義父は、再び力づくで娘を手に入れようと──。 【共通】 *中世欧州風ファンタジー。 *立派なお屋敷に使用人が何人もいるようなおうちです。旦那様、奥様、若旦那様、若奥様、みたいな。国、服装、髪や目の色などは、お好きな設定で読んでください。 *女性向け。女の子至上主義の切ないエロスを目指してます。 *一章、二章とも、途中で無理矢理→溺愛→に豹変します。二章はその後闇落ち展開。思ってたのとちがう(スン)…な場合はそっ閉じでスルーいただけると幸いです。 *ムーンライトノベルズ様にも旧バージョンで投稿しています。 ※同タイトルの過去作『今夜、私は義父に抱かれる』を改編しました。2021/12/25

調教専門学校の奴隷…

ノノ
恋愛
調教師を育てるこの学校で、教材の奴隷として売られ、調教師訓練生徒に調教されていくお話

【R18】もう一度セックスに溺れて

ちゅー
恋愛
-------------------------------------- 「んっ…くっ…♡前よりずっと…ふか、い…」 過分な潤滑液にヌラヌラと光る間口に亀頭が抵抗なく吸い込まれていく。久しぶりに男を受け入れる肉道は最初こそ僅かな狭さを示したものの、愛液にコーティングされ膨張した陰茎を容易く受け入れ、すぐに柔らかな圧力で応えた。 -------------------------------------- 結婚して五年目。互いにまだ若い夫婦は、愛情も、情熱も、熱欲も多分に持ち合わせているはずだった。仕事と家事に忙殺され、いつの間にかお互いが生活要員に成り果ててしまった二人の元へ”夫婦性活を豹変させる”と銘打たれた宝石が届く。

レイプ短編集

sleepingangel02
恋愛
レイプシーンを短編形式で

マッサージ師にそれっぽい理由をつけられて、乳首とクリトリスをいっぱい弄られた後、ちゃっかり手マンされていっぱい潮吹きしながらイッちゃう女の子

ちひろ
恋愛
マッサージ師にそれっぽい理由をつけられて、乳首とクリトリスをいっぱい弄られた後、ちゃっかり手マンされていっぱい潮吹きしながらイッちゃう女の子の話。 Fantiaでは他にもえっちなお話を書いてます。よかったら遊びに来てね。

【R18】僕の筆おろし日記(高校生の僕は親友の家で彼の母親と倫ならぬ禁断の行為を…初体験の相手は美しい人妻だった)

幻田恋人
恋愛
 夏休みも終盤に入って、僕は親友の家で一緒に宿題をする事になった。  でも、その家には僕が以前から大人の女性として憧れていた親友の母親で、とても魅力的な人妻の小百合がいた。  親友のいない家の中で僕と小百合の二人だけの時間が始まる。  童貞の僕は小百合の美しさに圧倒され、次第に彼女との濃厚な大人の関係に陥っていく。  許されるはずのない、男子高校生の僕と親友の母親との倫を外れた禁断の愛欲の行為が親友の家で展開されていく…  僕はもう我慢の限界を超えてしまった… 早く小百合さんの中に…

辺境騎士の夫婦の危機

世羅
恋愛
絶倫すぎる夫と愛らしい妻の話。

処理中です...