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Ⅸ.体から伝わる愛【合歓綢繆、楚夢雨雲】

Qui casse les verres les paie.

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「ま、待ってレオ!!」



 やっぱり今宵も期待を裏切らず
迫ってきたレオに腕を突っ張った。


なんだよ、そう険しい声で呟いた彼は
オオトリが言っていた通り不満がタラタラらしい。

オトシゴロ、って底がないのね。



「今日は、しない」

「は?」



 馬鹿正直に言えば、
拒絶だと受け取ったであろう声で最悪な顔をした。


明らかに、怒っている。
打首かしらね、これは。


 否、流石の彼もそこまではしないのは分かっている。

セックスを拒絶されたなんて、
そんなみっともない理由で打首になんかしない、はずだ。


 脳裏に過ぎる物騒な思想を払い
彼の体の下からずりずりと這い出て体を起こした。


 怪訝な彼の視線が突き刺さる。

あぁ、恐ろしい。



「その、腰が、限界なの」

「腰?」

「……そう。その、腰痛、っていうのかしら」



 それはもう、日常生活に支障をきたすレベルで。

ここまで言えなかったそれを突きつけると
彼はハッとして私を見た。


……やっと、気づいてくれたみたい。


 恐れず言ってみるものだと思いつつ、
ベッドに転がり落ちた彼は当て所のない怒りやらなんとやらを
抱えてしまったようで。

ふいっと顔を背けて子供のように拗ねた。


「怒った?」
問いかけても返ってくる気配のない返事。

怒ってるっていうか、
葛藤、してる感じね、これは。


 私の体を気遣って
邪念を振り払おうと必死になっていそうな彼は
眉根に皺を寄せながら目を瞑っている。


なんだか、申し訳ない気持ちになってしまうのは、
私が悪いのだろうか。


 まぁ、少なからず罪はあるかもしれない。

だって、あの日仕掛けたのは、私だから。



「あのね、レオ」



 だから、覚悟を決めた。






【撒いた種は刈らねばならぬ】
Qui casse les verres les paie.

(自分で撒いた種、ですものね)
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