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Ⅷ.すれ違う心【揣摩臆測、暗雲低迷】
Souvent femme varie, bien fol est qui s'y fie.
しおりを挟む「……なんて、言うと思った?」
「え?」
嘘だよ、全部。
彼は悪びれもなく自白した。
その嘘をつく意味はどこにあったのだと思いながらも
私の歪んだ顔を見てクスクスと笑っているあたり
私の反応を見て楽しみたかっただけのようだ。
この家の王子達は、本当、いい性格してるわ。
私の上から退いた彼は、
私に手を差し伸べて私の体を起こすと隣に座り直した。
「僕は、兄に劣っているとは思っていない。
確かに王位継承権は彼にあるけど、
寧ろ比較されて褒め称えられて生きてきたのは、僕の方だよ」
自慢げに言う彼は、レオを見下すような言葉を放った。
それに、少しムッとしてしまう私は、
本当に愚か者。
自分で突き放しておいて、情けない話すぎる。
「でも、君のことが欲しいのは本当。
美しいものを手に入れたいと思うのは、人間の本能だよ」
そして私の方に体を傾けた彼は、
ソファの背もたれに頬杖をつきながら恍したように言う。
「中身なんて、心なんて二の次。
人間なんて結局は外面しか気にしない生き物だから」
「だから、君は、僕に相応しい。
僕の隣に立っても、見劣りしない君が、欲しい」
愛に飢える、男って怖いわ。
懲りもせず、私の唇に指を這わせた彼に嘲笑を見せつける。
「……とんだ下衆な男ね」
「どこまでも口が悪いね、君は」
「そんな口説き方で、女が落ちると思ってるの?」
「でも本当のことを言う男の方が、いいだろう?」
“嘘つき”は、墓場まで直らないよ。
強調された言葉に、一人の男の顔が過ぎった。
【しばしば女は心変わりをする。女を信用する者は大馬鹿だ】
Souvent femme varie, bien fol est qui s'y fie.
(確かに貴方なら、信用できそうね)
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