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これから、どうすれば?・・・でも閃いた!!

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〇スイカ酒場

「ふぅ~ 赤字よ。赤字。どうすれば良いの?」
アイは、愚痴った。

「ふわぁ~~良く寝た。
 あれ? 何でここの店にいるんだ?」
アイと同化して、今まで寝ていたペンタが起きた。
精神を共有しているので、アイにしか聞こえない。

「ペンタ、久しぶり」
「ボクが寝ている間に、色々あったみたいだね」
「まぁ~色々ね。 
 この店は私の店なの!!」

「おおおお‼ 凄い凄い( ̄∇ ̄)‼
 でも、浮かない感じだね~」
「だって、赤字だもん。ふぅ( ̄3 ̄)~」

「何でなの?」

「まず、看板メニューを作るために、
 この国にない激辛カレーを作ろうと思ったの」
「へえ~そんな料理作れるんだ。 
 良い考え。良い考え( ̄∇ ̄)‼」

「でしょ。
 ただ、肝心のカレー粉がなかったの。
 だから、スパイスを調合してなんとか作ったんだけど、
 材料費が高くなり過ぎてしまったの」

「へぇ~ いくらで売る予定だったの?」
「私は500円~1500円くらいにしたかったけど、
 3000円になってしまったの」

「高いΣ(゜Д゜)‼」
「そうなのよ。
 試食会で味は好評だったけど、
 売り出したらやっぱり値段がネックになって売れなかった」

「そうなんだ。 だったら値段を下げれば?」
「値段を下げたいけど、
 何十種類ものスパイスを使ってるし、
 安い所を探してるけど見つからない」

「そうなんだ。他のメニューでも作れば?」

「そう思って、すき焼きや肉じゃがなど考えたけど、
 味の決め手である醤油しょうゆが無いの。
 作り方も解らないし、お金も無くて試せない状態」

「そうか~、上手く行かないもんだね~」
「ああ~~お金があれば色々開発出来て、
 醤油しょうゆも出来るかもしれないのに~(≧Д≦)‼」

そして、赤字の大きな問題の1つが・・

「こんばんわ。いつものお願い」
サク王子が爽やかな笑顔で、店に入ってきた。

「はいよ」
店長のヤルクが料理を作り出した。

「今日も元気そうだね。悪役令嬢ちゃん」
「ええ元気よ」
カウンターテーブルに、肘を付いて横になって素っ気なく答えた。

サク王子に対して露骨に態度が悪いのは、理由があった。

「あ‼ サク様がいらっしゃるわ」
「本当‼」
若い女性達が、大喜びで入ってきた。

「座っても、良いですか?」
「もちろんですよ」
爽やかに笑うサク王子。

サク王子のテーブルに、若い女性達が座った。

すると、また扉が開いた。
「あら~。もう来てたのね」
全ての指に宝石の指輪を付けて、豪華に着飾った年配の女性が入ってきた。

「あなた達邪魔よ。どきなさい」
「は~? 何言ってる?」
「良いからどきなさい」
「嫌よ」
「何~‼」
相手の髪を掴んで、つかみ合いになりそうだった。

「ケンカは嫌いですよ‼
 ちゃんと時間を作りますから、待って下さい。
 サブウエル第2伯爵はくしゃく夫人」
ニコリと笑うサク王子。

「サクちゃんが、そういうなら仕方ないわね。 
 早く終わりなさい」
「嫌よ。あっかんべー」
「フン」
サブウエル第2伯爵はくしゃく夫人は、不機嫌な様子で座った。

「ご注文は何にしますか?」
「牛乳でいいわ」
「かしこまりました」
グリルが注文を聞いて、厨房へ行った。

サク王子が常連になった事で、話をしたい女性客が一気に増えたのだ。

「これプレゼントです」
「ありがとう」
女性からプレゼントを貰って喜ぶサク王子。

「もう~ ホストね。ホスト」
アイが嫌味たっらしく言った。

「ホストって何?」
ペンタが聞いた。

「説明するのが面倒だから、あんな感じの人よ」
横になって、ボリボリお尻をかきながら言った。

「ふ~ん。でも、お客様を沢山連れてくるから良いんじゃない?」

「最初は喜んだけど、女性客はお酒を頼まずに、
 安い牛乳などの飲み物しか注文しなかったの。

 そうなると、客単価が下がって、
 売上も少なく赤字になってしまったの」

「客単価って?」
「お客様が1回来た時に、支払うお金の事。
 このお店をだと、安い牛乳などの単品の注文が多くて、
 客単価が下がって売上が少ない。
 
 でも、酒や料理を一緒に頼んでくれたら、
 客単価が上がって売上UPに繋がるの」

「客単価を上げる事が大事なんだね」
「そういう事。だから何か工夫をしないといけない。
     ・・・
 それに、疫病神のせいで、常連客が減ってしまった」
「え? 何で?」

「今までここに来ていた常連客は、
 静かな所で飲めると思って来ていたの。
 でも、ごらんの通りワイワイ騒ぐ雰囲気になってしまったので、店に馴染めず来なくなったの」
チラリとワイワイ楽しそうに、話しているサク王子をみて言った。

「もう~ この疫病神p(`Д´)q

 凄く追い出したい気持ちはあるけど、
 女性客がいなくなってしまう可能性もある。
 はぁ~ どうしたら良いのよ~」
困り果てるアイ。
 
「ふ~ん。大変だね。
 ふぁ~~。また眠くなったから、寝ま~す」

「ちょっとーー。まだ私の話を聞いてよ~~」
「( ̄ー ̄)ZZZ」
ペンタは寝てしまった。

「ちぇ。寝ちゃった。愚痴を聞いて欲しかったのに」
口を尖がらせるアイだった。

店の扉が、バタンと勢い良く開いた。

「悪役令嬢オーナー」
凄い勢いで、香辛料店の亭主ジジルが入ってきた。

「どうしたの? そんなに興奮して?」
「ついに出来たぞ。超激辛香辛料を」
手に大きく超激辛(超危険)と書いてある瓶を持って言った。

「ホント?」
すくっと立って大喜びのアイ。

「ああ。自信作だ」
「じゃ~。試してみましょうか」
アイはチラリと隣を見た。

「ゲフ。もうー食えないっす」
そこには、カレーのお皿が10枚以上積まれて、グロッキー状態のサラブレットがいた。

「ねぇ。サラブレット。試食をお願い」
「もう、無理っす。ゲフーーーー」
もう食べれないとゲップをしていた。

「仕方ないわね。グリル」
「試食」

「グリルちゃんに言われても、無理っす。
 食べれないっす」
「どうすれば食べれる?」
「そ、そうっすね~。あ、握手してくれるなら。
 食べても良いっすけどね~・・・」
チラリと様子を伺うように、グリルの方を見た。

「無理」
顔を左右に振るグリル。

「グリル。これも店のためよ」
「でも」
「一気に売上UP出来るかもしれないし、
 彼のおかげで店が成り立っているのよ。
 少しくらいサービスしないと」
「・・・・・・」
口ごもるグリル。

「これも、仕事よ。
 ファンサービスよ。ファンサービス。
 接客のプロとしてやらないと」
「プロですか」
プロと言う言葉に反応したグリル。

「そうよ」
「わかりました」
手を出すグリルだったが、顔を背けていた。

「何で相手の方を見ないのよ」
「は、恥ずかしいからです」
顔が少し赤くなったグリル。

「か、可愛い」
思わず心の声を言って微笑むサラブレット。

「は、早くして」
恥ずかしさに耐えるグリル。

「わ、解りました」
サラブレットは、手に付いた汗を何回もズボンで拭いた。

「じゃ~行きますよ」
ゴクリとツバを飲み込んで、両手が震えながら近づいた。
だが、もう少しの所で手を引っ込めた。

「もう~何やってるの?」
「だって、しょうがないっす。緊張するんです。
 め、滅多にないチャンスですから」
汗ばんだ手を何回も拭きながら言った。

「じゃ~ 行きますよ」
ゆくっりゆくっり両手を近づけた。
どんどん距離が近づいて、あと少しで手に触れそうになった。

「あ、あと少しだ」
ごくりとツバを飲み込んだ。

「ハ、ハ、ハクション」
ジジルが大きなくしゃみをした。
ぱっと手を離すサラブレット

「もう~何やってるの」
「だって、びっくりしったす」
「もういい。別の人に頼みましょう」
「それは、ダメッす。アッシがやるっす」
「解った。1秒以内で握手しないと無しね」
「そんな。1秒なんて無理っす」
悲しい表情を見せた。

「数えます!! 1。ハイ終わり」
サラブレットの意見を無視するように速く言った。

「あ、暖かい。( ̄▽ ̄)デへへへ」
ぱっとグリルの手を握って、( ̄▽ ̄)ニヤニヤした。
グリルの頬が赤くなった。

「はい。終わり」
アイが言うと、グリルは直ぐに引っ込めった。

「もう、終わりですか~残念っす。
 でも、グリルちゃんの手は良かったな~~
 もう死んでも良い~ ( ̄▽ ̄)エへへへ」
自分の両手を見て( ̄▽ ̄)ニヤニヤが止まらなかった。

「終わり終わり。じゃ試してね( ̄▽ ̄)♪♪」
「解りました♪♪」
超激辛の粉末を入れたカレーのルーをスプーンで食べた。

「!!!!!!!!」
「おおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!」
目をカッと見開て、サラブレットの口から炎が出た。

「うぁあああああ」
突然の炎にビックリする一同。

「辛い辛い辛い辛い辛い辛い。飲み物飲み物飲み物」
余りの辛さに飲み物を要求した。
グリルは水を渡した。

「辛~~~~~~~~い。余計に辛くなった~~~」
「グリル。
 辛い食べ物時は水だと余計に辛くなるのよ。
 それより、牛乳の方が良いのよ」
「そうなんですか?」
「そうよ」

「何でも良いから飲み物をーーーーーーーーーーー」
絶叫するサラブレット。
グリルは牛乳を渡した。
ゴクゴク飲んだ。

「はぁ~~~~~~~~~~~~~~。 
 辛い物が得意なアッシでもめちゃくちゃ辛いっす」
「凄い光景だったわね。ジジル。
 何を入れたの?」
「激震草を入れた」

「えええええ∑(°〇°)!! 
 あれは人間には危ない使い魔だけ食べれる物でしょ」
「らしいね。初めて人が食べる所を見れて良かったよ」
貴重なデータが取れて満足な顔のジジルは、ニコリと笑いサラブレットに親指を立てて褒めた。

「殺すきっすかーーーー!!」
怒るサラブレット。

「まあまあ。死ななかったから良かっただろ?」
( ̄▽ ̄)ニヤリと笑う。

「こんなの人に食べさせるのは危険っすよ。
 食べさせるなら使い魔でしょ」
「待って!! 今何て言った?」

「え? 人には危険」
「その後よ」 
「食べさせるなら使い魔でしょ」
     ・・・
「それよ。使い魔に食べさせれば良いのよ」
「どうゆう事っすか?」
首を傾けた。

     ・・・
「今ままで人だけを対象にしたけど、
 ・・・・・
 使い魔にも料理を提供すれば良いのよ。
 使い魔も家族だと思っている人もいるはずだから、
 一緒に食事やお酒を飲める所があれば嬉しいはず」
 
「なるほど。確かにありそうでなかったな」
ジジルが感心した表情で言った。

「私が作ったカレーは値段が高くて売れなったけど、
 使い魔を持っているのは貴族が多いから、
 値段が高くても美味しければ売れるはずよ」

「でも、売れるっすかね~」
「解らない。
 でも行動しないと、何も解らないし何も変らない。
 試して修正する。その繰り返しでどんどん良くなるわ。
     ・・・・・・・
 それに、やってみたい事があるの。
 と言う事で、今すぐ実行よ( ̄〇 ̄)!!」
アイは元気一杯に拳を上げた。


〇シン家のサーガーの部屋

「ハハハハ。1ヶ月経っても赤字だそうだ」
「グリルからの報告?」
ベッドの上でパンスキーが言った。

「ああ。心配して損したぞ。
 俺が手を下す必要もなかったな。
 ハハッハハ愉快愉快」
ワインをゆっくり堪能しならがら言った。
 
「確かに面白かったわ~。フフフ♪♪
 グリルがオーナーのペンギンに、
 コキ使われているのが面白かったわ~フフフ♪♪」
他人の不幸を喜ぶ笑いだった。

「パンスキー。
 やっぱり俺の会話を聞いていたんだな?」
「もちろんよ。だって気になるでしょ?
 秘密の話をされると」
悪びれる様子も無く言った。
 
「お前には敵わないな。ハハハハ」
「せっかくだから、グリルの様子を見ましょうよ。
 ミルミル」
水晶の玉が出て来て、グリル達が写った。

「あれ?」
「どうした?」
「何か・・・・お客さんが多いの?」
「どうゆう事だ?」
サーガーも水晶を見た。

「何か変。使い魔がお店の中に一杯いる」
「どうゆう事だ?」
「解らない。
 それに、見た事の無い食べ物を食べてるわ」
「くそ。絶対に許さないぞ。俺が必ず潰してやる」
ワイングラスを潰して、怪我をした。

「フフフ。潰さなくても良いわ」
「どうしてだ?」
「グリルを使って、売れているレシピを盗み出せば良い。 その後、あなたが経営しているサル酒場で、
 同じ物を販売すれば相手の売上を落とす事が出来るし、
 こっちは売上をUPさせる事が出来るはずよ」

「ふはははっは。さすが。パンスキーだ」
「当然でしょ」
怪我した手を舐めながら、ニヤリと笑った。


〇スイカ酒場

「さぁ~。制限時間は30分です。用意スタート」
グリルは、時間を計る砂時計をテーブルの上に置いた。

「よぉ~し。やるぞ。カスル頼んだぞ」
「ぱぉ~ん」
貴族の男と羽の生えたゾウが、気合を入れて大盛りの激辛カレーを食べ始めた。

「何だこれは∑(°〇°)!!
 辛いけど、甘くて辛くて美味しいぞ!!
 こんな物食べた事ない!!
 カスルどうだ?」
美味しそうに食べる貴族の男。

「ぱぉ~ん。ぱぉ~ん。ぼおおおおおお」
炎を吐きながら、嬉しそうにバクバク食べていた。

「アイ様。凄い大繁盛ですね」
嬉しそうなグリル。

「そうね。
 30分以内に大盛りの激辛カレーを食べきったら、
 無料のチャレンジ企画が当たったわね」

「ですね。
 人間用には、アイ様が開発した激辛カレー。
 使い魔には、食べたら炎を吐く激震草入りの激辛カレーに分けたのも良かったですね」
 
「何より、使い魔と一緒に協力して、
 チャレンジするのが良いのよ。
 一緒にやる事で思い出にもなるし、絆も強くなる」

「さすが、アイ様です」
「当然よ。( ̄▽ ̄)ホホホホ天才。」
カウンターテーブルに立ち、腰に手を当てて笑うアイだった。

「グリルちゃん。手伝ってほしっす」
なぜか、ヘトヘトに疲れたサラブレットが皿洗いをしていた。

「弱音をはかない。グリル。応援してあげて」
「え? 
 ・・・・ガンバ」
小さい声で照れるように言った。

「ぬおおおおおおお!!! やる気が出て来た!!」
さっかまで疲れていたのがウソの様に、猛スピードで皿を洗い出した。

「( ̄▽ ̄)フフフ。面白い男だね」
「・・・・そうですか?」
チラリとアイがグリルを見ると、サラブレットを見て少し微笑んでいた。

「こちらへどうぞ」
サク王子がお客を誘導して、メニューを聞いていた。
      ・・・
「問題はあの厄病神よね。何で助けてくれるのかしら」
首を傾げるアイ。
すると、サク王子がアイの方を向いてウィンクした。

「え?∑(°〇°)」
アイは、不意な出来事に思わずドキっとした。

「いや~ん。サク様カッコイイ!!」
アイの目前にいる若い女性が言った。

「わ、私じゃないんだ。
 そ、そうよね。ペンギンの姿だし・・・」
アイは、なぜか解らないけど残念な気持ちになってしまった。

「いけない。いけない。仕事仕事。
 いらっしゃませ」
元気良く挨拶するアイ。

サク王子は、その姿をじっと見つめていた。


○山道

「この男を見たか?」
黒頭巾を被った男が、立体的に表示された男を見せた。

「知らねぇ~。知らねぇ~」
ガラの悪い男が見ないで、適当に答えて去ろうとしていた。

「ひぃいいい」
目の見えぬ早業で刀を抜いて、男の首元に当てた。
怯えるガラの悪い男

「もう一度聞く。この男を知らないか?」
「えええっと。知りません」
体を震わせながら、じっくり見て答えた。

「本当だな」
「は、はい」
刀をしまった。

「ひいいいいいい」
ガラの悪い男は、猛ダッシュで逃げ出した。

「どこにいるのだ」
・・・・・・・・・・・・・
赤いドラゴンが描かれた指輪をした男は、空を見上げならがら呟いた。
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