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チンギスカン編

【チンギスカン編】1.チンギスカンがモンスターの世界へ転生

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ワシの名はチンギス・カン
中国、ヨーロッパなどを征服した王
人々から尊敬され恐れられた英雄のワシが・・・・

「どうして、こんな姿になっったんだ~~」
牢屋の中で馬の姿をした男が、頭を抱えていた。

「うるせぇーーな。黙ってろ!! 馬」
「何!!」
ムカッとしたので、振り向いた。

そこには、沢山の小さな赤い目がある蜘蛛くもの人型モンスターが言った。
「す、すいません」
平謝りをするチンギス・カン

(さっき、こいつに逆らった奴は、攻撃を食らって死んでしまったからな。怒らせ無い方が良い。
 こういう奴は、下手したてに出た方が扱いやすい。
 それに、ワシは負ける戦はしないのだ。( ̄▽ ̄)エヘン)

外から、足音が聞こえて来た。

「入れ」
黒頭巾くろずきんを被ったカンガルーが扉を開けた。二匹の白ウサギが入って来た。

「何この臭い所は?」
鼻をつまむルル。
 
「うるせぇーーって言ってんだろ」
蜘蛛くものモンスターが殴り掛かった。

「きゃーーー」
「グフ」

黒い眼帯がんたいをしたウサギがお腹に一発殴って、
蜘蛛くもモンスターがお腹を押さえて悶絶もんぜつした。

「ルル様に近づくな」
怖い顔で睨みつけるアルク

「もう~~イヤ。こんな所」
「仕方ありません。私達は捕まったのですから」
「それも、これも。あいつのせいよ。絶対に復讐してやる。
 ところで、この首輪は何? 凄くイヤなんだけど」
ルルが首を取ろうとした。

「ウサギの姉ちゃん。止めときな」
カンが言った。

「何?このボロ馬は?」
カンはボロボロの服を着ていたので、ルルに変な目で見られた。

「ボロ馬・・・どうせワシはボロ馬だよ」
ガクンとうな垂れるカン。( ̄△ ̄)いじける

「私は年季が入って個性的だと思いますよ。それに格好じゃなく、大事なのは中身ですよ」
アルクが丁寧な態度で言った。
カンの耳がピクピクと動いた。

「だろ。格好じゃないよ。中身だよな。」
カンは、目を輝かせて元気になって答えた。

「ええ。それで、なぜ首輪を扱わない方が良いんですか?」
「ああ。その事ね。この首輪を無理やり取ったら、爆発するんだ。あの様にな」
隅の方に、首がない死体が転がっていた。

「きゃぁああーー」
驚いて首輪から手を離したルル

「これから、どうなるの?」
「それは・・・」
押し黙るアルク

牢屋の外から別の音が聞こえた。
色っぽい服装で、男をとりこにしそうな美しいヘビ女が来た。
黒頭巾くろずきんのカンガルーが、鈴を2回鳴らした。

「こちらは、ヘビ族のアン様だ。お前達を買って下さるぞ」
今までピクリとも動かなかったモンスター達が我先に急いで、牢屋の前に整列した。

「俺は力に自信がある。買ってくれ」
「私は、包丁を素早く切る能力、千切りが使えるわ」
「俺様は、・・イタ」
隣のモンスターと当たってしまった。

「何するんだ。テメェ」
隣のモンスターとケンカをやり始めた。

ルルとアルクは、ポカーンと見ていた。

「な、何で自分から?」
「それは、7日以内に売れなければ、殺されるからさ」
寝そべって、鼻をホジホジしながらくつろいでいるカンが言った。

「え!!ウソ!!」
口に手を当てて驚くルル

「正確に言えば、残った連中を2つに分けて、合戦をさせられる」
「そんなの嫌よ!!」
「だったら、あの連中みたいに自分を売り込むんだな」
「あなたは、なぜ落ち着いているんですか?」
アルクは不思議そうな顔で聞いた。

「ワシは殺し合いの方に参加するからな」
「自分の腕に自信があるのですね」
「それは、グゥーー、グゥーー、( ̄▽ ̄)エヘヘ止めろよ~♪♪」
カンは話している最中に、よだれを垂らしながら寝ていた。
    ・・・
どうやら良い夢のようだ。( ̄▽ ̄)ニヤニヤ

「あのーー。あのーー」
カンを揺すっても起きなかった。

「なんだろ?この人?」
首を傾げるアルク。

「ふぁ~~~~~~」
パッと目を開いて、背伸びをするカン

「あのーー。よくあるんですか?話している最中に寝てしまう事が?」
「ああ。すまん。すまん。何かこの姿になってから、急に眠くなる時があるんだ」
「ん?この姿?」

「ハハハハ。気にするな。独り言だ。ワシが途中で寝ても気にするな。
 そのうち起きるから。ハハハハ」
ポンポンとアルクの肩を叩いた。

「はぁ」
困惑するアルク
 
「ワシはこう見えても、兵を率いるのは得意だ。
 今は、戦に備えて体力を温存させるのが1番さ」
「なるほど、そうゆう考えもあるのですね。う~ん」
腕組みをして考えるアルク

「アン様。お気に召した者はいましたか?」
「そうね。タダル調べて?」
「まかせろ」
卵ぐらいの大きさで、フクロウがアンの肩に乗っていた。

「分析」
アンの目の前に画面が現れ、一人一人の能力を表示させていった。

「う~ん。どれもたいした者はいないわね・・・うん?
 このウサギ族の2人。良いわね」

「この2人でいくら?」
「500万ゴールドでございます」
ニコニコしながら言った。

「高いわね!!」
「なんせ。こちらの女はウサギ族の王族ですから」
「へ~なるほどね~」
下をチョロチョロと出した。

「内訳は男が5千ゴールドで、女が495万5千ゴールドになります」
「う~ん。どうしようかしらね~。タダル?」
「買えば良い。買えば良い」
「でもね~。この後、本部でオークションもあるから、無駄使いはしたくないのよね~」

「えええ!!私を買おうとしてるの?」
突然ルルが牢屋の棒を握って、凄い剣幕で言った。

「あらヤダ。元気な小娘だ事。ホホホ」
口元をかくしながら、笑った。

「だまれ。ババア」
「!!! ババア?」
目を細めた。

「そうよ。ババア。ババア」
「ルル様。怒らせない方が」
「ウルサイ!!」
アルクを吹き飛ばした。

「いいわねぇ~あなた!! そうゆう、ケ・イ・ベ・ツした言葉好きよ~
 興奮するからもっと言って~」
甘えるような声で言った。

「フン。何この変なおばさん。頭おかしいんじゃない」
「ルル様が、とんだご無礼を」
土下座をして謝るアルク

「よし決めたわ!! これを見なさい2人とも『サラマル』」
手のひらサイズで、紫色に光る宝石を見せた。

「うぁ~大きい宝石」
「確かに」
思わず綺麗な宝石に見入ってしまった。

「ソードオープン2」
アンが魔法を唱えると2本の剣が空中に出現し、牢屋の中に投げ入れた。

「さぁ。戦いなさい。勝った方を出してあげる」
「フン。何を言ってるの。そんなの無駄よ。????」
「どうしてだ?」
2人の目が紫になり、自分の意思に反して2人とも剣を取った。

「アン様。困ります。ウチの商品なんですから」
「2人とも買うわ。だったら良いでしょ?」
「そうゆう事ですか。もちろんです。ありがとうございました。」
お金を渡した。
丁寧にお辞儀をするカンガルー

「くーーーー」
「うううう」
2人とも何とかしようとするが、何も出来ないまま距離が近づいた。

「さぁ。殺し合いなさい!!」
アンの目が光った。

「いや~」
「やめろーー」
お互い剣で攻撃を開始した。
剣がぶつかり合い、当たれば致命傷になるくらいの攻撃を繰り返していた。

「カン」
そして、ついに片方の剣が宙を舞って、地面に突き刺さった。

「さぁ。殺せ殺せ殺せ殺せ」
地面に倒れこむルルに対して、アルクが剣を頭上に上げた。

「お願いだ。やめてくれ~~~~」
「イヤーーーーーーーーーーー」


○奴隷売り場

「ルンルンルン」
鼻歌を歌いながら、スキップをするヒラヒラのスカートを着たミツバチ族の女ランラン。

「よし着いた~~~!! ここで、奴隷ちゃんを買うぞ~~~!!」
拳を上に突き上げて言った。
テントのお店に入ろうとすると、黒頭巾くろずきんを被ったセミ男が、笑いながら近づいた。

「いらっしゃいませ。どんな奴隷をお探しで?」
「う~んとね。ランランと気が合う人」
「そうですか。ご予算の方はおいくらでしょうか?」
「一生懸命貯めたランランの全財産で、買えるのが良いな~」
ランランは手のひらにある100ゴールドを見せた。

「チェ。カネのないやつか。帰りな」
お金が無いと解ると態度を変えた。

「え~やだよ。せっかく来たし。
 自分の奴隷ちゃんを持っているミーちゃんに、連れてくるって約束したもん」
「ダメなもんはダメだ」
「ヤダヤダヤダ」
駄々をこねるランランを外に、ポイッと出した。

すると、黒い重厚な甲冑かっちゅうを着たサイの男が店にやって来た。

「奴隷を見せてもらおう」
「ご予算は、いかほどで?」
ニコニコと急に態度を変えて対応するセミ男

「気に入れば、いくらでも出す」
「ありがうございます。こちらへどうぞ」
お店の中へ誘導した。

「絶対諦めないもん。シャドウ」
ランランは土の中に沈んで影になり、凄いスピードで先ほどのサイ男に追いつき、影の中へ入った。


○お店の中

「どのような奴隷が良いでしょうか?」
セミ男とサイ男は歩きながら話していた。

「戦いに強い奴だ。」
「色々タイプがありまして、力が強い者、空中戦に強い者などありますが、
 どのようなタイプがよろしいですか?」

「全体的に強い奴だ」
「なるほど。バランスタイプですね。誰が良いかな~。
 奴隷ステータス 降順 バランス」
セミ男の顔にモニターが現れて、奴隷のステータスを確認していた。

サイ男の影から頭を出して、キョロキョロするランラン。
近くにあった首輪や色々な物をひょいっと、二人にばれない様に影の中に入れた。

「よし。あいつでいいな。ではこちらへどうぞ。ワープF256」
セミ男とサイ男が消えて、他の牢屋と違う頑丈に作られた部屋へ移動した。


○地下256階

ドアを開けると頑丈な牢屋の中に、一人のモンスターが腹筋をしていた。

「なんだ。Bランクのゴーレム族か。」
「確かに種族で言えばBランクでございますが、このゴーレムは特殊です。」
「ほぉ~。それは?」
「このゴーレムは、プロレスの人気覆面レスラーで、
 第5次モンスター大戦で活躍したA5ランク傭兵団シルクトを壊滅かいめつ」させました。
「何!!あのシルクト傭兵団を!!」
目を大きく見開いた

A5ランクはSランクに近い強さだった。

==========================================
◎ランクの強さ
 C<B<A<S<SS

 C1<C2<C3<C4<C5<B1<B2<B3<B4<B5<
 A1<A2<A3<A4<A5<S1<S2<S3<S4<S5<
 SS1<SS2<SS3<SS4<SS5

 例 ○C5とS5はどっちが強い?
   ・S5の方が強い
    
   ○S1とS5はどっちが強い?
   ・S5の方が強い

◎ランク数
 SSランク1%
 Sランク 9%
 Aランク20%
 Bランク30%
 Cランク40%

 例
 Aランクの数は全体の20%
==========================================

「はい。しかも依頼達成92%の暗殺組織ラルを全滅」
「それは凄い!!」
「極めつけは、三竜将の一人ベンガを倒しました」
「は!!何を言っているんだ。三竜将と言えば大国サファイアだぞ」
「そうです。」
「馬鹿な!!確か病死と聞いているぞ」
「いえ間違いありません。裏は取っています」

「信じられん。全体の1%しかいないSSランクを倒したのか?」
「はい。」
「はっはは。素晴らしい。いくらだ?」
「5000億ゴールドでございます」
「何!!5000億だと」
「その価値はあるかと」
微笑むセミ男

腕組みをして考えるサイ男

「可愛い可愛い」
「え?可愛いですか?」
セミ男は、突然変な事を言われて、思わずゴーレムの方を見た

「覆面が可愛い」
「あ~確かに~。好みは人によって、違いますからね~ホォホォホォ」
苦笑いをして誤魔化すセミ男。

「欲しい欲しい」
「ありがとうございます。ではお支払いを」
手を出してお金を貰おうとするセミ男

「欲しいとは言ってないぞ」
サイ男が言った。

「え?確かに欲しいと言いませんでしたか?」
「欲しい欲しい」
「ほら言ったじゃないです・・・? ノルバ」
セミ男の口から小さな硬い黒玉が連続で出てきて、サイ男の影を攻撃した。

「痛い痛い痛い」
サイ男の影からランランが飛び出した。

「さっきのミツバチ族ではないか」
「あれ~?何でバレたんだろ?」
人差し指を頭に添えて、首を傾けるランラン

「解るに決まっているだろ。頭が見え見えだ!!」
「あ!!いけない。またやっちゃった。テヘ」
右手で握りこぶしを作った状態で、頭に乗せて舌を出した。

「商売の邪魔をするな!!」
「だって欲しいもん。」
「出て行け」
「やだやだ~~~」
逃げ回るランランを追うセミ男

「捕まえた!!」
「離して離して」
セミ男に捕まって暴れるランラン

「え?」
「このモンスターを貰おうか。タダで」
大剣をセミ男の首に当てて、ニヤリと笑うサイ男

「ご、ご冗談を」
セミ男が首に大剣を当てられていたので、汗が止まらなかった。

「良いから、あのモンスターを解除しろ」
「ででできまんせん」
「死にたいのか」
「ひいいいい。わかりました」
捕まえていたランランを投げ飛ばした。
部屋の隅にコロコロ転がって、壁に激突して気絶してしまった。

「もっと近づかないと解除出来ないので、移動しますね」
「みょうな真似をするなよ」
「は、はい」
セミ男は覆面ゴーレムに近づいた。

「首輪の解除 スハン」
セミ男の前に画面が表示された。
親指を画面に押し当てた。

指紋しもん認証確認』
と表示された。

次に、目をスキャンした。
網膜もうまく認証確認。パスワードをどうぞ』
「商売繁盛」
セミ男が言った。

『音声認識確認。右手を画面に触れて魔法を唱えて下さい』
右手を当てた。

「アルーム」
「!!!!!侵入者!!侵入者!!」
警報が鳴り出し、部屋の扉が自動で閉まった。

「!!何だ!!何が起きた?」
慌てた様子で、辺りを見回すサイ男

部屋の壁をすり抜けて、サッカーボールの大きさで青い球体に目だけがあるモンスターが20体出てきた。

「な、何をした」
「フフフ 決まっている。『トウザンダン』」

20体の青丸モンスターが、頭上をクルクル回り、だんだん回るスピードが速くなった。
そして、目では見れない速さになった。

「奴を殺せーー!!」
セミ男が言うと、青丸モンスターから青白い雷が落ちた。

「ぐおおおおお」
サイ男は黒焦げになり、バタンと倒れた。

「フン。お前みたいな奴が何人いたと思う。防衛は完璧だ。ホォホォホォ。
 さて、コイツらを奴隷にするか。」
サイ男とランランを見て言った。

「テル」
セミ男の前に画面が表示されたが、相手の顔が表示されなかった。

「おい。聞こえるか?」
「聞こえます」
「どうした?」
「電波が悪いようです。」
「またか?」
「最近、調子が悪いですね」
「まあいい。F256まで首輪を2つ持って来い」
「ハイ」
画面が消えた

「儲けた儲けた。ホォホォホォ。」
満足げなセミ男だった。


◎牢屋

アルクは自分の意思に反して、剣をルルの頭上に上げた。
「やめてくれ~~~~」
「きゃーーーーーーーー」

剣を振り下ろした。

コンとアルクの頭に、石ころが当たった。

「はぁ!!」
目が元の状態に戻り魔法が解けたので、ルルを刺す寸前で剣を止めた。

「せっかく良い所を!!!誰だい邪魔をする奴は?」
ギロリとにらむアン。

(しまった。ついやってしまった。(×д×)!!
 関わると面倒だからやりたくなかったのにな~
 ( ̄△ ̄)どうする? どうする? うーーーーん。男ならやるしかない !!)

ゆっくりと覚悟を決めて立つカン。

「こんな事をする奴は、人としておかしい。違うかみんな?」
「そうだ。そうだ」
さっきまで黙っていたモンスター達が一斉に騒ぎ始めた。

「シャットダウン」
黒頭巾くろずきんのカンガルーは、魔法を唱えた。

「うぉおおおお~苦しい~~~」
モンスター達は、首が締め付けられて苦しみ出した。

そして、人差し指を上げると魔法が解除された。

「はぁはぁはぁ」
「お前達は奴隷だ。お前達に奴隷なった瞬間から人権などない。解ったか」
モンスター達は、カンガルーをにみつけた。

「アン様。失礼しました。」
「全く~。仕切り直しだよ」
紫の宝石を出した。

「サラマル」
「みんな。見るな支配されるぞ」
カンが言った。
一斉に目をつぶった。

「フフフ。うさぎの二人以外何もするな」
「うぐーーー。なぜだ?目をつぶったはずなのに!!」
モンスター達の誰かが言った。そして、目が紫色になり、体を動かす事が出来なかった。

「あれ?魔法が効いてないわ?」
アンは首を傾げた。カンが立ったまま鼻風船を作って、寝ていたのだ。

「ぐぅーー。ぐぅーー。( ̄▽ ̄)デヘヘ。もう食べれない」
美味しい物をお腹一杯食べているのか、嬉しそうな寝顔のカンだった。

「何?この馬は?さっきまで話していたのに?
 この緊張感で寝るとは大した者よ。タダのバカか凄い大物のどちらかね。
 フフフ面白いわ~~~♪♪。タダルこの馬を調べて~~♪♪」
「解った。解った。分析」
モニターに、カンのステータスが表示された。

「ん?何も写っていなじゃない?」
「解らない。解らない」
「珍しいわね。ステータスが解らないなんて。この馬も貰おうかしら」
「オークション。オークション」
「そうね。オークションがあるから節約しないと」
「そう。そう」
タダルは頷いた。

「気を取り直して、ショーの続きをしましょうかね。
 さぁ~。さっきの続きをやりなさい」
アンが言うと、アルクは再びルルに剣を振り下ろした。

「!!!!!!」
また、剣が止まった。

「馬鹿な!!どうして?」
驚くアン。

「同じことは通用しない」
手に赤い血が付いていた。

「ハハハハハ。眼帯のうさぎ。さすがだね~。
 あらかじめ手に傷を付けて、痛みで魔法を解くとはあっぱれだわ!!
 でもね~。言ったでしょ。一人が死ぬまで続けるとね」
舌をヒョロヒョロを出した。

アルクは片膝を地面につけ、剣の先と握る所を持った。

「ルル様。どうぞ。この剣で私を殺して下さい!!」
「何を言っているのアルク。そんなの出来ない」
「生き延びるためです。そして、裏切ったあの者に制裁を」
「アルク」
涙を流しながらルルは言った。

「一人が死ねば出してくれるんだな?」
アンの方を向いて言うアルク。

「そうだね。相手に殺されたらね。ホホホ」
口元を隠して笑うアン。

「さぁ。どうぞ」
「アルク」
震える手で、アルクから剣を貰ったルル。

「あなたの犠牲は忘れない。」
「ルル様。今までありがとうございました。」
目をつぶるアルク。ルルは剣を振り上げて、アルクめがけて振り下ろした。

「!!!!!」
「グフ」
血を吐いて倒れた。

「ルル様ーーーーーーーーーーーーーーー!!」
倒れたのはルルだった。

「貴様ーーーーーーーよくもルル様を!!!」
「あはははは。あははははは。あははははは。あははははは。あははははは。
 あんたら最高だよ。あははははあははははは。あははははは。あははははは。」
お腹を抱えて大笑いするアン。

「なぜルル様を殺した!!」
牢屋の棒をんで、顔を限界までアンに近づけた。

「あ~~。楽しい」
涙をうアン。

ルルが剣を振り下ろした時に、アンの手からドクロの模様で黒い槍が出現して、
ルルの背後から貫いたのである。

「だって、あの女。いらないんだもん」
両手を広げて、おどけて見せた。

「貴様!!絶対ゆるさない。絶対に殺してやるからな」
アルクの体が、白いから赤色に変化した。

「いいわ~。その殺意の目。ゾクゾクするわ
 やっぱり、私にはこうゆう刺激がないとね。ホホホホ
 早く私を殺しに来なさい」
ウインクをするアン。
炎が燃えているような憎しみの目でむアルクだった。

「じゃ。オークションが終わるまで待っててね」
投げキッスをして去って行った。

「損した。損した」
アンの肩にいるタダルが言った。

「良いのよ。あんな楽しいショーを見れたのよ。
 安い物だわ。あ~楽しかったわ。ホホホホ」
口元を隠して笑うアンだった。

カンはいつの間にか起きて、地面に座った状態で、じっとアルクの方を見ていた。


○地下256階

「遅いではないか?」
「すいません。お客様の対応をしていたもので」
黒頭巾くろずきんのカンガルーは、セミ男に首輪を1つ渡した。

「さてと、どちらから、やろうかな?」
ニヤリと笑うセミ男

「よし、お前だ。トロプンテ」
首輪がプカプカと浮いて、倒れているサイ男の首に付いた。

「首輪の所有者 スバン」
セミ男の前に画面が表示された。

指紋しもん認証です。親指をどうぞ』
親指を画面に押し当てた。

『登録完了。次は網膜もうまく認証と音声認証です。
 パスワードをどうぞ』
「商売繁盛」
画面を見ながら、パスワードを言うと画面が赤く光った。

『登録完了。最後に魔法認証です。画面に触れて魔法を唱えて下さい。』
「アルバン」
セミ男の手が青く光った。

『登録完了』
「よし。いつまで寝ているんだこのサイめ。シャットダウン」
魔法を唱えたが何も起こらなかった。

「うん?どうした?シャットダウン」
やはり、何も起こらなかった。
そして、首輪が開いた状態になってしまった。

「おい。これは不良品だ。別のをよこせ」
「おかしいですね。トロプンテ」
「何をする!!」
サイ男から首輪が取れ、セミ男の首に付いた。

「不良品かどうか試すんですよ。シャットダウン」
「ぐぅおおおおお」
首を締め付けられて苦しむ

人差し指を上げると魔法が解除された。

「はぁはぁはぁ。おれを殺すきか!!」
「大丈夫ですね。スティールコピー」
首輪の所から青い小さいな球体が出てきて、カンガルーの頭に吸い込まれた。

「フフフフ」
「何がおかしい」
「ようやく。計画を実行させる時が来たと思いましてね」
「何の計画だ!!」
「それは、もちろん。秘密です!!フフフ
 でも、支店長にだけ特別にちょっとだけ、教えましょう!!」
ゴクリとツバを飲むセミ男

「ある物を手に入れるために、ここに働き始めました。
 そして、ようやく、今日手に入れる事が出来るのです」
「何だそれは?」
「黄金のバッタですよ」
「!!」
驚くセミ男

「やはり、支店長も知っていたようですね」
「し、知らん」
「隠さなくても良いですよ。調べは付いているのですから」
不敵な笑みのカンガルー

「どこにあるのか知っているのか?」
「当然、この支店ではなく本店。
 そして、今日オークション会場で発表されます!!」
「!!!」
口を開けてさらに驚くセミ男

「でわ。支店長お別れですね。ヘリッシュ」
カンガルーが、青いタキシードにシルクハットを被り、
スティックを持った状態に変わった。

「ど、どうゆう事だ」
震える声で言った。

「こういう事ですよ。エアポケット」
カンガルーが持っているスティックの下半分が消えた。

「イタ」
セミ男の後ろから、スティックが現れて、首元に攻撃をした。

「だが、この程度の攻撃は効かないぞ」
大した攻撃ではなかったので、強気の発言をした

「でも、首輪が作動しましたよ。フフフ」
首輪が赤く点滅した。

『爆破まで10秒』
『9』
『8』
カウントが進められた。

「待て待て待て助けろ」

『7』
「頼む。助けてくれーーーー」

『6』
「何でも言う事を聞くから」

『5』
「何でもですか?」
「そうだ。何でもだ」

『4』
「そうですねー」
「頼む頼むこの通りだ」
土下座をして何回も地面に額をぶつけて、懇願こんがんした。

『3』
「そこまで言うなら良いですよ」
「本当か」
顔を上げて、安堵の顔をした。

『2』
「何にしましょうか?」
「何でも言いいから、早く願い事を言え」
尋常じゃない汗が、顔から出ていたセミ男

『1』
「でわ、死で下さい」
「へ?」

『0』
ボーーーーーンと言う音ともに、セミ男の首がなくなった。
血がカンガルーの顔に付いた。

「汚い」
胸ボケットにあるハンカチを取り出して、上品に拭いた。

「いつまで寝ているつもりだ。ウラハン」
サイ男の方を向いて言った。

「演技するのも疲れるぜ」
首をコキコキ鳴らした。

「それで、あいつはどうするんだ?ユンハン?」
セミ男が死でも腹筋を止めない覆面レスラーのハイヤーだった。

「私達の仲間にならないか?」
ユンハンは、牢屋に近づいて話しかけた。

「どうしようかな?」
腹筋をしながらニヤリと答えるハイヤー

「私達は、この腐ったモンスター世界に革命をもたらす秘密結社、『稲妻』だ
 共に変えようではないか?」
「ふーん。それでどうやって変えるだ?」
「それは、仲間になってからだ」
「そうか。YesかNoかで言えば・・・・・・No」

「どうしてだ?」
「理由なんてない。勘だよ。勘」
「ならば仕方ない。 エアーポケット」
スティックの下半分が消えて、ハイヤーの横から首輪を目掛けて攻撃した。
そして、首輪が赤く点滅した。

「おいおい。殺すのかよ。SSランクを倒した奴だぞ。勿体もったいねーじゃないかよ」
「従わない者は殺す。」
「まぁいいけどな。」
「そろそろ時間だ。次の段階に行くぞ。」
「へいへい」

『5』
「た、助けてくれ~」
牢屋の棒を掴んで、命ごいをするハイヤー

「もう遅い。ワープF1」
ユンハンは、消えてしまった。

『4』
「あんた、助けてくれ」
手を伸ばして、必死にウラハンに言った。

「そう言われてもなー」

『3』
「頼む何でもするから」
「俺は良いんだが、ユンハンがな」

『2』
「説得してくれ」
「説得したいのも山々なんだが、頑固だからな。無理」

『1』
「たすけてくれ~」
必死の形相

「運がなかったな。あばよ。ワープF1」
ウラハンは消えてしまった。

『0』
「うわぁあああああ」
首輪が爆発した。

「・・・・・・なんてね」
ハイヤーの首が黒くなったが、傷1つ付いてなかった。

「せっかく、トレーニングに集中出来る場所が、見つかったと思ったのに残念だ
 別の所を探すか」
ハイヤーは、牢屋の棒を両手でこじ開けて外に出た。

「ふわぁあああ~。よく寝た。何の音?」
気絶していたランランが目覚めた。

「あああ!!覆面ちゃんがいる~」
指を差して喜ぶランラン

「お嬢ちゃん。俺に用か?」
「ランランは子供じゃないの。大人だよ」
「じゃーお菓子あげようか?」
「え~本当に(^○^)!!欲しい欲しい」
目を輝かせて、その場で何回もジャンプして喜ぶ

「ハハハハ。やっぱり子供じゃないか」
「う~~~ん。おじさん意地悪~( ̄3 ̄)/」
口を尖らせるランラン

「おいおいおい。俺はおじさんじゃない。お兄さんだ」
「おじさん。おじさん」
首を振って答えた。

「お兄さんだ」
ランランの顔に近づいて凄むハイヤー

「やっぱり、可愛い覆面(^○^)!!」
「そう? 人気の覆面マスクだからな。ハハハハ」
褒められて上機嫌になるハイヤー

「ちょうだい。ちょうだい」
「ちっちっち。これはやれない。プロレスのグッズ販売所で買いな」
人指びを左右に振って答えた。

「え~~~~!! じゃ~お願い事があるの」
「なんだい?」
「私の奴隷ちゃんになって欲しいの」
「ほーーこの俺を奴隷にねー。いくら出す?」
ニヤリと笑うハイヤー

「はい。これランランの全財産」
「たったの100ゴールだと!!」
手の平にある1枚の100ゴールドを見て言った。

「うん」
こくりと頷く

「聞いていなかったのか?俺は5000億ゴールドの価値があるんだぞ」
「えーーこれじゃー買えないの?」
「当たり前だろ。100ゴールドがあと、50億枚必要だ」
「50億枚?50億枚ってどれくらい」
「わかりやすく言うと、こーーーーーんな一杯のゴールドが必要なの」
両手を広げて説明した。

「そっか~。そんなにいるんだ~残念だな~。おじさんこのあと用があるの?」
「そうだな~別に用はないけど」
「ねぇねぇおじさん。しばらくの間ランランの奴隷ちゃんになってよ」
ハイヤーの両手を握って、目を輝けせてお願いした。

「そんなのイヤに決まっているだろ」
両手を振りほどいた。

「だって、ミーちゃんに奴隷ちゃんを連れて来るって約束したんだもん
 だから、お願いお願いお願い」
「ダメだ」
「もぉ~~~~~~~~~~( ̄△ ̄)!!」
その場にしゃがみ込んだ。

「お腹も減ってきた事だし、そろそろ行くわ。じゃな」
「ちょっと待って~!!お腹減っているなら、これあげる~」
黄金色に光る玉を渡した。

「なんだこれは?」
「ハチミツ玉って言うの。ミツバチ族しか作っていないんだよ。」
「へーこれでお腹が膨れるのか?」
「ウンそうだよ。」
ハイヤーはハチミツ玉をガリガリと噛みながら飲み込んだ。

「なんだこれは!!お腹も膨れて力がみなぎる!!」
「凄いでしょ。( ̄▽ ̄)エッヘン」
「もっとくれ」
「ダメーー。貴重な物だし、あんまり持っていないからあげないよ」
「このハチミツ玉は、家に帰れば沢山あるのか?」
「あるよ。こーーーーーんな一杯」
ジャンプをして両手を広げた。

(ハチミツ玉は凄い。回復力だけでなく戦闘力も上がる物だ。
 凄く欲しい。
 沢山あると言う話だから、家を案内してもらって全部、奪えば良いか。)

「仕方ない。ハチミツ玉を貰った礼あるし、100ゴールドで、しばらく奴隷になってやる」
「えええええ!!本当に!!! やったーーー(^○^)!!」
ランランは嬉しくて、ハイヤーに抱きついた。

「おいおいおい」
照れくさそうに笑うハイヤー

「じゃ。これつけて」
ランランは懐から赤い首輪を渡した。

「何でこれをつけないとダメなんだ?」
「だって、可愛いから( ̄ー ̄)!!」
「は?」
「もう1つあるから、ランランも付けるね。」
もう1つの赤い首輪を自分で付けた。

「じゃ~~ん。どう?可愛いでしょ」
「そ、そうね」
「早く奴隷ちゃんも付けてよ~」
赤い首輪をじっと見つめる

(ハチミツ玉のためだ)
自分にいい聞かせて、ハイヤーも首輪を付けると青白く不気味に光った。

「わぁーーい(^○^)/ お揃いお揃い」
ハイヤーの周りをスキップをしながら喜ぶランラン

「そうね。ふぅーー」
ため息を付いた。

すると、警報が鳴り出した。

「何?」
「解らん」

幽霊の様なタキシードを着たカンガルー男のユンハンが出てきた。
これは、全ての奴隷の牢屋毎に現れた。

「奴隷の諸君。こんばんわ。看守をやっていた者だ。
 今から、諸君にゲームをやって貰う」
不敵な笑みを浮かべるユンハンだった。
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