19 / 21
編集者さんと。
15話 看病
しおりを挟む数日後。
「杏里、今日そっちでご飯食べてもいいかな」
しばらく杏里と会えていなかったからか何となく寂しくなって、連絡をしてみた。
『…今日……?』
「うん、杏里が嫌じゃなければ。ご飯作るからさ」
…それに、何だか最近声に元気が無いような。
『…大丈夫…だと思う』
「そっか、じゃあ行くから。…食べたいもの送っておいて」
…何も無いといいけど。
ーーー
「杏里、来たよ…?ドア開けてくれる?」
今日は杏里にオートロックと玄関の扉を解除してもらった。
玄関までエレベーターと歩きで数分、鍵の開いていた玄関扉を開けばいつも通り杏里がいて、
「……杏里?」
…いつもいるはずの杏里がいなかった。
「杏里?入るよ?」
とりあえず中に入って玄関を二重に施錠する。
長い廊下を歩いた先のリビングに向かい、杏里を探して寝室兼作業部屋まで来ると、
「…!杏里、何してるの」
………そこに杏里がいた。
「……!」
「…あ、ごめん、びっくりさせて。玄関の鍵開いてたから………」
…来ることは伝えたはず、扉が開いているということはそれを杏里も知っている。
「……ぁ…、………あの、」
「…うん?」
何だか少し、顔色が悪いような。
「…原稿……、まだ終わってなくて………」
「……え?締切まだ先だよ?ついこの間出してもらったばっかりだし………」
………何か、
「杏里……様子が」
様子がおかしい、
締切もまだ先だし、いつもは玄関で鍵を開けてから俺が来るまで待っててくれるのに。
………もしかして、
「杏里……もしかして、」
杏里の額に手を当ててみる。
…案の定、
「………?」
「杏里………、
すごい熱………」
……かなりあつかった。
「ねつ……?」
「と…とりあえずベッド、待って今体温計持ってくるから、」
杏里をベッドに移動させて、体温計を持ってきて、
「あぁ……やっぱり、」
見ると、かなりの高熱だった。
「風邪かな…、…大丈夫?具合悪くない?」
「…ぐあい…、……大丈夫、」
大丈夫に見えない………、
顔も赤いし、息だって苦しそうで、
「待ってろ今薬買ってくるから…、仕事はしなくていいから、休んでて」
ぼーっとしながらも頷いてくれた。
眠るまで見守って、急いで薬を買いに行って、
(…なんで風邪なんて……、確かに、昔からあんまり体は強くなかったけど)
飲み物や熱さまシート、他にも色々買ってすぐに帰ってきた。
30分くらいで帰ると、杏里はまだ眠っていて、
「…っ……ぅ……、」
酷く苦しそうだった。
「熱上がってきてるな…、水飲めるか?」
「…っけほ、……けほ、」
体を起こして、一口だけ水を飲ませる。
「…うん、えっと……とりあえず熱冷まし貼るからな、ちょっと冷たいかもしれないけど」
看病なんてもう何年もしていないから、何をすればいいか忘れてしまった。
「……っひ、…ぅ」
「ご…ごめん、………あ、」
よく見ると、結構汗もかいてる。
(このままじゃ寒くなるよな…、とりあえず着替え、)
「杏里、脱いで」
……………
「………ん…、ぬ……ぐ?」
……あれ、
「うん…体拭くから、脱いでくれる?」
…俺の考えが汚れているだけだと思うけど、
(なんかいやらしい…………)
0
お気に入りに追加
13
あなたにおすすめの小説
イケメンリーマン洗脳ハッピーメス堕ち話
ずー子
BL
モテる金髪イケメンがひょんな事から洗脳メス堕ちしちゃう話です。最初から最後までずっとヤってます。完結済の冒頭です。
Pixivで連載しようとしたのですが反応が微妙だったのでまとめてしまいました。
完全版は以下で配信してます。よろしければ!
https://www.dlsite.com/bl-touch/work/=/product_id/RJ01041614.html
咳が苦しくておしっこが言えなかった同居人
こじらせた処女
BL
過労が祟った菖(あやめ)は、風邪をひいてしまった。症状の中で咳が最もひどく、夜も寝苦しくて起きてしまうほど。
それなのに、元々がリモートワークだったこともあってか、休むことはせず、ベッドの上でパソコンを叩いていた。それに怒った同居人の楓(かえで)はその日一日有給を取り、菖を監視する。咳が止まらない菖にホットレモンを作ったり、背中をさすったりと献身的な世話のお陰で一度長い眠りにつくことができた。
しかし、1時間ほどで目を覚ましてしまう。それは水分をたくさんとったことによる尿意なのだが、咳のせいでなかなか言うことが出来ず、限界に近づいていき…?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる